セクハラ(セクシャルハラスメント)とは? セクハラ(セクシャルハラスメント)対策と訴えがあった場合の対処方法

セクシャルハラスメントは、企業の経営上、大きなリスクになると考えられています。それゆえ、セクシャルハラスメントをどのように予防していくのか、企業にとって大きな課題となっているのです。

そんなセクハラについて、

  • セクシャルハラスメントとは何か
  • セクシャルハラスメントの判断基準
  • セクシャルハラスメントの相談件数
  • 企業内セクハラの対処法

などから確認します。

1.セクハラ(セクシャルハラスメント)とは?

セクシャルハラスメントとは相手の意思に反する性的な言動により、「その労働条件につき不利益を被る」「就業環境が害される」といったことを意味する言葉です。

2007年施行の男女雇用機会均等法改正によって、事業主にはセクシャルハラスメントに対して必要な体制整備や雇用管理上の措置を講じることが義務化されました。

法律(男女雇用機会均等法)における定義

セクシャルハラスメントは、男女雇用機会均等法第11条に規定されています。セクシャルハラスメントであることの行為の定義は、

  • 職場での性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により、当該労働者がその労働条件につき不利益を受ける
  • 職場での性的な言動により当該労働者の就業環境が害される

と明記されています。

「#MeToo」の運動
世界各地で「#MeToo」を合言葉にしたセクシャルハラスメントに対する運動が巻き起こっています。

「#MeToo」とは、「私も」にハッシュタグを付けたもので、セクシャルハラスメントを見て見ぬふりをするのを終わりにしようと、セクシャルハラスメントを受けた人が自ら立ち上がった運動です。

セクシャルハラスメントは、職場での性的な言動によって、不利益を被る、就業環境が害されることをいいます

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2.どのような行為がセクハラに該当するか?

セクシャルハラスメントに類似する言葉に、パワハラ(パワーハラスメント)やモラハラ(モラルハラスメント)、アカハラ(アカデミックハラスメント)などがあります。

セクシャルハラスメントは、職場で卑猥な話をする、職場で上司に性的な関係を迫られ、断ったら嫌がらせを受けたなど、職場における不利益や職場環境を害される行為と定義されています。

セクシャルハラスメントは、職場で上司や同僚からの性的な言動によって、嫌がらせを受けるなどの不利益を被る、不快になったりして職場環境を害される、というような具体的な行為を指します

3.セクハラの判断基準

セクシャルハラスメントには判断基準が設けられています。一般的には「意に反する身体的接触」により強い精神的苦痛を被った場合、たとえその行為が1回でもセクシャルハラスメントと判断されるのです。

ただ、セクシャルハラスメントの認識は男女間で差が生じる面もあるため、

  • 被害労働者が女性の場合は「平均的な女性労働者の感じ方」
  • 被害労働者が男性の場合は「平均的な男性労働者の感じ方」

を基準とすることが適当です。

なぜセクハラの判断は難しいのか?

セクシャルハラスメントには一定の判断基準がありますが、実際にセクシャルハラスメントであると判断するのは容易ではありません。その理由として挙げられるのは、下記のようなものです。

  • セクシュアルハラスメントの状況がそれぞれのケースで多様である
  • セクシャルハラスメントの判断にあたり、個別の状況を斟酌する必要がある

セクシャルハラスメントの判定には、一定の判断基準が設けられていますが、実際の判断には難しい点が多いです

4.セクハラに関する相談件数

都道府県労働局雇用均等室に寄せられたセクシャルハラスメントに関する相談件数は、

  • 平成24年度(2012年)9,981件
  • 平成25年度(2013年)9,230件
  • 平成26年度(2014年)11,289件

と、概ね1万件前後で推移しています。平成26年度の内訳を見ると、女性労働者からの相談件数が約6割、6,725件。

また、都道府県労働局雇用均等室が窓口になって受けている全相談件数の中で半数近くがセクシャルハラスメント関連で占められ、その状況が数年続いているのが現状です。

多岐にわたる労働に関するトラブルの中でも半数近くがセクシャルハラスメント関連であることを鑑みると、セクシャルハラスメント問題の奥深さが理解できます。

セクハラに関する損害賠償請求

セクシャルハラスメントのトラブルに関する損害賠償請求については、

  • 民法715条使用者責任
  • 職場環境配慮義務違反の債務不履行責任
  • 安全配慮義務違反の債務不履行責任

といった法律で規定されています。

セクハラに関する判例

アデランスの元女性社員が男子上司から繰り返しセクシャルハラスメントを受けた結果、心的外傷後ストレス障害を発症した事件で、男性上司に650万円、アデランスに650万円、計1,300万円で和解が成立したという判例があります。

セクシャルハラスメントのトラブルでは、損害賠償を請求されることも。実際、多額の和解金を命じた判例もあります

5.職場におけるセクハラの該当範囲

職場におけるセクシャルハラスメントの該当範囲について、詳しく説明します。

「職場」の定義

セクシャルハラスメントにおいての職場の定義とは、

  • 事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所
  • 事業主が雇用する労働者が通常就業している場所以外の場所でも、労働者が業務を遂行する場所

出張先など臨時で業務を遂行している場所でも、労働者が業務を遂行している場所であればすべて職場である、といった認識を持つ必要があります。

「職場」の具体例

セクシャルハラスメントにおいての職場を具体的に見ると、通常毎日業務を遂行しているオフィスのほか、

  • 取引先
  • 接待なども含む打ち合わせをした飲食店
  • 顧客の自宅
  • 出張先
  • 営業車の中

などすべて、職場に該当します。

「労働者」の定義

セクシャルハラスメントにおいての労働者とは、正規労働者、パートタイム労働者、契約社員など事業主が雇用するすべての労働者のこと。

  • 派遣先企業とは雇用関係のない派遣労働者については別途定められており、
  • 派遣元事業主
  • 労働者派遣の役務の提供を受ける派遣先事業主

の両方に対してセクシャルハラスメントに関する措置を講ずる必要があります。つまり、事業主であれば雇用契約や雇用形態を問わず、自社の業務を遂行しているすべての労働者に対して、セクシャルハラスメントに関する措置を講ずる義務があるのです。

「性的な言動」の定義

セクシャルハラスメントにおいての性的な言動とは、性的な内容の発言、性的な行動という言葉と行為の2つの要素を指します。

これは、男女という異性間でのトラブルだけでなく、「女性労働者が女性労働者に対して行う場合」「男性労働者が男性労働者に対して行う場合にも該当するのです。また、セクシャルハラスメントの行為者は、職場内に限られた話ではありません。

実際、事業主や上司、同僚や取引先、顧客や患者、学校における生徒などもセクシャルハラスメントの行為者になり得ると理解することが必要です。

「性的な言動」の具体例

「性的な言動」の具体例を見てみましょう。

「性的な内容の発言」に関しては、

  • 性的な事実関係を尋ねること
  • 性的な内容の情報や噂を流布すること
  • 性的な冗談やからかいをすること
  • 食事やデート、交際へ執拗に誘うこと
  • 個人的な性的体験談を話すこと

「性的な行動」に関しては、

  • 性的な関係を強要すること
  • 必要なく身体へ接触すること
  • わいせつ図画を配布、または掲示すること
  • 強制わいせつ行為
  • 強姦

などが挙げられます。このほかにも性的な言動に該当するような場合、セクシャルハラスメントと判断されることがあります。

セクシャルハラスメントの定義をしっかり確認して、どのような行為がセクシャルハラスメントに該当するのかを正しく理解しましょう

6.セクハラの種類

セクシャルハラスメントは、

  1. 対価型セクシャルハラスメント
  2. 環境型セクシャルハラスメント

の2つに分類されます。

①対価型セクシャルハラスメント

対価型セクシャルハラスメントとは、性的言動を受けた労働者が拒否や抵抗をした際、それによって解雇や降格、減給や労働契約の更新拒否、昇進、昇格の対象からの除外、不利益な配置転換といった不利益を受けること。

労働の対価として本来受け取れるべきものが、セクシャルハラスメントによって受け取ることのできない状況に陥ったようなケースのことを指します。

対価型セクシャルハラスメントの事例

対価型セクシャルハラスメントの具体的事例には、

  • オフィス内で事業主が労働者に対して性的関係を要求したが関係を拒否されたことにより、当該労働者を解雇した
  • 営業途中の車内で上司が労働者の腰、胸など身体に触ったところ労働者に抵抗されたため、当該労働者にとって不利益な配置転換をした
  • 営業所内で労働者の性的な事柄について公然と発言したことに当該労働者が抗議したため、労働者を降格処分にした

などが挙げられます。

②環境型セクシャルハラスメント

環境型セクシャルハラスメントとは、性的な言動によって当該労働者の就業環境が不快なものとなったことで、持っている能力の発揮に重大な悪影響が生じたり就業する上で看過できない程度の支障が生じたりするような状況に陥ること。

性的な言動によって、業務を遂行するための職場環境に見過ごすことのできない支障が生じるようなセクシャルハラスメントのことを指します。

環境型セクシャルハラスメントの事例

環境型セクシャルハラスメントの具体的事例には、

  • オフィス内で上司が労働者の腰、胸など身体に繰り返し触ったため、その行為を苦痛に感じた当該労働者の就業意欲が低下している
  • 取引先企業で同僚が労働者に関する性的な内容の情報を意図的に継続して流布したことを当該労働者が苦痛に感じ、仕事が手につかなくなった
  • 営業所内にヌードポスターが掲示されたため、労働者が不快および苦痛を感じて業務遂行に専念できなくなった

などが挙げられます。

セクシャルハラスメントには、対価型(受けた側が不利益を被る)、環境型(就労環境が不快になること)、2種類があります

7.セクハラの発生によって企業が被る不利益

セクシャルハラスメントが発生することによって、企業が被る不利益は4つです。

  1. 企業イメージの低下による採用・離職への影響
  2. 社員のモチベーションへの影響
  3. 業務遂行への影響
  4. 金銭的損失

①企業イメージの低下による採用・離職への影響

セクシャルハラスメントが発生したという事実が、新聞やテレビ、SNSなどのインターネットを通して流れた場合、企業イメージ、採用、従業員の定着率といった面でダメージを受けます。

②社員のモチベーションへの影響

。セクシャルハラスメントの被害者である労働者はもちろんのこと、周囲の社員のモチベーションも低下します。その結果、社員の能力を有効活用できない状態に陥るでしょう。モチベーション低下による生産性の低下は、企業にとって非常に大きな問題です。

③業務遂行への影響

セクシャルハラスメントが発生した場合、事実確認のための調査や被害を受けた労働者のケア、職場に対する対応など、業務以外にさまざまな作業に労力を割きます。その結果、通常業務の円滑な遂行が阻害される可能性が高いのです。

④金銭的損失

セクシャルハラスメントが発生した場合、休業障害や逸失利益、弁護士費用といった想定外の費用の支払いが必要になるため、金銭的損失が生じます。

企業はセクシャルハラスメントによって、企業イメージ低下、従業員のモチベーション低下、業務遂行の阻害、金銭的損失といった悪影響を受けます

8.セクハラ防止のために行うべき企業の義務

セクシャルハラスメントが生じた際、事業主がその責任を追及される場合は多いです。セクシャルハラスメントを防止するためにも、企業は義務を把握しておく必要があります。

セクハラ指針とは?

セクハラ指針とは、事業主が雇用管理上講じるべき措置のことで、セクシャルハラスメントを防止する際のベースとなります。

セクハラ指針には、厚生労働大臣の指針によって計10項目が定められています。事業主は職場におけるセクシャルハラスメントを防止するために、セクハラ指針の中に定められている10項目に関して、

  • 適切に対応するために必要な体制の整備
  • その他雇用管理上必要な措置

を必ず実施しなければなりません。

  1. 会社の方針を明確にし、社員に周知・啓発する
  2. 苦情や相談に対応するための体制を整備する
  3. 職場で起こるセクハラに対して迅速かつ適切に対応する
  4. その他の措置

①会社の方針を明確にし、社員に周知・啓発する

厚生労働省によれば、事業主の方針の明確化及びその周知・啓発の具体的な中身として、

  1. 職場におけるセクシャルハラスメントの内容・セクシャルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること
  2. セクシャルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること

といった2つの内容を提示しています。

具体的手法

厚生労働省では、事業主の方針の明確化及びその周知・啓発の具体的手法として、

  • 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、あってはならない旨の方針を規定し、当該規定と併せて、性別役割分担意識に基づく言動がセクシャルハラスメントの発生の原因や背景となり得ることを労働者に周知・啓発すること
  • 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に内容及び性別役割分担意識に基づく言動がセクシャルハラスメントの発生の原因や背景となり得ること並びにあってはならない旨の方針を記載し、配布等すること
  • 内容及び性別役割分担意識に基づく言動がセクシャルハラスメントの発生の原因や背景となり得る事並びにあってはならない旨の方針を労働者に対して周知・啓発するための研修、講習等を実施すること

を記載しています。

②苦情や相談に対応するための体制を整備する

厚生労働省では、

  • 相談窓口をあらかじめ定めること
  • 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること

と明記しています。

具体的手法

厚生労働省では、苦情や相談に対応するための体制の具体的手法として、

  • 相談に対応する担当者をあらかじめ定める
  • 相談に対応するための制度を設ける
  • 外部の機関に相談への対応を委託する

を挙げています。

③職場で起こるセクハラに対して迅速かつ適切に対応する

厚生労働省は、職場で起こってしまったセクハラ行為に対して、

  • 事実関係を迅速かつ正確に確認する
  • 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行う
  • 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行う
  • 再発防止に向けた措置を講ずる(事実が確認できなかった場合も同様)

といった4つの項目を挙げ、その対応に関して明記しています。

具体的手法

厚生労働省では、職場で起こってしまったセクハラ行為に対して迅速かつ適切に対応することの具体的手法に関して、下記のような事例を列挙しています。

  • 相談窓口の担当者、人事部門又は専門の委員会等が、相談者及び行為者とされる者の双方から事実関係を確認する
  • また、相談者と行為者とされる者との間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずる
  • 事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合等において、均等法第18条に基づく調停の申請を行う
  • その他中立な第三者機関に紛争処理を委ねる

④その他の措置

厚生労働省では、1から3までのポイントと併せて講ずべき措置としてまとめてあります。1から3までのポイントと併せて講ずべき措置として挙げられているのは、下記の2つです。

  • 相談者・行為者などのプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知する
  • 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発する

具体的手法

厚生労働省では、1から3までのポイントと併せて講ずべき措置の具体的手法についても追記しています。

相談者、行為者等のプライバシー保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、そのマニュアルに基づき対応するものとすること

相談者、行為者等のプライバシーの保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行うこと

相談窓口においては相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に掲載し、配布等すること

厚生労働省では、セクシャルハラスメントに対して事業主が講ずるべき措置として10項目にわたるセクハラ指針を設けています

9.セクハラに関する法的責任や罰則

セクシャルハラスメントには、法的責任や罰則が発生します。

具体的には、

  • 加害者の民事上の責任
  • 加害者の刑事上の責任
  • 企業の民事上の責任
  • 企業の均等法上の責任

が問われることになるのです。

セクシャルハラスメントには、法的責任や罰則が発生します

10.企業における相談窓口の整備方法

企業におけるセクシャルハラスメントの相談窓口を整備するにあたって、現状を把握しておく必要があります。厚生労働省による2012年の調査によれば、

  • 対象企業のうち73.4%が相談窓口を設置している
  • 従業員1,000人以上の企業では96.6%
  • 従業員99人以下の企業では37.1%

という結果が出ています。

また、

  • 会社とは独立した外部の組織に委託しているのは28.9%
  • そのほとんどは、社内相談窓口も併設している

という結果となっています。このことから、従業員を多く抱える企業はセクシャルハラスメントに対して積極的に取り組んでいると分かります。

また、セクシャルハラスメントについて意識の高い企業とそうでない企業とのばらつきが見られるのです。

都道府県労働局雇用均等室とは?
都道府県労働局雇用均等室とは、

  • 男女雇用機会均等法
  • 育児・介護休業法
  • パートタイム労働法

といった各種法律に関する相談に応じる組織です。

また、相談に応じるとともに相談内容に応じて必要と思われる、行政指導や紛争解決援助も併せて行っています。セクシャルハラスメントに悩む従業員は、このような組織を利用して相談することもできます。

予防と早期対応のために

セクシャルハラスメントは、社内のコミュニケーションによって予防できるのです。セクシャルハラスメントの予防と早期対応のためにカオナビを活用することをお勧めします。

セクシャルハラスメントを予防するためにも、カオナビを活用して風通しの良い職場を形成していきましょう