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エンゲージメントが高いと、仕事の成果や業績が向上する可能性が高まります。企業がエンゲージメントを高めるためには、従業員が自分の能力を発揮できる環境を整えることが求められます。
目次
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1.ワークエンゲージメントとは?
ワークエンゲージメントとは、活力・熱意・没頭の3要素で構成される、仕事に対する持続的かつポジティブな心理状態のことです。
その内容は、仕事に対する「活力」「熱意」「没頭」の3つの要素で構成され、働きがいという言葉で言い換えられます。従業員のワークエンゲージメントの向上に取り組むことで、生産性向上や離職率低下などの効果が見込めます。

厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、ワークエンゲージメントを「仕事にやりがい(誇り)を感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態」と定義しています。
この定義にも見られるように、「仕事が楽しい」「やりがいがある」という一時的な感情だけでなく、仕事から活力を得て、いきいきと、そして持続的に仕事に打ち込んでいる状態こそが、ワークエンゲージメントが高い状態と言えます
参考 ワークエンゲージメントとは働き方・休み方改善ポータルサイト3つの要素
ワークエンゲージメントは仕事に関する以下の3つの要素が満たされている心理状態のことをいいます。
- 活力
- 没頭
- 熱意
では、3つの要素とはそれぞれどのような状態を示すのでしょうか?
参考 経営論集/第6号『ワーク・エンゲイジメントの国内での研究動向および浸透について』東京成徳大学・東京成徳短期大学①活力
”仕事中の高い水準のエネルギーや心理的な回復力、仕事に費やす努力をいとわない気持ち、困難な状況に直面した時の粘り強さなどがある状態”
②没頭
”仕事にのめり込んでいる時の幸福感、時間が早く経つ感覚、仕事から頭を切り離すのが難しい感覚などがある状態”
③熱意
”仕事に強く関与し、仕事に意味を見出し、熱中し、誇りを持ち、挑戦しようという意欲を感じている状態”
関連概念
従業員のメンタル面の健康度を示す関連概念はほかにもあります。
「活動水準」と「仕事への態度・認知」の2軸でわけた場合に以下の4つの領域がうまれます。
- ワークエンゲージメント
- ワーカホリズム(ワーカホリック)
- リラックス
- バーンアウト(燃え尽き症候群)
4つの関連概念の中で特徴的なものを見ていきましょう。
ワーカホリズムとワークエンゲージメントの違い
ワーカホリズムは、仕事に対する活動性は高いものの、「〜しなければならない」という強迫観念や義務感から仕事に過度にのめり込む状態です。仕事への向き合い方がネガティブであり、心身の不調や健康リスクにつながりかねません。
ワークエンゲージメントが高い人は「仕事が楽しい!」とポジティブな感覚で仕事に取り組んでいる状態です。

ワーカホリズムとワークエンゲージメントは、ともに「活動水準」がプラスの領域にあるので同じような意味を持つように見えますが、「仕事への態度・認知」軸、すなわち「仕事に対する(内発的)な」動機づけで大きな相違点があります。
対概念「バーンアウト」
ワークエンゲージメントと対極に位置するのが「バーンアウト」です。
「燃え尽き症候群」という名でも知られている心理状態で、仕事に献身的に没頭したにもかかわらず、本人が期待した結果が得られないといった不満感・疲労感で社会的活動を停止し、意欲を喪失してしまう状態のことです。
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2.ワークエンゲージメントの尺度と測定方法
尺度と測定方法とは、MBI-GS・OLBI・UWESの3つの代表的な測定ツールを用いてエンゲージメントの度合いを数値化する手法のことです。
ワークエンゲージメントを高めるには、まず現状について把握するところからはじめます。
従業員のワークエンゲージメントを把握する3つの方法について紹介いたします。
- MBI-GS
- OLBI
- UWES
①MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)
ワークエンゲージメントの測り方のひとつは「MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)」です。
MBI-GS とは「」の頭文字をとったものです。この測定方法ではワークエンゲージメントそのものの測定ではなく、対概念であるバーンアウトを測定をします。
つまり、MBI-GSで得た結果が低ければワークエンゲージメントが高い、反対に結果が高ければワークエンゲージメントは低いということになります。
- 疲労感×5項目
- シニシズム×5項目
- 職務効力感×6項目
の計16項目の質問に対して得た回答を測定結果として得るというものです。
参考 The Japanese Journal of Psychology『日本版MBI-GS (Maslach Burnout Inventory-General Survey)の妥当性の検討1』J-STAGE②OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)
MBI-GSと同様に、バーンアウトを測定することでエンゲージメントの測定を行うのが「OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)」です。
質問内容は「疲弊」と「離脱」というネガティブな2因子で構成されています。OLBIの測定結果が低ければ低いほど、ワークエンゲージメントが高いという証になります。
③UWES(Utrecht Work Engagement Scales)
ワークエンゲージメント自体を測定する方法としては「UWES(Utrecht Work Engagement Scales)」があります。
- 活力
- 没頭
- 熱意
の3つの尺度を17の質問項目に盛り込み、質問形式で測定します。
ワークエンゲージメントの測定方法として高い安定性を持つため、最も広く使用されています。
日本版UWES、短縮版UWES
国内では日本人労働者に合わせた日本版UWESもよく用いられます。9つの質問に限定された短縮版となっており、簡易な測定を可能としています。どちらも、質問項目に対して5段階スケールなどで従業員に回答を求めます。
ワークエンゲージメントを高めるには、現状のエンゲージメント状態の把握が重要です。
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3.ワークエンゲージメントを高めるには?
ワークエンゲージメントを高めるには、「仕事の資源」と「個人の資源」の2つの要因に働きかけることが効果的だとされています。
ワークエンゲージメントが高いということは、従業員が主体的に仕事に取り組んでいる状態であることの証になります。
ワークエンゲージメントを高めるためにどうしたらよいのでしょうか。ワークエンゲージメントの向上要因は大きくわけて2つあります。
- 仕事の資源
- 個人の資源
①仕事の資源
ひとつは「仕事の資源」です。
- 仕事量などの負担を減らす
- 仕事に対する負担感による悪影響の緩和
- モチベーションを高める
といった役割を果たす要因のことで、具体的には、
- 上司や同僚のサポート
- 仕事に対する裁量権・パフォーマンスのフィードバック
- トレーニングの機会
- ミッションの多様性
- コーチング
といったものが該当します。
ワークエンゲージメントは仕事の資源が多ければ多いほど高まりをみせていくことがこれまでの研究で明らかになっています。
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②個人の資源
もうひとつのワークエンゲージメントを高める要因は「個人の資源」です。
個人の資源は、
- 心理的ストレスを軽減させる
- モチベーションをアップさせる
ための自分自身の内的要因のことです。
具体的には、
- 自己効力感
- 組織内部での自尊心
- 仕事や職場に対する楽観性
といったものが含まれています。
仕事の資源を増やしていくと個人の資源も増え、その逆も起こる、非常に密接な関係性があります。
自己効力感を高めるには?
個人の資源の中でも、特にワークエンゲージメントとの相関が高いのが「自己効力感」です。
自己効力感とは与えられた課題に対して「自分ならできる」「自分ならきっとやり遂げられる」と思える自信の源となるものを指します。
- タイムマネジメント
- コミュニケーション
などのスキルをみがくことで仕事をうまく進められ、自己効力感を得られやすいので、そういったスキルを伸ばす研修を用意してもいいかもしれません。
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4.エンゲージメント向上が組織に与えるメリット
エンゲージメント向上が組織に与えるメリットとは、心身の健康維持・組織コミットメントの強化・離職率低下・パフォーマンス向上といった複合的な効果のことです。
個々のエンゲージメントが向上すると、組織にはどのような結果や効果を与えるのでしょうか。
エンゲージメントは、
- 心身の健康
- コミットメント
- 離職の意思
- パフォーマンス
といった要素同士に深い相関関係をもたらすことがわかっています。
たとえばエンゲージメントが向上すればストレスも少なく、睡眠の質も良好な健康状態になります。自己啓発などにも積極的で、意欲的に組織の抱える業務をこなしていけるため、仕事のパフォーマンスや成果が上がります。また、エンゲージメントが高まることにより転職や退職への思いが低くなります。
このように、エンゲージメントの向上は多方面に好循環を生み出すということがわかります。
①心身の健康(メンタルヘルス)
ワークエンゲージメントは、慢性的なストレス状態や燃え尽き症候群(バーンアウト)とは真逆の状態として位置づけられています。仕事に活力を持って取り組める状態は、従業員自身のメンタルヘルスを良好に保ち、心理的な疲弊や離職につながる深刻なストレスを予防する効果があります。
さらに、このような前向きな精神状態は、チームや組織全体にも好影響を与えるのです。個々の従業員がポジティブなエネルギーを発していれば、職場には自然と活気が生まれ、同僚同士の信頼や協調性、円滑なコミュニケーションも促進されます。
結果として、組織全体がより柔軟で創造的な風土へと進化していくのです。
②コミットメント
ワークエンゲージメントが高まると、仕事そのものだけでなく同僚や組織全体に対してもポジティブな発想がうまれ、職務への満足感が高まります。
組織に対する貢献度も高まりを見せますのでコミットメントそのものが向上します。
コミットメントとは? ビジネスでの意味や使い方をわかりやすく
コミットメントとは公約、責任を持った約束などの意味があります。ビジネスシーンでも多用されるコミットメントについて深く掘り下げていきます。
1.コミットメントとは?
コミットメントとは、責任のある約束...
③離職の意思
厚生労働省が発表した『令和元年版 労働経済の分析』では、従業員のワークエンゲージメントの高さが、離職率の低下および新入社員の定着率向上と明確な相関関係にあることが示されています。
仕事に意味ややりがいを見いだせる従業員は、自律的に困難を乗り越える力を備え、日々の業務に熱心に取り組む傾向があります。その結果、組織への帰属意識が自然と強まり、職場に対する信頼や満足感も高まるため、「辞めたい」と感じることが少なくなるのです。
このようなポジティブな状態が続けば、新たな人材を採用したり、育成したりするためにかかるコストを削減でき、組織としての持続可能性や中長期的な発展にも大きく貢献します。
参考 令和元年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-厚生労働省④パフォーマンス
ワークエンゲージメントが高くなれば
- 最新技術を学びたい
- 経営技術をみがきたい
- 語学力を伸ばしたい
といった動機から自己啓発学習の機会も増えます。
学習により力を伸ばした従業員は質の高い業務を積極的に行うだけでなく、役割行動やそれ以外の業務にも前向きに取り組むことが分かっています。
エンゲージメント調査の実施には様々なメリットがありますが、調査シートの配布や回収は大きな負担です。
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5.ワークエンゲージメントを向上させる施策のチェックリスト
施策のチェックリストとは、人事担当者と管理職がそれぞれの立場で実行すべき具体的なアクション項目を整理したものです。
人事担当者向けチェックリスト
ワークエンゲージメントの向上は、従業員全体の生産性や定着率を高める重要な要素です。組織文化をつくる上で、人事部門の果たす役割は大きく、制度や環境整備の中心的存在です。まずは、以下のチェックリストを参考に、自部門から変革の一歩を踏み出しましょう。
▢ ワークエンゲージメントに関する課題(離職率・モチベーション低下など)を、具体的なデータを用いて経営層に報告する
▢ 全社員を対象に、UWESなどの信頼性ある尺度を用いた定期サーベイを実施し、現状を可視化する
▢ 従業員が仕事を主体的にデザインできる「ジョブ・クラフティング」研修・ワークショップを企画・運用する
▢ 上司と部下の関係性強化を目的に、1on1ミーティング研修や「CREWプログラム」などの対話の場を整備する
▢ 報酬や評価だけでなく、感謝・称賛といったポジティブフィードバックを促進する制度の導入を検討する
管理職(マネージャー)向けチェックリスト
チームのワークエンゲージメントを高めるカギを握るのは、現場で日々マネジメントを行う管理職の方です。一人ひとりが意欲的に働ける環境づくりのために、以下のアクションを実践してみましょう。
▢ メンバー各自の「得意なこと」や「関心のあること」を把握し、それに応じた業務配分を行う
▢ 提案や工夫を否定せず、自律性を尊重する姿勢をマネジメントの中に取り入れる
▢ 1on1ミーティングでは、成果の話だけでなく、仕事のやりがいや不安、課題についても丁寧に対話する
▢ チームの目標と個人業務のつながりを明確に示し、仕事の意味づけをサポートする
▢ メンバーの成功や努力に対して、具体的な言葉で感謝や賞賛を日常的に伝える
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6.ワークエンゲイジメントと類義語(関連語)との違い
| 用語 | 定義 | 測定対象 | 仕事への態度 | 代表的な尺度 |
|---|---|---|---|---|
| ワークエンゲージメント | 仕事への活力・熱意・没頭が揃ったポジティブな心理状態 | 仕事そのもの | 積極的・能動的 | UWES |
| 従業員エンゲージメント | 組織と従業員の信頼関係・愛着の強さ | 組織全体 | 帰属意識が高い | 各社独自サーベイ |
| 従業員満足度(ES) | 処遇・環境・人間関係への満足の度合い | 職場環境 | 受動的・現状肯定 | ES調査 |
| モチベーション | 目標達成に向けた動機づけ・意欲 | 目標・報酬 | 目的志向 | − |
| バーンアウト(燃え尽き) | 心身の極度な疲弊・情緒的消耗 | ストレス | 消極的・無気力 | MBI |
| ワーカホリズム | 強迫的に働き続ける状態(楽しさを伴わない) | 労働行動 | 衝動的・義務的 | DUWAS |
7.関連する改善事例
以下では、本テーマに関連する企業の取り組み事例を紹介します。
【事例】南海電気鉄道株式会社
経営戦略と連動した人財戦略を策定し、グループ全体の適材適所配置を推進しています。NANKAIグループでは2024年に人財戦略を刷新し、多様な人財がイキイキと働ける環境構築を目指してカオナビを導入しました。マニュアル配布・社内誌での広報・オリエンテーション等を通じて全社に浸透させ、人事内の役割分担も並行して整備しています。グループ全体の人材を可視化し、部門や会社を越えた戦略的な配置を実現するとともに、次世代リーダーの早期発掘にも活用を広げています。人財データの継続的な蓄積により、経営の変化に即応できる組織力を高めています。
【事例】愛知日産自動車株式会社
評価業務を1週間から3日に短縮し、マネジメント改革の第一歩を実現しました。愛知日産自動車は尾張地方に53店舗を展開する自動車ディーラーで、社員がキャリア形成を意識し「ワクワク」を感じて働ける風土を目指しています。カオナビの導入で評価プロセスを大幅に効率化し、評価制度の刷新とマネジメント体制の強化に着手しました。蓄積した社員データを昇格・配置の意思決定にも活用し、現場の店舗から本社まで一貫した人材マネジメントを推進しています。評価の透明性向上が社員のエンゲージメント強化にも寄与しています。
【事例】株式会社KADOKAWA
「評価の時期だけ使うシステム」から、タレントマネジメント基盤へのシフトに成功しています。以前は評価業務メインの運用にとどまり、人事基幹システムとのデータ連携精度にも課題があったため、一元管理の効果が限定的でした。権限設定の見直しとデータの棚卸しを実施し、評価以外の人材情報も日常的に参照・活用できる環境を構築しました。カオナビの活用範囲を段階的に広げ、次は配置シミュレーションや後継者計画への展開も視野に入れながら、タレントマネジメントの実現に着実に前進しています。
よくある質問
ワークエンゲージメントと従業員満足度の違いは何ですか?
従業員満足度は処遇・環境への「満足の度合い」を測るもので、仕事への主体的な関与とは異なります。ワークエンゲージメントは仕事そのものへの活力・熱意・没頭を測定し、パフォーマンスとの相関がより強いとされています。
ワークエンゲージメントが低い組織にはどのような兆候がありますか?
離職率の上昇、欠勤・遅刻の増加、会議での発言減少、改善提案の減少などが典型的な兆候です。パルスサーベイやUWESで定期的に測定し、スコアの低下傾向を早期に検知することが重要です。
ワークエンゲージメントを高める施策で最も効果が高いものは?
研究では「上司からの適切なフィードバック」と「仕事の裁量権の付与」が特に効果が高いとされています。定期的な1on1面談で成果を承認し、業務の進め方を本人に委ねることが、活力・熱意・没頭のいずれにも好影響を与えます。
まとめ
まとめとは、ワークエンゲージメントの要点を振り返り、組織での実践に向けたポイントを整理したセクションです。
ワークエンゲージメントは、活力・熱意・没頭が満たされている精神状態を指します。ワークエンゲージメントの高い従業員は、ポジティブな精神状態で継続的に業務を遂行していくことが分かっています。
従業員一人ひとりのワークエンゲージメントが高まれば、企業全体の生産性も大きく向上するだけでなく、新しい発想や独創的でチャレンジングな企業活動が生み出されるかもしれません。
ワークエンゲージメントの測定には、いくつかの方法があります。自社に合った測定方法を選び、実行に移してみましょう。
【従業員エンゲージメントでこんなお悩みありませんか?】
●優秀人材の離職を止められない
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