ブラック企業とは? 定義、特徴、問題点、見分け方、ブラック業界、ホワイト企業の特徴について【求人情報から見抜くには?】

近年、大手企業の過労死について大きく報道されました。ようやく内定した企業がブラック企業だったらと不安を覚える人もいることでしょう。

  • 厚生労働省によるブラック企業の定義
  • ブラック企業の見分け方
  • 中小企業にブラック企業が多い理由
  • 就職・転職時に気を付ける業界・職種

などについて説明しながら、求人情報からブラック企業を見抜く方法を紹介します。

目次

1.ブラック企業とは?

ブラック企業が今の日本で大きな社会問題になっています。ブラック企業と聞いてイメージするのは過労死、過労自殺、パワハラ、セクハラなどでしょう。しかしそれだけではありません。

たとえば、

  • 社員に対して達成困難なノルマを課す
  • 残業代や給与などの賃金不払
  • 嫌がらせやイジメなどハラスメント行為が横行している
  • コンプライアンス意識が著しく低い
  • 離職率が高い

これらは、ほんの一部に過ぎません。いわゆるブラック企業は、社員を使い捨てのようにしか思っていない企業の総称といえるでしょう。

「社員に過度の負担をかけ、働けなくなったら退職させ、新しい人を採用する」。この繰り返しを行っているのがブラック企業です

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2.厚生労働省によるブラック企業の定義

ブラック企業について、国はどのような認識を持っているのでしょうか。厚生労働省では、ブラック企業について具体的な定義をしていません。しかし、『若者の「使い捨て」が疑われる企業』として特徴を明記しています。

  • 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
  • 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
  • このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

このような企業に就職してしまった場合の対応として考えられるのは、会社に対して問題点の改善を求めていくことでしょう。

しかし、新入社員が単独で会社に問題点の改善を求めて交渉するのは現実的に難しいです。外部の関係機関や労働組合に相談するほうが有効と考えられます。では、もう少し具体的なところから『若者の「使い捨て」が疑われる企業』を見ていきましょう。

①長時間労働や無理なノルマが常態化している

まずは社員に対して長時間労働や、達成困難なノルマを課し、業務の成果を上げることを強要する企業です。

労働基準法では、法定労働時間は週に40時間、残業は月45時間が上限と定められており、これ以上の労働は違法になります。

そしてノルマについてです。ノルマを課すのは違法ではありませんが、ノルマを達成できなかった場合の減給は給料の最大10%までと労働基準法で決まっています。なおノルマが達成できなかった社員に対して、脅したり恫喝したりする行為は違反となります。

②残業代の未払いなどが横行している

労働基準法で定められたひと月の残業45時間を超えた時間外労働に対して、賃金を支払わないのは違反になります。

たとえば何らかの理由で仕事が終わらない、残業時間の上限を超えてしまったが、働かなくてはいけない理由があった際、その時間をサービス残業とした場合です。このような賃金不払残業は、労働基準法に違反します。

③採用と退職が繰り返される

社員に過酷な労働時間、過度なノルマを課して、働けなくなったら退職させて、新しい人を採用する、これが繰り返されている企業は、社員を使い捨てにしているブラック企業の特徴でしょう。

厚生労働省では、こうした企業についても注意喚起しています。

賃金不払いのサービス残業は違反です。過酷な労働を課して社員を使い捨てのように扱うのがブラック企業の特徴です

3.ブラック企業の主な特徴

ブラック企業に入社したくないと思うのは当然です。ではどうしたらブラック企業を見分けることができるのでしょうか。安心してください、ブラック企業には特徴があります。

  1. 長時間労働
  2. 休日が少ない
  3. 有給を取りにくい
  4. 給料が低い
  5. 未払いの残業代がある
  6. 離職率が高い

これらを知っているだけでも、ブラック企業かどうかをある程度見極めることが可能です。

①長時間労働

ブラック企業の主な特徴として、最初に挙げられるのが長時間労働。労働基準法では、1日8時間、1週40時間と定めており、その時間を超える労働が時間外労働、いわゆる残業です。

会社が労働者に時間外労働をさせる場合、36(サブロク)協定と呼ばれる労働基準法第36条に基づく労使協定の届出をする必要があります。

詳しく説明すると、労働者と会社が「時間外・休日労働に関する協定届」を結び、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられており、これを一般的に36協定と呼んでいるのです。

36協定を労働基準監督署に届け出ず、労働者に時間外労働をさせた場合は、労働基準法違反となります。

この36協定を結び届出をすると、労働時間の延長限度は、1週間15時間、2週間27時間、1カ月45時間、1年360時間まで認められます。ブラック企業の特徴といえる長時間労働とは、この時間外労働が多いということなのです。

過労死ライン=月80時間以上の残業

過労死ラインとは、働きすぎにより病気や過労死に至るリスクが高まる時間外労働時間のこと。

過労死ラインについて、厚生労働省は「2~6カ月間にわたる月平均の時間外労働が80時間以上」と基準を定めています。たとえば月20日勤務で、1日8時間労働に加えて平均4時間の残業をした場合、1カ月の時間外労働は80時間となるのです。

36協定によって時間外労働は1カ月45時間と決められています。その45時間を超えて残業する月が続くようであればブラック企業の可能性が高いでしょう。さらに1カ月80時間の残業を行っている場合、社員の健康を優先しない完全なブラック企業といえます。

②休日が少ない

労働基準法は「法定休日」として、使用者は、毎週少なくても週に1回の休日、または4週間を通じて4日の休日を労働者に与えることと定めています。

土・日曜日、祝日、年末年始休暇などを合わせると、平均的な年間休日の日数は120日程度といわれています。完全週休2日制、祝日、年末休暇を休みにしている会社であれば約120日の休みが取れるでしょう。

休日が年間100日以下の場合、休日の少ない会社といえます。もし、80日を下回る場合、ブラック企業の可能性が高くなるでしょう。

③有給を取りにくい

休日出勤が多くて休みが取れない、育児や介護などで休みたいのに有給を認めてくれない、身体を休めたいが忙しくて有給が取れない、などは違法性が高いといえるでしょう。

労働基準法第39条では「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」と明記しています。

プライベートのためだけでなく、毎日の業務で疲れた身体と心を休ませることも休日の役割。有給を取らせない会社はブラック企業といえるでしょう。

④給料が低い

ブラック企業の特徴として、長い労働時間と並んで挙げられるのが、給料の低さ。

厚生労働省では、地域別に最低賃金を定めており、最低時給を見ると東京都は1,013円、青森県は790円となっています。法律では、使用者は労働者に最低賃金以上の賃金を支払うことを義務付けているため、最低賃金を下回っていると違法になるのです。

⑤未払いの残業代がある

ブラック企業の給料が低い理由として考えられるのは、残業代でしょう。

36協定による時間外労働は1週間15時間、2週間27時間、1カ月45時間、1年360時間まで認められています。時間外労働の場合、割増賃金の支払いが義務付けられており、通常の賃金の2割5分以上を支払う必要があるのです。

しかしブラック企業は残業代を支払わないケースがほとんど。労働基準法には、一定の残業時間分の賃金を最初から給料として払っておく制度があり、これによって管理監督者に残業代を支払わなくてもよくなります。

これを用いて、いつの間にか社員を管理職にし、いくら残業をしても残業代を全く支払わないケースがブラック企業によくあるのです。

⑥離職率が高い

ブラック企業は、社員の入れ替わりも激しいとされています。

  • 長時間労働
  • 残業代は支払われず、給料も低い
  • 休みは少なく有給休暇も取れない

こうした劣悪な環境では当然、社員は長く勤まらず離職率は高くなりますし、人員が不足した分、すぐに人材の募集をかけるでしょう。常に求人を出している会社はブラック企業の確率が高いといえます。

長時間働いてもそれに見合う賃金が支払われず、休日も少なく、人が次々と辞めては次々と新しい人が入る企業はブラック企業といえるでしょう。

4.なぜブラック企業は問題なのか?

日本企業の持つ雇用システムには、企業や経営者が強い権限を持ち、社員は会社の命令に従い制限なく働くという慣習が根強くあります。

こうした体質が長時間労働、達成困難なノルマを課す、残業代の未払い、上司からのパワーハラスメントそしてその結果、過労死などを生み出したとされているのです。それではブラック企業の問題性を具体的に見ていきましょう。

社員の使い捨てを前提としたビジネスモデル

まず、社員の使い捨てを前提としたビジネスモデルが構築されている点です。

  • 一時的に大量採用
  • 社員を名前ばかりの管理職にする
  • 極端なノルマの常態化
  • 社員に過剰な負担を強いる
  • 短期間の雇用

など社員の労働環境を考えない悪質な行為が成されています。

いつの間にか管理職になっていた、入社してすぐに店長になっていたといった場合、現場の管理者は名前ばかりで何の権限も待遇も与えられず、ただ責任だけを押し付けられるだけになってしまうのです。

さらに管理職には残業代を支払わなくてもいいという制度を悪用して、低賃金で働かせていることも多いとされています。

末端社員とその家族が犠牲になる

末端社員とその家族が犠牲になることも考えられます。企業側が大量に人材を採用するのは、人員をただ増やす数合わせに過ぎません。そうした採用は、社員個人の適性を全く考慮せずに、ただ適当な部署に配置して過剰な労働を強いているのです。

異動や転勤も本人に事前に知らせず、数週間、数日間など短期間で強引に行うことも多々。また近隣の勤務地への転勤や、社内での部署異動を常に繰り返しています。

そのたびに、社員はこれまで所属していた部署の引き継ぎ、新たな勤務地では業務を一から覚えたり次の職場での人間関係を築き上げたりしなくてはいけません。

短期間での頻繁な転勤や部署異動は、業務と人間関係だけを考えても社員とその家族にとって大きなストレスとなるでしょう。

硬直化した組織

硬直化した組織にも問題があるといえます。たとえばそれぞれの部署が果たすべき役割や職責などのルールが作られていないため、常に責任の押し付け合いが起きている現実があるのです。

組織を円滑に動かし、仕事を合理的に行うための規定を作らない、または作れないのがブラック企業の持つ問題のひとつです。

さらに下層の社員は会議に参加できないため、業務で問題点があっても指摘できません。下層の社員は日頃から上司に言われるがままで、頼まれれば本来自分がやる業務以外でも受け入れている、そうした組織の硬直化がブラック企業へとつながっていきます。

経営者や企業が強い権限を持つ、社員は上長に対して物が言えない、このような組織の硬直化はブラック企業の持つ問題です。

5.中小企業にブラック企業が多い理由

ブラック企業は中小企業に多いといわれていますが、事実なのでしょうか?

そのヒントは、下記の3つです。

  1. 家族経営
  2. 法律を遵守しない企業
  3. 下請けの多重構造

①トップダウン式の家族経営企業が多い

家族経営は、創業者が社長となり、取締役、部長などの管理職や会社役員は全員が家族や親族が担うため、経営者とその家族、親族は強い権限を持ちます。

普通の企業であれば不正が生じれば誰かが修正するところを、家族経営は不正が起きても隠ぺいするなど、風通しが悪い組織になる傾向にあるのです。

そういった会社では、家族と親族以外の一般社員は使い捨てのように扱われるうえ、一般社員がそうした企業体質に異議を唱えるのは困難となります。そしてますますそのような会社はブラック企業化していくのです。

②法律を遵守しない企業

労働組合のない会社はブラック企業になりやすいといわれています。労働組合とは、労働者が労働条件の向上や維持を目的として設立した組織のことで、管理職は加入できません。また非正規雇用の社員が加入できない組合も多いようです。

労働組合があるメリットは、

  • 企業から不当な労働条件の改正を受けた際、社員側の力になってくれる
  • 組合員同士が深い交流を持てる

など。

一社員が労働問題を企業側と交渉するのはとても難しいこと。労働組合があれば日頃から交流のある組合員同士が団結して、全社員の意見を企業側に主張できるでしょう。

しかし企業と交渉する術がなければ、企業の主張が通ってしまいブラック企業化を許してしまうことになるのです。

また中小企業は、利益を得るための社員教育が成されていない場合もあります。未熟な新入社員を即戦力としてノルマを課し、達成できなければ長時間労働や休日出勤を強要。このように法律が守られていない中小企業があり、それが当然のように蔓延しています。

③多重構造の下請け仕事をしている企業が多い

多重構造の下請け仕事をしている企業が多いことも理由のひとつといえるでしょう。中小企業の多くは、大企業から仕事を請ける「下請け」として仕事をしています。

下請けとは、大手企業から直接発注された仕事を細分化したものを請け負うことで、これが2次請け、3次請けと何重にもなっている状態を「多重下請け構造」と呼ぶのです。

下請けとして仕事をする場合、納期が厳しく、残業や休日出勤をしなければ期日に間に合わないことも多々。また発注元から直接受注していない中小企業は、中間業者が入って仕事を請けています。

そのため利益を中間業者に抜かれる、いわゆる中間マージンが発生し、多くの仕事をこなしても利益はそれほど上がりません。また、下請けとして仕事が細分化されるため中小企業はスキルを蓄積できないのです。

日本の中小企業がこの多重下請け構造から抜け出すことは大変困難でしょう。

一般社員を使い捨てにするような違法行為が蔓延した家族経営、多重下請け構造から抜け出せない中小企業は、ブラック企業体質といえます。

6.あなたの会社は大丈夫?ブラック企業の見分け方

ブラック企業を見分けるポイントは、

  1. 「情熱」「成長」の言葉が頻繁に使われている
  2. 上下関係が非常に厳しい
  3. パワハラやセクハラの横行
  4. 精神論がまかり通っている

など。これらの特徴は、ブラック企業において大いに見られます。これによって、自分の働く会社がブラック企業かどうか、判断ができるでしょう。

①「情熱」「成長」といった言葉が過度に使用されていないか?

ブラック企業では、「やる気」「情熱」「成長」という言葉が多く使われる傾向にあります。

たとえば、

  • 「自分の成長のためなら、長時間労働もサービス残業も進んでやります」
  • 「情熱を持ってお客さま一人ひとりに対応します」
  • 「やる気はあります」

などのセリフを言わせられた社員は、一度そう言葉を発してしまった以上、過酷な労働時間や残業代の不払いなどが続いても、その矛盾した会社の体制を指摘できない悪循環に陥ってしまいます。

本来であれば職場を盛り上げるはずの言葉も、ブラック企業では、ただの見せかけに過ぎないのです。

②上下関係に厳しすぎないか?

ブラック企業は、体育会系の社風が多いという特徴を持ちます。昔の運動部に見られる厳しい上下関係、理論より精神論が重んじられる体質などが悪用されているのです。

体育会系といえば先輩、後輩の縦社会。先輩に言われたことは黒でも白、ブラック企業でも社長や上司の指示に「NO」とは言えません。

そうした厳しい環境の中で身に付いた体力と気力を悪用して、スパルタ指導が平然と行われていることもあるのです。そうした行きすぎた行為はパワハラやセクハラにつながります。

③パワハラやセクハラが横行していないか?

ブラック企業では、部下へのパワハラやセクハラが日常茶飯事です。

セクハラの例は、

  • デートや食事に誘ってくる
  • 会社の飲み会でキスをせがまれる
  • 身体に触れてくる
  • 手を握られる

など。

パワハラの例は、

  • 何でできないんだ!ばかやろう!残ってやれ!
  • 売上が達成できないのはお前のせいだ、給料ナシだ!

などです。

④精神論がまかり通っていないか?

ブラック企業においては精神論がよく出てきます。過剰なノルマを課すものの社員が到底達成できない現実を前に上司は、

  • お前ならやればできる!
  • 諦めるな、目標を達成するまで帰ってくるな!
  • 仲間じゃないか!一緒に頑張ろう

などと熱い言葉で追い討ちをかけるのです。このように精神論で無理やりにでもやらせようとするのがブラック企業といえます。

毎日のように怒鳴り散らしている上司本人も、指導をしているうちに「頑張れば達成できる」と自分の言葉に洗脳されていくケースも多くあるようです。現実に目を向けず、頑張れば何とかなると信じてしまうと、結果的に長時間労働が蔓延してしまいます。

上司の言うことは絶対服従といった体質はブラック企業の特徴です。パワハラ、セクハラが横行していても上には何も言えません。

7.求人情報からブラック企業を見抜くポイント

求人情報からブラック企業を見抜くポイントは、

  1. 常に大量の求人を出している
  2. 雇用形態に関する表現が曖昧
  3. 「未経験者歓迎」なのに給料が高い
  4. 「夢」「やる気」「情熱」などの表現が多い

など。求人情報を注意深くチェックして、ブラック企業を見分けなければいけません。

①常に大量の求人を出している

年間を通して大量採用を繰り返している、常に中途採用を行っている、といった企業はブラック企業の可能性が高いでしょう。大量採用を行うということは、それだけ人が大量に辞めているということ。

事業の拡大やてこ入れ、新事業の立ち上げなど新たな展望を見据えて人員を増やす優良企業もあります。しかし常に中途採用を行っている企業の場合、人員が慢性的に不足するため、補充として採用するケースがほとんど。つまり離職率が高いのです。

②雇用形態に関する表現が曖昧

ブラック企業の求人は、雇用形態があやふやな表現になっていることが多いです。まずは雇用形態が正社員であるかを確認しましょう。

フルタイムの求人でも、正社員と契約社員とでは大きく違います。正社員は雇用期間に定めがありませんが、契約社員は1年ごとなど契約期間が区切られているため、更新なく契約が終了してしまうこともあるのです。

雇用形態が正社員でも、「入社6カ月のトライアル期間中(または試用期間中)は契約社員」などの記載がある場合は注意しましょう。その後、確実に正社員になれるのか確認する必要があります。

③「未経験者歓迎」なのに給料が高い

残業代がどのように支払われているかどうかに注目しましょう。

裁量労働制の場合、実労働時間に対して残業代は発生しませんが、基本給に残業代が含まれているため求人の月収を高く記載できます。ブラック企業は裁量労働制を悪用して、ノルマを達成するまで長時間労働を強要し、残業代は一切支払わないことが多いのです。

未経験なのに給料が高い、労働時間に見合わない給料が提示されている場合、残業時間、裁量労働制の採用、固定(みなし)残業が含まれていないかなどを、事前に確認しましょう。

④「夢」「やる気」「情熱」などの表現が多い

ブラック企業の求人には、「夢」「やりがい」「熱意」「感謝」など、精神論的な言葉が多く使われているケースが見られます。

ブラック企業はもともと、会社のウリや特徴がないため、抽象的な表現で会社をアピールするしか手段がないのです。また精神論を大きく掲げている会社は、間違っていることもすべて精神論を振りかざして正当化してくる可能性があります。

未経験に裁量労働制で高い給与を提示し、過度のノルマを課して長時間労働を強いるのはブラック企業の典型的なやり方です。

8.ブラック業界ランキング! 就職・転職時に気を付ける業界・職種は?

ブラック業界の情報は、厚生労働省がブラック企業を調査したり、ブラック企業ユニオンが公表したりして、世の中にたくさんあふれています。

就職、転職時に気を付ける業界、職種として

  1. 公務員
  2. IT業界
  3. 介護士
  4. 飲食業界
  5. 看護師

などを紹介します。

①公務員

意外にも、安定した職業の公務員はブラックすぎる環境にあるといわれています。しかし公務員といっても職種はさまざま。

中でも教員や警察官、消防士、自衛隊などの職業は、特にブラック度が高いようです。その理由として考えられるのは、残業は当たり前、当然サービス残業も多い、年功序列が強く体制が古い、パワハラが横行しているなど。

②IT業界

世界でも需要の高いIT業界は、ブラック企業も多ければホワイト企業も多いという混在型です。IT業界は、発注元から直接受注した仕事を細分化して、2次請け、3次請けと何重にも重なり合う多重下請け構造の中で働く人が多くいます。

もちろん下になるほど受注する単価は安くなります。しかも下請けは納期も厳しく、急な変更指示、トラブル発生で労働時間は長くなるのです。起業したばかりのベンチャー企業は安定感が低く、ブラック化しやすいとされています。

③介護士

介護業界は常に人手不足とされ、未経験でも転職しやすい業界ですが、要介護者のお世話は想像以上に肉体労働の激務です。

人手不足もあって夜勤が多く、夜勤業務は実質1人で20~30人も介護を担当することも珍しくありません。給料は安く、サービス残業が多いのもブラックといわれる理由です。

④飲食業界

飲食業界はとにかく離職率が高い業界です。常に人手不足のため、アルバイトの割合が多いのもブラック度を上げている要因かもしれません。アルバイトが急に休んだ場合、サービス残業が多くなり、休日出勤する社員もいるでしょう。

また飲食店は無休で営業している店が多く、定休日を設けている店はほんのわずか。社員は休日が少なく、営業時間も長いため勤務時間は必然的に長くなります。

⑤看護師

看護師は介護士同様、常に人手不足とされる職種です。仕事はハードなのに人手不足のため休日も取りにくく、そのうえ、夜勤もあり生活リズムが不規則になります。

看護師は高収入とされていますが、サービス残業が多く、約7割もの看護師が定時で帰れないというデータもあるほどです。

ブラック度が高い業界には、サービス残業がとにかく多い、休日が少ない、人手不足、仕事がハードといった共通点があります。

9.ブラック企業リストとは?

厚生労働省は、労働基準関係法令に抵触する企業を名指しで公表しています。

  1. 厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」
  2. 都道府県別・ブラック企業の調べ方

について説明しましょう。

①厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」

厚生労働省では、定期的に「労働基準関係法令違反に係る公表事案」をホームページに掲載しています。これは法令違反などの事案をまとめたもので、企業名、事業所の名称、事案の概要などを公開しているのです。

事案概要の例は、

  • 労働者1名に、1カ月間の定期賃金約24万円を支払わなかったもの(北海道労働局)
  • 労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、法定の項目について医師による健康診断を受診させなかったもの(福島労働局)
  • 労働者4名に、36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせたもの(東京労働局)

などで、都道府県ごとに詳細に記されています。

②都道府県別・ブラック企業の調べ方

自分の周りにあるブラック企業を調べる方法はあるのでしょうか?最も信頼できる情報は、厚生労働省が公表している「労働基準関係法令違反に係る公表事案」でしょう。

厚生労働省のサイトにある「長時間労働削減に向けた取組」ページの中段「労働基準関係法令違反に係る公表事案」からブラック企業リストをダウンロード可能です。

厚生労働省がリストアップしているブラック企業一覧には、各都道府県のさまざまな業種の企業が掲載されています。

10.ホワイト企業の特徴と探し方

ホワイト企業とは、労働環境が良く世間から高い評価を受けている企業のこと。

具体的な特徴は、

  • 福利厚生の充実
  • 離職率が低い
  • コンプライアンス・法令遵守を徹底
  • 残業時間が月20時間以下
  • 有休消化率が高い
  • 社員の権利を大切にする
  • 人事評価が正当

など。

しかし、たくさんの求人からホワイト企業をどうやって探せばよいのでしょう?その方法として安心できるのは、優良企業を客観的な根拠に基づいて調べたデータを参考にすることです。

たとえば、

  • 「ホワイト企業トップ500」(東洋経済)
  • 「ホワイト企業大賞」(ホワイト企業大賞企画委員会)
  • 厚生労働省が認定した優良企業

などは信頼性も高く、ホワイト企業がひと目で分かります。

ホワイト企業とは一番に社員を大切にし、世間の評価も高く、社員が働きやすい労働環境を提供できる企業のことです。

11.自社がブラック企業と呼ばれないために

ブラック企業は、長時間労働、サービス残業、パワハラ、セクハラなどが1つでも常態化している企業です。社員に不利益な環境であるとともに、企業側も法令違反に対する罰則が伴います。両者にとって何ひとつメリットはありません。

ブラック企業と世間から一度でも評価されてしまうと、社会的批判が一気に高まり、企業価値は低下します。さらに業績も低迷し事業の存続すら危ぶまれる事態になりかねません。

残業代の未払い、月80時間の残業を超える長時間労働などの法令違反を、知らずに行っていた場合、経営者の認識不足です。

意図せず自社がブラック企業になることを防ぐには、コンプライアンスの徹底が重要になるでしょう。また、単に法令を守るだけでなく、社内規則や社内倫理などのルールを遵守して、健全な社内体制を整えることも重要です。

コンプライアンスを徹底させるには、経営層、管理職、一般社員への教育と、日々の運用チェックが必要になります。

労働環境の問題、賃金に関する問題、パワハラやセクハラの問題などを改善するのは、一般的に人事部門の役割とされています。社内の不正を防止し健全な経営を確立するには、人事部門の奮闘が大きく影響するでしょう。

ブラック企業になることを防ぐにはコンプライアンスの徹底が不可欠です。人事部門が先頭に立って健全な企業へと社内改革を推し進めましょう。