資格手当とは? 資格ごとの金額の相場、注意点、受給事例

資格手当とは、資格を取得した者に支給する金銭です。手当が適用される資格や相場などについて解説します。

1.資格手当とは?

資格手当とは、業務に活用できる資格を新たに取得した従業員やすでに資格を取得している従業員に対し、会社が支給する金銭のこと。ここでは下記2つについて解説します。

  1. 資格手当の種類
  2. 合格報奨金

①資格手当の種類

資格手当には、資格手当と合格報奨金の2種類があります。

  • 資格手当…資格の種類や数に応じて毎月の給料に加算される手当
  • 合格報奨金…資格を取得した際、合格祝いの意味合いで支給される金銭

企業の多くは、「資格手当か合格報酬金のどちらか一方」もしくは「資格手当と合格報酬金の両方」どちらかを支給しています。

資格手当の支給が多い業種

資格手当の支給が多い業種は「IT業・金融業・建設業・医療業・不動産業」など。資格手当を支給するケースが多い業種としては、以下のものが挙げられます。

  • 専門的知識を要する業種
  • 業務に公益性や社会性が求められ、資格が社会からの信頼につながる業種
  • 資格取得者の数が企業価値の向上につながる業種

資格手当がつく国家資格

資格手当がつく国家資格は、「宅地建物取引士・建築士・電気工事士・中小企業診断士・社会保険労務士・管理栄養士・理学療法士・介護福祉士・衛生管理者・危険物取扱者」など。

「難易度が高い資格・国家試験を受けなければ取得できない資格」などは、資格手当の金額が高い傾向にあります。

②合格報奨金

合格報奨金とは、新たに資格を取得した際、お祝いという意味合いで支給されるもの。対象となる資格や金額は、企業ごとに異なります。

金額は一般的に、業務上での必要性や資格の難易度によって決まるのです。また企業によっては合格報酬金とは別に、受験料や資格更新料を支給するケースもあるのです。

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2.公的資格と民間資格、手当の相場は?

公的資格と民間資格、それぞれにおける手当の相場はどのくらいなのでしょう。下記4つの資格からそれぞれの相場を解説します。

  1. TOEIC
  2. 日商簿記
  3. 秘書検定
  4. インテリアコーディネーター

①TOEIC

TOEICとは、「財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会」が運営している、世界共通のテストです。英語を母語としない人を対象に、英語によるコミュニケーション力を判定します。スコアは以下のように5点刻みです。

  • リスニング…5~495点
  • リーディング…5~495点
  • トータル…10~990点

資格手当はトータルスコアにより、3,000~2万円程度となります。

②日商簿記

日商簿記とは、日本商工会議所が主催している資格です。企業の経営活動を記録し、計算、整理したり企業の経営成績と財政状態を明らかにしたりするといった技能の習得度を測定できます。

取得すれば、「会計知識・財務諸表を読む力」「基礎的な経営管理と分析力」「コスト感覚」などが身に付くのです。1~3級まであり、資格手当の相場は取得した級により3,000~2万円程度となります。

③秘書検定

秘書検定とは、社会に出て働く人であれば誰もが身に付けておかなければならない基本的な常識を集約した検定試験のこと。

取得すれば「秘書としての資質と役割」「社会的常識」「経営管理知識」「マナーや話し方・接遇などの知識」「文書作成や資料管理の知識やスキル」などを身に付けられるのです。

資格は「1級・準1級・2級・3級」と設定されています。資格手当の相場は取得した級に応じて500~1万円程度です。

④インテリアコーディネーター

インテリアコーディネーターとは、住む人にとって快適な住空間を創造するための提案を行う専門職です。

内装・家具・住宅設備などのインテリアに関する幅広い商品知識を生かして、住宅メーカーやインテリアメーカー、工務店などでインテリア計画や商品選択のアドバイスを実施できます。資格手当は、5,000~1万円程度です。

資格手当の相場は、「企業の規定・取得した資格・資格が設けている級」によって変わります

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3.国家資格、手当の相場は?

国家資格の場合、資格手当はどうなるのでしょう。10個の資格手当について解説します。

  1. 危険物取扱者
  2. 宅地建物取引士
  3. 電気工事士
  4. 建築士
  5. 中小企業診断士
  6. 社会保険労務士
  7. 管理栄養士
  8. 理学療法士
  9. 介護福祉士
  10. 衛生管理者

①危険物取扱者

危険物取扱者は、「一定数量以上の危険物を貯蔵している・一定数量以上の危険物を取り扱う」施設(化学工場やガソリンスタンドなど)での在籍が義務付けられている国家資格です。

試験日は前期と後期があり、複数日程から選択できます。資格の種類は下記のとおりで、資格手当の相場は種別で異なり、1,000~3,000円程度です。

  • 全類の危険物を取り扱う甲種
  • 指定の類の危険物を取り扱う乙種
  • 特定の危険物を取り扱う丙種

②宅地建物取引士

宅地建物取引士は、宅地建物取引業に関する実用的な知識を有する、不動産取引法務の専門家です。

「宅地または建物の売買・交換または貸借の取引に関する購入者の利益保護」「円滑な宅地または建物の流通」に資するよう、公正かつ誠実な事務を行いまうための資格です。

宅地建物取引業者は、国土交通省令で定める数だけ、専任の宅地建物取引士を置かなければなりません。宅地建物取引士の試験は、毎年1回、10月の第3日曜日に実施されます。資格手当の相場は、1万~3万円程度です。

③電気工事士

電気工事士とは、ビルや工場、商店や一般住宅といった施設における電気の安全を守るため、電気工事を行う資格です。下記の2種類があります。

  • 第二種の範囲と最大電力500キロワット未満の工場、ビルなどの工事に従事できる一種
  • 一般住宅や店舗などの600ボルト以下で受電する設備の工事に従事できる二種

一種には年1回、二種には年2回の試験日が設けられており、資格手当の相場は1,000~1万円程度です。

④建築士

建築士とは、一定の建築物の設計や工事監理を行うための資格で、下記のような種類があります。

  • すべての構造や規模、用途の建築物の設計、工事監理が実行できる1級建築士
  • 比較的小規模な建築物についてのみ設計、工事監理が実行できる2級建築士
  • より小規模な木造建築物について設計、工事監理が実行できる木造建築士

資格手当の相場は各資格で異なり、8,000~3万円程度です。

⑤中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。主な業務は、下記のようになっています。

  • 経営の診断および経営に関する助言
  • 現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイス

中小企業診断士になるには、第1次試験と第2次試験に合格し、実務補習の修了か診断実務への従事が必要となります。資格手当の相場は、1万~3万円程度です。

⑥社会保険労務士

社会保険労務士は人事労務の専門家で、主な業務内容は以下のとおりです。

  • 労働社会保険諸法令にもとづく申請書や帳簿書類の作成
  • 申請書等の提出代行や申請の事務代理
  • 個別労働関係紛争のあっせん手続の代理
  • 個別労働関係紛争について、裁判外紛争解決手続きにおける当事者の代理
  • 労務管理そのほかの労働および社会保険に関する事項についての相談および指導

資格試験は年1回、資格手当の相場は3万~5万円程度です。

⑦管理栄養士

管理栄養士は、専門的な知識と技術によって栄養指導・管理や給食管理を行う専門家のこと。「医療施設・老人福祉施設・児童福祉施設・小、中学校・行政機関・企業」など、さまざまな職場で活躍しています。

管理栄養士になる方法は、養成課程がある学校へ入学し、所定の課程を修得して卒業すること。資格手当の相場は、5.000~3万円程度です。

⑧理学療法士

理学療法士は、医学的リハビリテーションの専門職のこと。ケガや病気などで体に障がいのある人や障がいの発生が予測される人に、基本動作能力の回復や維持、障がいの悪化を予防する運動療法や物理療法を実施します。

理学療法士の国家試験を受験するには、養成校で3年以上学ぶ必要があるのです。試験は、年1回、筆記試験と口述試験および実技試験。資格手当の相場は、1万~2万円です。

⑨介護福祉士

介護福祉士は、専門的知識および技術を生かして、下記のような事柄を行う専門家です。

  • 身体上もしくは精神上の障がいで、日常生活に支障がある者の心身の状況に応じた介護
  • その者およびその介護者に対して介護に関する指導

介護福祉士の活躍の場は、病院や介護老人保健施設、特別養護老人ホームやデイケアセンターなど。試験は年1回で、筆記試験や介護などに関する実技試験が行われます。資格手当の相場は、5,000~1万5,000円程度です。

⑩衛生管理者

衛生管理者は、「労働災害の防止・危害防止基準の確立・責任体制の明確化・自主的活動の促進・労働者の安全と健康の確保・快適な職場環境の形成」を行う専門職です。常時50人以上の労働者を使用する一定の事業場では、選任が義務付けられています。

衛生管理者には、「衛生工学衛生管理者・第一種衛生管理者・第二種衛生管理者」の3種類があり、資格手当の相場は、2千~1万円程度です。

国家資格の資格手当における金額は、企業ごと・資格の難易度・資格の等級などによって変わります。資格ごとにおおよその相場を把握しておきましょう

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4.資格手当の適用と支給されるパターン

資格手当によって従業員は、

  • 毎月の給与額がアップ
  • 資格取得に要した資金をペイできる
  • スキルアップできる

といったメリットを得られます。では資格手当はどのような場合に支給されるのでしょうか。下記2つから解説します。

  1. 資格手当が適用される資格
  2. 資格を所持するだけで支給が発生するパターン

①資格手当が適用される資格

国家資格であれば中小企業診断士や宅地建物取引士、危険物取扱者や建築士など、業務遂行に資格が必須である場合に適用されます。

民間資格では、日商簿記やTOEIC、マイクロオフィススペシャリスト(MOS)など、実務にかかわる資格に適用されるのです。

②資格所持だけで支給されるパターン

資格を所持しているだけで資格手当が支給されるパターンもあります。この場合、以下のいずれかがほとんどです。

  • 無期限で資格手当が支給される
  • 資格取得から3~5年など、支給期間を定めて資格手当が支給される

資格手当の支給要件は、会社や部署ごとに異なる場合も。規約や規定をあらかじめ確認しておきましょう。

資格手当の支給は、従業員にメリットをもたらします。資格手当が支給される要件を確認しておきましょう

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5.資格手当の注意点

せっかく資格を取得したのに資格手当が出ない、といったトラブルが起きる場合もあります。一体どのような点に気を付ければよいのでしょう。

会社規定をよく確認する

資格手当の支給について、会社規定を確認しましょう。特に以下のような点をチェックするとよいです。

  1. どの資格が資格手当の対象なのか
  2. 毎月の給与で支払われるのか、一時金で支払われるのか
  3. 無期限で支給されるのか、期限付きで支給されるのか
  4. 規定は会社で統一されているのか、部署ごとに異なる規定があるのか

資格手当についてのトラブル回避するためにも、資格手当の対象・資格手当の支給方法などの規定を確認しておきましょう  

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6.資格手当の受給事例

資格手当の受給事例にはどのようなものがあるのでしょう。下記4つのケースから、平均的な手当金額や職業例について見ていきます。

  1. 管理栄養士
  2. 日商簿記
  3. インテリアコーディネーター
  4. 手当が支給される資格を2つ取得した

①管理栄養士

管理栄養士の資格がある場合、資格手当として月5.000円程度が支給されます。管理栄養士になる方法は、養成課程がある学校へ入学し、所定の課程を修得して卒業すること。

多くは「もともと食に興味をもっていた」「食に関してアドバイスをする職に就きたい」といった理由から、取得するとされています。

②日商簿記

日商簿記の資格がある場合、資格手当は月3.000円程度支払われます。特徴は、「2級や3級で財務担当者の道が開ける」「1級は公認会計士や税理士など国家資格への登竜門となり、合格者は税理士試験の受験資格が得られる」。

そのためキャリアアップを狙う目的で資格を取得するケースが見られます。

③インテリアコーディネーター

インテリアコーディネーターの資格がある場合、資格手当は月5,000円程度支給されます。

「住空間をコーディネートしたい・自分のセンスを生かして働きたい・単なる事務ではなく、人と関わる仕事がしたい・インテリアや空間デザインに興味がある」といった理由から、資格を取得するケースがあるようです。

④手当が支給される資格を2つ取得した

資格手当の対象資格を2つ取得した場合、両方を合算した支給が多いとされています。

複数の資格を取得する理由として挙げられるのは、「関連する資格を複数取得して、勉強時間や費用を抑える・就職や転職活動といった今後を有利に進めたい・幅広く仕事をこなしたい」などです。

資格を取得した結果、資格手当が支給されて収入がアップするケースもあります。会社の規定を確認してみましょう