離職とは?【理由や防止策をわかりやすく】離職率、兆候

離職とは、退職や失業などによって職を離れた状態のことです。ここでは退職との違いや離職理由、離職防止に効果的な施策などについて解説します。

1.離職とは?

離職とは、退職や失業などの理由で職業から離れることです。理由には自己都合や解雇、契約期間満了や定年などさまざまな事情があり、自己都合や会社都合を問わず、いずれも離職の理由として認められます。なお厚生労働省では「事業所を退職あるいは解雇された者」を離職者と定義しています。

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2.離職と退職の違い

「離職」と似た意味を持つ言葉に「退職」があります。

退職とは職を退いて雇用契約を終了させる行為のこと。どちらも仕事を離れている意味では同じです。一般的には「離職」は仕事から離れた状態を、「退職」は会社を辞めて仕事を退く行為を指して区別します。

また一般的に、問題を起こして解雇になった「懲戒解雇」に退職という言葉は使用しません。

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3.離職の理由

かつては定年まで同じ会社で働き続けることがよしとされてきましたが、現代は転職が当たり前です。しかし将来が期待できる有能な人材の離職は、会社にとって大きな損失となります。はたして従業員はどのような理由で離職するのでしょうか。

  1. 一般的な離職理由
  2. 若者・新卒社員の離職理由

①一般的な離職理由

従業員が離職を選ぶ原因は、ひとつに限りません。複数の原因が積み重なった結果、離職という決断に達します。とくに多いのは、以下の理由です。

  • 労働条件に対する不満:残業時間が異常に長い、休日出勤が常習化している、業務に集中できない労働環境など
  • 人間関係に対する不満:業務上わからないことがあっても聞きにくい、部下のマネジメントに悩む、ハラスメントにあった
  • 経営方針と合わない:理不尽な理由で怒られる、仕事の進め方が合わない

②若者・新卒社員の離職理由

離職するのは中堅社員やミドル世代ばかりではありません。近年、新卒社員や若手社員の離職も増えています。

厚生労働省が2021年に発表した「新規学卒就職者の離職状況」によれば、大学卒の3割、短大、高校卒の4割が3年以内に離職していたのです。若年層に多い離職理由として以下の例があげられます。

  • 思い描いていた働き方と実際の仕事内容にギャップを感じる
  • ワークライフバランスを重視し、長時間拘束を望まない
  • 転職してキャリアアップするという考えが普及している
  • 転職サービスの普及によって転職、情報収集が容易になっている

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4.離職率が高まることの企業への悪影響

離職率が高まると、企業にはさまざまな悪影響が生じるもの。ここでは「企業全体レベル」と「現場レベル」のふたつから、離職率が高まることで生じる企業への悪影響を見ていきます。

  1. 企業全体
  2. 現場

①企業全体

企業全体で見た場合、離職率が高いと次のような問題が生じます。

  • 優秀な人材の流出による事業活動の停滞
  • 人材不足による企業成長の鈍化
  • 追加採用コストの発生
  • 企業イメージの低下およびマイナスイメージによる悪影響
  • 組織全体のモチベーション、既存社員のエンゲージメントが低下

とくに近年、会社名で検索するとかんたんに会社の評判や離職状況などがわかります。一度マイナスイメージが定着すると、払しょくするのに多大な時間と労力が必要です。

②現場

離職率の増加は、現場にとって今日明日の業務にかかわる重大な問題を引き起こします。従業員数が減ればその分の業務を既存従業員がカバーしなければならないため、一人ひとりの業務負担が増加するからです。

人員不足により生産性やサービス品質が低下した場合、それにともなうクレームにも対応しなければなりません。不満を感じた従業員たちが連鎖的に離職する可能性もあるのです。

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5.離職率の計算方法

厚生労働省による「雇用動向調査」では、離職率を「常用労働者数に対する離職者数の割合」と定義しています。ある時点において所属していた従業員数のうち、どれだけの割合が離職したかを表すのが離職率です。

同調査では、離職率の算出方法を以下のように定めています。

離職率(%)=調査期間中に離職した人の数÷起算日の従業員数×100

なおこの計算では、調査対象期間内の新入社員数は含みません。また離職率は調査対象期間の長短によって変動するため、一概に離職率が低い=退職者が少なくて働きやすいとはいえないのです。

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6.離職の兆候がある社員の特徴

ある日突然前触れもなく、従業員が離職するわけではありません。離職の傾向がある社員には、以下のようにさまざまな変化が見られます。

  1. モチベーションが低い
  2. 社内コミュニケーションが減っている
  3. 仕事を早く切り上げる

①モチベーションが低い

具体的に以下の特徴がみられる場合、離職を考えているサインかもしれません。

  • ミスが増える
  • ミスに対して反省や改善の様子がない
  • 仕事の効率が下がっている
  • 自分の仕事を他人に押し付けている
  • 業務に対する関心が低下している

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②社内コミュニケーションが減っている

離職を意識しはじめ、会社への関心が薄れるのと同時に社内コミュニケーションも減少します。

  • 会議やミーティングでの発言が減った
  • ほかの社員と雑談している様子がない
  • あいさつをしなくなった

いずれもすぐに離職するとは限りません。しかしこれらが以前に比べて明らかに減っている場合、何らかの悩みを抱えている可能性があります。

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③仕事を早く切り上げる

以下の様子も従業員が離職を考えているサインです。

  • 退社時間が早くなった
  • 身だしなみに気を使うようになった
  • 新規プロジェクトへの参加を避け、単独行動が増えた
  • 遅刻や早退が増えた
  • ほかの業種に関する勉強をはじめた

これらの特徴が見られる場合、すでに離職の意思をかためて転職活動をはじめている可能性もあります。

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8.離職防止に効果的な施策とツール

未来ある有能な人材の離職は、会社にとって大きな損失です。離職の兆候が見られたら、次のような施策やツールを活用して早期に対応しましょう。

  1. 1on1ミーティング
  2. 社内アンケート
  3. パルスサーベイ
  4. タレントマネジメントシステム

①1on1ミーティング

上司と部下が1対1で行う対話のこと。週に1回や月に1回など短いサイクルで定期的に実施し、部下の現状や悩みに寄り添いながら能力を引き出し、お互いの間に信頼関係を構築します。

業務上の悩みやプライベートのトラブルなどを気軽に相談できる相手がいれば、いち早く問題を見つけてフォローできるでしょう。

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②社内アンケート

社内アンケートや従業員満足度調査などは、従業員の本音をいち早くピックアップする方法のひとつ。

従業員の不満や問題点、改善点を調べもせず次々と採用活動を行っても、定着率は上がりません。社員の本音を吸い上げて効果的な改善策を講じる必要があります。

最近では無料の社内アンケートサービスや従業員満足度調査ツールなども数多くリリースされており、気軽にアンケートシステムを導入可能です。

また人材マネジメントシステムに社内アンケートの機能が搭載されているサービスもあります。それを活用するのもよいでしょう。

③パルスサーベイ

短時間で反復して行う調査のこと。短期間かつ高頻度で調査を実施するため、課題をリアルタイムに近い状態で把握できるのです。調査頻度が高いパルスサーベイは、従業員に働きぶりをフィードバックするきっかけにもなるでしょう。

パルスサーベイは従業員の簡易ストレスチェックにも効果的です。過去の調査と比較してエンゲージメントが下がっている場合、理由をヒアリングしたり細かくフォローしたりして離職防止につなげましょう。

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④タレントマネジメントシステム

従業員の情報をデータ化して一元管理する仕組みのこと。マネジメントを効率化し、人材の適正配置や人材育成に役立てるシステムで、うまく活用すれば離職防止の効果も期待できます。

タレントマネジメントシステムでは社内環境を可視化し、組織の現状や課題を明確にします。これらを活用すれば従業員のモチベーション向上や、コンディションを把握した適材適所の人材配置につなげられるでしょう。

的確なタレントマネジメントが実現できれば、離職防止にも役立ちます。

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9.従業員の離職時に必要な手続きと流れ

さまざまな対策を講じても離職の意思が変わらなかった場合、すみやかに手続きを進める必要があります。離職時に必要な手続きを、従業員と企業それぞれの立場から説明しましょう。

従業員が行う手続き

離職が決まったら、従業員は人事労務担当者や管理者と連携しながら以下の手続きを進めます。

  • 離職にともなう業務の引継ぎや関係者への連絡
  • 退職日の決定および退職届の提出
  • 社員証やIT機器など貸与品の返却
  • 健康保険や厚生年金の手続き
  • (退職後)離職票や源泉徴収票の受け取り
  • (退職後)ハローワークに雇用保険関連書類を提出

企業が行う手続き

従業員の離職時に企業として手続きが必要なのは、次のとおりです。

  • 雇用保険資格喪失手続き:管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書(離職証明書)」を提出。退職日の翌日から10日以内
  • 社会保険資格喪失手続き:管轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出。退職日の翌日から5日以内
  • 住民税の手続き:従業員が居住する市区町村に「給与支払報告に係る給与所得異動届」を提出。退職日を含む月の翌月10日まで
  • 源泉徴収票の発行:最終給与支払日の前後に交付。中途退職者は退職日から1か月以内