生産性とは? 意味・定義、数式、生産力(生産能力)、付加価値、高め方について

生産性を向上させるためには、単にオートメーション化するのではなく、社員の労働環境を整備することが必要不可欠です。そのためにも、仕事の生産性に関する事柄を学びましょう。

ここでは、

  • 生産性を算出して数字面から分析
  • 設備や業務上のシステムの改善
  • 社員の指導教育
  • 福利厚生面の充実

上記のような人事が踏まえておくべき生産性の向上に関する知識や方法などをお伝えします。

1. 生産性とは?

仕事における生産性とは、労働時間に対して成果がどれだけ得られたのかということ。労働者一人における1時間あたりの生産性は「労働者生産性」と呼ばれます。

仕事を効率化し必要な仕事とやらなくていい仕事の取捨選択を行うことで、生産性をあげることができます。成果につながらない仕事を業務だからと惰性で続けるのではなく、本当に必要な仕事に集中して取り組むことができるよう見直しをすることが大切なのです。

生産性が高まれば、同じ労働時間でもより多くの利益を上げることができるようになり、残業にかかる人件費を削減することもできます。

生産性が求められる背景

世界経済フォーラムが発表した2016-2017年版の国際競争力ランキングでは、日本の順位は8位という結果になりました。2015ー2016年と比べると3ランクダウンしています。

参考 世界経済フォーラム(WEF)国際競争レポートにおけるイノベーションランキングの現状の分析について内閣府

国際競争力とは国際的な商品取引に関する各国の競争力のことで、強ければ輸出が増加していきます。国際競争力を決定する要素となるのが、価格競争力と非価格競争力です。

価格競争力の強さには、低価格で商品を供給し続けられる能力の高さが関係し、非価格競争力の強さは、商品のデザイン・品質・市場における信用度・他国では生産が難しいなどの特殊性に基づく競争力が関与します。

このうち、生産性が大きく関連するものが価格競争力です。優れた設備の投入や優秀な人材の確保などを行い生産性が高まると、より安価な商品を安定して供給できるようになります。

商品が国際市場において相対的に安価であれば、価格競争力を高めることにつながるのです。国際競争力を強化し、今後経済的に発展を考えるうえで生産性の向上は避けて通れない課題でしょう。

日本における生産性の現状

日本における生産性を考えるうえで労働人口の減少は、見過ごせない問題です。15歳から64歳までの労働力人口の比率は減少を続けており、さらに出生率の低下から14歳以下の人口も減り続けています。

この傾向が続けば、日本の財政状況そのものへの打撃は避けられません。所得の減少が税収の減少につながり、社会保障制度の維持が困難となり、その先に待つのはGDPの凋落です。

こうした負の連鎖を食い止めるべく、各企業には労働人口が減少を続けている現状を冷静に把握したうえで、少数精鋭の就業者で生産量自体をアップさせる企業努力が必要とされています。

目先のコストカットばかりに意識を向けるのではなく、生産性向上が見込まれる設備への適正な先行投資、派遣社員や人材育成制度への着目など、十分な調査からの分析作業に基づく、中長期的な事業計画の実践が不可欠です。

生産性の算出方法

生産性は「アウトプット(産出量)をインプット(投入量)で割った」計算式で算出されます。

アウトプットとは企業が生み出した商品、サービス、価値などの産出量を、インプットとは人・物・資本などの投入量を指しており、この数値が大きければ生産性が高く、国際的にも経済社会において生き残ることが可能と捉えられているのです。

経営者にとっては会社の存続から成長発展の可能性の指標として、この値は無視できない数字といえるでしょう。生産性が高ければ、コストカット効果、労働時間の短縮による賃金の抑制や社員の余暇の充実など、広義でアウトプットに属するメリットにもつながります。

労働生産性の種類

労働生産性は「付加価値を社員の平均人数で割って」算出します。付加価値は粗利益すなわち限界利益を、社員の平均人数は当該年度の期初と期末の社員数の年間の平均値を用います。数値が大きければそれだけ労働生産性が高いと判断できるでしょう。

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物的労働生産性

物的労働生産性とは「生産量を労働量で割って」算出できる値です。この算出方法が示す意味合いを分析すると、分子を決定づける算出量全体のアップだけにとらわれず、労働量、すなわち労働者数や労働時間の引き下げなど分母の縮小にも意識を向けることが大切だとわかるのではないでしょうか。

物的労働生産性の分析にあたり、業種ごとに事業構造が異なるため物的労働生産性の値も異なるということも知っておきましょう。たとえば、製造業とサービス業など、異業種間の数値の比較は、正確な参考データにならないことがあります。物的労働生産性を検証するためには、同業種内の平均値と比較することが大切です。

付加価値労働生産性

付加価値労働生産性とは労働者一人あたりの付加価値額を示す数値で、「付加価値額を労働量で割って」算出します。ちなみに付加価値額は「営業利益と人件費と減価償却費を全て足したもの」で求めます。

この数値が高ければそれだけ従事する一人の労働者が効率的に働いており、付加価値が高いと判断できます。企業が自社の生産性を分析する際の「指標のひとつ」として用いられているのです。

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2.仕事の生産性と労働生活の質

仕事の生産性を考えるときに注意したいのが、「労働生活の質」や環境との調和などにも気を配ることです。効率性をあげるだけに拘らないことが必要でしょう。

仕事を単に効率化するだけなら、システムの導入やロボットの起用など、オートメーション化すればよいかもしれません。しかし、システムには運用や保守管理が必要ですし、メンテナンスも結局は人の手で行います。つまり、労働生活の質を上げることは効率化にもつながるのです。

労働生活の質とは

労働生活の質は、Quality of Working Lifeと書き「QWL」と略されています。これは労働に対する賃金ではなく仕事のやりがいや働きやすい組織など、社員の労働生活の質です。

労働生活の質をあげるには仕事をしやすい環境や円滑な人間関係の整備だけでなく、リーダーによる公正かつ適切な評価が行われることも大切でしょう。

3.生産性を落としてしまう原因

生産性を落としてしまう原因としては大きく2点あります。

  1. 長時間労働
  2. マルチタスク

これらはいずれも経営者や指導者目線だけでなく現場の労働者の立ち位置から職場環境や雰囲気を確認したうえで、改善すべき点を的確にとらえて是正することが大切です。

①長時間労働

生産性が低下してしまう原因として考えられるのは、労働時間が長い職場環境、すなわち長時間労働でしょう。労働者の作業効率が低下し、残業代が発生するだけでなく、職場施設の電気代などの経費も膨らませてしまうこととなります。

さらに社員に疲労やストレスが蓄積すれば、作業場のケアレスミスのみならず、ケガや事故、発病などの重大なリスクにつながることもあるでしょう。

長時間労働には、取引先との関係や人員不足などやむを得ずという状況もありえます。そのため、かんたんに改善できる事柄ばかりではありません。

長時間労働の対処法

効果的な対処法は現場で従事する社員へ直接ヒアリングを行い、社員本人に思いつく時短へとつながるアイディアを考案・実践してもらうことです。

また労働時間の長時間化は、無意識のうちに慣習化してしまうという一面もあります。社員本人に業務スタイルを見直してもらうと同時に「職場に残り続けることも会社への貢献」といった誤認識をする社員を生じさせないなどの正しい意識改革も重要でしょう。

②マルチタスク

複数の仕事を同時進行するマルチタスクも、生産性を落としてしまうリスクが否めません。ちなみにマルチタスクとは元来コンピュータ用語で、1台のコンピュータで複数の作業を同時進行させる使用方法を指しています。

マルチタスクをするとき脳はどうなっているのか?

私たちもまた日常生活のさまざまな場面で、無意識のうちにマルチタスクを実践しています。実は私たちの脳は構造上、1度に2つ以上の物事を正確に処理できない仕組みになっているのです。

表面上同時処理しているように見えても脳内では目まぐるしくスイッチを切り替えて続けなければならず、集中力低下につながってしまうのです。つまり複数の仕事の同時進行は、生産性の向上につながるように見えて、実はケアレスミスや、作業内容次第ではケガや事故の増加になることがあるのです。

マルチタスクのリスクと対処

作業者の心身にかかる負荷を高めてしまうというリスクも無視できません。マルチタスクを過剰に重ねることでストレスが蓄積するのです。

しかしマルチタスクは、達成感という快感を伴うため、熱心な社員ほど自ら積極的に臨んでしまう傾向があります。社員の健康面への配慮と生産性低下の防止を視野に入れ、マルチタスクに走りがちな労働環境に注意を払い、適材適所でサポートを導入することが重要でしょう。

4.社員の生産性を向上させる有効な施策4つ

社員の生産性を向上させるために有効な施策は、下記の4つです。

  1. モチベーションをアップ
  2. 作業指示を明確に
  3. 信頼関係の構築
  4. 技術の習得

①モチベーションをアップ

生産性を向上させるためには社員のモチベーションをアップするのが一番です。例えば、正当な評価を行い報奨し、優れた成績を収めた社員を表彰することも、モチベーションをあげることに役立ちます。

②作業指示を明確にする

作業指示を明確にし、情報の過不足がないように確認しコミュニケーションをとります。このとき負担がないよう配慮・妥当な期日を設けて目標を持って取り組めるように・・・とスケジューリングにも注意しましょう。

③信頼関係を構築する

信頼関係の構築も欠かせません。人事担当者は上司だけでなく部下からもヒアリングを行い、コミュニケーションがしっかりと取れているかを確認し、適切な指導を行いましょう。信頼関係の構築は、積極的に発言しやすい・お互い改善提案が出せるといったより良い労働環境づくりにも役立ちます。

④技術を習得させる

パソコンをより効率良く使いこなすための技術を習得させるというのもポイントでしょう。

たとえばショートカットキーの有効活用です。多くの社員は自己流でマスターした関連知識と操作法に基づき、日々業務を遂行していると推察されます。これだけでは仮にタッチタイピングが速く正確であったにせよ、無意識のうちにその他の作業におけるロスタイムが蓄積され、生産性の向上を妨げるでしょう。

ショートカットキーの活用法をマスターするだけでも、従来より大幅な時間短縮が可能となりますし、肉体に蓄積する疲労軽減のメリットも実感できます。パソコンをより効率良く使うことができる人材の育成と社内体制の整備を行えば、生産性向上と社員の健康管理の双方を目指すことができるのです。

下記のような方法などで社員が自ら積極的に習得に臨める環境を整えるのもよいでしょう。

  • 講師を招いて研修を実施
  • より効果的な資料作成方法を指南
  • 具体的な提案を現場に反映させる

企業の現状を踏まえた職場環境の改善と人材育成が鍵

企業の生産性向上に際しては、自社の現時点での生産性をさまざまな視点から確認する作業が不可欠です。どれだけ技術面の進化が速度を増そうとも、企業を支えるのは現場で従事する人であることには変わりありません。

優秀な人材の確保や育成、必要に応じた支援などを行うと同時に、やりがいを感じられ、負担の少ない職場環境を構築していくことが大切です。

中長期的な事業計画の構築と数字面での分析を基盤としながら、設備や業務上のシステムの改善と同時進行で、社員の指導教育、福利厚生面の充実などの具体的な対策を練っていきましょう。

企業と人材の双方に無理が生じない、着実な生産性向上を実現させる手腕が、企業の人事に求められています。