生産性とは? 意味や計算式、低い理由、向上の取り組みを簡単に

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生産性とは、投入した資源(インプット)に対して得られた成果(アウトプット)の割合を示す指標で、「アウトプット ÷ インプット」の計算式で算出します。生産性が低い主な原因は長時間労働・マルチタスク・属人化・アナログ処理などであり、向上させるには業務の見える化、ITツール活用、労働環境の改善が有効です。

本記事では、生産性の定義と計算式、物的生産性・付加価値生産性・労働生産性の違い、低下原因の分析チェックリスト、組織と個人の生産性を高める具体的な方法、業種別の成功事例、活用できる補助金制度まで体系的に解説します。

目次

1.生産性とは?

生産性とは、投入した資源(時間・労働力・資本などのインプット)に対して得られた成果(アウトプット)の割合を示す指標のことです。

生産性は「アウトプット(産出量)÷インプット(投入量)」の式で算出されます。

生産性を上げる方法は、以下の2つです。

  • アウトプットの最大化(同じコストで付加価値を上げる)
  • インプットの効率化(少ないコストで同じ付加価値を出す)

業務効率化と生産性向上の違い

生産性とは「投資に対してどれだけの成果が出せたのか」という指標です。すなわち、少ない投資でより多く成果を挙げれば生産性は高くなります。

一方の業務効率化とは、時間や費用に関わるコストを下げ、投資の量を下げること。つまり業務効率化とは、生産性を高めるための方法のひとつなのです。重要な業務のみを行うことで、時間当たりの価値を向上させて、生産性を高められます。

生産性を向上させるために業務効率化を行う際は、どれくらい改善されたかを数値目標やKPIを指標にして管理しましょう。生産性を向上させるには、業務を効率化するだけではなく「どの業務に焦点を当てるか」という選定も不可欠です。

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2.生産性の計算式

生産性の計算式とは、「アウトプット(産出量)÷インプット(投入量)」で表される基本公式のことです。

アウトプット(産出量)とインプット(投入量)の具体例

アウトプット(産出量)、インプット(投入量)とは具体的に企業活動のどの部分に当たるのでしょうか。以下を例にして説明します。

メーカーでは、さまざまな部品や資材を購入し、エネルギーを使用して加工機械を動かし、人(労働力)を使ってその会社の製品を産み出しています。言い換えれば原材料やエネルギー、労働力や資本(資金)を購入し、会社独自の生産技術や加工によって、製品として販売(または生産)しているわけです。

この購入のことを「投入」または「インプット」と呼び、販売のことを「産出」または「アウトプット」と呼びます。

鉄道会社であれば、電車の車輌や設備、そして駅員や運転士などの従業員を「投入」して、人やモノを運ぶというサービスを「産出」します。

このように企業の事業内容によって具体的な内容は異なりますが、企業が製品やサービスをつくるにあたって購入したものがインプット、それを販売、提供することをアウトプットというのです。

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3.物的生産性と付加価値生産性

物的生産性と付加価値生産性とは、アウトプットを「数量(個数・重量など)」で測るか「金額的価値(付加価値額)」で測るかによって分類される、生産性の2つの種類のことです。

▼【物的生産性と付加価値生産性の比較】

項目 物的生産性 付加価値生産性
着目点 生産物の「数量」 生産で生まれた「金額的価値」
計算式(1人当たり) 生産量 ÷ 労働者数 付加価値額 ÷ 労働者数
単位 個数・重さ・長さなど 円(金額)
主な利用業種 製造業 製造業・サービス業全般
具体例 コード行数 ÷ 開発工数 売上総利益 ÷ 人件費

生産性は、「物的生産性」と「付加価値生産性」の2種類があります。

前述の通り、生産性はアウトプット(産出)÷インプット(投入量)の公式で示されますが、分子と分母の測定値を、数量と価値どちらで捉えるかによって、物的生産性、付加価値生産性とに呼び分けられるのです。

特に産出要素に付加価値、投入要素に従業員数を用いたものを付加価値生産性と呼び、広く用いられています (従業員1人当たり付加価値額) 。それでは、それぞれについて解説していきましょう。

物的生産性の計算方法(具体例)

たとえば、労働者1人当たりの物的生産性を求めたい場合は「生産量÷労働者数」の計算式で求めることができます。1時間当たりの物的生産性を求めたいときの計算式は「生産量÷(労働者数×労働時間)」となります。

付加価値生産性とは?

付加価値生産性とは、企業が作った生産物が売れた際、企業に入ってくる金額ベースの付加価値を単位とする生産性のこと。その場合は、アウトプット(産出)の対象が「付加価値額」となります。

付加価値生産性の計算方法(具体例)

労働者1人当たりの付加価値生産性を求めたければ「付加価値額÷労働者数」、1時間当たりの付加価値生産性を求めたければ「付加価値額÷(労働者数×労働時間)」となります。

付加価値額とは企業が生み出した金額的な価値という意味です。これについては次の項目で詳しく説明します。

カオナビなら、「残業時間」と「業務成果」をかけ合わせるなどして、組織独自の「生産性」を分析できます。
個人単位・チーム単位で課題を見つけられるため、改善の一手が打てます。
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4.さまざまな種類の生産性(例)

生産性の種類とは、投入する生産要素の視点によって分類されるもので、代表的なものに労働生産性・資本生産性・全要素生産性(TFP)があります。

こうした生産性の種類の中でよく用いられるのが労働の視点から見た「労働生産性」と、資本の視点から見た「資本生産性」です。この2つについて解説します。

労働生産性とは?

労働生産性とは、労働者1人当たりまたは1時間当たりに生産できる成果を数値化したもので、2種類あります。

  1. 付加価値労働生産性:生み出した成果に対しての付加価値を表す
  2. 物的労働生産性:成果に対しての生産量や金額などを表す

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①付加価値労働生産性

付加価値生産性は、労働による成果=付加価値額は、営業利益+人件費+減価償却の計算式で算出できます。つまり、粗利益(限界利益)のことです。

付加価値労働生産性とは労働者1人当たりの付加価値額を示す数値のことで、付加価値額を、社員の平均人数で割って算出できます。また付加価値額は、営業利益+人件費+減価償却で算出できます。

付加価値労働生産性の数値が高い場合、従事する1人の労働者が効率的に働いており、付加価値が高い状態となるのです。

このように付加価値労働生産性によって、商品やサービスに付加された機能的・感情的・自己表現的価値が明らかになります。企業が自社の生産性を分析する際の指標として活用できるでしょう。

②物的労働生産性

物的労働生産性とは、労働者1人につき、どのくらい効率的にモノやサービスを生産しているかを示す数値のことで、物的労働生産性=生産量÷労働量にて算出できます。

この算出方法が示す意味合いを分析すると、分子を決定づける産出量(生産量)の向上だけにとらわれず、労働量(労働者数や労働時間)の引き下げなど分母の縮小にも意識を向けることが重要だと読み取れます。

物的労働生産性を分析すれば、設備投資の判断や品質管理の向上にもつなげられるのです。ただし分析を行う際は、業種ごとに事業構造が異なるため物的労働生産性の値も異なるという点に注意しましょう。

たとえば、製造業とサービス業など、異業種間の数値の比較は、正確な参考データにならないことも。物的労働生産性を検証するには、同業種内の平均値と比較しましょう。

資本生産性とは?

資本生産性とは、保有している資本(機械や貨物自動車等の設備、土地等)1単位に対して、どれだけ効率的に価値を生み出したか、その付加価値額を示す指標のこと

一般的に、この値が高いと生産設備を効率的に使用できていると考えられます。設備の利用頻度や稼働率向上、効率改善に向けた努力によって向上する値といえるのです。

資本が遊ばないようにできるだけ多く労働者を充てると、資本の回転率が上昇し資本生産性が高まりますが、労働生産性は低下します。関係式としては、資本生産性=生産量÷有形固定資産が当てはめられます。

全要素生産性(TFP)とは?

上記の2項の影響を除いた、生産の増加を表したのが「全要素生産性(TFP)」です。資本や労働といった量的な生産要素の増加以外の質的な成長要因のことを指すもので、通常は緩やかな上昇を見せ、交通革命やIT革命など技術革新の際には高い上昇を見せます。

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5.企業活動における生産性の重要性とは?

企業活動において生産性が重要視されるのはなぜなのでしょう。

企業活動における生産性の重要性とは、限られた資源で最大の成果を生み出すことが企業の存続と発展に直結するという点にあります。

各企業は必要資源を投入し、製品やサービスを産出する活動を営んでいます。その投入物を有効に活用し、より高い成果を産み出さなければ、企業は存続できません。投入と産出の割合である生産性は、企業が存続し、発展するために、重要な要素なのです。

生産性の高い組織が持つ特徴

生産性の高い組織やチームには、3つの共通する特徴があるとマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究によって明らかになりました。

  1. 高い社会的感受性を持つ
  2. 公平な時間配分
  3. 女性の存在

この3つを持ち合わせた組織は、チームメイトがお互いを認め合い、さまざまな価値観を共有しながら目標達成を目指すことができるといいます。

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6.生産性の高い企業と低い企業の違い

生産性の高い企業と低い企業の違いとは、大企業と中小企業、製造業と非製造業、国内企業と外資系企業といった区分で生産性格差が拡大傾向にある現象のことです。

内閣府が発表した資料によると、高生産性企業の生産性は伸び悩み、低生産性企業の生産性は低下傾向にあるとのことです。つまり、高生産性企業と低生産性企業との間の格差は拡大傾向にあります。

大企業と中小企業の生産性の違い

上記の資料を企業規模別に見ると、高生産性企業の中では大企業の割合が高く、低生産性企業の中では中小企業の割合が高いことが明らかになっています。

このことから考えられるのは、先端的な技術を持つ企業から技術的に遅れている企業へのイノベーションの普及・伝播が滞っている可能性です。

生産性の高い業種と低い業種

さらに上記の資料を業種別に分けて読み解くと、高生産性企業の中では大企業の非製造業の生産性が最も高く、低生産性企業の中では、中小企業の製造業の生産性が最も低くなっていることが明らかになりました。

国内企業よりも外資系企業のほうが生産性が高い理由

続いて海外に目を向けて、外資系企業と国内企業の生産性、賃金水準の差を比較してみましょう。外資系企業では、総じて国内企業よりも生産性が高いことが内閣府の資料から分かっています。

外資系企業の持ち株会社は、グローバルにビジネス展開する企業を傘下に持っています。

そうした企業が持っている最先端の技術や優れた経営・販売ノウハウが対日直接投資を通じて日本国内の外資系企業に広がっている可能性があることから、外資系企業は国内企業よりも平均値、または中央値で見て高い生産性を実現できていると考えられるのです。

また資料によると、外資系企業は国内企業に比べて賃金水準が平均的に見て高いことも明らかになっています。

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7.従業員の生産性が低下する主な原因

従業員の生産性が低下する主な原因とは、長時間労働・マルチタスク・コミュニケーション不足・属人化・アナログ処理の多さの5つです。

  1. 長時間労働 — 疲労・ストレスの蓄積により作業遅延・ミスが増加し、残業代や運営コストもかさむ
  2. マルチタスク — 注意の頻繁な切り替えが心身への負荷となり、長期的に生産性を低下させる
  3. コミュニケーション不足 — 業務の重複・手戻り・伝達ミス・情報共有の遅れが発生する
  4. 属人化 — 特定の担当者に依存し、不在時に業務が停滞、ノウハウが蓄積されない
  5. アナログ処理の多さ — 紙の申請・押印・手作業入力がヒューマンエラーと処理遅延を招く

生産性低下にまつわるこれらの課題は、経営者や指導者目線だけでは解決しません。現場の労働者の立ち位置から、職場環境や雰囲気を確認し、改善すべき点を的確に捉えて是正していく必要があります

①長時間労働

長時間にわたる労働が続くことで、社員の疲労やストレスが蓄積されれば、作業の遅延やミスが発生する可能性が高まるだけでなく、ケガや事故、さらには病気の発症といった深刻な事態を招く恐れもあります。

また、作業効率の低下や残業代の増加に加え、職場の電気代などの運営コストもかさんでしまうことになります。

②マルチタスク

マルチタスクという言葉は、もともとコンピューター分野の用語で、1台のコンピューターが複数の処理を同時に進行させる操作方法を意味します。

しかし、人間の脳はその構造上、複数の作業を同時にこなすのが得意ではありません。頻繁に注意を切り替えて作業することは、心身への継続的な負荷となり、長期的に見ると生産性を下げる原因にもなります

こうしたマルチタスクの弊害を軽減するための体制や仕組みを整えることは、企業にとって重要な課題の一つと言えるでしょう。

③コミュニケーション不足

チームや部署間でのコミュニケーションが不十分な場合、業務の重複や手戻り、指示の伝達ミス、情報共有の遅れや漏れといった問題が発生しやすくなります。これらのトラブルは、業務全体の効率を低下させるだけでなく、プロジェクトの品質や納期にも悪影響を及ぼします。

円滑な情報共有と明確な役割分担は、チームの生産性を高めるために欠かせない要素です。

④属人化

業務が特定の従業員に依存して属人化すると、その担当者が不在時に業務が進まなくなるだけでなく、ノウハウが社内に蓄積されず共有も進みません。結果として、他のメンバーのスキル向上が妨げられ、組織全体の成長や生産性向上の機会を失うことになります

業務の標準化やマニュアル化を進め、誰でも対応可能な体制を整えることが重要です。

⑤アナログ処理の多さ

現在でも多くの企業で、紙の書類による申請や押印、手作業でのデータ入力といったアナログ業務が残っています。これらは作業効率を大きく下げるだけでなく、ヒューマンエラーや処理の遅延といったリスクも伴います

業務のデジタル化や自動化を進めることで、無駄な工数を削減し、全体の生産性向上を図ることが求められるのです。

そのために役立つのが「カオナビ」です。
パルスサーベイやアンケートで従業員のコンディションを定点観測できるので、生産性が下がってしまう前に対策がとれます。
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8.生産性向上に取り組む手順

生産性向上は、思いつきで施策を打っても効果が出にくいものです。現状の把握から課題の特定、施策の実行、効果測定まで、正しい順番で進めることが成果への近道となります。以下の6つのステップに沿って取り組んでいきましょう。

STEP.1
現状の生産性を測定する
自社の生産性を定量的に把握します。「付加価値額 ÷ 従業員数」(付加価値労働生産性)や「売上高 ÷ 総労働時間」などの指標を用い、部門・チーム・個人単位で数値化します。
STEP.2
業務フローを可視化し、課題を特定する
現在の業務プロセスをすべて洗い出し、ムリ・ムダ・ムラがないかを点検します。属人化している業務やアナログ処理が残っている箇所、ボトルネックとなっている工程を明確にします。
STEP.3
改善施策の優先順位を決める
特定した課題に対し、「効果の大きさ」と「実行のしやすさ」の2軸で優先順位をつけます。すぐに着手でき効果が大きい施策(クイックウィン)から取り組むと、チーム全体のモチベーション維持にもつながります。
STEP.4
ITツール導入・業務改善を実行する
RPA、プロジェクト管理ツール、チャットツールなどを活用し、定型業務の自動化や情報共有の効率化を進めます。あわせて、マニュアル整備や業務標準化にも取り組みます。
STEP.5
労働環境・人材育成を整備する
フレックスタイム制やリモートワークの導入で働きやすさを高めるとともに、社員のスキルアップ研修やモチベーション施策を実施します。
STEP.6
効果を測定し、PDCAを回す
Step 1で設定した指標を定期的にモニタリングし、施策の効果を検証します。改善が見られない場合は原因を分析し、施策を修正して再実行するPDCAサイクルを継続します。

9.組織の生産性を向上させる方法

組織の生産性を向上させる方法とは、測定単位の見える化・業務フローの可視化・ITツールの活用・労働環境の改善といった施策を組み合わせて実行することです。

  1. 測定の単位を見える化する — 生産性を正しく測るために、業務を定量化し計算可能な単位に分解する
  2. 業務フローを「見える化」する — 現在の業務フローを洗い出し、ムリ・ムダ・ムラやボトルネックを特定する
  3. ITツールを活用する — RPA・チャットツール・プロジェクト管理ツールで定型業務の自動化と情報共有を効率化する
  4. 労働環境を改善する — フレックスタイム制やリモートワークを導入し、ワークライフバランスを整える

「労働の生産性を向上させる」というフレーズは日常よく耳にしますが、具体的には何を指すのか曖昧になってしまっている人も多いでしょう。

  • 同じ労働量でどれだけ多くの生産物を作り出したか
  • より少ない労働量でこれまでよりどれくらい多くの生産物を作り出したか

どちらかを指し、これは物的生産性と付加価値生産性のどちらに対してもいえます。生産性の向上とは、これら定量化された各要素を計算して求められた生産性を限りなく最大化させていくことなのです。

測定の単位を見える化する

生産性を計算する基本の方程式は、「アウトプット(産出量)÷インプット(投入量)」だとお伝えしました。しかし、この計算を行うためには測定するための単位を可視化し、明確にすることが不可欠です。

この見える化によって、普段の仕事で指摘する「生産性」の内容がどんなもので、どこまで適切なものなのかを改めて確認できます。生産性を向上させるためには、生産性の良し悪しを正しく測ることが重要なのです。

業務を定量化するには?

正しい測定を行うには、業務の定量化が欠かせません。

プロジェクトにかかった時間や人数などを明確に見える化すると、計算式を用いて生産性を測定でき、結果、正しい効果測定ができるようになるのです。

生産性の定量化について難しく感じるかもしれませんが、これには物的生産性や付加価値生産性を使いましょう。計算ができる単位まで業務を分解するのです。

業務フローを「見える化」する

業務効率を高める第一歩は、現在の業務フローをすべて洗い出し、「ムリ・ムダ・ムラ」が存在しないかを明確にすることです。あわせて、各業務の担当者を可視化することで、属人化や非効率なプロセスを把握できます。

こうした見える化により、業務改善の具体的な課題やボトルネックが浮き彫りとなり、的確な改善策を立てるための土台が築かれます

ITツールを活用する

RPAやチャットツール、プロジェクト管理ツールなどのITツールを活用することで、定型業務の自動化や情報共有の効率化が可能になります。これにより、人的ミスの削減や業務時間の短縮が期待できるでしょう。

導入にはコストがかかるものの、「業務改善助成金」や「ものづくり補助金」などの公的支援制度を活用すれば、初期費用の負担を軽減しながらデジタル化を推進できます。

参考:
業務改善助成金|厚生労働省
トップページ|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

労働環境を改善する

長時間労働の是正に加え、フレックスタイム制やリモートワーク制度の導入は、従業員のワークライフバランスを大きく改善します。働きやすい環境を整えることで、モチベーションや集中力の向上が期待でき、生産性の向上にも直結します。

柔軟な働き方を取り入れることは、優秀な人材の定着や採用競争力の強化にもつながる重要な施策です。

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10.社員の生産性を向上させるのに有効な4つの施策

社員の生産性を向上させるのに有効な施策とは、モチベーションアップ・作業指示の明確化・信頼関係の構築・技術の習得の4つです。

  1. モチベーションアップ — 正当な評価・報奨・表彰でやる気を引き出す
  2. 作業指示の明確化 — スケジュールと作業分担を可視化し、長時間労働を是正する
  3. 信頼関係の構築 — 上司・部下双方からヒアリングし、発言しやすい環境を整える
  4. 技術の習得 — PCスキル・コミュニケーションスキル・専門スキルの研修機会を企業主導で整備する

ここでは上記4つの施策をご紹介します。

①モチベーションアップ

社員のモチベーションアップは、労働生産性の向上に最も有効な方法です。正当な評価を行い、報奨し、成績優秀な社員は表彰するなどといった内容は、モチベーションアップに役立ちます

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②作業指示を明確にする

作業指示を明確にし、情報の過不足がないように確認しながらコミュニケーションを取りましょう。

このときスケジュールやそれぞれの作業分担を可視化すると、長時間労働の是正、一部の社員に負担がないような配慮、妥当な期日を共有して目標を持って取り組ませるといったことができます

③信頼関係を構築する

適切なコミュニケーションを取るだけでなく、信頼関係の構築も生産性向上に欠かせません。

人事担当者は上司だけでなく部下からもヒアリングを行い、コミュニケーションによって信頼関係が築けているかを確認しましょう。場合によっては適切な指導を行う必要もあります。

信頼関係の構築によってモチベーションアップにも効果が期待できます。また、積極的に発言しやすい、お互い改善提案が出せるといった、より良い労働環境づくりにも役立つでしょう。

④技術を習得させる

業務をより効率的に行うための技術を習得することも有効です。

ブラインドタッチやショートカットキーを活用するなどのパソコンスキル、要点を端的に相手に伝えるコミュニケーションスキル、高難度の仕事を任せるための専門スキル、セルフマネジメント力の向上なども技術の習得に該当します。

このように生産性向上のためのスキルは多岐にわたるため、個人ですべて取得するのは難しいでしょう。

そこで企業が主導して、講師を招いて社内研修を実施したり、より効果的な作成方法を指南する時間を設けたり、具体的な提案を現場に反映させたりと、積極的にスキルアップのための場を整えましょう

カオナビのスキル管理で「誰が何をできるか」を簡単に把握が可能。
「スキル保有者」の数も見える化できるので、人材育成施策の目標が立てやすくなります。
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11.生産性向上を成功させるポイント(業種別事例)

生産性向上を成功させるポイントとは、人材育成・サービス改善・システム導入・IT化・一元管理など、自社の課題に合った施策を選んで実行することです。

生産性を向上させるポイントを事例とともに見ていきましょう。

  1. 研修の実施などによる人材育成
  2. サービス方法の改善
  3. システム導入による業務負担の軽減
  4. IT化による業務効率化
  5. 一元管理による情報処理・共有コストの削減

①研修の実施などによる人材育成

販売業での事例です。顧客管理等にかかる作業時間の短縮と従業員のスキルアップ、モチベーションアップを実現。従業員のスキルアップを図るため教育研修を実施し、業務効率化を成功させました。

生産性がアップした企業の成功事例1

アルバイトの従業員が手計算で行ってきたレジ作業や集計業務を廃止。集計レポート機能および顧客管理機能付きレジスターの導入と、従業員のIT研修を実施したことで業務の効率化と従業員の育成につながりました。

②サービス方法の改善

ある飲食店では、店舗の客席レイアウトの都合上、従業員が顧客の背後から配膳しており、配膳に時間がかかるとともにさまざまな危険を伴うという課題を抱えていました。そこで店舗改装を機にレイアウトの見直しを行い、サービス改善を実施したのです。

生産性がアップした企業の成功事例2

店舗の客席レイアウトを見直して、配膳時間の短縮と、安全性や顧客満足度の向上を実現しました。

③システム導入による業務負担の軽減

機材・システムの導入により業務の負担を軽減し、人員や創出された時間を、他の業務に再配分して生産性を向上させたクリーニング店の例です。

従来は従業員が手動で商品ポイントの計算・付与や顧客管理をしていましたが、計算ミスなどによる顧客の待ち時間の発生や、顧客対応に一貫性を欠くという課題があったといいます。

生産性がアップした企業の成功事例3

POSレジシステムの導入により、速く正確に顧客へポイントを付与し、空いた時間を従業員のスキルアップに充て、顧客満足度を上昇させました。

④IT化による業務効率化

データの収集・管理をより速く正確に行うシステムを導入し、管理や営業などに活用した例です。北海道のある再生資源卸売業では、GPS機能付きエコドライブ計測器を導入しました。

生産性がアップした企業の成功事例4

エコドライブと走行記録の管理をシステム化して、集荷ルートを効率化し、配送時間を短縮しました。

⑤一元管理による情報処理・共有コストの削減

一元管理システムの導入によって、業務効率化とサービス改善の両方を図った例です。売上管理のみ行っていた旧システムを廃止し、仕入、商品、原価等の経営情報を一元管理するシステムを導入しました。

生産性がアップした企業の成功事例5

情報一元管理システムの導入により、管理業務の効率化と顧客サービスの強化に成功しました。

生産性の向上は業種によってさまざまな工夫ができます。自社の抱える課題を明確化することで、何が欠けているのかが見えてくるはずです

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12.生産性を向上させる場合の注意点

生産性を向上させる場合の注意点とは、効率化だけを追求して労働者の安全やワークライフバランスが犠牲にならないよう配慮することです。

生産性と適切な量の労働やワークライフバランスの実現といった労働者の安全などをセットとして考え、気を配ることが必要です。

たとえば、業務の効率化を図るために最新システムを導入したり、ロボットを起用したりして作業をオートメーション化したとします。しかし、システムを運用するには人間による保守管理が必要です。

そこで保守管理のために無理なシフトを組むなど労働者の安全に配慮していなければ、労働者に大きな負担がかかります。このように、効率化のために労働者が犠牲になっていないかなどについて考えましょう。

労働生活の質とは?

労働生活の質には「QWL」という言葉が使われます。これは「Quality of Working Life」の略で、人間が人間らしく仕事ができるようにする取り組みとして1960~1970年代頃から世界中で提唱され始めました。

これは労働に対する賃金に焦点を当てたものではなく、仕事のやりがいや働きやすい組織に注目したものです。

人間性の喪失や健康への影響に配慮してQWLを上げるには、仕事しやすい環境や円滑な人間関係の整備だけでなく、リーダーによる公正かつ適切な評価が行われることも大切だと考えられます。

仕事の生産性向上は効率化のみに焦点を当ててもうまくはいきません。仕事のやりがいや働きやすい組織に焦点を当てた「労働生活の質」を一緒に向上させることも重要です

労働生活の質を向上させるタレントマネジメントとは?
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13.生産性向上に関する補助金・助成金制度

生産性向上に関する補助金・助成金制度とは、業務改善助成金やIT導入補助金など、国や地方公共団体が企業の設備投資やIT化を支援するための公的支援制度のことです。

業務改善助成金(中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金)

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援する制度です。事業場内で最も低い賃金の引き上げを目的に設けられました。 設備投資などを支援し、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、かかった費用の一部を助成する制度です。

IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)

自社の課題やニーズに合ったITツールを導入するためにかかる経費を一部補助し、業務効率化を促して生産性向上につなげるもので、こちらも中小企業や小規模事業者などを対象にしています。

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14.企業に生産性が求められている背景

企業に生産性が求められている背景とは、国際競争力の維持・向上には価格競争力の強化が不可欠であり、そのためには効率的な生産体制の構築が必要だからです。

企業の生産性と国際競争力はセットで語られる話題です。国際競争力とは国際的な商品取引に関する各国の競争力のことで、強ければ輸出が増加していきます。

国際競争力を決定するのは価格競争力と非価格競争力ですが、生産性が大きく関連するものは価格競争力です。

価格競争力の強さには、低価格で商品を供給し続けられる能力の高さが関係します。優れた設備の投入や優秀な人材の確保などを行い生産性が高まると、より安価な商品を安定して供給できるようになるのです。

商品が国際市場において相対的に安価であれば、価格競争力を高めることにつながります。

日本における生産性向上の必要性

日本における生産性向上の必要性は、労働人口の減少と密接な関わりを持っています。日本では、15歳から64歳までの労働力人口の比率は減少を続けており、さらに出生率の低下から14歳以下の人口も減り続けているのです。

この傾向が続くことで、所得の減少とそれに伴う税収の減少、社会保障制度の維持が困難になり、GDPの凋落といった負の連鎖が懸念されています。

こうした事態への対策として、各企業は労働人口が減少し続けている現状を冷静に把握した上で、少数精鋭で生産量自体を向上させる企業努力が急務とされているのです。

目先のコストカットばかりに意識を向けるのではなく、生産性向上が見込まれる設備への適正な先行投資、派遣社員の受け入れや人材育成制度への着目など、十分な調査からの分析作業に基づく、中長期的な事業計画の実践が不可欠でしょう。

企業の生産性向上は、日本が世界で生き残るための国際競争力の強化、さらに財政状況改善のためにも急務とされています

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15.なぜ日本の生産性は低下しているのか?

日本の生産性が低下している主な要因とは、非ICT資本投資の停滞やイノベーションの波及不足など、構造的な課題が複合的に影響していることです。

日本にとって生産性の向上が急務だと分かりました。しかしなぜ、日本の生産性は下降傾向にあるのでしょうか?

先進国で生産性上昇率が低下している原因

過去20年間における先進国の生産性上昇率の推移を5年ごとに振り返ってみましょう。すると近年、多くの国で上昇率が低下または伸び悩んでいる様子が見て取れます。

ただし、日本、フランス、ドイツ、スウェーデンでは2011年から2015年までの平均で1%程度の上昇を見せているのです。

要因別に見ると、非ICT資本の生産性への寄与(非ICT資本装備率要因)がオランダを除くすべての国で2010年代に入って低下。

これは、世界金融危機に伴う需要の減少に加え、危機により弱体化した金融機関の貸出余力の低下などからアメリカやイタリア、英国を中心に設備投資が抑制されたといったことが背景にあると考えられます。

特に日本は、世界需要の減少による輸出急減を受けて、設備投資が減少した影響が大きいことも挙げられます。

日本の生産性水準とアメリカなどとの比較

平成29年に報告された内閣府の調査によると、日本の生産性は、最大の経済国であるアメリカや、高福祉国でICTの利活用が進んでいるスウェーデンと比べると1時間当たり15~20ドル程度下回っています。

国際的な位置付けを見てみても、OECD加盟35カ国の中では21位、アメリカをはじめとするG7各国の中では最下位です。海外の主要国と比較して日本の生産性は決して高いとはいえない水準にあると分かります。

こうした差について1994年を起点とした要因別の累積寄与率の差を見ると、2015年時点、スウェーデンに対してはプラスの差の約3分の2をTFP要因が、約3分の1をICT資本装備率要因が占めていました。

世界経済はゆるやかに回復傾向にありますが、海外の先進国と比較すると日本の労働生産性は低い基準にあります

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16.生産性低下の原因を分析に使えるチェックリスト

生産性低下の原因分析チェックリストとは、マルチタスク・アナログ処理・属人化・目的の不明確さなど7項目について自己診断し、組織の課題パターンを特定するためのツールです。

自社の生産性が低いか分析したい方は、以下のチェックリストを活用してみてください。

以下の項目に、直感で「はい」または「いいえ」で答えてください。

  1. 一つの業務に集中する時間がなく、常に複数のタスクを同時進行している
  2. 「あとでやろう」と保留にしたメモやメールが、未着手のままたまっている
  3. 過去にやった業務の資料や情報を探すのに、毎回時間がかかっている
  4. 上司や同僚に、業務の進捗を伝えるのに手間取っていると感じる
  5. 日報や稟議書など、手書き・押印などのアナログ作業がまだ多く残っている
  6. 特定の業務が特定の担当者に依存していて、「その人しかできない」状態になっている
  7. チームの中で、「この仕事の目的は何か?」がうやむやになっていると感じる

診断結果でわかる生産性低下のパターン

1〜2に「はい」がある場合

【主な原因】

マルチタスクにより集中力が続かない状態になっています。

あれもこれもと同時に作業をしていると、脳が頻繁に切り替わり、効率が大きく下がってしまいます。

【解決策】

時間を区切って1つの作業に集中できる仕組みを作りましょう。

おすすめは「ポモドーロ・テクニック」や「タイムブロッキング」といった時間管理術です。

25分集中+5分休憩を繰り返すことで、集中力を保ったまま作業を進めることができます。

3~6に「はい」がある場合

【主な原因】

アナログな業務や情報共有の手間によって、作業効率が落ちています。

たとえば、資料探しに時間がかかる・報告に手間がかかる・人に依存した仕事がある…といった状況が該当します。

【解決策】

ITツールを活用して、業務の「見える化」と「自動化」を進めましょう。

具体的には以下のようなアプローチがおすすめです。

  • ファイルやナレッジの一元管理(例:Google Drive、Notion)
  • タスク進行の可視化(例:Trello、Backlog、Asana)
  • チャットでの報告・共有のルール化(例:Slack)

日々の業務を少しずつデジタル化することで、大幅な時短につながります。

7に「はい」がある場合

【主な原因】

業務の目的や目標がチーム内で共有されていない可能性があります。

「なぜこの仕事をするのか」が不明確なままだと、やらされ感が強まり、やる気や協力体制が崩れてしまいます。

【解決策】

チーム内でビジョンやゴールを共有する機会を作りましょう。

OKR(Objectives and Key Results)などの目標設定手法を使うと、チーム全体の方向性を揃えやすくなります。

  • 目的(Objective)=何を目指すのか
  • 主要な結果(Key Results)=どうやって成果を測るか

このように明確化すれば、業務に対する納得感が生まれ、自然とモチベーションも高まります。

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17.企業の現状を踏まえた職場環境の改善と人材育成が鍵

生産性向上の鍵とは、効率化と人材育成の両輪で取り組み、社員が働きやすい環境を整えながらスキルとモチベーションを高めることです。

企業が生産性向上の課題に取り組むとき、注目したいのは自社の現時点での生産性をさまざまな角度から確認し、改善すること。効率化を追い求めても、会社を支えるのは現場で働く人である点には変わりがありません。

人材こそ企業の最大の資産だと考え、優秀な人材の確保や育成、必要に応じた支援を行いましょう。もちろん、やりがいを感じる業務と、負担の少ない職場環境を整えることも重要です。

ロボット化・機械化を進め、稼働率を上げる一方で、社員の指導や教育、福利厚生の充実などの施策を打ち、信頼関係の構築や企業へのロイヤリティ向上、スキルやモチベーションのアップを図りましょう。

企業の人事担当には、企業と人材の双方に無理が生じない、着実な生産性向上を実現させる手腕が求められています

よくある質問

生産性と業務効率化はどう違うのですか?

業務効率化はインプット(投入する時間・コスト)を減らすことに焦点を当てた取り組みです。一方、生産性は「アウトプット ÷ インプット」の比率そのものを指すため、インプットを減らす方法だけでなく、同じインプットでアウトプットを増やす方法も含みます。たとえば、業務効率化でムダな作業を削減するのは「インプットの効率化」ですが、社員研修でスキルを高めて同じ時間でより高い成果を出すのは「アウトプットの最大化」です。両方を組み合わせることで生産性は最も効果的に向上します。

自社の生産性が業界平均と比べて高いか低いかを調べる方法はありますか?

日本生産性本部が毎年発行する「労働生産性の国際比較」や中小企業庁の「中小企業白書」で業種別の労働生産性データを確認できます。自社の付加価値生産性(付加価値額 ÷ 従業員数)を算出し、これらの公表データと比較することで、業界内での自社の位置を把握できます。また、経済産業省の「企業活動基本調査」も業種・規模別の生産性データを提供しています。

生産性向上の取り組みで、最初に着手すべきことは何ですか?

まずは現状の業務フローを可視化し、どこにムダ・ムリ・ムラがあるかを把握することが最優先です。いきなりITツールを導入しても、非効率なプロセスをそのままデジタル化するだけでは根本的な改善にはつながりません。業務フローの洗い出し → ボトルネックの特定 → 改善施策の優先順位づけ → 施策の実行・効果測定、という手順で進めると着実に成果が出やすくなります。


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