基本がわかる! MECE(ミーシー)とは? 分解の切り口やフレームワークの例

MECEは”Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive”の略で、「ミーシー」または「ミッシー」と読みます。日本語としては「モレなく、ダブりなく」といった意味を持つもの。

ここでは、

  • ビジネスにおけるMECEの重要性
  • そのパターンや考え方の基本
  • フレームワーク例

など詳しくご紹介します。

1.MECE(ミーシー)とは?

物事を考えるとき、正確な答えを導き出すために必要な要素を網羅しながらも、それらが重複しないようにする考え方も同時に必要となります。

こうした際にMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)を意識することで、総合的な視点から必要な事実を分類して、問題や課題に対する正しいアプローチを導き出すことができるようになるのです。

Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive(漏れなく、ダブりなく)

MECEは「モレなく、ダブりなく」と訳し、Mutually(お互いに)、Exclusive(重複せず)、Collectively(全体に)、Exhaustive(漏れがない)の頭文字を取った用語です。

全体集合の中に、A・B・Cという3つの部分集合があり、それらはお互いに排反でA・B・Cの和集合が全体集合に等しくなる場合「モレなく、ダブりなく」を意味します。これにより、部分集合の和集合が全体集合に一致することで漏れがないことを確認できます。

お互いに排反であることでダブりがないことを確認できます。図などで表すと確認しやすいでしょう

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2.MECEを理解するための具体例

MECEを理解するため、具体的な例を挙げて考えてみましょう。自社の休憩スペースに飲み物の自動販売機を設置することを検討していると仮定します。たくさんの種類のある飲料の中から、どうすれば漏れもダブりもなくグループ化できるでしょうか。

MECE的に考える方法

考え方の一つに、単純に思いつくまま並べていく方法があります。しかし、これでは漏れが生じやすくなるでしょう。

そこでまずどのような切り口で飲み物を捉えるのかを考えることから始めます。たとえば、アルコールの有無による分類、缶・ビン・ペットボトルといったパッケージによる分類といったイメージです。

このように大まかな分類を決めてからカテゴリーごとに品目を挙げ、さらにそのカテゴリーの中で容量別やメーカー別に分けていけば漏れが生じることがありません。

パターン①漏れがあり、ダブりがない状態

では、漏れがありダブりがないのはどのような場合でしょうか。たとえば、売り上げを上げる施策を考えるために顧客を要素分解するとします。

このとき、計算式を「顧客数」×「顧客1人当たりが1回に使う金額(顧客単価)」とすると、顧客が来る頻度が漏れてしまっており、ダブりはないけれど漏れがある状態になります。

パターン②漏れがなく、ダブりがある状態

逆に、漏れはないがダブりがあるのはどのような場合でしょうか。たとえば自社商品の提供ターゲットを挙げるとします。

このとき、

  • 大人向け
  • 子ども向け
  • 男性向け
  • 女性向け
  • 若者向け
  • 中年向け
  • 老人向け

と挙げていくと、顧客ターゲットは網羅しますが、お互いにダブりが生じていると分かります。これが漏れはないがダブりがある状態です。

パターン③漏れがあり、ダブりもある状態

漏れもダブりもある場合の例も挙げてみましょう。学生ターゲットのカテゴリーを挙げる際、小学生、中学生、高校生、予備校生、受験生といったグルーピングをします。

そうすると、予備校生の多くは受験生や現役の中学生、高校生も含まれることもあるためダブる他、学生である大学生は漏れています。これは、漏れもダブりも両方生じている一例です。

言葉で聞いて理解するより、具体例を挙げて考えたほうがイメージしやすくMECEをより理解できるようになります

3.ロジカルシンキング(論理的思考)とは?

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MECEは、ロジカルシンキングにおいて基本とされている概念です。ロジカルシンキングとは主張と根拠をピラミッドのようにロジックで積み重ねていく思考方法のことで、「論理的思考」という意味で使われています。

マッキンゼー・アンド・カンパニー出身者のコンサルティングノウハウが書籍化されたことで広く知られるようになりました。

ロジカルシンキングにおける分析法

ロジカルシンキングには、枠にはめていくだけでMECEが実現できるフレームワークを使用するといいでしょう。ロジカルに思考を重ねて結論へ導くには、結論を支える主張が必要になります。

この主張を設定するには大きな課題をシンプルな要素ごとに細分化する構造が適しており、これがMECEが必要な所以なのです。

ロジカルシンキングの初心者には、フレームワークの活用が最適です。優れたフレームワークも多数あります

4.ビジネスにおけるMECEの重要性

プロジェクトに関連する要素の抜き出し

  • WBSの策定
  • 商品企画
  • 各種調査項目・対象の選定

といった、要因やアイデアを漏れなく挙げることが必要で、網羅性が求められる場面でもMECEの考え方が使用されます。

たとえば、新商品を企画する場合、商品という全体集合を、機能や販売価格帯といった切り口でMECEになるように細分化し、競合商品のない分野の商品開発を優先するという活用方法も考えられます。

演繹的に分類を行うことで網羅性が高まるため、思わぬ新商品スポットが発見されることもあるでしょう。

営業やマーケティングにおけるMECEの必要性

ビジネスは、常に問題解決の連続で、解決すべき問題や課題は往々にして複雑な構造をしています。これらはそのままでは対処しにくく取り組みにくいもの。

こうした複雑で膨大な課題をMECEを用いてシンプルに切り分け、細分化して考えることにより、何が本質的な問題なのか整理しながら考えることができるのです。

ビジネスで大きな課題と向き合うとき、MECEを用いてより小さな要素ごとに切り分けて考えれば解決の糸口が見えてきます

5.MECEで分析する方法を簡単に説明

MECEは3ステップで分析できます。

STEP.1
大きな目的を設定
STEP.2
要素を洗い出す
STEP.3
洗い出した要素を細分化

ステップで重複するものがないようにしながら、順番に分析していくことで問題を細分化できます。そしてさまざまな角度から洗い出すことができ、意識していなかった部分が浮き彫りになるということも出てくるのです。

全体集合とは?(ツリー構造・ピラミッド構造)

「モレなく、ダブりなく」と訳されるMECEの中で、「全体集合」という考え方はとても重要です。これは、ビジネスにおける要素を全体的に見渡すことであり、「ツリー構造」や「ピラミッド構造」とも呼ばれています。

全体を見ながら徐々に細分化していくことで、問題となる部分を明確にし、分析していくことになるのです。

MECEの3つのステップでビジネスにおける要素を具体的に書き出しながら細分化していくと、問題が整理できます

6.MECEの考え方の基本(グルーピング)

MECEで物事を考えて整理する方法は、次の2つです。

  1. トップダウンアプローチ:全体から詳細にブレークダウンするアプローチ法
  2. ボトムアップアプローチ:詳細を集めてから全体像を描くアプローチ法

それぞれのアプローチ法の特徴を理解し、補完し合いながら使うのが望ましいでしょう。MECEは、トップダウンアプローチが基本ですが、未知の分野ではボトムアップアプローチを試してからトップダウンアプローチで修正を加えながら進めます。

①トップダウンアプローチ

トップダウンアプローチでは全体から要素を分析して目的や課題に沿った切り口で分類していきます。全体像が明確な場合や分類の仕方が事前に想定しやすい場合などに有効な手法です。

トップダウンアプローチで進める場合は、検討する事柄の全体像がすでにロジックツリーとして描かれているため、検討から始めることが可能です。

トップダウンアプローチのメリット・デメリット

トップダウンアプローチのメリットは、

  • 体系的・俯瞰的に物事を考えることができる
  • ゴールを意識した分類がしやすい

デメリットは、

  • 全体像が分かっていなければ分類の段階で漏れが生じている可能性もある
  • ゼロベースのスタート地点では使えない

②ボトムアップアプローチ

ボトムアップアプローチでは要素をブレインストーミングのように洗い出してグループ化し、全体像を描くように進めていきます。全体像が不明瞭な場合やどのような分類をすればよいか事前に見当がつかないような場合に有効なアプローチ法です。

ただし、ボトムに存在する事柄に基づいてツリーが構成されるため、漏れが生じる可能性があります。

ボトムアップアプローチのメリット・デメリット

ボトムアップアプローチのメリットは、未知の領域においても思考をスタートできる点。ただし、要素の洗い出しが甘いと分類に漏れが生じやすくなり、分類の仕方が間違っているとダブりも生じてしまう可能性もあります。

MECEにはトップダウンとボトムアップという2つのアプローチ法があります。メリット・デメリットを理解した上で状況によって使い分けることが必要です

7.MECEの考え方の基本(分解)

MECEに分解する際、ポイントとなる4つの切り口があります。MECEを活用する際、それぞれの内容についてしっかり理解しておきましょう。

  1. 要素分解
  2. 時系列・ステップ分け
  3. 対照概念
  4. 因数分解

①要素分解

全体像を捉え、それらを構成している要素をピックアップする方法のこと。全体としてどのように整理できるのかを考えて、それを一定の方針のもとで部分集合に切り分けていきます。

この方法によって、それぞれの要素に注目して分析したり、解決策を検討したりできるようになるのです。足し算型、積み上げ型ともいわれています。

②時系列・ステップ分け

時系列・ステップ分けは対象を時系列や段階で分類する方法のこと。

たとえば、

  • 部品を仕入れて加工してから製品として出荷するまでの流れをステップごとに分類
  • 顧客の購買行動を段階別に分類

代表例に、バリューチェーンやプロダクトライフサイクル、AIDMAなどがあります。

③対照概念

対照概念とは主観と客観、固定と変動、メリットとデメリット、法人と個人、量と質、悲観と楽観といった、対照的な概念をできるだけ挙げていく方法のこと。

それぞれの因果関係による対立や排他的な関係はどんなものかといったような点から考えていきます。人に説明する際、この概念を意識すると伝わりやすくなるでしょう。

④因数分解

因数分解とは分析したい対象を計算式で表現し、それぞれの要素に分解していく方法のこと。足し算、掛け算、引き算、割り算のいずれでもMECEのフレームワークをつくることができます。

たとえば、

  • 顧客単価×顧客数×リピート頻度
  • 市場規模×市場シェア

といった計算があります。相互関係を加味しながらさまざまな切り口で分解できるのが特徴です。

MECEの考え方の基本である4つのポイントそれぞれの特徴が分かれば、さらに活用しやすくなります

8.MECEの訓練方法

MECEを使いこなせるようになるためには、ロジカルシンキングの実践から始めるとよいでしょう。

実際に作ったアウトプットを上司や自分より優秀な同僚に見てもらうといった方法で、フレームワークを使いこなせているか確認していくとかなり力が付きます。できれば何度も反復練習してみましょう。

また、小さいフレームワークでもよいので日常生活の思考がMECEになるように考えてみるのもよいです。こちらも同僚や後輩などに見てもらいフィードバックを参考にするなどして、MECEが自分のものになるまで訓練を続けましょう。

最初は難しくても、実践でさまざまな事象をロジックに置き換えるトレーニングを積むと、徐々に身に付いていきます

9.MECEを活用するフレームワーク例

では、実際に役立つフレームワークの例をいくつかご紹介しましょう。

  1. 3C分析
  2. 4P分析
  3. SWOT分析
  4. 7S分析
  5. PDCA
  6. バリューチェーン
  7. 製品ライフサイクル
  8. AIDMA(アイドマ)
  9. ロジックツリー

①3C分析

3C分析とは外部要因である市場と競合の視点から自社を分析するためのフレームワークのこと。

3Cとは、

  • Customer(市場)
  • Competitor(競合)
  • Company(自社)

を表しています。競合他社と比較する際、自社の長所・短所を挙げることが可能です。これにChannelを加えて、4Cとするときもあります。

②4P分析

4P分析とは4つの要素に分解することで、何をどう売るかというマーケティング戦略を考えるフレームワークのこと。

4PのPは、

  • Place(流通):流通経路・配送など
  • Price(価格):定価・値引き・支払い条件など
  • Product(製品):品質・オプション・返品可能性など
  • Promotion(販売促進):広告・人的販売など

です。マーケティングミックスとも呼ばれます。

③SWOT分析

SWOT分析とは4つの視点から事業の成功を導き出すフレームワークのこと。

SWOT(スウォット)は、

  • Strengths(強み)
  • Weaknesses(弱み)
  • Opportunities(機会)
  • Threats(脅威)

の頭文字を取ったものです。各要素を内部環境と外部環境、マイナス要因とプラス要因に分けて考察しながら分析していきます。

④7S分析

7S分析とは組織の戦略を分析するもので、企業戦略における7つの要素の相互関係を示すものです。

世界有数の経営コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した分析手法であり、ソフトの4Sとハードの3Sに分けられます。

ソフトの4Sとは、

  1. 能力(Skills)
  2. 人材(Staff)
  3. 価値観(Shared Value)
  4. 経営スタイル(Style)

ハードの3Sとは、

  1. 仕組み(Systems)
  2. 組織構造(Structure)
  3. 戦略(Strategy)

このフレームワークは、要素分解型(足し算型、積み上げ型)です。

⑤PDCA

PDCAとは計画、実行、評価、改善のことで、プロセスを一度で終わらせるのではなく何度もサイクルを回すことによって活動のレベルを高めることから、PDCAサイクルと呼ばれています。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(評価)
  • Act(改善)

の頭文字で、時系列、ステップ分けを行います。

⑥バリューチェーン

バリューチェーンとは事業活動を一連の価値(バリュー)の連鎖(チェーン)として捉える考え方のことで、こちらも、時系列、ステップ分けを行うフレームワークです。

  • 製品の原材料を調達するところから顧客に消費するまでの主活動
  • 技術開発や人事労務などの主活動を支える支援活動

に分類して、自社の価値創造の活動の中で改善すべき点や強化すべき点を検討します。

⑦製品ライフサイクル

製品ライフサイクルとは製品が市場に登場してから退場するまでの間を示すモデルのことで、これも時系列、ステップ分けを行うフレームワークです。

  1. 市場拡大を狙い認知度を高めていく導入期
  2. 自社製品のブランド力を高めていく成長期
  3. シェア拡大を狙う成熟期
  4. 支出を抑える衰退期

といった4つのステップに分けられます。

⑧AIDMA(アイドマ)

人が購買に至るまでの態度変容を段階化したもので、各段階に応じてマーケティング戦略を立てていくことで、効率的なマーケティング活動が可能になります。

AIDMAは、

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Memory(記憶)
  • Action(行動)

を表しています。

⑨ロジックツリー

ロジックツリーはMECE的な切り口で分解した要素をツリーのように並べたもののこと。分析した内容を可視化することで理解がしやすくなるフレームワークで、縦軸はロジックで結び付くように、横軸は同レベルの要素がMECEに並ぶように配置します。

たとえば「ダイエット」のロジックツリーでは、体重が落ちない→その原因→それぞれの要因→さらに細分化して可視化するのです。

フレームワークには、さまざまな種類があります。自社の特徴や問題の内容によって使い分けましょう

10.MECEの注意点

利点が多いように思えるMECEですが、注意点もあります。MECEとして考えることが適していない場合もあり、こだわって活用したことで求めていた結果を得られなくなってしまうこともあるのです。そんな注意点をいくつかご紹介しましょう。

分類できない事象のグルーピングに注意する

MECEにより、あらゆることがきれいに分類することができるのかというと、そうではありません。

たとえば本を分類する際、2つから3つのカテゴリーに同時に含まれる書籍も出てくるでしょう。漫画とビジネス書は明らかに違うものなので見分けることは容易ですが、ビジネス書で扱う内容を漫画で描いているものはどちらに分類するか迷ってしまいます。

このように明確にグループ化できない場合、あまり効果的ではないのです。

目的を忘れないようにする

MECEにこだわるあまり、MECEとして考えることが目的になってしまう人もいますが、これでは本末転倒です。

なぜMECEで考えるのか、何のために分類するのかという目的をはっきりさせてから考え始めましょう。目的が明確になれば、行う意味も見出せますし、目的を達成するために重要な要素も自ずと見えてきます。

要素の優先順位を意識する

MECEに分類した際、それぞれの要素の重要性にムラがあり、考慮しても意味のない要素が出てきてしまうことも。

また、MECEに分類しても、主観や思い込みに左右されやすいところがあるので、思わぬところから漏れやダブりが生じてしまうこともあるのです。重要視すべき要素をしっかり決めて、考え方の切り口は1つに絞りましょう。

MECEはやることの目的をはっきりさせることが重要です。陥りがちな注意点を頭に入れて、より効果的に活用しましょう