人事施策とは? 意味、トレンド、施策の種類、事例について

人事施策とは、人事部が行う人事全般についての施策のこと。働き方改革施行を目前にして人事施策についての議論が盛んに行われていることから分かる通り、

  • 人事施策
  • 各企業の経営
  • 少子高齢化に伴う労働力不足の補充
  • 労働者それぞれの働きがい

といった社会のさまざまな問題にも関わっているのです。

  • 人事施策とは何か
  • 人事施策の意味やトレンド、
  • 人事施策の種類や企業における事例

などについて解説しましょう。

1.人事施策とは?

人事施策は人事部が行う「社員の採用から管理、育成など人事に関する施策全般」を意味するもの。人事施策には、

  • 採用
  • 管理
  • 育成
  • 人事制度そのものの構築や運用
  • 人事戦略の企画・運用、実行

など幅広い概念が含まれていると解釈できるでしょう。近年では、

  • ダイバーシティ:人種や国籍などを問わず人材を活用
  • リモートワーク:情報通信機器を活用し、企業や自宅以外の場所にて仕事する

といった働き方改革に関連した施策も、人事施策として注目を集めています。

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2.働き方改革と人事制度の整備・施策について

2018年6月、働き方改革関連法案が国会で可決され、2019年4月の施行に向けて動きを進めています。少子高齢化による深刻な労働力不足が到来することを見据え、一億総活躍社会を目指しているのです。目的は、

  • 働き手を増やす
  • 出生率の上昇
  • 労働生産性の向上

こうした目的を実現するため、働き方改革では、

  1. 長時間労働の解消
  2. 非正規社員と正規社員の格差是正
  3. 高齢者の就労促進

を3つの柱としているのです。

2019年4月の施行に向けた人事施策

2019年4月に働き方改革を施行するには、企業も自社の人事施策を改めて検討しなければなりません。

施行に向けた人事施策を検討するに当たりまず必要なのは、改正法自体の内容を把握、検討すること。自社の人事施策に反映しなければならない関連法案を見極めることは、非常に重要です。

改正法の内容を吟味したら、改正法施行日を見据え、新しい人事施策を効率良く動かすためのスケジュールを設定します。

対応における注意点

働き方改革の施行に対応する際、注意するのはどんなところでしょうか。

1つ目は時間外労働の上限規制といった労働時間に関する制度の見直し。今まで36協定で時間外労働に一定の制限を設ける一方、労使協定に特別条項を加えれば労働時間を延長できました。

しかし、働き方改革ではこの特別条項を見直し、残業時間の特例に制限が設けられることになったのです。

2つ目は同一労働同一賃金。賃金を底上げして消費を促すため、働き方改革で労働力の約4割を占める非正規社員の待遇改善を目指しています。その象徴が同一労働同一賃金なのです。

3.【注目の人事施策】今知っておくべき企業事例

働き方改革では、

  1. 長時間労働の解消
  2. 非正規社員と正規社員の格差是正
  3. 高齢者の就労促進

を3つの柱として、さまざまな関連法案が施行されます。これらに対応するため知っておくべき具体的人事施策とは何でしょう。実際の企業例から見ていきます。

  1. 株式会社サイバーエージェント
  2. 株式会社リクルートホールディングス
  3. ヤフー株式会社

①サイバーエージェント

サイバーエージェントは人材派遣会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)の社員、藤田晋氏が日高裕介氏と1998年3月に創業した企業です。

  • メディア事業
  • インターネット広告代理店業
  • ゲーム事業
  • 投資育成事業

など幅広いソーシャルメディアサービスを提供しています。好調な業績を支えるその裏側には、

  • エンジニアの大量採用
  • 年功序列の廃止
  • 「あした会議」「CAJJ制度」に象徴される若手の積極的登用
  • 「Geppo(ゲッポウ)」「社内ヘッドハンター」

など特徴的な人事制度が存在するのです。

「あした会議」「CAJJ制度」

株式会社サイバーエージェントには、組織の成長を助ける人事施策がたくさんあります。

「あした会議」とは、リーダーとなった役員と専門分野に精通した若手社員でチームを組み、1泊2日の合宿にて会社の「あした」を創るための新規事業や問題解決についての提案を行うもの。あした会議から生まれた子会社は全28社で、売り上げは累計700億円にのぼります。

「CAJJ制度」は事業を1から3のステージに分類し、営業利益や目標数値などによってJ3のグループからJ2のプロジェクト、J1のカンパニーへと昇格するもの。事業育成だけでなく経営者や起業家の育成も行っています。

「Geppo(ゲッポウ)」「社内ヘッドハンター」

株式会社サイバーエージェントでは、キャリア開発に関して、「Geppo(ゲッポウ)」「社内ヘッドハンター」という2つの人事施策を設計しています。

「Geppo」とは、社員の本音をもとにした課題発見ツールのこと。毎月1回社員に、

  • よく眠れていますか?
  • 稼働状況100を基準にした場合、どれぐらいですか?

といった質問に回答してもらい、メンタル面のコンディションやスキル、志向性を把握して強みを生かした適材適所を実現します。「Geppo(ゲッポウ)」でつかんだコンディションを閲覧できるのは、役員とヘッドハンターチームのみです。

また人事部内に、社内ヘッドハンティングに特化したキャリアエージェントグループを設置。キャリアエージェントグループはさまざまな人事データをもとにして、事業部や子会社も含め、社員が自らの強みを最大限発揮できる環境を常にリサーチしておく体制を整えているのです。

②リクルートホールディングス

リクルートホールディングスの設立は1963年8月。前身は、江副浩正氏が「東京大学新聞」の広告代理店として創業した「大学新聞広告社」です。現在では、

  • 人材派遣事業
  • HRテクノロジー事業
  • メディア&ソリューション事業

を戦略ビジネスユニットとしたリクルートグループの持株会社として社会に影響を与えています。リクルートホールディングスの人事制度は、人材育成に力を入れているという特徴を持ちます。

  • 新入社員研修
  • 転職者向けフォロー研修
  • IT関係の合宿研修
  • WCMシート
  • Recruit Ventures(New RING)
  • Career Web

といったキャリア開発制度も充実しているのです。

WCMシート

株式会社リクルートホールディングスでは、キャリア開発支援の一つとして、目標管理にWCMシートを活用しています。WCMとは、

  • Wil
  • Can
  • Must

の頭文字を取ったもの。

まず各社員が仕事を通して実現したい「Will」を明確にし、実現に向けて生かしたい強みや克服すべき課題「Can」を確認。そして、目標や達成基準、プロセスなど「Must」を考えるのです。「Will」「Can」「Must」のサイクルは、半年ごとに行います。

また、直属の上司だけでなく組織すべての課長・部長で構成されている人材開発委員会では、WCMシートに記載された内容をもとに社員の適正な仕事やポストを議論、検討します。個人の課題を細かくチェックしながら、部署を超えた視点で目標管理や人材開発を行うのです。

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「Recruit Ventures(New RING)」「Career Web」

「Recruit Ventures(New RING)」

社員皆経営者主義と新規事業の創造を目的とした「Recruit Ventures(New RING)」も、リクルートホールディングスの特徴的な人事施策。

「RING」が創設された時から進化を遂げ、現在の「New RING」はリクルートグループとして共通に取り組む新規事業制度で、ITを前提とした新ビジネスモデル開発を目的としています。

「New RING」は新規事業を提案できるステージで、毎月開催。応募した社員はこのステージで自らが企画した新事業サービスを提案し、一次審査を通過するとプロダクト開発に進みます。

最終審査で採択されると、リクルートテクノロジーインスティテュートへ異動・出向し、プロダクトの事業化に取り組むのです。

「Career Web」制度

「Career Web」制度もリクルート特有の人事施策として見過ごせません。「Career Web」とは公募異動制度で、自らが望む部署や会社に異動できる仕組みのこと。

募集ポストと応募者が面談をし、双方が合意に至った場合に異動が実現するのです。経営理念に「個の尊重」を掲げるリクルートならではの施策でしょう。

③ヤフー

ヤフーはソフトバンクグループの子会社で、日本における検索エンジンとして過半数のシェアを持つポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営しています。収益源は、

  • サイト内の広告収入
  • ブロードバンド関連事業
  • ネットオークション事業

など。2018年3月期の売上高は8,971億円で、誰もが知る日本を代表する企業です。ヤフーの人事制度には、

  • 「1on1ミーティング」や「えらべる勤務制度」に見られるような人材の積極的活用
  • 「ポテンシャル採用」に見られる多様な人材の確保

といった特徴があります。

「1on1ミーティング」

ヤフーでは、上司と部下のコミュニケーション不足の解消を目的に、「1on1ミーティング」を実施しています。「1on1ミーティング」では、

  • コーチング
  • ティーチング
  • フィードバック

スキルを用いて、上司が部下と面談をするのです。1on1ミーティングを実施することで、

  • 上司と部下の信頼関係が強固なものに
  • 部下の性格や健康状態、各家庭の事情を理解

といったことが可能になるため、より密な関係性をつくれるのです。結果、部下は上司から理解されている安心感によりモチベーションが向上…といったように、部下の成長を促す効果もあります。

現在「1on1ミーティング」を隔週で行う社員は、およそ9割。社内の重要なコミュニケーションの場になっています。

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「えらべる勤務制度」

ヤフーでは、

  • 小学生以下の同居の子の養育
  • 家族の介護・看護

が必要な社員に対し土日の休日に加えて1週当たり1日の休暇を取得できる「えらべる勤務制度」を導入しています。

すでに、リモートオフィスを想定して「どこでもオフィス」などの制度を充実させていましたが、育児や介護など事情を持つ社員に対してさらに踏み込んだ制度を設けたのです。

この制度では、月単位で休暇日を申請できるので子どもの夏休み期間のみ利用…といったフレキシブルな運用も可能となります。また、曜日変更や解除もスムーズです。

「えらべる勤務制度」の導入により、ライフスタイルに応じた働き方が可能となり、社員が安心して仕事を続けられる職場環境の整備が一段と進みました。

「ポテンシャル採用」

2016年10月「ヤフー株式会社が新卒一括採用を廃止する」というニュースが世間を駆け巡りました。記憶している人も多いでしょう。

現在ヤフーでは新卒一括採用の代わりに18歳以上30歳以下なら経歴に関係なく通年でヤフーに応募できるという「ポテンシャル採用」制度が導入されています。

職種は営業職からエンジニアまで多岐にわたり、入社条件は応募から2年以内。就業経験のない人については入社時期を4月と10月に設けています。年間300名程度の採用を見込んでおり、海外留学生なども含めた多様で優秀な人材確保のための機会を提供しているのです。