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MECE(ミーシー)とは、複雑な問題や情報を漏れなく重複(ダブり)なく整理するための論理的思考法です。
英語の「Mutually Exclusive(相互に排他的)」と「Collectively Exhaustive(全体を網羅的)」の頭文字を取って「MECE」、要素が重複せず、かつ全体を網羅する形で分類する手法を指します。それにより、効率的な分析や問題解決、意思決定を可能するのが目的です。
この記事では、MECEの概要や具体例、活用例などをわかりやすく解説します。MECEの本質を知り、代表的なフレームワークを使いこなしたい方はぜひ最後まで読んでみてください。
この手法は、特に戦略的な思考や分析に役立ち、複雑な課題に直面した際に有用です。MECEを意識することで、全体像を見失うことなく、体系的に情報を整理できます。
目次
1.MECE(ミーシー)とは?

MECEは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive(相互に排他的と全体を網羅的)」の頭文字を取った略語で「ミーシー」または「ミッシー」と読みますや。
マッキンゼー社に所属するバーバラ・ミント氏が考案した概念で、ロジカルシンキングの実践的ツールとして世界中に広まりました。
MECEは、複雑な情報や課題を整理するための基礎フレームワークのひとつです。それぞれの頭文字は次のような意味を持ちます。
- Mutually(お互いに)
- Exclusive(重複せず)
- Collectively(全体に)
- Exhaustive(漏れがない)
物事を考えるとき、正確な答えを導き出すために必要な要素を網羅しながらも、それらが重複しないようにする考え方も同時に必要となります。
こうした際にMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)を意識することで、総合的な視点から必要な事実を分類して、問題や課題に対する正しいアプローチを導き出すことができるようになるのです。
Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive(漏れなく、ダブりなく)の図解
全体集合の中に、A・B・Cという3つの部分集合があり、それらはお互いに排反でA・B・Cの和集合が全体集合に等しくなる場合「モレなく、ダブりなく」を意味します。これにより、部分集合の和集合が全体集合に一致することで漏れがないことを確認できます。


MECEの重要性
MECEの考え方は、ビジネスシーンにおいて課題の特定や意思決定の精度を高めるために欠かせません。
情報やタスクをMECEにもとづいて整理することで「何がどこまで網羅されているか」「どこが抜け落ちているか」「重複していないか」を明確にできます。
もし漏れや重複があると、課題の本質を見抜けなかったり何度も同じことを繰り返したりします。これでは非効率で、望ましい状況ではありません。
MECEの概念を理解すると、結果として課題の本質に近づきやすくなり、対策や施策の漏れを防げます。
MECEと論理的思考(ロジカルシンキング)の関係
MECEと論理的思考は、相互に補完し合う関係です。
論理的思考は、物事の筋道を立てて矛盾なく考える思考方法で、その基盤となるのがMECEの整理手法です。
MECEによって情報の分類や整理が漏れなくダブりなくされていることで、論理的に正しい検討や意思決定が可能になります。
つまり、論理的思考を用いて問題解決や意思決定をするには、事前にMECEで情報の分類や整理をするのが効果的というわけです。
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2.MECEを理解するための具体例
MECEを理解するため、具体的な例を挙げて考えてみましょう。自社の休憩スペースに飲み物の自動販売機を設置することを検討していると仮定します。たくさんの種類のある飲料の中から、どうすれば漏れもダブりもなくグループ化できるでしょうか。
MECE的に考える方法

考え方の一つに、単純に思いつくまま並べていく方法があります。しかし、これでは漏れが生じやすくなるでしょう。
そこでまずどのような切り口で飲み物を捉えるのかを考えることから始めます。たとえば、アルコールの有無による分類、缶・ビン・ペットボトルといったパッケージによる分類といったイメージです。
このように大まかな分類を決めてからカテゴリーごとに品目を挙げ、さらにそのカテゴリーの中で容量別やメーカー別に分けていけば漏れが生じることがありません。

パターン①漏れがあり、ダブりがない状態
では、漏れがありダブりがないのはどのような場合でしょうか。たとえば、売り上げを上げる施策を考えるために顧客を要素分解するとします。
このとき、計算式を「顧客数」×「顧客1人当たりが1回に使う金額(顧客単価)」とすると、顧客が来る頻度が漏れてしまっており、ダブりはないけれど漏れがある状態になります。
パターン②漏れがなく、ダブりがある状態
逆に、漏れはないがダブりがあるのはどのような場合でしょうか。たとえば自社商品の提供ターゲットを挙げるとします。
このとき、
- 大人向け
- 子ども向け
- 男性向け
- 女性向け
- 若者向け
- 中年向け
- 老人向け
と挙げていくと、顧客ターゲットは網羅しますが、お互いにダブりが生じていると分かります。これが漏れはないがダブりがある状態です。
パターン③漏れがあり、ダブりもある状態
漏れもダブりもある場合の例も挙げてみましょう。学生ターゲットのカテゴリーを挙げる際、小学生、中学生、高校生、予備校生、受験生といったグルーピングをします。
そうすると、予備校生の多くは受験生や現役の中学生、高校生も含まれることもあるためダブる他、学生である大学生は漏れています。これは、漏れもダブりも両方生じている一例です。

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3.ロジカルシンキング(論理的思考)とは?
ロジカルシンキング(論理的思考)とは? 鍛える方法を簡単に
論理的思考と訳されるロジカルシンキング。物事を体系立てて整理するための思考法として、多くの企業から注目を集めているのです。
ロジカルシンキングの意味
ロジカルシンキングのメリット
具体的手法
フレー...
MECEは、ロジカルシンキングにおいて基本とされている概念です。ロジカルシンキングとは主張と根拠をピラミッドのようにロジックで積み重ねていく思考方法のことで、「論理的思考」という意味で使われています。
マッキンゼー・アンド・カンパニー出身者のコンサルティングノウハウが書籍化されたことで広く知られるようになりました。
ロジカルシンキングにおける分析法

ロジカルシンキングには、枠にはめていくだけでMECEが実現できるフレームワークを使用するといいでしょう。ロジカルに思考を重ねて結論へ導くには、結論を支える主張が必要になります。
この主張を設定するには大きな課題をシンプルな要素ごとに細分化する構造が適しており、これがMECEが必要な所以なのです。

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4.ビジネスにおけるMECEの活用例

こでは、以下5つのビジネスシーンにおける具体的なMECEの活用例を紹介します。
- 市場の分析
- 課題の把握
- 売上の拡大戦略
- 新規顧客の開拓
- 品質の改善
それぞれの場面で、MECEがどのように役立ち、どのような効果をもたらすのかを具体的に見ていきましょう。
市場の分析
たとえば新規市場の可能性を検討する際、顧客層を「年齢」「性別」「地域」「購買目的」などで漏れなく重複なく分類することで、正確な市場理解が可能です。
MECEで市場構造を整理すると、ターゲットごとの課題や機会がクリアになり、戦略立案の質が高まります。
課題の把握
ビジネスは問題解決の連続で、その出発点として「真の問題(イシュー)」の特定が重要です。
MECEを活用して「社内要因/社外要因」「短期的/長期的」といった切り口で分類することで、本質的な課題を見落とさずに把握できます。
課題をMECE的に可視化できると、チーム内での共通認識を得やすく、解決への方向性が定まるでしょう。
売上の拡大
売上を拡大したいと考えたとき、どこに手を打つべきか明確にするためには、要因をMECEに整理することが不可欠です。
たとえば「売上=顧客数×利用頻度×平均単価」の3つに分けることで、どの要素がボトルネックになっているのかを把握できます。
それぞれの要素で課題と伸びしろを把握できれば、戦略的な施策を立案できるでしょう。
KPI設計でもMECE思考は有効です。KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれます。
これは中間目標を意味し、最終的なゴールへ向かうプロセスにおける目標数値です。この際も漏れなく重複なく情報を分類・整理するMECEは役立ちます。
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新規顧客の開拓
新規顧客の獲得は、ターゲットの明確化と施策の優先順位付けが重要です。ここでもMECEの視点が欠かせません。
たとえば、ターゲットを「年齢別」「地域別」「業種別」「役職別」などの分類で整理すれば、市場ごとの攻略法が見えやすくなります。漏れや重複を避けることで、施策が網羅的かつ効率的になるでしょう。
品質の改善
製品やサービスの品質を向上させるには、何が問題で、どこに原因があるのかを明確にする必要があります。
たとえば、製造業において品質トラブルが発生した場合「4M」と呼ばれる分類軸で要因を洗い出すのが基本です。
- Man(人)
- Machine(機械)
- Material(材料)
- Method(方法)
原因をMECEに分類すれば、どの領域に問題が集中しているのかを正確に把握できるので、的確な対策につながります。
営業やマーケティングにおけるMECEの必要性

ビジネスは、常に問題解決の連続で、解決すべき問題や課題は往々にして複雑な構造をしています。これらはそのままでは対処しにくく取り組みにくいもの。
こうした複雑で膨大な課題をMECEを用いてシンプルに切り分け、細分化して考えることにより、何が本質的な問題なのか整理しながら考えることができるのです。

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5.MECEで分析する方法を簡単に説明

MECEは3ステップで分析できます。
ステップで重複するものがないようにしながら、順番に分析していくことで問題を細分化できます。そしてさまざまな角度から洗い出すことができ、意識していなかった部分が浮き彫りになるということも出てくるのです。
全体集合とは?(ツリー構造・ピラミッド構造)

「モレなく、ダブりなく」と訳されるMECEの中で、「全体集合」という考え方はとても重要です。これは、ビジネスにおける要素を全体的に見渡すことであり、「ツリー構造」や「ピラミッド構造」とも呼ばれています。
全体を見ながら徐々に細分化していくことで、問題となる部分を明確にし、分析していくことになるのです。


6.MECEの考え方の基本(グルーピング)

MECEで物事を考えて整理する方法は、次の2つです。
- トップダウンアプローチ:全体から詳細にブレークダウンするアプローチ法
- ボトムアップアプローチ:詳細を集めてから全体像を描くアプローチ法
それぞれのアプローチ法の特徴を理解し、補完し合いながら使うのが望ましいでしょう。MECEは、トップダウンアプローチが基本ですが、未知の分野ではボトムアップアプローチを試してからトップダウンアプローチで修正を加えながら進めます。
①トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチは、まず全体の大枠を把握し、そこから細かい要素へ段階的に分解していく方法です。
たとえば、ビジネス課題を考えるときに「売上減少」が全体の問題だとすると、「顧客数減少」「単価低下」「利用回数減」などの大きな要素にまず分け、それぞれをさらに細分化します。
この方法のメリットは、全体像を意識しながら考えられるため、抜け漏れや重複を防ぎやすいところです。目標や目的に沿った整理がしやすいでしょう。
ただし、全体像が明確でないと誤った前提で進んでしまうリスクもあるため、正確な把握が欠かせません。
トップダウンアプローチのメリット・デメリット
トップダウンアプローチのメリットは、
- 体系的・俯瞰的に物事を考えることができる
- ゴールを意識した分類がしやすい
デメリットは、
- 全体像が分かっていなければ分類の段階で漏れが生じている可能性もある
- ゼロベースのスタート地点では使えない
②ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチは、まず思いつく限り細かい要素を洗い出し、その後にグループ分けや分類をしながら全体像を構築していく方法を指します。
この方法は全体像が明らかでないテーマに有効です。ただし、最初の段階で要素を十分に拾いきれなかったり、分類の基準が曖昧だったりすると漏れや重複が出やすくなってしまいます。
トップダウンと組み合わせ、目的や状況に応じて使い分けるのが好ましいでしょう。
ブレインストーミングとは? ブレストの効果・やり方を簡単に
ブレインストーミングとは、複数人で行う会議手法です。ここでは、ブレインストーミングをさまざまな角度から解説します。
1.ブレインストーミングとは?
ブレインストーミング(brainstorming)...
ボトムアップアプローチのメリット・デメリット

ボトムアップアプローチのメリットは、未知の領域においても思考をスタートできる点。ただし、要素の洗い出しが甘いと分類に漏れが生じやすくなり、分類の仕方が間違っているとダブりも生じてしまう可能性もあります。

7.MECEに分解する方法

MECEに分解する際、ポイントとなる4つの切り口があります。MECEを活用する際、それぞれの内容についてしっかり理解しておきましょう。
- 要素分解
- 時系列・ステップ分け
- 対照概念
- 因数分解
①要素分解
要素分解は、問題や課題の全体像を細かな要素に分解していく思考方法です。
この方法は、「足し算型」や「積み上げ型」とも言われ、分解したすべての要素を合計すると元の全体像になります。
つまり、分解した要素を組み合わせたとき、元の全体像とズレがないか確認できるのが特徴です。
要素分解のポイントは、何が構成要素かを明確に定義すること。曖昧な基準で分けてしまうと、漏れや重複が生じやすくなるため注意が必要です。
②時系列・ステップ分け
時系列・ステップ分けは、対象を時間の流れや進行段階で分類する方法です。
たとえば、新商品開発なら「企画」「設計」「製造」「販売」といった段階ごとに分けられます。
時間の流れに沿った経過や変化を整理しやすく、業務改善や工程設計の場面で有効です。この考え方を取り入れたフレームワークに「バリューチェーン」や「AIDMA(アイドマ)」などがあります。
バリューチェーンとは、マイケル・ポーターが提唱した、企業活動を価値創造の視点から分析するフレームワークのことです。
原材料の調達から製造、販売、サービス提供までの一連のプロセスを価値の連鎖と捉えます。各活動における貢献度やコストを分析することで、企業の強み・弱みを特定し、収益拡大や競争優位の確立を目指します。
③対照概念
対照概念とは、対象の性質を対になる概念で整理する方法です。
たとえば「男・女」「新規・既存」「メリット・デメリット」「内部・外部」といった、互いに重ならない二つの対義語を使って分類します。
ただし、分類が「白黒」で分かれるため、グレーゾーンの存在を見落とさないように注意しなければいけません。他の切り口と組み合わせて使う必要があるケースもしばしばあります。
④因数分解
因数分解とは、ある数値や成果の構成要素を計算式のように分解していく方法です。特に売上やコスト、KPIなど、数値で管理される指標に対して効果的でしょう。
たとえば企業の売上を「顧客数×購入単価×購入頻度」などに分けて考えるパターンが典型です。それぞれの要素を定量的に分析できるので、どこに課題があるか明確に判断できます。

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8.MECEの訓練方法

MECEを使いこなせるようになるためには、ロジカルシンキングの実践から始めるとよいでしょう。
実際に作ったアウトプットを上司や自分より優秀な同僚に見てもらうといった方法で、フレームワークを使いこなせているか確認していくとかなり力が付きます。できれば何度も反復練習してみましょう。
また、小さいフレームワークでもよいので日常生活の思考がMECEになるように考えてみるのもよいです。こちらも同僚や後輩などに見てもらいフィードバックを参考にするなどして、MECEが自分のものになるまで訓練を続けましょう。

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9.MECEを活用できる代表的なフレームワーク12個

MECEで考えるには、まずどう分類するかを決めることが大切です。
多くのフレームワークは構造的にMECEの原則にもとづいて設計されているので、抜けや重複のない思考の整理ができます。
ここでは、MECEの視点で活用できる代表的なフレームワークを12個紹介しましょう。
- 3C分析
- 4P分析
- 5フォース分析
- SWOT分析
- 7S分析
- PEST分析
- バリューチェーン
- 製品ライフサイクル
- AIDMA(アイドマ)
- ロジックツリー
- ピラミッドストラクチャー
- プロダクトポートフォリオマネジメント
①3C分析
3C分析とは外部要因である市場と競合の視点から自社を分析するためのフレームワークのこと。
3Cとは、
- Customer(市場)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
まずは、市場規模や顧客ニーズを理解し、自社の特徴と課題を明確にします。さらに、競合との違いを整理することで、自社が市場の中でどのようなポジションにあるのかが見えるでしょう。より的確な戦略の立案につながるのです。

3C分析とは? 目的とやり方、関連フレームワークをわかりやすく
3C分析は「Customer」「Competitor」「Company」3つの視点から調査、分析を行うことで、自社の事業展開に関する課題を探し出すフレームワークです。
ここでは、
3C分析とは何か
...
②4P分析
4P分析とは4つの要素に分解することで、何をどう売るかというマーケティング戦略を考えるフレームワークのこと。
4PのPは、
- Place(流通):流通経路・配送など
- Price(価格):定価・値引き・支払い条件など
- Product(製品):品質・オプション・返品可能性など
- Promotion(販売促進):広告・人的販売など
MECEの考え方を活用すると、この4つの要素が重複せずに整理されます。具体的かつバランスの取れた販促戦略を立案しやすくなるでしょう。

4P(マーケティングミックス)とは? 4Cとの違い、注意点
4Pとは、マーケティング戦略を考えるうえで重要な要素の頭文字を取ったものです。マーケティングミックスともいわれます。
1.4Pとは?
4Pとはマーケティング戦略の一部で、下記の頭文字を取ったものです...
③ 5フォース分析
5フォース分析は、市場の競争状況を把握するためのフレームワークです。分析の対象は以下の5つとなります。
- 業界内の競争業者
- 新規参入者の脅威
- 買い手の交渉力
- 代替品の脅威
- 売り手の交渉力
自社を取り巻く5つの競争要因に分類し、それぞれが自社にとってどの程度の脅威となるのかを分析するのです。
その結果を基に、脅威に対抗していく上で自社の資源をどのように配分していくかを考えます。
④SWOT分析
SWOT分析とは4つの視点から事業の成功を導き出すフレームワークのこと。
SWOT(スウォット)は、
- Strengths(強み)
- Weaknesses(弱み)
- Opportunities(機会)
- Threats(脅威)
この4つの視点を整理することで、自社の競争優位性や課題を明確にしやすくなります。強みを活かし、弱みを補い、機会を捉え、脅威に対処する戦略立案が行えるでしょう。

【図解】SWOT分析とは? 目的や具体例、やり方やテンプレートを紹介
SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの視点から自社の状況を整理し、最適な戦略を立てるためのフレームワークです。...
⑤7S分析
7S分析とは組織の戦略を分析するもので、企業戦略における7つの要素の相互関係を示すものです。
世界有数の経営コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した分析手法であり、ソフトの4Sとハードの3Sに分けられます。
ソフトの4Sとは、
- 能力(Skills)
- 人材(Staff)
- 価値観(Shared Value)
- 経営スタイル(Style)
ハードの3Sとは、
- 仕組み(Systems)
- 組織構造(Structure)
- 戦略(Strategy)
7つそれぞれを整理すると、組織の強みや問題点を漏れなく見つけられます。組織変革や人材戦略を検討する際に役立つでしょう。

マッキンゼーの7Sとは? 導入効果やフレームワークを簡単に
7Sとは世界有数の戦略コンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱したフレームワークのことです。
1.7Sとは?
7Sとは、企業戦略における複数要素の相互関係を表したフレームワー...
⑥PDCA
PDCAとは計画、実行、評価、改善のことで、プロセスを一度で終わらせるのではなく何度もサイクルを回すことによって活動のレベルを高めることから、PDCAサイクルと呼ばれています。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Act(改善)
の頭文字で、時系列、ステップ分けを行います。

PDCAとは?PDCAサイクルはもう古い?意味やOODAとの違いを解説
目標の進捗確認や振り返りをもっと簡単に!
カオナビなら、全社員の目標や進捗を管理できるからPDCAの運用も効率化できます。
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⑦PEST分析
PEST分析は、企業を取り巻く外部環境を4つの視点から捉えるフレームワークです。
- Politics(政治)
- Economy(経済)
- Society(社会)
- Technology(技術)
たとえば、新規事業の参入判断を行う際のPEST分析は、以下のようにまとめられます。
- Politics(政治):規制や法改正
- Economy(経済):景気動向や為替の影響
- Society(社会):消費者の価値観や人口動態
- Technology(技術):最新技術の進化や業界標準の変化
上記のように整理することで、見落としや偏りを防ぎ、冷静かつ論理的な意思決定が可能になります。

PEST分析とは? 目的とやり方、コツ、分析例をわかりやすく解説
PEST分析とは、企業を取り巻く外部環境を「政治」「経済」「社会」「技術」の4つの観点から分析するフレームワークのことです。
本記事では、PEST分析の目的やコツ、やり方などを解説します。PEST分析...
⑧バリューチェーン
バリューチェーンとは、マイケル・ポーターが提唱した、企業活動を価値創造の視点から分析するフレームワークのことです。企業が製品やサービスを提供するまでの一連の活動を、価値を生み出すプロセスとして体系的な分析が可能です。
原材料の調達から製造、販売、サービス提供までの一連の過程を価値の連鎖と捉えます。各活動における貢献度やコストを分析することで、企業の強み・弱みを特定し、収益拡大や競争優位の確立を目指します。
主に以下のように分類します。
- 主活動:購買物流・製造・出荷物流・販売・サービス
- 支援活動:企業インフラ・人事管理・技術開発など
各活動を重複なく分けることで、企業活動の強みや改善ポイントが見えやすくなります。それにより、効率化や競争力強化につながるのです。
バリューチェーンとは?【意味や分析のやり方をわかりやすく】
1.バリューチェーンとは?
バリューチェーン(Value Chain)とは、企業における各事業活動を価値創造の視点からとらえ、それぞれの活動がどのように全体の価値に貢献しているかを分析するフレーム...
⑨製品ライフサイクル
製品ライフサイクルとは製品が市場に登場してから退場するまでの間を示すモデルのことで、これも時系列、ステップ分けを行うフレームワークです。
- 導入期:市場拡大を狙い、商品認知度を高める段階
- 成長期:自社製品のブランド力を高める段階
- 成熟期:シェア拡大を狙う段階
- 衰退期:支出を抑える段階
各段階を整理することで、製品課題や機会を的確に捉えやすくなります。段階ごとの適切な経営戦略を検討できるでしょう。
また、段階に応じて戦略を切り替えることで、製品の競争力維持や市場変化への対応が可能になります。

⑩AIDMA(アイドマ)
人が購買に至るまでの態度変容を段階化したもので、各段階に応じてマーケティング戦略を立てていくことで、効率的なマーケティング活動が可能になります。
AIDMAは、
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
消費者が商品やサービスを購買に至るまでの心理プロセスを5段階に分けています。
消費者の態度変容を段階的に捉えることで、各プロセスに応じた適切なマーケティング施策を計画・実行できます。購買行動の最適化を目指すのに役立つでしょう。
ユーザーの行動や反応を段階ごとに分類することで、効果的なマーケティング施策を実施できます。

AIDMA(アイドマ)とは? AISASとの違い、使い方をわかりやすく
1.AIDMAとは?
AIDMA(アイドマ)とは、消費者が商品やサービスを購入するまでの過程を説明するためのモデルで、下記5つの頭文字を取っています。
Attention(注意)
Interes...
⑪ロジックツリー
ロジックツリーはMECE的な切り口で分解した要素をツリーのように並べたもののこと。分析した内容を可視化することで理解がしやすくなるフレームワークで、縦軸はロジックで結び付くように、横軸は同レベルの要素がMECEに並ぶように配置します。
たとえば、「ダイエットしても体重が落ちない」という課題に対して、その原因→それぞれの要因→・・・と細分化することで、問題の根本原因を体系的に把握可能です。
分析の内容を視覚的に整理することで情報が伝わりやすくなります。チーム内で課題を共有し、共通の理解を持つための手助けにもなるでしょう。

⑫ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャーは、上位に伝えたいことや主張があり、下位にその根拠が論理的につながるようにするフレームワークです。
話を論理的に展開できるため、情報をわかりやすく伝えたり自分の考えを整理したりするために役立ちます。
ロジックツリーと混同されがちですが、ピラミッドストラクチャーは何かを主張する際の説明あるいは説得に用いられるものです。用途が異なるという違いがあります。
⑬プロダクトポートフォリオマネジメント
プロダクトポートフォリオマネジメントは、複数の製品や事業を「市場成長率」と「相対的市場シェア」の2軸で4つのカテゴリー(花形、問題児、金のなる木、負け犬)に分類し、資源配分や戦略を最適化するフレームワークです。
MECEで各製品の位置づけを明確にすることで、投資や撤退の意思決定を合理的に行えます。多角経営や事業ポートフォリオの見直しに有効です。


10.MECEの注意点

メリットの多いMECEですが、使い方には注意が必要です。すべてをMECEで整理しようとすると、かえって本質を見失ったり、意図した成果につながらなくなったりするケースもあります。ここでは、そのような落とし穴になりうる注意点を4つ紹介します。
- 「MECEで分類」自体を目的化しない
- 漏れがないように注意する
- 明確にグルーピングできないものもある
- 要素の優先順位を決める
「MECEで分類」自体を目的化しない
MECEは論理的に物事を整理するために有効な手法ですが、分類そのものを目的化してしまっては本末転倒です。
本来の目的は、MECEを使って問題の本質を探り、具体的な課題解決につなげること。分類にこだわりすぎて目的を忘れると、分析が複雑になりすぎたり、重要でない細部に時間を使ったりします。
効果的に活用するためには、何のために分類を行うのか、その目的を明確にした上で作業を進めることが重要です。
ダブり(重複)よりも「漏れ」がないようにする
漏れがあると、必要な観点が抜けているため、全体の把握が不十分になり正しい意思決定が難しくなります。
漏れを防ぐためには、対象範囲の定義をしっかり行い、関連する情報をすべて収集・整理することが大切です。
漏れよりは重複のほうが対処しやすいため、多少のダブりは許容範囲内と考えてもよいとされています。
明確にグルーピングできないものもある
すべての事象や情報が完璧にMECEに分類できるわけではありません。
たとえば、複数の側面を持つものや、カテゴリーの境界が曖昧なものは、どのグループに属するか判断しにくいケースがあります。
ビジネス書を漫画で描いたものを「漫画」と「ビジネス書」のどちらに分類すべきか悩む場合が典型的な例です。
このような曖昧な要素は無理に分類しようとせず、目的を再確認しながら柔軟に対応することが求められます。
要素の優先順位を意識する
MECEに分類した際、それぞれの要素の重要性にムラがあり、考慮しても意味のない要素が出てきてしまうことも。
また、MECEに分類しても、主観や思い込みに左右されやすいところがあるので、思わぬところから漏れやダブりが生じてしまうこともあるのです。重要視すべき要素をしっかり決めて、考え方の切り口は1つに絞りましょう。

11. Q&A|MECEに関するよくある質問
最後に、MECEに関してよくある質問をまとめます。
- Q1.MECEについて簡単に説明すると?
- Q2.どのような場面でMECEが効果的ですか?
- Q3.MECEを身に付ける方法を教えてください。
- Q4.MECEで漏れや重複(ダブり)がだめな理由は何ですか
- Q5.MECEを使うメリットを教えてください。
Q1.MECEについて簡単に説明すると?
MECE(「ミーシー」または「ミッシー」)とは、漏れなく、重なりなく情報を整理するための考え方のことです。
必要な要素を過不足なく洗い出し、かつ同じ内容がかぶらないよう分類することを目的としています。論理的に物事を整理・分析する際に欠かせない基本的なフレームのひとつです。
Q2.どのような場面でMECEが効果的ですか?
MECEは、以下のような場面で特に効果を発揮します。
- ビジネス戦略の立案(市場分析、競合比較など)
- 問題解決や課題整理
- プレゼン資料の構成や論理展開
- チーム内での共通認識づくり
論点を明確にし、相手に伝わりやすくするための思考の土台として、幅広く活用できるでしょう。
Q3.MECEを身に付ける方法を教えてください。
MECEを身に付けるには、実際に日々の業務や問題解決の場面でMECEの分類を意識して練習することが大切です。
たとえば、疑問に思った課題をフレームワークや切り口を変えて分解してみたり、ロジックツリーを作成してみたりしましょう。
先輩や上司にアウトプットし、フィードバックをもらいながら繰り返しトレーニングすることが習得への近道です。
Q4.MECEで漏れや重複(ダブり)がだめな理由は何ですか?
漏れがあると、本来把握や検討しておくべき内容が抜けてしまい、判断や選択などに間違いが起こる可能性があります。
また、重複は分析や意思決定の効率が悪くなり時間がかかってしまうため、避けたほうがよいとされています。
正確かつ効率的に思考するためには、MECEの「漏れなく重複もない」という状況が適切です。
Q5.MECEを使うメリットを教えてください。
MECEを使うことで、複雑な問題を漏れなく重複なく整理し、全体像を把握しながら原因を特定できます。これにより、表面的な対策に終わらず、根本的な解決策を導き出すことが可能です。
ビジネスにおいては、問題解決の精度が高まり、組織全体の効率や成果を向上できます。
12. まとめ|MECE思考をビジネスの現場で役立てよう
情報を正確に整理し、論理的な議論や提案を実現するには「MECEで考える」ことが第一歩です。
漏れなく重複なく物事を整理することで、見落とされがちで本質的な問題を浮き彫りにできます。効率的かつ論理的な意思決定が可能になるでしょう。
ただし、MECEの分類に過度にこだわることなく、あくまでも問題解決を目的とすることが重要です。
まずは日常の業務からMECEを意識し、問題を体系的に整理する習慣を身に付けていきましょう。
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