給与明細とは? 項目、見方、保管方法について

給与明細は、給与の支払い根拠が記載してある書類です。私たちにとって身近な給与明細について解説します。

1.給与明細とは?

給与明細とは、給与の支給額や控除額といった給与の計算根拠を表示した書類のこと

所得税法第231条第1項には、「居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。」と規定されています。

つまり給与明細の発行は、法令上の義務だと明記されているのです。

給与明細とは、給与を計算した根拠が記載された書類です。給与の支給額や控除額などが項目別に記されています

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2.給与明細の項目

給与明細に記載されている項目は3つあります。それぞれの項目は給与計算の根拠となっている項目であり、労使双方にとって重要な項目です。

  1. 支給額
  2. 控除額
  3. 差引支給額

①支給額

支給額は「額面」とも呼ばれるもので、基本給や残業代、住宅手当や通勤手当、役職手当など会社で規定されている各種手当などを合算した金額です。給与明細には、「勤怠」の欄もあり、給与計算の根拠とされる勤務実績の集計結果も記載されています。

また、勤務実績に遅刻や早退、欠勤があればそれも表示され、「遅刻早退控除」「欠勤控除の対象となります。これらは「控除」という名目で、一般的には支給額の欄にマイナスで表記されるのです。

②控除額

控除額に該当するものには、下記の通りです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 介護保険料
  • 雇用保険料

また、下記のように会社が独自に定める控除項目の控除額も記載されます。控除の欄に記載するかどうかは、所得税の計算に関係する控除かどうかで判断するのです。

  • 労働組合費
  • 積立金
  • 食事代
  • 財形貯蓄
  • 親睦会費

③差引支給額

給与明細に記載されている差引支給額とは、いわゆる手取り金額のこと。差引支給額は、「総支給額-総控除額」で計算され、支給方法には、「労働者の給与受取のための銀行口座へ入金」「現金で労働者に直接支給」などがあります。

労働基準法第24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と定められています。銀行振込は労働基準法第24条但し書きにより、特別に認められているのです。

給与明細には、「基本給および手当などの支給額」「所得税や住民税などの控除額」「支給額から控除額を差し引いた差引支給額」が記載されます

3.支給項目とは?

給与明細の支給額には、詳細な支給項目が記載されます。支給項目は、支給額の計算根拠を項目別に具体的に記したもので、支給額の内訳が分かる重要な項目なのです。

  1. 基本給・残業代
  2. 手当

①基本給・残業代

給与明細に記載されている支給項目の中で最も多く使用されるのが、基本給と残業代です。

基本給:給与の基本となる賃金で、職種や勤続年数、学歴や年齢などを勘案して決定される。月給だけでなく賞与や退職金の算定基礎として用いられるため、賃金体系の中心と位置付けられている

残業代:時間外労働や休日労働、深夜労働などにより、別途支給される賃金

②手当

基本給や残業代以外に給与明細に記載されている支給項目は各種手当です。各種手当には、下記のようなものがありますが、使用者が労働者に対して必ず支給しなければならないものではありません。

  • 住宅手当
  • 通勤手当
  • 役職手当
  • 皆勤手当
  • 家族手当
  • 扶養手当
  • 単身赴任手当
  • 勤務地手当
  • 出張手当

各種手当は、会社が独自に規定し支給している賃金で、職務や勤務条件などに応じて支給されます。

給与明細に記載されている支給項目は、「給与の基本となる基本給や残業代」「会社が独自に定める各種手当」です

4.控除項目とは?

給与明細に記載されている控除額には、詳細な控除項目が設定されており、ここからは支給額から控除される金額の内訳を確認できます。給与明細の控除項目を正しく理解するため、控除項目を5つに分類して解説しましょう。

  1. 社会保険
  2. 雇用保険
  3. 所得税
  4. 住民税
  5. その他会社ごとの控除

①社会保険

社会保険は、下記3つの公的保険で構成されています。

  • 労働者または被扶養者の疾病、負傷、死亡、出産に関して保険給付を行う健康保険
  • 労働者の老齢、障害、死亡について保険給付を行う厚生年金保険
  • 介護を事由として保険給付される介護保険

保険料は、原則として被保険者と事業主が折半して負担します。給与明細に記載される保険料額は、下記の計算式で求められます。

  • 健康保険料が標準報酬月額×健康保険料率÷ 2
  • 厚生年金保険料が標準報酬月額×18.300%÷2
  • 介護保険料が標準報酬月額×介護保険料率÷2

②雇用保険

雇用保険とは、労働者の失業や雇用の継続が困難になるといった事由などによって保険給付が行われるものです。適用事業に雇用される労働者で一定の要件を満たした人が加入でき、加入後は給与から保険料の控除が開始されます。

給与明細に記載される雇用保険料は、「給与額または賞与額×雇用保険料率」で算出します。雇用保険料では、下記に注意が必要です。

  • 労働者と事業主とでは雇用保険料率が異なる
  • 「一般の事業」「農林水産、清酒製造の事業」「建設の事業」で保険料率が異なる

③所得税

所得税とは、所得に応じて従業員が国に納める税金のことで、通常、下記の手順で納付が行われます。

  • 会社が従業員の毎月の給与から源泉徴収する
  • 源泉徴収した所得税を翌月10日までに納付する
  • 12月に年末調整を行って所得税の過不足を調整し、適正な所得税額を決定する

所得税は、総支給額から通勤手当など非課税扱いとなる金額を差し引き、それを源泉徴収税額表に当てはめて計算します。そして、「課税所得×税率-税額控除額」で再計算し、所得税の過不足を調整するのです。

④住民税

住民税とは、市町村に納める「市町村民税」と都道府県に納める「都道府県税」の総称で、前年1月~12月の給与所得に対し課税し、6月~翌年5月の給与より12カ月で分割し徴収します。

算出するための計算式は「所得割+均等割+利子割+配当割+株式等譲渡所得割」で、原則、「会社が従業員の給料から差し引く」「従業員の代わりに会社が納付手続きを行う」ことになり、この流れを「住民税の特別徴収」と呼ぶのです。

⑤その他会社ごとの控除

社会保険料や所得税、住民税は法定控除と呼ばれ、法律で定められている控除項目です。一方、会社ごとの控除とは、会社が独自に定めている控除項目で、労使協定による協定控除とも呼ばれます。

会社ごとの控除項目の具体例として挙げられるのは、積立金や財形貯蓄、社宅費や労働組合費などです。これらの控除項目は課税所得であるため、給与明細でそれぞれの項目ごとに控除額の欄に記載されます。

給与明細に記載される控除項目は、「社会保険」「雇用保険」「所得税」「住民税」「その他会社ごとの控除」の5つです

5.給与明細の差引合計額

給与明細には、いわゆる手取りの差引合計額があります。手取り額がどのくらいになるのかは、労働者にとって重要な問題。手取り額は一体どのように計算するのか、解説しましょう。

手取り額

差引合計額とは、いわゆる手取りつまり実際に受け取る金額のことで、「支給額合計-控除額合計」で算出します。控除額には、社会保険料や雇用保険料、所得税や住民税、会社が定める控除項目などがあります。

基本給や残業代、各種手当を合算した支給額合計から、控除額合計を差し引いた差引合計額が、銀行振込か現金支給、のどちらかの方法で労働者の手元に届く仕組みになっているのです。

差引合計額は、「支給額合計-控除額合計」で算出します。差引合計額は、銀行振込もしくは現金で労働者に支給されます

6.給与明細がもらえない場合

給与明細は、労働の対価として支給される給与金額が記載されている重要な書類ですが、労働者が給与明細を受け取れない場合があるのです。その場合、労働者はどのように対処したらよいのでしょうか。

給与明細は企業が必ず発行する

給与明細の発行は、会社に課せられている義務で、会社が給与明細を発行しなければならないという法的根拠は、「所得税法第231条」「健康保険法第167条第3項」「厚生年金保険法第84条第3項」にあります。

これらの法律には、税額や保険料額といった控除額が分かるように支払明細を交付しなければならないと明記されているのです。給与明細を発行してもらえない場合は、労働基準監督署に相談してみてください。

源泉徴収票がもらえない場合

給与明細だけでなく、源泉徴収票を発行してもらえないケースもあります。源泉徴収票とは、その1年間に「会社から支払われた給与額」「支払った所得税額」が記載されている書面です。

源泉徴収票の発行は、所得税法第226条で企業に義務付けられています。転職した場合、前職の源泉徴収票を新しい勤め先に提出すると年末調整の際に活用されるのです。

源泉徴収票を発行してもらえない場合は、最寄りの税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出すると税務署から企業に連絡してもらえます。

給与明細も源泉徴収票も、会社側での発行が義務付けられている書類です。発行されない場合は、監督官庁に問い合わせましょう

7.給与明細は残しておこう

手元にある給与明細は、保存しておかなければなりません。しかしなぜなのでしょうか。「給与明細を手元に残しておいたほうがよい理由」「いつまで給与明細を手元に残しておくのか、給与明細の保管期間」などから解説します。

残しておく理由

給与明細は、確定申告や失業給付金、厚生年金などの確認や申請に必要になる場面を考慮して、手元に残しておくとよいでしょう。

給与明細に記載されているデータは、

  • 確定申告書の作成時
  • 雇用保険の被保険者が失業した場合に、失業に係る給付金の申請時
  • 頻度は少ないながらも退職を予定している労働者が、毎月厚生年金が支払われているかを再確認するとき

などさまざまな場面で、支給総額や税額などを計算する際に必要になるのです。記録の保管、すなわち給与明細の保管は、将来の自分を守ることにつながると理解しておきましょう。

どのくらい保存しておくの?

給与明細は、一般的に現時点からさかのぼって2年前までの分を保管すべきだといわれています。なぜなら、未払いの給料や残業代は2年前までさかのぼって請求できるからです。

また確定申告の場合、過去5年分の給与明細が必要になることも。さらに、住宅ローンの申請などで収入額の証明に使用される場合もあるのです。

給与明細は、「確定申告」「失業給付金」「厚生年金などの確認や申請」などで必要になります。最低2年間は保管しておきましょう

8.給与明細の保管方法

給与明細を保管する場合、どのように保管すればよいのかについても知っておく必要があります。給与明細を必要としたときすぐ手元に取り出すことができなければ、保管する意味は薄れてしまいます。そこで、給与明細の保管方法について簡単に解説します。

ファイリング

ファイリングする場合には、給与明細を時系列に並べて1冊にまとめられるようなファイルに閉じるといったルールや方法で、給与の推移がいつでも簡単に把握できるように綴ります。給与明細に記載されている中身を確認しながらファイリングすることをお勧めします。

データにしておく

紙以外の保管方法として、「スマートフォンによる写真画像保管」「PDFでのデータ保管」「インターネットのクラウドサービスによるデータ保管」などがあります。

データで管理すれば、気軽にパソコンやスマートフォンなどからデータを取り出すこともでき、保管スペースも取らず便利です。

給与明細の保管方法は、時系列に並べてファイリング・データ化などがあります。いざという時に検索・確認しやすいように整理しておきましょう