バリューチェーンとは?【意味や分析方法をわかりやすく】

バリューチェーンを用いて事業活動の分析を行うことで、競合他社との競争を有利に運ぶ方向性が判明します。

  • サプライチェーンとの違い
  • バリューチェーンの事例
  • バリューチェーン分析、目的とは?
  • バリューチェーン分析のやり方、方法、流れ、ステップ
  • バリューチェーン分析で使えるテンプレート、フォーマット

などから、バリューチェーンについて詳しく説明しましょう。

1.バリューチェーンとは?

バリューチェーンとは、企業の様々な活動がそれぞれどのような付加価値の創造に貢献しているのか、その関係を客観的に確認するのに役立つフレームワークです。原料調達から製造、流通、販売、保守といった一連の企業活動において、競合に対する自社の強みや弱みを明らかにし、事業戦略を改善します。

1985年にハーバード・ビジネススクール教授のマイケル・ポーターが著書『競争優位の戦略』にて提唱しました。

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2.バリューチェーンとサプライチェーンとの違い

サプライチェーンとは、製品や食品などのもととなる原材料から製造、販売までユーザーに届くまでの一連の流れを示す言葉で、日本語で直訳すると供給連鎖となります。サプライチェーンでは、物やお金の流れをそれぞれの情報と結び付けるのです。

そして、サプライチェーン全体で情報を共有し、全体を最適化していく方法をサプライチェーンマネジメントと呼びます。その際、部分的な最適化ではなく、全体のバランスを見て最適化を図ることが重要です。

バリューチェーンは物やサービスにどのような価値が加わっているのか、サプライチェーンは物がどのように供給されているかを表します

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3.バリューチェーンの事例

独自のバリューチェーンを活用し、他社との差別化に成功した下記3社の事例を紹介します。

  1. オイシックス・ラ・大地
  2. ほけんの窓口グループ
  3. ネットプロテクションズ

①オイシックス・ラ・大地

オイシックス・ラ・大地は、2000年に創業したオンライン食品小売業です。創業時は現在ほど食品の安全性に対する問題意識が高くなく、また食品のオンライン販売は一般化されていませんでした。

オイシックス・ラ・大地では、食品の安全性と味を重視する人たちを顧客のターゲットとして、「食品の安全」「美味しさ」「買い物を簡単にする」の3つの価値を提供しています。そして、そのための独自の8つのバリューチェーンを強化しているのです。

  1. 研究開発
  2. 調達
  3. インバウンド・ロジスティックス
  4. 受発注管理
  5. アウトバウンド・ロジスティックス
  6. マーケティング・販売
  7. アフターセールスサービス
  8. 人事管理

それぞれのバリューチェーンにて付加価値を付け。顧客との信頼構築、利便性、美味しさという3つの差別化要因を生み出しました。

②ほけんの窓口グループ

ほけんの窓口グループは、さまざまな保険会社の商品を取り扱い、顧客のニーズに合った商品を提供する乗合型保険代理店です。顧客が抱く将来への不安を明確にして、それに適した保険を選択するサポートを顧客への価値提供としています。

ほけんの窓口グループでは6つのバリューチェーンを強化しています。特徴は相談会と人的資源管理です。

  1. 調達
  2. 顧客管理
  3. 相談会
  4. アフターセールスサービス
  5. 店舗開発・提携
  6. 人的資源管理

こうした独自のバリューチェーン活動によって、顧客のニーズ確認と商品選択のプロセスを支えています。このように徹底的に顧客に寄り添って顧客からの信頼を生み、高い収益を生み出しました。

③ネットプロテクションズ

ネットプロテクションズは、オンラインショッピングや通信販売などで商品を購入する際に、後払い決済サービスを提供している会社です。2002年から事業を開始したパイオニアといわれており、年間3,000万人超の買い物客が利用しています(2016年度)。

ネットプロテクションズのバリューチェーンは、「最も汎用性が高く最もサービス品質の高い決済サービスを提供」できるように組み立てられています。そんなネットプロテクションズでは、7つのバリューチェーンを強化しています。

  1. 与信審査
  2. 支払い請求・回収
  3. コールセンター運営
  4. セールス&マーケティング
  5. システム構築・開発・保守
  6. 全般管理
  7. 人的資源管理

特徴はユニークな人的資源管理にあります。こうした独自のバリューチェーンの活動によって、高い収益を生み出しました。

他社との差別化で高い利益を挙げている企業では、バリューチェーンを活用して自社独自の経営戦略を行っています

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4.バリューチェーン分析とは?

バリューチェーン分析とは前出の『競争優位の戦略』にて提唱されたバリューチェーンを各活動に分けて分析するためのフレームワークのこと。

バリューチェーンでは、製品の製造や販売、それを支える開発や労務管理など、すべての活動を価値の連鎖として考えます。バリューチェーン分析では、この連鎖を物の連鎖と、価値の連鎖の2つの軸から分析を行うのです。

バリューチェーン分析は原料の調達から顧客に商品が渡るまでの一連の流れを物の連鎖と価値の連鎖の2軸で行います

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5.バリューチェーン分析の目的

バリューチェーン分析の目的は、各活動を分析することで、どこの工程に問題があるのか、どこの工程で高い付加価値が生み出されているのかを明確にすることです。

またその結果によってコスト削減が進み、高い利益が生み出されます。さらに各活動を詳細に分析することで、競合店よりも優れた自社の強み、劣っている自社の弱みを明確にできるのです。

バリューチェーン分析を競合他社に対して実施すると、市場の変化や消費者ニーズの予測、今後の戦略の予測などが可能となるでしょう。

バリューチェーン分析を行うと、問題のある工程、付加価値の高い工程、また自社の強みと弱みなどが明確になります

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6.バリューチェーン分析のやり方、方法、流れ、ステップ

事業戦略を行う際に強い武器となるのがバリューチェーンです。具体的なバリューチェーン分析の方法を4つのステップに分けて紹介します。

  1. バリューチェーンの洗い出し
  2. コスト分析
  3. 強み、弱みの分析
  4. VRIO分析

①バリューチェーンの洗い出し

バリューチェーンの洗い出しとは自社の主活動、支援活動、それぞれにはどのような活動があるのかをできるだけ細かく洗い出すこと。さらに洗い出したすべての活動を細かく分類していくのです。この分析は業種や業界によって全く異なります。

たとえば通信業の場合、

  • ツールやサービスなど商材となるインフラの構築
  • 営業活動
  • 契約
  • サービス提供
  • 料金の徴収
  • アフターサービス

といった流れになり、小売業の場合、

どのような商品を店に置くのかを企画

  • 商品の仕入れ
  • 店舗運営
  • 集客
  • 販売
  • 店舗や商品によってはアフターサービス

といった流れになります。

②コスト分析

コスト分析とは細かく分類した各活動(営業活動、サービス提供、アフターサービスなどのことを指します)で、一体どれくらいのコストがかかっているかを分析すること。

分析の際、Excelなどの表計算ソフトを用いて、活動ごとに「年間コスト」「担当部署」などを記入すると分かりやすいでしょう。コツは、1つの部署で複数の活動を行っている場合は、活動時の比率で比較する点です。

また複数の部署で1つの活動を行っている際は、複数部署のコストを合算して明記します。コストをしっかりと把握することで、各活動での無駄なものが明確になるのです。

③強み、弱みの分析

強み、弱みの分析とは細分化したそれぞれの活動の強み(付加価値を生み出すに値するもの)、弱み(課題や改善点)などをできるだけ多く洗い出すこと。コツは、「少ない人員で行わない」です。

できるだけ多くの人に参加してもらい、それぞれの目線や情報源などからさまざまな意見や課題、改善点などを集めます。その際、自社と競合する他社の強みと弱みを記入する表を作成して、参加者に書き出してもらうとよいでしょう。

そして集めた情報をまとめて1つのシートを作成します。

④VRIO分析

VRIO(ヴァリオ)分析とは、

  • 価値(Value)
  • 希少性(Rareness)
  • 模倣可能性(Imitability)
  • 組織(Organization)

4つからそれぞれの活動を分析し、解決すべき課題のや重点的に取り組む優先順位、今後の戦略などの経営資源を見つけ出していくもの。

一般的なVRIO分析では、「価値、希少性、模倣可能性、組織の順番」で分析を行います。この4つの要素から、③で設定した強みをそれぞれ分析していきます。また、VRIO分析のやり方としては、表を作成して各担当者に記入してもらう方法が一般的です。

価値(Value)

価値(Value)を分析する際の評価項目の例は、

  • その経営資源は経営目標の達成に有効か?
  • その経営資源は価値を生み出すか?
  • 脅威の排除に役立つか?

これらの問いにイエスかノーで答えます。顧客にとっての価値ではなく、自社にとってその経営資源を戦略に組み込む価値があるかについて評価するのです。

希少性(Rareness)

希少性(Rareness)を分析する際の評価項目の例は、

  • その経営資源は希少性を持つか?
  • どのくらい多くの競合がその資源を持っているのか?
  • 代替可能性は低いか?

などでこれらの問いにイエスかノーで答えます。この問いでは、市場では大変珍しく、希少価値の高いものであるかどうかという点を重視します。希少性が高いほどユーザーの購買意欲を刺激することが可能です。

模倣可能性(Imitability)

模倣可能性(Imitability)を分析する際の評価項目の例は、

  • 模倣される可能性はどれくらいか
  • その経営資源を他社が得るためには多くのコストがかかるのか?

などでこれらの問いにイエスかノーで答えます。この問いによって、経営資源に対して他社が模倣する難易度を評価します。

模倣可能性の低い経営資源には、以下5つの要因が関係するとされています。

  1. 時間圧縮の不経済
  2. 経路依存性
  3. 因果関係不明性
  4. 社会的複雑性
  5. 特許

組織(Organization)

組織(Organization)を分析する際の評価項目の例は、

  • 経営資源を有効活用する組織構造になっているか

最後に自社がその経営資源をフルに活用できる組織体制になっているかを評価します。

ここまでの3つの分析で、経済価値が高く希少性もあり、模範される可能性も低い資源だと分かっても、うまく活用できるルール整備、競争優位の体制がなければうまくいきません。

VRIO分析によって、価値が高く希少性のある模倣困難な経営資源が何かを把握できます。また資源を活用するために強化すべき点が分かります

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7.バリューチェーン分析で使えるテンプレート、フォーマット

バリューチェーン分析は、テンプレートやフォーマットを利用するとスムーズに実施できます。その中には、無料で利用できるものも多数あるのです。

たとえば、「Edrawバリューチェーン作成ツール」は、バリューチェーン分析の例を無料でダウンロードできるのです。PDF形式とEDDX形式が用意されており、いずれも図面の色、テーマ、レイアウトなどを自由に編集できます。

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バリューチェーンのQ&A

バリューチェーンとは、原料の調達から顧客に商品が渡るまでの一連の流れを「価値の連鎖」としてとらえ、商品やサービスにどのような価値が加わっているかを明らかにするフレームワークです。ハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーター教授によって提唱されました。 競合とのバリューチェーンを比較し、強み・弱みを分析することで、事業戦略の改善などに役立てることができます。
バリューチェーン分析では、原料の調達から顧客に商品が渡るまでの一連の流れを「物の連鎖」と「価値の連鎖」の2軸で分析し、どの工程で高い付加価値が生み出されているのかを明らかにします。 ①バリューチェーンの洗い出し ②コスト分析 ③強み・弱みの分析 ④VRIO(ヴァリオ)分析 具体的には上記4つのステップで分析を実施します。
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