基本給とは? 意味・定義、重要性について【固定給・月給・俸給・手取りとの違い】

仕事を比較する際に考える項目として、給料は欠かせません。しかし、給料がどのように構成されているか、皆さんはご存じでしょうか。

  • 基本給が持つ性質
  • 固定給や月給などの意味
  • 手当の種類

などを知っておくと、給料を比較する基準になります。給料は一体どうなっているのか、考え方を紹介しましょう。

1.基本給(の意味)とは?

基本給とは年齢や学歴、経験の他、能力や地位によって算定される給与のことで、会社から受け取る賃金の中で根本的な部分です。原則、同じ職責の社員に同じ賃金体系によるテーブルが適用されます。

基本給と月給の違い

  • 基本給:手当のようなオプションをすべて取り除いた「基本」の賃金
  • 月給:基本給にオプションとなる手当などを付与した賃金

基本給が18万円の場合、そこに手当などが付与され、月給は18万円以上となります。しかし、手当などが付与されず、「基本給のみが月給となる」場合も。

また、受け取る人によって手当があるかないか、どのくらいの額になるか異なります。募集時には詳細を記載しておくとよいでしょう。また、給与には2種類あります。

基準内給与
  • 所定労働時間内におけるもの
  • 基本給、そして変動のない手当(技能給や住宅、家族手当など)が含まれる
基準外給与
  • 所定労働時間外のもの
  • 休日出勤や残業などが含まれる

基本給と固定給の違い

求人情報などを見ると「固定給」という呼び方をしている会社もありますが、固定給とは何でしょうか?

「固定給」とは月単位や時間単位に対して、あらかじめ決まった額を支給する賃金体系のこと。たとえば固定給+歩合給という場合、決められた固定給に営業成績など業績に応じて手当がプラスされます。

完全歩合給や完全出来高という場合、固定給は一切ありません。業績に応じた分の賃金のみが支払われるシステムです。

基本給と俸給の違い

小説やドラマなどで俸給という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。俸給という言葉はどのような違いがあるのでしょうか。

実は俸給も働いた対価として受け取る賃金・給与という意味です。また国家公務員に支給される手当を除いた基本的な給料という意味もあります。また、俸給によって生計を立てるサラリーマンを俸給生活者と呼ぶことも。

給与(総支給額)の分類

給料と同様に給与という言い方もよく使われます。給与とは、労働契約に基づいて支払われる労働の対価のこと。

会社は給与をそのまま全額支払えばいいわけではありません。給与を計算するための基準となるのが基本給に諸手当をプラスして求める総支給額です。総支給額から控除額などを差し引いた額が差し引き支給額、いわゆる手取り額になります。

手取り額=基本給+手当ー控除

明細に書かれた給与額と実際に手にする金額は異なります。実際の額を手取りと呼ぶのですが、これは、給与から保険料(健康保険や厚生年金、雇用保険)や税金(所得税や住民税)といった控除を差し引いたもの。手取りの目安は、給与額の80%といわれています。

たとえば、基本給が18万円だったとしましょう。そこに残業代や手当が含まれ、給与は20万円になりました。すると手取りは、20万円の80%と考えますので、およそ16万円となります。

しかし、すべての場合で80%になるわけではありません。所得税は累進課税なので給与額に応じて変わるので。給与が60万円を超えた場合、給与額の75%ほどで、手取りはおよそ45万円になるでしょう。

基本給の種類

同じ基本給でも種類によって性質が違います。

  1. 仕事給型
  2. 属人給型
  3. 総合給型

①仕事給型

仕事給型は、仕事の内容や、職務遂行能力、業績、成果などによって基本給が決まります。特徴は学歴や年齢、勤続年数が決定付ける要素にならない点。純粋に仕事だけで基本給を定めるタイプです。労働の対価としての賃金を実現するタイプといえるでしょう。

②属人給型

属人給型は、学歴や年齢、勤続年数によって決まる基本給です。仕事給型と異なり、仕事の内容や職務遂行能力、成果などは決定要素に含まれません。

あくまでその社員個人の性質によって基本給が決定します。年功序列制における賃金体系で、本人給や勤続給という呼び方をする場合も。

年齢によって生活に必要な賃金の額は異なるため、生活保障の意味合いも持ちます。そのため年齢によって給与の額に差をつける考え方が採用されているのです。

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③総合給型

上記の仕事給型と属人給型を兼ね備えた基本給として総合給型が存在します。

  • 仕事給型:職務・職種などの仕事の内容や職務遂行能力、業績・成果
  • 属人給:学歴や年齢、勤続年数など

双方の要件が基本給の決定要素となるのです。仕事給型と属人給型が併存するタイプの基本給で、組み合わせ方や給与体系によってもタイプが変わります。

基本給は基準内賃金

給与は、性質が違うものを複数組み合わせて構成されます。それらを分類する考え方の一つが基準内賃金と基準外賃金です。

基準内賃金

時間外労働手当や不就労部分の計算をするときに給与の中に含む項目の賃金で、一般的に基本給や毎月固定的に支払われる諸手当(通勤手当や家族手当など)を含みます。

基準外賃金

休日手当や残業手当などがあります。

基準内給与 基準外給与
基本給
役職手当
職能手当、など
通勤手当
住宅手当
家族手当
時間外労働手当
臨時に支払われた賃金、など

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2.基本給に付与される手当

基本給は社員に支払われる根本的な給与ですが、諸手当はどうでしょう。基本給は同じでも諸手当は人によって異なります。

諸手当とは基本給を補充するものとして支給要件に該当する場合にのみ支給する賃金のこと。そのため賞与などの算定基礎にもなりません。

具体的には、

  • 通勤手当
  • 住宅手当
  • 家族手当

など。また変動する手当として時間外労働や休日出勤、皆勤に対する手当があります。

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労働基準法に定義されている手当一覧

手当と聞くと、「基本給以外に会社からもらえる賃金」のような曖昧なイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。実は労働基準法で定められた支払い義務がある手当は、時間外と休日出勤および深夜労働だけなのです。

時間外手当

時間外手当は法律によって支払い義務が定められた手当で、法定された労働時間は1日8時間、1週間で40時間。この法定労働時間を超えた時間に応じて支払われる手当が時間外手当です。

手当の額は基本給を時給換算した額の125%以上と決まっています。

休日出勤手当

休日出勤手当も法律によって支払い義務があります。日曜日などを会社が法定休日とする場合は、日曜日に出勤すると休日出勤手当が支払われます。休日出勤手当の額も基本給を時給換算した額の135%以上と決まっています。

深夜労働手当

法律では、深夜労働に対する手当の支払いが決まっています。深夜とされているのは午後10時から翌朝の午前5時まで。通常の賃金または時間外手当、休日出勤手当に上乗せして基本給を時給換算した額の25%以上が支払われます。

たとえば深夜残業した場合、時間外手当の125%にプラスして25%、つまり150%が賃金として支払われるのです。

仕事給的手当

仕事給的手当とは仕事を基軸として算定される手当のこと。主に以下の4つに分類されているので、一つずつ確認しましょう。

  1. 職務に関するもの(役職手当、営業手当など)
  2. 能力に関するもの(資格手当、技能手当など)
  3. 成果に関するもの(歩合給、達成手当、無事故手当など)
  4. 勤怠に関するもの(皆勤手当、精勤手当など)

職務に関するもの(役職手当、営業手当など)

役職手当は、職務に対する手当の代表的なもので、課長や部長などの役職付きの人に対して、その仕事や責任の重さに応じて支払われます。このような管理監督職は役職手当による優遇がある点から、法律上残業代を支払わなくてもよいとされています。

営業手当は営業職の社員に対して支払われる手当で、「営業手当はみなし残業代として支払う」と明記されていない場合、労働基準法に基づいて残業代が支払われます。

そのほか、

  • シフト制の人に対する特殊勤務手当
  • 高所作業など危険が伴う仕事を行う人に向けた特殊業務手当

など会社によって違いがあります。

能力に関するもの(資格手当、技能手当など)

能力や技能も手当によって優遇が受けられる場合があります。代表的なものとして資格手当が挙げられるでしょう。

  • 不動産会社:宅地建物取引士
  • 金融機関:ファイナンシャルプランナー
  • 製造業:フォークリフトやクレーン操作に関する資格

こうした資格を保有していると資格手当が支払われる場合があります。また熟練した技能を持つベテランが社内基準を満たした場合に技能手当を支払う会社も多いです。手当で優遇することで、退職を防いだり、技能や資格の取得を奨励したりしています。

成果に対するもの(歩合給、達成手当、無事故手当など)

純粋に仕事の成果に対して支払われる手当もあります。歩合給もこれに分類される代表的な手当といえるでしょう。

営業系の会社ですと、基本給より歩合給が高くなることも珍しくありません。また会社が定めた基準や目標を達成した場合に支払われる達成手当も存在します。運送業の仕事で一定期間無事故無違反だった場合に支払われる無事故手当も、成果に関する手当の一つと考えられるでしょう。手当を通じて社員のモチベーションアップも可能です。

勤怠に関するもの(皆勤手当、精勤手当など)

社員の勤怠について手当がつく会社もあります。特に小売業や接客業は社員が欠勤すると店舗が開けられないことも。そこで皆勤手当や精勤手当で働く社員の勤務を奨励するのです。

  • 皆勤手当:無遅刻無欠勤だった場合に支払われる手当
  • 精勤手当:会社が定めた基準をクリアした場合に支払われる手当

この手当は有給休暇を取得した場合であっても受け取ることができます。労働基準法で、有給休暇を利用した社員に不利益を課すことが禁止されているからです。

生活給的手当

生活給的手当とは生活を基準に支払われる手当のこと。生活を保障する意味合いで支給される手当で、大きく分けて以下の2つに分類されます。

  1. 私生活に関するもの(家族手当、住宅手当など)
  2. 転勤等に関するもの(地域手当、単身赴任手当など)

私生活に関するもの(家族手当、住宅手当など)

生活給的手当の中でも福利厚生としてよく耳にするのが家族手当でしょう。これは扶養に入っている家族に対して支給される手当です。

しかし近年、扶養家族と仕事の成果は関係がないとして、こうした手当を廃止する動きも出てきています。ベンチャー企業や成果主義の賃金体系を採用している会社では、家族手当がもともとなかったりく、住宅手当が一律で支払われたりすることもあるのです。

転勤などに関するもの(地域手当、単身赴任手当など)

私生活に関する手当は社員側の都合に対して支払われる手当ですが、転勤等に関する手当は会社の都合に応じて支払われます。

都市部など物価が高い地域での勤務では地域手当、単身赴任になった場合は単身赴任手当が支払われることが多いでしょう。また海外勤務など治安や衛生条件が悪い地域での勤務に対してハードシップ手当が支払われることも。

転勤時の経済的負担を補填するかたちで引っ越し手当が支払われることもあります。

実費弁償的手当の例

実費弁償的手当とは、必ずしも支払うものではないがさまざまなかたちで発生する費用を補填する目的で支給する手当のこと。下記に挙げる手当は法律上支払い義務はありません。しかし、さまざまな手当が会社によって定められているのです。

通勤手当

通勤手当は多くの会社で支給されているため、支払義務があると考える人も多いでしょう。しかし通勤に関する費用について労働基準法での支給義務はありません。

しかし「就労条件総合調査」(平成22年)によると、30人以上の会社のうち90%以上の会社で通勤手当は支給されています。

義務ではなくとも多くの企業が通勤手当を支給しているのです。また法の縛りがないため支給額や支給方法については会社が自由に決定できます。

近距離手当

通勤手当は多くの場合、公共交通機関を使用している社員に支払われます。では会社から徒歩圏内に住む社員はどうでしょうか。近距離手当は会社の通勤手当の軽減や社員の通勤による疲労の抑制を目的に公共交通機関を使わずに通勤できる社員に支給されます。数駅以内に居住していたり、自転車や徒歩通勤をしたりしている社員を対象に支払われるため、健康やエコの観点からも導入を検討してもいいでしょう。

BYOD(Bring Your Own Device)手当

近年、導入が増加しているものがBYOD(Bring Your Own Device)手当です。聞き慣れない人も多いでしょう。BYOD(Bring Your Own Device)手当は、パソコンやスマホなどの私物を業務で使用した場合に支給されるものです。

社員が業務で使用するアプリなどを自分のスマホなどにインストールして通勤時間などの勤務時間外に利用しているケースが考えられます。スマホ手当、パソコン手当という名称の会社もあるでしょう。どの程度の範囲で社員の私物に対して手当を出すかは会社によって違いがあり、議論が分かれています。

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マイカー手当

マイカー手当も上記のBYOD手当の一つとして考えられています。社員が、自家用車を社用車として使う代わりにマイカー手当を支払うというシステムです。ただし、自家用車に伴う費用はガソリン代の他に、メンテナンス費用、保険代などがあります。このような点をどう手当に反映させるかは課題でしょう。

3.基本給が高いことによる社員側のメリット

基本給とは給与の根本となるもの。基本給が高くなると社員に賞与や退職金が高くなったり、賃金の引き下げが起こりにくくなったりといったメリットが生じます。

①賞与(ボーナス)の額が上がる可能性がある

一つはボーナスの査定です。多くの会社が採用しているボーナスの算定式は「算定基礎額×賞与倍率+調整額」。算定基礎額に賞与倍率をかけて、功労や勤怠での評価を反映したい場合は調整額で加減算します。

この計算式では算定基礎額つまり、基本給が高いほうが賞与額も上がりやすいと考えられます。

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②退職金の額が上がる可能性がある

退職金の算定も多くの会社が基本給をベースに計算します。会社によって計算方法に違いはありますが、多くの場合、退職時の基本給(算定基礎額)×勤続年数ごとの係数×退職事由別の支給率で退職金を計算するのです。

退職金や賞与のほかに残業代や休日出勤手当も基本給から計算されます。つまり、基本給が高いことで手当に影響が及ぼされ、退職金額が上がる可能性も高まるのです。

③手当と違い、基本給は減額されにくい

基本給は会社の都合で下げることはできません。労働契約法にも、労働条件は契約当事者の合意によるため、その変更も当事者の合意によるものとされています。会社の運営が危ぶまれる場合でもなければ基本給を下げることは難しいでしょう。

しかし手当は、

  • 支給対象が変わった
  • 算定方式を見直した

といった変更理由をつくりやすいため、基本給よりも簡単に下げることができます。逆に言うと手当を多くしておいたほうが、賃金の引き下げは行いやすいのです。