給与計算とは?【初心者にもわかりやすく解説】計算ソフト

給与計算とは、従業員の給与額を決定するために、月々の支給額や控除額、手取り額を計算する業務のこと。複雑な計算となるので、これらを自動計算する給与計算ソフトも登場しています。

1.給与計算とは?

給与計算とは、従業員に毎月支払われる給与の計算を行う業務のこと。給与計算では、総支給額から税金や社会保険などの各種控除を差し引き、実際の従業員の手取り額を計算して「給与明細票」の形で各従業員に提示します。

会社と従業員は「労働の対価として毎月給与を支払う」という労働契約を結んでいるため、定められた期日に正確な金額の給与を支払わなければなりません。正確な計算を行うためには、社会保険制度や税制度、会社の規則や規程などを熟知している必要あります。

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給与計算の基本的な考え

給与計算の基本は、「総支給額-控除額=手取り支給額」です。それぞれの考え方は以下のとおりです。

  • 総支給額:基本給に各種手当や残業代を足した金額
  • 控除額:従業員数が支払わねばならない社会保険料や税金など
  • 手取り支給額:従業員へ支払われる最終的な金額

たとえば総支給額30万円に対して控除額の合計が5万円であった場合、手取り支給額は25万円となります。

総支給額

総支給額とは、基本給と各種手当を合算した合計金額。「額面」と呼ばれることもあります。基本給とは毎月固定で必ず支払われる金額で、各種手当や残業代などは含みません。手当とは基本給のほかに諸費用として支払われる賃金。手当の例には以下のものが挙げられます。

  • 扶養手当
  • 地域手当
  • 住居手当
  • 通勤手当
  • 資格手当
  • 役職手当

もちろん会社によって支払われる手当は異なります。

控除額

控除額とは総支給額から差し引かれる金額の総額。控除額には法律で金額が定められている「法定控除」と、会社が就業規則などで金額を定めている「協定控除」の2種類があります。それぞれの控除例は以下のとおりです。

法定控除
  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 介護保険料
  • 雇用保険料
  • 源泉所得税
  • 住民税
 協定控除
  • 社宅費
  • 財形貯蓄費
  • 労働組合費
  • 従業員持株会の拠出金
  • 社員旅行積立費

差引支給額(手取り額)

差引支給額(手取り額)は、総支給額から控除額を引いて残った金額。「可処分所得」とも呼ばれます。この差引支給額が、実際に従業員に支払う給与となるのです。一般的に、差引支給額は総支給額の8割ほどといわれています。

給与計算担当者が知っておくべきポイント

給与計算は従業員が生活をするための基本となる報酬を決定する業務であるため、会社においても重要な業務のひとつです。給与計算の携わるならば知っておきたい3つのポイントを説明します。

賃金支払いの5原則

賃金支払いの5原則とは、労働基準法24条で定めている賃金支払いに関するルールのこと。条文内にて、賃金の支払いにおける義務が5点書かれていることから賃金支払いの5原則と呼ばれます。賃金支払いの5原則の内容は以下のとおりです。

  1. 通貨払いの原則
    賃金は原則として国内で流通する貨幣で支払わなければなりません
  2. 直接払いの原則
    賃金は労働者に直接支払わなければなりません。親権者や法定代理人への支払いは原則違法です
  3. 全額払いの原則
    賃金は原則として全額支払われなければなりません。法定控除以外はすべて労働者と使用者の間での合意が必要です
  4. 毎月1回以上払いの原則
    賃金は最低月1回支払われなければなりません。ただし賞与(ボーナス)など臨時の賃金は除きます
  5. 一定期日払いの原則
    賃金は定められた期日に定期的に支払われなければなりません。ただし賞与(ボーナス)など臨時の賃金は除きます

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情報漏洩のリスク

給与計算に関わる担当者は、常に情報漏えいのリスクと向き合っている自覚を持たなければなりません。給与計算を行う際には、従業員の基本情報や税金や社会保険に関する情報、金融機関の情報などを取り扱うことになるからです。

また個人情報の漏えい問題を重く見た政府は、個人情報保護法に違反した場合の罰則を2020年12月から厳罰化。個人情報保護法の義務に違反した法人に対する罰則が「30万円以下」から「1億円以下の罰金」となりました。

給与計算における個人情報の扱いには十分に注意しましょう。

給与計算実務能力検定

給与計算実務能力検定とは、給与計算業務の実務能力を客観的に判定する検定試験。内閣府認可の一般財団法人職業技能振興会および一般社団法人実務能力開発支援協会によって実施されています。試験の概要は以下のとおりです。

給与計算実務能力検定要綱
  • 試験日:2級は11月と3月、 1級は11月のみ
  • 試験会場:東京や大阪などの主要都市
  • 受験料:2級は8,000円、1級は10,000円
  • 受験資格:問わない
主な試験内容
  • 給与の仕組み、社会保険、税などの基礎知識
  • 労働基準法などの法的知識
  • 給与計算、賞与計算、年末調整などの実務演習

なお試験問題は原則「給与計算実務能力検定 公式テキスト」に沿って出題されます。

給与計算で必要となる社会保険の仕組みや労働法令、所得税や住民税などの税法に関する広範な知識が習得できるため、処理ミスの削減や労務コンプライアンスの向上が期待できます。

給与計算システムの導入や法令改正などがあっても、基礎知識がついているため柔軟に対応できるようになるでしょう。

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2.給与計算における総支給額の計算方法

総支給額の計算では、基本給と各種手当のほか、交通費などを含めなければなりません。それぞれの金額を求めるための計算方法を解説します。

勤務時間を計算する

給与計算は、従業員の勤務時間の確認からスタートします。タイムカードなどで勤怠の状況が正しく申請されていることが大前提です。勤務時間計算では、以下のような項目を集計します。

  • 総労働時間
  • 遅刻・早退の時間
  • 欠勤日数
  • 時間外労働
  • 休日労働時間

なお法定労働時間は「1日8時間以内、1週40時間以内」、法定休日は「週に1回以上、または4週のうち4日間以上」です。

法定労働時間を超えた勤務時間数や、法定休日に労働した場合は「時間外労働」として扱います。

時間外手当を計算する

時間外手当の対象となる残業には、「法定時間内残業」と「法定時間外残業」の2種類があります。法定時間内残業とは、法定労働時間内(1日8時間以内)で勤務時間を延長すること。

法定時間外残業とは1日8時間を超過した勤務のことです。一般的には法定時間外残業を「時間外労働」と呼び、割増賃金を支払う義務が生じます。

法定時間内残業に関しては会社によって手当の有無が異なるため、社内規則や規程に従いましょう。

時間外手当の計算方法は以下のとおりです。
時間外手当=時間外労働時間×時給換算の賃金×割増率

なお割増率は、労働基準法で以下の料率に設定されています。

  • 時間外:1日8時間、1週40時間を超えた、あるいは1か月45時間、1年360時間等を超えた場合は25%。1か月60時間を超えた場合は50%
  • 深夜:勤務時間が22時から翌5時の間となる場合は35%
  • 休日:法定休日に出勤させた場合は25%

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各種手当の計算をする

総支給額として計算される各種手当には、労働基準法37条第1項および第4項で定められた割増賃金と、会社が任意に設定する手当の2種類があります。

一般的に割増賃金は、給与支払い上での名目を「手当」とすることが多いでしょう。それぞれの手当は以下のとおりです。

労働基準法の割増賃金(手当)
  • 時間外手当
  • 休日手当
  • 深夜手当
会社が任意に設定する手当の例
  • 職務関連:役職手当、営業手当
  • 能力関連:技能手当、資格手当
  • 勤怠関連:精皆勤手当
  • 業績関連:歩合給、達成手当
  • 生活補助関連:住宅手当、家族手当、地域手当、通勤手当

これらの支給は全て任意であり、手当の名称や金額は会社ごとに設定できます。

総支給額を計算する

総支給額の計算手順は以下のとおりです。

  1. タイムカードなどの勤怠表を確認
  2. 勤務時間数の計算から残業時間を算出
  3. 残業に関わる割増賃金を計算
  4. 各種手当を計算
  5. 上記の手順で導き出された基本給と割増賃金、各種手当を合算して総支給額を算出

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3.給与計算における控除額の計算方法

控除対象の計算では、社会保険料と税金、雇用保険料は必須です。そのほかに会社独自の控除がある場合は、それも含めて控除の総額を計算します。

社会保険料を計算する

社会保険料は「健康保険料」と「介護保険料」、「厚生年金保険料」の3種類です。それぞれの料率が異なるので注意しましょう。

  • 健康保険料:標準報酬月額×健康保険料率÷2
    健康保険料率は、年度や都道府県によって異なります。たとえば2021年3月以降、東京の健康保険料率は9.84%です。
  • 介護保険料:標準報酬月額×介護保険料率÷2
    介護保険料率は、一律1.80%。40歳から64歳までの人を対象に加算されます。
  • 厚生年金保険料:被保険者の標準報酬月額×保険料率÷2
    一般企業に在籍する従業員の保険料率は、2021年12月時点で18.3%です。

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雇用保険料を計算する

雇用保険とは、従業員が退職などで賃金報酬を失った際に「失業給付金」を受けるための保険料。1か月以上の雇用が見込まれており、1週間当たり20時間以上勤務する従業員は雇用保険に加入しなければなりません。

雇用保険料は賃金に対して0.9%の料率で計算され、このうち0.3%が従業員の負担となります。なお雇用保険に1年以上加入していると、教育訓練給付制度を利用することもできます。

所得税を計算する

税額表による所得税の計算は、以下の手順で行います。

  1. 総支給額から社会保険料を控除した金額(社会保険料控除後の給与)を算出
  2. 扶養親族の人数を確認
  3. 社会保険料控除後の給与と扶養親族等の人数を、その年度の「源泉徴収税額表」にあてはめ、該当する金額が所得税の金額となる

なお源泉徴収税額表は、国税庁のホームページで確認できます。

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住民税を計算する

住民税の計算は、「所得割額+均等割額」です。所得割額と均等割額の算出方法は以下のとおりです。

所得割額

所得割額=((収入金額- 給与所得控除額)-所得控除の合計額)×税率

給与所得控除額は給与収入の金額によって異なり、所得控除は、配偶者や扶養親族、前年に支払った社会保険料などで控除額が定められています。

税率は、県民税4%と市民税6%の計10%が一般的です。なお所得割額は、1,000円未満の端数は切り捨てます。

均等割額

所得額にかかわらず一律に課せられる住民税であり、地域によって異なります。

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会社独自で定める控除額があれば計算する

総支給額からの控除に関しては、社会保険料や税金のような公的に定められた項目のほかにも、会社が独自で設定する場合もあります。たとえば以下のような項目です。

  • 親睦会費
  • 社員旅行積立金

労働組合が結成されている場合には、組合費も控除される場合もあります。

合計控除額を計算する

控除額の合計は、

控除額=社会保険料+所得税+住民税+その他控除

の計算で計算できます。総支給額から計算した合計控除額を差し引いた金額が手取り支給額となります。

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4.給与計算のための事前準備

従業員の給与を計算する際は、賃金に関する社内規程が整備されていることが前提です。さらに従業員に関するさまざまな情報と関連書類が必要となります。

就業規則の作成

就業規則には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」と、必要に応じて記載する「相対的記載事項」の2種類があります。給与に関する規則は絶対的記載事項に該当します。労働基準法第89条で指定されている記載項目は以下のとおりです。

絶対的記載事項
  • 始業及び終業の時刻と休憩時間、休日と休暇、ならびに交替制の場合には就業時転換に関する事項
  • 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  • 解雇の事由を含む、退職に関する事項

上記の項目を一般的な項目にすると、以下のようになります。

  • 賃金の構成(基本給や手当、割増賃金など)
  • 賃金の締切日と支払日
  • 支払い方法
  • 退職手当

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社員情報の収集

給与計算では、以下のような情報が必要となります。

総支給額の算出に必要な情報
  • 労働者氏名
  • 賃金計算期間
  • 労働日数および労働時間数
  • 時間外労働時間数
  • 基本給や、手当などの種類と金額
  • 転勤や転居の有無
控除額の算出に必要な情報
  • 家族構成と扶養家族の有無
  • 社会保険と介護保険、雇用保険への加入状況

上記のうちほとんどは「賃金台帳」で確認できます。賃金台帳とは、労働基準法第108条によって会社に作成が義務付けられている「法定三帳簿」のうちのひとつです。

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給与計算に必要となる書類の準備

給与計算で必要となる書類は、大きく分けると「毎年本人から提出されるもの」と「会社で用意するもの」の2種類です。

前者は給与計算の前に本人から事前に受け取らなければならないため、忘れないように注意しましょう。ここでは5つの書類について解説します。

扶養控除等異動申告書

扶養控除等異動申告書とは、従業員の扶養家族について有無や人数を確認するための書類。毎年の年末調整を行う際に必要となるので、その前に配布と回収を行っておきましょう。扶養控除等異動申告書の情報から以下の控除額を計算します。

  • 扶養控除
  • 障害者控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除

なお扶養控除等異動申告書は、本年分と翌年分の2枚の書式を発行します。「その年の1月から12月の給与」と「年1月以降の給与」を計算するためです。

タイムカード

タイムカードとは、従業員が出勤や退勤、休憩などの時間を打刻するカード。総支給額を計算するために、タイムカードから以下の勤務状況を把握します。

  • 出退勤の時間
  • 途中休憩など勤務から除外する時間
  • 残業の有無

タイムカードは不正打刻の発生や集計に時間がかかるなどのデメリットもあるため、最近では勤務管理システムを導入する会社が増加しているのです。

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源泉徴収税額表

源泉徴収税額表とは、給与額や扶養家族の状況などから所得税と復興特別所得税の課税額を把握するための表。国税庁のホームページで確認できます。

源泉徴収とは、所得に対する税金をあらかじめ給与から差し引いて納付する制度。一般的に「天引き」とも呼ばれます。毎月給与計算の際に、源泉徴収税額表にもとづいて、毎月の徴収税額を算出するのです。

住民税特別徴収税額の通知書

住民税特別徴収税額の通知書は、住民税の納付額を通知する書類。特別徴収とは会社などが納税者に代わって税金を納付する仕組みです。そのためこの通知書は役所から会社へ送付されます。この表で確認できるのは以下のような項目です。

  • 給与収入額と給与所得額、その他の所得金額
  • 課税標準額(総所得額と分離課税額)
  • 所得控除額とその内訳、および人的控除等(配偶者や不要親族の有無)の内訳
  • 寄附金税額控除額(ふるさと納税など)
  • 税額(所得割額と均等割額、特別徴収税額)
  • 毎月の給与から差し引かれる税額

社会保険料の納入告知書

社会保険料の納入告知書は、前月の給与に対して発生した社会保険料が記載されている書類。毎月末頃に年金機構より送達されます。

年金機構が発行する納入告知書には誤りが無いことが前提となりますので、告知額をそのまま支払っても問題はありません。

新たに介護保険料が発生する従業員や、社会保険料率や標準報酬月額に変更がないかを確認しておくと安心です。

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5.給与計算ソフトを使えば、コストもミスも手間も削減

毎月の給与計算は複雑な手順と事前準備が必要であり、しかもミスが許されない業務です。そのため給与計算は、給与計算ソフトを活用するのがおすすめです

。事前情報の準備や勤務時間、時間外勤務時間の計算、各種控除額の算出といった煩雑な作業が自動化できるため、多くの従業員がいる会社ほど業務効率のアップや、人的コストの削減につながります。

給与計算ソフトを導入するメリット

給与計算ソフトとは、入力した従業員情報や勤怠情報から自動的に給与額が計算されるソフト。給与計算ソフトの導入で得られるメリットを3つ解説します。

効率化とコストカット

月々の作業は勤怠状況の変化を入力するだけで明細発行まで自動的に進められるため、業務効率の向上と人的コストの削減に貢献します。

ソフトを使わない場合は、タイムカードからの勤怠状況の集計や、さまざまな規則に沿った控除額の算定などで大きな労力を要するでしょう。それだけでなく最終的には給与明細を発行するというタスクも増えます。

給与ソフトを利用するにあたって初回の情報整備などの手間は必要ですが、以降の作業の多くを簡略化できるのです。

人的ミスの予防

給与計算で起こり得る計算ミスや入力ミスなどを減らせます。手作業の場合、勤務時間数は勤怠情報から一人ひとり算出しなければなりませんし、社会保険や税金の控除額なども複雑です。毎月まったくミスをせず給与計算を完了させるのは簡単ではありません。

給与計算ソフトへ社会保険の科率や時間外労働の割増率などを登録しておけば計算ミスを防げます。また給与計算ソフトと勤怠システムや人事労務システムと連携できれば、勤務時間数などを算出する手間も不要です。

法改正への対応

クラウド型の給与計算ソフトには、法改正や社会保険関連のルール改正などの情報を、自動的に取り込んで反映させる機能が搭載されています。これらが施行されると給与計算に用いる率などが変わり、給与計算業務では混乱を招きかねません。

アップデート機能があれば、担当者が常に関係法令や各種通達の確認を行う手間がなくなり、見落とすリスクも回避できるのです。

給与計算ソフトの主な機能

給与計算ソフトの主な機能は、「給与の自動計算」と「書類を電子化」、「勤怠管理」です。ただしソフトによってどこまでできるかは異なりますので、導入前に機能をよく確認しましょう。

給与の自動計算

事前に設定された給与規定やルールに沿って、自動的に給与額を算出する機能。従業員の雇用形態や条件によって、どの給与計算方式を適用するかを個々に設定できます。たとえば正社員は月給制による固定給与、パートやアルバイトは時給制による従量計算などです。

別途勤怠管理システムを導入している場合は、出退勤などのデータを取り込めば給与の自動計算を行えます。

給与明細などの書類を電子化

電子データで給与明細書や源泉徴収票などを発行し、それらの出力や管理を行う機能。月々の給与明細だけでなく賞与明細も発行できますし、明細の様式もカスタマイズが可能です。

また給与計算では、前月までの給与明細や前年までの源泉徴収票、入社時の雇用契約書なども参照することがありますが、ソフトによってはこれらを同時に管理できます。給与明細書をペーパーレス化すれば、印刷や封入といった手間やコストの削減につながるでしょう。

勤怠情報の管理

給与計算ソフトによっては、勤怠情報の一元管理も可能です。時間外勤務状況の把握や、残業手当などの適正な付与、各種賃金の未払いの防止など、勤怠に関連するリスクの回避につながります。

クラウド型給与計算ソフトであれば、インターネットを通じて自動で勤怠情報を収集するので、リモートワークや在宅勤務といった、新たな勤務形態の従業員がいても計算ミスを防げるでしょう。

無料で給与計算できるも給与計算ソフトも

有料ソフトを導入せずに、無料で利用できる給与計算ソフトを活用する方法もあります。無料ソフトであっても、基本的には以下の機能を備えているからです。

  • 自動計算機能
  • 勤怠データ管理機能
  • 給与明細電子化機能
  • 計算方式の設定機能

ただし無料ソフトの場合は、「従業員5人まで」などの制限が設けられている場合もあるので注意が必要です。