人事評価改善等助成金とは?人事評価改善等助成コース、制度整備助成や目標達成助成、メリットとデメリットについて

企業の生産性向上に大きな影を落とす労働人口の減少や若年層の高い離職率などの人材不足。この現況を受け、企業の生産性向上に向けて設定された助成金が、人事評価改善等助成金です。

人事評価改善等助成金は、平成30年度から、人材確保等支援助成金の人事評価改善等助成コースに統合されています。人事評価改善等助成コースには制度整備助成や目標達成助成があり、それぞれに一定の措置を実施することが必要です。

  • 人事評価改善等助成金とは何か
  • メリットやデメリット
  • 支給要件
  • 助成金額
  • 申請手順

などを見ていきましょう。

1.人事評価改善等助成金とは?

人事評価改善等助成金とは定められた措置を実施した事業主が、その後に規定の助成金の支給が受けられる制度のこと。平成30年4月1日から、「人材確保等支援助成金」に統合されています。

人事評価改善等助成金の目的

厚生労働省のホームページによると人事評価改善等助成金の目的は、「生産性向上に資する人事評価制度と賃金制度を整備することを通じて、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る事業主に対して助成するものであり、人材不足を解消すること」です。

受給のため実施する措置は2つ

制度整備助成

人事評価改善等助成金には、2つの助成があり、その1つが、制度整備助成です。制度整備助成には、2つの措置の実施要件が設定されています。

  1. 人事評価制度等整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受ける
  2. 人事評価制度等整備計画に基づき、制度を整備し、実際に正規労働者等に実施する

制度整備助成を受ける場合、人事評価制度等整備計画の認定と計画に基づく制度整備と実施が必須です。

目標達成助成

人事評価改善等助成金の2つ目の助成は、目標達成助成です。目標達成助成では、

  1. 生産性の向上
  2. 賃金の増加
  3. 離職率の低下

3つの措置の実施が必要となります。

具体的には、

  • 人事評価制度等の実施日の翌日から起算して1年を経過する日において、「生産性要件」をみたしていること
  • 人事評価制度等の整備・実施の結果、人事評価制度等の実施日の属する月の前月に支払われた賃金の額と比較して、その1年後に支払われる賃金の額が、2%以上増加していること
  • 人事評価制度等の実施日の翌日から1年を経過するまでの期間の離職率が、人事評価制度等整備計画を提出する前1年間の離職率よりも、下表に掲げる目標値以上に低下させること(※低下は特定の目標値が基準となる、ただし目標値は対象事業所内の雇用保険一般被保険者数によって変動)

となっています。

参考 人事評価改善等助成金厚生労働省

人事評価改善等助成金で支給される金額

人事評価改善等助成金で事業主に支払われる助成金額は、助成ごとに異なります。

  • 制度設備助成:50万円
  • 目標達成助成:80万円

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2.人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)とは?

人材確保等支援助成金は、平成30年4月1日から始まった新しい助成金です。この助成金が創設された際人事評価改善等助成金は、人材確保等支援助成金の人事評価改善等助成コースへと統合されることになりました。

目的と対象、事業主が行うことの概要

人材確保等支援助成金の目的は、人事評価改善等助成金と同様、少子高齢化や若者の離職による人材不足の解消。人材確保等支援助成金が対象としているのも、人事評価改善等助成金と変わらず、人材不足解消に対して取り組みを行った事業主です。

事業主が行う具体的な取り組みも人事評価改善等助成金の受給要件と同じで、

  • 人事評価制度等整備計画作成や計画に基づく制度の整備と実施
  • 生産性の向上、賃金の増加、離職率の低下

それぞれに規定されている目標を達成した場合に支給されます。

このほか、雇用関係助成金の支給要件に共通するいくつかの受給要件があります。人材確保等支援助成金の申請を検討する事業主は、労働局やハローワーク、支給申請窓口へ事前に問い合わせるとよいでしょう。

人事評価改善等助成金との違い

人事評価改善等助成金と人材確保等支援助成金の人事評価改善等助成コースは、ほとんど同一の支給要件ですが、「目標達成助成」の支給申請に関する時期が異なります。

  • 人事評価改善等助成金の申請可能時期:人事評価制度等を実施した後の1年後より
  • 人事評価改善等助成コースの申請可能時期:人事評価制度等整備計画を認定申請した日より3年後

申請に関わる時期の違いは重要ですので、間違えないよう気をつけましょう。

3.人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)のメリットとデメリット

メリット

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)のメリットを見てみましょう。それは従業員への評価

人事評価や賃金制度等が整備されることで、従業員は自らの労働に関する適切な評価を受けることができます。またこれにより従業員はモチベーションが高まるのです。

従業員が高いモチベーションを持って就労すると、離職率の低下といった良循環が生まれます。従業員のモチベーションと企業の生産性の両方が向上することで、企業の業績アップも期待できるでしょう。

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デメリット

一方、人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)にはデメリットもあります。申請の認定から実施までの内容が複雑で、実施項目も多いのです。

また申請では、正社員の賃金を2%アップすることが必要となり就業規則や労使協定に、改定した2%賃金アップの制度内容を盛り込む必要があります。

賃金アップは、企業にとって負担になりかねません。また、制度整備助成、目標達成助成の双方とも1回限りの給付。賃金アップによる恒久的な支出と助成金の給付金額を天秤にかけたとき、デメリットとなるケースも少なくありません。

自社で慎重に検討する

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の給付を受けようと考える場合、慎重な検討が必要です。

デメリットが生じてでも、「人事評価や賃金制度を整備することで、従業員のモチベーションと企業の生産性を向上させ、業績アップにつなげたい」と考えているでしょうか?これについて慎重な検討が必要なのです。

  • 助成金の支給目当てになってしまった
  • 認定から実施までの作業の複雑さで企業負担が大きくなってしまった

などでは、従業員のみならず企業経営そのものにも悪影響を与えかねません。本気で助成金の導入を考える場合社会保険労務士など、助成金に精通している専門家への相談も必要でしょう。

4.人事評価改善等助成コースの大まかな流れ

①計画の作成・提出

人事評価改善等助成コースを受ける場合、人事評価制度等整備計画の作成が必要です。計画を作成したら、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ期間内に提出します。ハローワークに提出できる場合もありますので、計画の提出先を労働局に確認しましょう。

②計画の整備

労働局から人事評価制度等整備計画の認定を受けたら、その計画に基づいて人事評価制度等を整備し、労働協約もしくは就業規則に明文化します。

③計画の実施

労働協約もしくは就業規則に明文化したら、人事評価制度等の実施に移ります。対象労働者全員への実施が必要です。

④制度整備助成の支給申請

制度整備助成の支給申請提出期間は、整備した計画に基づく賃金が最初に支給された日の翌日から数えて2カ月以内となっています。

⑤制度整備助成の助成金支給

事業主が、人事評価制度と2%以上の賃金アップを含む賃金制度を整備し、実施した場合に50万円が支給されます。

⑥目標をすべて達成

制度整備助成の支給以後も、人事評価制度を運用し、

  • 生産性の向上
  • 賃金の2%以上アップ
  • 離職率低下の目標

3つすべてを達成した場合に、目標達成助成の支給申請ができます。

⑦目標達成助成の支給申請

目標達成助成の支給申請には、提出期間があります。提出期間は、人事評価制度等整備計画の認定申請の3年後の日の翌日から起算して2カ月以内です。

⑧助成金の支給

目標達成助成の金額は80万円です。制度整備助成の50万円と併せて支給を受けると、合計130万円の支給となります。

5.制度整備助成について

支給要件は2つ

制度設備助成には、支給要件が2つあります。

  1. 人事評価制度等整備計画を作成し、労働局長の認定を受けること
  2. 認定された人事評価制度等整備計画に基づいて整備し、実施すること

①計画の作成

内容を作成

制度整備助成の支給に当たって最初に行うことは「人事評価制度等整備計画(変更)書」(様式第1号)に基づいて内容を作成すること。申請事業主の情報には、

  • 雇用保険適用事業所番号
  • 常時雇用する労働者の数
  • 事業所の設立年月日
  • 整備する人事評価制度等の概要
  • 整備予定日
  • 実施予定日
  • 対象となる正規労働者数の見込み
  • 申請予定額
  • 計画時離職率
  • 計画申請時点における正規労働者等の平均賃金
  • 申請書作成担当者

などを記載します。

申請に必要な書類をそろえる

申請に必要な書類は11種類あります。

  1. 人事評価制度等整備計画(変更)書
  2. 「整備する人事評価制度等の概要票
  3. 毎月決まって支払われる賃金額について、人事評価制度等の実施日の属する月の前月とその1年後の同月を比較したときに2%以上増加する見込みであることが確認できる書類
  4. 人事評価制度等整備計画の認定申請日の直近の賃金支払日における賃金が確認できる書類
  5. 整備を予定している人事評価制度等について、労働組合または労働者の過半数を代表する者と合意していることが確認できる書類
  6. 事業所確認票
  7. 現行の労働協約または就業規則
  8. 整備後の労働協約案または就業規則案(賃金規程、賃金表を含む)
  9. 対象事業所における計画時離職率の算出に係る期間の雇用保険一般被保険者離職状況がわかる書類
  10. 社会保険の適用事業所であることが分かる文書(社会保険の要件を満たす場合)及び対象事業所に雇用される労働者が社会保険の被保険者であることが確認できる文書(社会保険の要件を満たす者に限る。)
  11. その他管轄労働局長が必要と認める書類

提出期限と提出先

制度整備助成の提出には期限があります。人事評価制度等を整備する日が属する月の初日からさかのぼって、半年から1カ月前の日の前日までが期限です。

すでに人事評価制度等整備計画が1つ認定されている間、新たな計画の提出はできません。計画書は、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出します。。ハローワークに提出できる場合もあるようですので労働局へ事前に問い合わせるとよいでしょう。

申請が認められた場合には、「認定通知書」が届きます。

注意点

制度整備助成の申請には注意点があります。まず、計画書にある「計画時離職率」の数値です。労働局で計算する離職率と一致しない場合、計画は認定されません。

  • 自社の雇用保険被保険者数
  • 離職者数
  • 定年退職や重責解雇者数

といった労働者数のカウントを正確に行いましょう。

また、離職率算定期間内に雇用保険被保険者が存在しない、新規創業等で計画時離職率の算定期間が1年間取れないケースなど、何らかの事情で計画時離職率が算定できない場合、助成の対象外となりますので注意してください。

②計画の整備および実施

人事評価改善等助成コースの対象条件

人事評価改善等助成コースの助成対象になるには、3つの条件をすべて満たすことが必要です。

  1. 対象労働者を適用の対象者としているか
  2. 定められた科目の10項目を満たしているか
  3. 新設もしくは改定された制度か
対象労働者を適用の対象者としているか

1つ目の「対象労働者を適用の対象者としているか」を見ていきましょう。

対象労働者の具体的な条件とは、「期間の定めなく雇用されている者、もしくは一定の期間を定めて雇用され、その雇用期間が反復継続され、事実上期間の定めなく雇用されている場合と同等と見なせる者であること」。

そのほかにも、「事業主に直接雇用されている者であること」といった条件があります。また、「短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除く雇用保険の被保険者であること」も、対象労働者であることの適用条件となっています。

定められた10項目を満たしているか

2つ目の「定められた10項目」は、下記の通りです。

  1. 労働者の生産性の向上に資する人事評価制度および賃金制度として、労働組合又は労働者の過半数を代表する者と合意していること
  2. 評価の対象と基準・方法が明確であり(※)、労働者に開示していること
  3. 評価が年1回以上行われるものであること
  4. 人事評価制度に基づく評定と、賃金の額またはその変動の幅・割合との関係が明確であること
  5. 賃金表を定めているものであること
  6. 上記4および5を労働者に開示しているものであること
  7. 人事評価制度等の実施日の前月とその1年後の同月を比較したときに、「毎月決まって支払われる賃金」(以下「賃金」といいます。)(※)の額が2%以上増加する見込みであること
  8. 人事評価制度等の実施日の前月とその1年後の同月を比較し賃金の各労働者の額及び総額を2%以上増加させることについて、労働組合または労働者の過半数を代表する者と合意していること
  9. 新しく整備した人事評価制度等により対象となる労働者を実際に評価した日から人事評価制度等の実施日が2カ月以内であること
  10. 労働者の賃金の額の引き下げを行う等、助成金の趣旨・目的に反する人事評価制度等でないこと
新設もしくは改定された制度か

制度整備助成の対象となる人事評価制度は、新設もしくは改定された制度でなければなりません。

新設された制度とは、人事評価制度等対象労働者に対して「定められた10項目」の1から6までの項目を満たしていない状態から、10項目をすべて満たすように定めた場合のこと。

また改定された場合とは、

  • 「定められた10項目」の2、および4について規定していない、または満たしていない状態から10項目すべて満たすように定めた場合
  • 「定められた10項目」の1から6まですべて満たした上に、評価の対象と基準、評定と賃金の関係、賃金規程について、さらなる生産性の向上に資するものとなるよう更に定めた状態

をいいます。

整備日と実施日について

整備の意味と整備日

整備日とは、整備した就業規則もしくは労働協約の施行年月日のこと。整備日の「整備」は、「就業規則もしくは労働協約の内容を変更することで、雇用している正規労働者等の生産性が向上するような能力評価を含む人事評価制度等を新設、もしくは改定すること」という意味で使われています。

整備日が決まっていないケースでは、就業規則については管轄する労働基準監督署に届け出た日を整備日とし、労働協約については締結した日を整備日として問題ありません。ただし、労働者が10人未満の企業の場合は、就業規則の届け出は不要です。

実施日

実施日とは、「新たな人事評価制度等に利用される賃金表にのっとって支払われる賃金が最初に支払われる日」のこと。ここでいう「新たな人事評価制度等」とは、2%以上賃金をアップさせるために整備した人事評価制度等です。また、「最初に支払われる日」とは、人事評価制度等の整備後に賃金が最初に支払われる日を指します。

対象となる事業主

人事評価改善等助成コースの対象となる事業主は、

  • 雇用保険が適用された事業主
  • 認定された計画に基づき、人事評価制度等を整備・実施した事業主
  • 過去、特定の助成金を受給している場合、要件を満たしている事業主
  • 社会保険の適用事業所

です。

「特定の助成金を受給している場合」の要件についても見ておきましょう。

  • 「制度整備助成及び人事評価改善等助成金」を受給している場合は最後の支給決定日の翌日から起算して3年間が経過している事業主
  • 「職場定着支援助成金/制度導入助成」を受給している場合は最後の支給決定日の翌日から起算して3年間が経過している事業主
  • 「職場定着支援助成金/制度設備助成」を受給している場合は、最後の支給決定日の翌日から起算して5年間が経過している事業主

です。

企業内に複数の事業所があり、適用される場合

一つの企業内に、複数の適用事業所が存在するケースもあるでしょう。企業内に存在する複数の事業所に同一人物の人事評価制度等を適用する場合、複数を一つとして取り扱うことが可能です。複数の事業所でも、一つの計画としてとりまとめて申請するようにしてください。

また、対象となる労働者が存在しない等の事情がある場合のみ、例外的に人事評価制度等を整備・実施しない事業所の存在を認められる場合があります。

支給申請に必要な書類と提出日

必要書類

申請に必要な書類は計13種類です。

  1. 「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース/制度整備助成)支給申請書」(様式第6号)
  2. 「事業所確認票」(様式第2号)
  3. 整備した人事評価制度等の内容が確認できる書類
  4. 「整備した人事評価制度等の概要票」(様式第6号別紙1)
  5. 「賃金アップ計算書」(様式第1号参考様式1号または2号)
  6. 対象労働者の労働条件通知書または雇用契約書
  7. 事業所内での周知書類、人事評価を行ったことが確認できる書類、昇進・昇格に関する通知
  8. 「人事評価制度等の適用者名簿」(様式第6号別紙2)
  9. 対象労働者の賃金台帳等賃金の支払い状況が確認できる書類
  10. 対象労働者の出勤簿等出勤状況が確認できる書類
  11. 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
  12. 事業所が社会保険の適用事業所であることが分かる書類(社会保険料納入証明書(写)、社会保険料納入確認書(写)等)及び当該事業所の労働者が社会保険の被保険者であることが分かる書類(賃金台帳(写)など、社会保険の支払いが分かる書類)(社会保険の要件を満たす場合に限る。)
  13. その他管轄労働局長が必要と認める書類

上記の書類を、人事評価制度等の実施日の翌日から起算して2カ月以内(人事評価制度等の実施日と取り扱う日の翌日から起算して2カ月以内)に、申請書等を各都道府県労働局に提出します。

申請期間 原則的と例外的

原則的

事例を挙げて見ていきましょう。

人事評価制度等の整備を平成30年10月1日に行い、人事評価期間が12カ月あり、当該人事評価制度等に基づく人事評価を使用した賃金支払いが平成31年10月25日である場合を考えてみます。

まず、計画時離職率算定期間は平成29年8月1日から平成30年7月31日、よって計画の認定申請日は平成30年8月1日です。

人事評価期間は平成31年1月から平成31年9月30日、人事評価制度等に基づく最初の賃金支払日は平成31年10月25日なので、制度整備助成申請期間は平成31年10月26日から平成31年12月25日に行います。

次に、目標達成助成です。

人事評価制度等の実施日に属する月の前月、平成31年9月25日から2%以上の賃金アップが始まります。計画の認定申請をした平成30年8月1日から3年経過する日を過ぎると支給申請できますので、目標達成助成支給申請期間は平成33年8月1日から平成33年9月30日になります。

例外的

申請期間には例外もあります。人事評価制度等の整備を平成30年10月1日に行い、人事評価期間が12カ月ある中、当該人事評価制度等に基づく賃金の支払いを平成30年11月25日に行った場合で見てみましょう。

計画時離職率算定期間は平成29年8月1日から平成30年7月31日で、計画の認定申請日は平成30年8月1日となります。就業規則等の施行は平成30年10月1日、人事評価制度等に基づく最初の賃金支払日と取り扱う日は、平成30年11月25日です。従って、制度整備助成の支給申請期間は、平成30年11月26日から平成31年1月25日までの間になります。

次に目標達成助成についてです。

人事評価制度等の実施日の属する月と取り扱う日の前月の平成30年10月25日から2%以上の賃金アップが始まります。計画の認定が申請された平成30年8月1日を経過すると支給申請ができます。目標達成助成支給申請期間は、平成33年8月1日から平成33年9月30日までとなります。

提出期限

提出期限は人事評価制度等実施日の翌日から数えて2カ月以内です。例外の場合、実施日と取り扱い日の翌日から数えて2カ月以内に提出することになっています。提出期限を厳守しないと助成の支給が受けられなくなってしまうので、期日管理をしっかりと行いましょう。

6.目標達成助成について

支給要件は4つ

目標達成助成の支給要件は、4つです。

  1. 制度整備助成を実施
  2. 生産性要件を満たしている
  3. 離職率の低下
  4. 毎月支払う賃金が2%以上アップ

①制度整備助成を実施

人事評価制度において、

  • 評価が年1回以上行われる
  • 賃金表を定めている
  • 制度が労働組合または労働者の過半数を代表とする者と合意している
  • 労働者に開示されている
  • 賃金の引き下げなど助成金の趣旨や目的に反する人事評価制度等でない

などの条件を満たす制度を実施します。

②生産性要件を満たしている

生産性の要件とは「認定申請日が含まれる年度の前年度と3年後を比較して、生産性に6%以上の増加が見られるか」というものです。

生産性要件の算出方法

生産性要件の算出方法には、注意点があります。

生産性は、

  • 営業利益
  • 人件費
  • 減価償却費
  • 動産・不動産賃借料
  • 租税公課

すべてを合算した付加価値を雇用保険被保険者数で割って算出しますが、付加価値の算定においては従業員給与のみが算定対象となるのです。そのため人件費に役員報酬は含まれません。

また、各科目の金額が正当であることを証明するために、各勘定科目額を証明する書類(総勘定元帳等)の提出が必須です。さらに、生産性要件の算定対象となった期間中、事業主都合によって離職者を発生させていないことも要件に入っています。

算定に当たって、企業会計基準を利用できない場合、管轄の都道府県労働局に直接問い合わせて相談しましょう。

厚生労働省の「生産性要件算定シート」

厚生労働省のホームページには、生産性要件を算定する「生産性要件算定シート」があります。ダウンロードして損益計算書や総勘定元帳から必要項目を転記すると、スムーズに生産性が算定できるのです。

③離職率の低下

算出方法

離職率の低下を表す数値の算出方法は、所定期間内における離職による雇用保険一般被保険者資格喪失者数を所定期間の初日における雇用保険一般被保険者数で割って100を掛けることで算出できます。

雇用保険一般被保険者とは、

  • 短期雇用特例被保険者
  • 日雇労働被保険者
  • 高年齢被保険者

以外の被保険者のこと。離職による雇用保険一般雇用保険者資格喪失者に、定年退職、重責解雇、役員昇給および労働者の個人的な事情による労働時間の短縮等によるものは含みません。

また、所定期間は、評価時離職率、計画時離職率で異なります。評価時離職率では、「人事評価制度等の実施日の翌日から起算して1年を経過する日までの期間」、計画時離職率では、「人事評価制度等整備計画認定申請日の前日の12カ月前から起算して1年を経過するまでの期間」となっています。

目標値となる離職率ポイント

目標値となる離職率の条件は評価時の離職率が30%以下であること。目標値は事業所内の雇用保険一般被保険者の人数規模に応じて異なった目標値が設定されています。

対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数規模区分が1~300人の場合は「現状維持」、301人以上の場合には「1%ポイント」が目標値です。

④毎月の賃金を2%以上アップ

4つ目は「毎月の賃金を2%アップ」。比較する賃金は、人事評価制度等が実施された日の存在する月の前の月から、計画認定の申請日の3年後の日の直前の賃金支払日が存在する月までの期間に在籍していた人事評価制度対象労働者の賃金です。

「人事評価制度等が実施された日の存在する月の前の月」と「計画認定の申請日の3年後の日の直前の賃金支払日が存在する月」に支払われた「毎月の賃金」の総額を比べた際に2%以上アップしていることが要件となっています。

対象となる事業主

対象となる事業主には、

  1. 制度整備助成の支給を受けている
  2. 引き続き、整備した人事評価制度等を実施している
  3. 生産性要件を達成している
  4. 離職率の低下目標を達成している
  5. 対象となる労働者の賃金の総額を2%以上増加させている
  6. 社会保険の適用事業所である、また対象事業所に雇用される労働者が社会保険の被保険者である(共に社会保険の要件を満たす者に限る)

という6つの要件が挙げられています。すべてを満たした事業主が支給対象となり、1つでも満たしていない場合は対象外です。

支給申請に必要な書類と提出日

必要書類

支給申請に必要な書類は以下の通りです。

  1. 「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース/目標達成助成)支給申請書」(様式第7号)
  2. 「事業所確認票」(様式第2号)
  3. 対象事業所における評価時離職率算定期間の雇用保険一般被保険者の離職状況が確認できる書類
  4. 対象労働者の賃金台帳等賃金の支払い状況が確認できる書類
  5. 整備した人事評価制度等が引き続き実施されているか確認できるいずれかの書類
  6. 対象労働者の出勤簿等出勤状況が確認できる書類
  7. 生産性要件を満たしているか確認するための書類及び算定の根拠となる証拠書類
  8. 毎月決まって支払われる賃金額について、「人事評価制度等の実施日の属する月の前月」と「人事評価制度等整備計画の認定申請日の3年後の日の直前の賃金支払日の属する月」に支払われた「毎月決まって支払われる賃金」の全員分の賃金総額を比較したときに2%以上増加していることが確認できる書類(様式第7号参考様式1号)
  9. 「支給要件確認申立書」(共通要領様式第1号)
  10. 事業所が社会保険の適用事業所であることが分かる書類(社会保険料納入証明書(写)、社会保険料納入確認書(写)等)および当該事業所の労働者が社会保険の被保険者であることが分かる書類
  11. その他管轄労働局長が必要と認める書類

提出期限

申請に必要な書類には提出期限があります。人事評価制度等整備計画の認定申請の3年後の日の翌日から起算して2カ月以内で、各都道府県の労働局へ提出するのです。認定申請から3年後ということで忘れやすいでしょう。自社で管理するのはもちろんと、顧問社労士などにアナウンスしてもらう等手配をしておくと安心です。