離職防止とは? ツールの効果と成功事例、アンケートの使い方、退職理由と対策

組織にとって重大な損失となる離職。時間もコストもかけ採用・育成した人材に、長く職場定着してもらうために企業が行うべき離職防止対策を解説します。

1.離職防止とは?

離職防止とは、従業員の離職を防ぐための対策を指します。近年とくに若年層の早期離職が取り上げられる場面が多くなりました。人材不足が叫ばれる昨今、組織内に人材を定着させるため、さまざまな施策が講じられています。

なぜ離職防止は必要か?

少子高齢化による労働人口減少、団塊の世代の引退などにより、日本の人手不足は加速の一途をたどっています。とくに飲食業界、宿泊業界、建設業界では、人手不足倒産という言葉が身近になるほど。

組織人材の流出、とくに優秀な人材の離職防止が組織の命運を担う時代が来ています。


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2.離職防止対策のポイント

離職防止に向かって組織が腰を上げる際、どのような方向から施策を打つべきか、考え方の視点を解説します。とくに重視すべき2つのポイントを確認しましょう。

  1. 退職理由を把握する
  2. 動機付けにつながる対策をとる

①退職理由を把握する

離職防止策の内容を検討する際、まず離職率に注目する方は多いと思います。

もちろん離職率という数値の推移や傾向を把握することは重要です。しかし、もっとも必要なのは退職理由といえます。

離職者の量や比率ではなく、生身の人間がどのように感じ、悩み、最終的に離職を決意したのか、その理由を深堀って検討しましょう。

前職を辞めた理由ランキング

厚生労働省の平成30年雇用動向調査の結果は以下の通りです。男女ともに「定年・契約期間の満了」が1位ですが、ほかには給料や労働条件、職場の人間関係が上がっています※。

男性
  • 1位「定年・契約期間の満了」16.9%
  • 2位「給料等収入が少なかった」10.2%
  • 3位「職場の人間関係が好ましくなかった」7.7%
女性
  • 1位「定年・契約期間の満了」14.8%
  • 2位「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」13.4%
  • 3位「職場の人間関係が好ましくなかった」11.8%

※厚生労働省平成30年雇用動向調査結果の概況「転職入職者が前職を辞めた理由」より、「その他の理由(出向等を含む)」を除いた場合

参考 平成30年雇用動向調査結果の概況厚生労働省

②動機付けにつながる対策をとる

離職理由ランキングを見ると、給料や休日など、待遇を改善する必要があるのかと思ってしまいます。しかし、従業員の労働意欲に大きくかかわるのは、仕事への達成感や評価、責任など「動機付け要因」と呼ばれるものです。

反対に、給与などの待遇は「衛生要因」と呼ばれ、足りないと不満に感じるが多すぎても満足にはつながらないものとされています。たとえば、「給料が不満だ」という社員に対して給料を倍にしたとしても、モチベーションの向上にはつながらないのです。

離職防止策を考えるとき、給料などの待遇に関する退職理由はあくまで表面的な理由だととらえ、社員の動機付けにつながる対策を講じる必要があります。

まずは現状把握から
離職防止策を講じるには、まず自社の退職理由を把握することが重要です。退職予定者へのヒアリングを行ったり、匿名で社内アンケートを取り、社員の不満を吸い上げるなどの対策が有効です。

3.具体的な離職防止対策

離職防止のために企業が対策すべきこととして、具体的な手法をテーマ別にご紹介します。

  1. エンゲージメント向上
  2. モチベーション向上
  3. 社内コミュニケーション
  4. 職場環境の改善

エンゲージメント向上

エンゲージメントとは、組織に対する好感のこと。会社への思い入れや愛着信を高めていくことで、従業員の職場定着を促すことができます。

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対策①人事評価や目標管理を改善する

人事評価は、従業員の働きがいに影響をあたえやすい組織制度のひとつです。従業員のエンゲージメントを高めるには、人事評価に対する納得度や公平性、妥当性が重要です。

対策②定期的なコンディションチェック

従業員のモチベーションや心身の状態を組織的に管理しましょう。たとえば、従業員のコンディションを定点観測できる「パルスサーベイ」を利用すれば、フォローを必要としている従業員を早期発見できる体制を整えられます。

モチベーション向上

離職は、モチベーションが下がっているときに起こりやすいもの。従業員のモチベーションを高めるためには、適切な評価・承認のしくみや、自己実現のための支援が必要です。

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対策①インセンティブやピアボーナスの導入

インセンティブ制度や、従業員同士で報酬を送り合うピアボーナス制度は、個人の成果や行動に対しての報酬となります。「自分がやったことが評価されている」とわかる制度があると、モチベーション向上に効果が期待できます。

対策②キャリア支援

従業員ひとりひとりの個人的な将来像を明確にし、企業がそれを支援する手法は、離職防止に効果的です。キャリアデザインを促し、組織内でのキャリアステップをわかりやすく明示することで、職場定着を促すことができます。取り組み例としては、キャリア申告書にもとづく人材配置や、社内キャリアコンサルタントの導入などがあります。

社内コミュニケーション

コミュニケーションが活性化することで、情報共有がスムーズになり、ゆくゆくは良好な人間関係の構築につながるので、離職防止に効果的です。社内のコミュニティに相談できる相手がいれば、早期の問題発見や解決につながり、びっくり退職の防止にも役立ちます。

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対策①1on1やメンター制度の実施

上司と部下の1on1面談、メンター制度による先輩社員との交流などのコミュニケーション施策を検討しましょう。気軽に相談できる相手が社内にいれば、問題を早期発見し、いち早くフォローアップできます。

対策②マネジメント層のスキルアップ

人材マネジメントについて管理職がスキルアップすることで、職場の人間関係やコミュニケーションについて適切に対処できるようになります。社員研修やセミナーを実施し、ハラスメント対策やコミュニケーションについてスキルアップを促しましょう。

職場環境の改善

エンゲージメントやモチベーションなどの対策にくわえて、ハラスメント対策やワークライフバランス支援などの就労環境の改善も重要です。

対策①ハラスメント対策

職場のパワハラやセクハラが原因となり、離職を引き起こすケースはよくあります。表立って見えないこともあり、対策が取りづらい離職原因のひとつです。匿名制の社内アンケートを用いるなどして、ハラスメントの現状をあぶり出し、しかるべき対策を行いましょう。

対策②ワークライフバランス支援

出産や育児、介護などが離職原因となることも。離職対策として、就労環境や条件を見直し、組織的なワークライフバランス支援は有効です。仕事と家庭を両立しやすいフレックスタイム制や、テレワーク(在宅勤務)制度を導入することで、育児離職や介護離職を予防することができます。

4.若手社員の早期離職対策

入社後3年以内に退職してしまう新入社員の早期離職が、企業課題として取り上げられるケースが多くなりました。昨今、若手社員の職場定着を課題に感じる企業が増えています。

早期離職の原因

  1. 給与
  2. メンタルヘルス不調
  3. キャリアや将来性

早期離職対策

  1. モチベーションが高まる人事評価制度
  2. 定期的なコンディションチェック
  3. 本音を吸い上げるアンケートの実施
  4. 1on1やメンター制度でのフォローアップ
  5. キャリア支援

5.【テーマ別】ワークライフバランスと離職防止の取り組み

働き方改革が叫ばれワークライフバランスを重視する企業は増えつつありますが、統計上では家庭内での育児や介護を退職理由とする離職傾向がまだまだ目立ちます。

厚労省の調査(平成30年雇用動向調査結果の概況)によると、「結婚」「出産・育児」「介護・看護」などの個人的理由による離職率は 10.4%でした。減少傾向ではあるものの、組織的に支援する必要があるでしょう。

結婚・出産・育児や、介護が原因となる離職について取り組みを解説します。

①結婚・出産・育児に関する離職防止

結婚や育児といったライフイベントに対して適切にケアを行うことで、女性活用を推進し、離職防止を実現できます。

女性活用の推進に必要な取り組み

結婚、出産、育児といった女性のライフイベントを乗り越え、職場に定着させるには、企業側の体制整備が欠かせません。ライフステージに応じた働きやすい職場環境をつくりましょう。

具体的には、下記のような対応が有効です。

  • 産前・産後休暇制度やマタハラ対策など、妊婦に対する就業支援
  • 育児休業制度、子どもの看護休暇制度といった子育て家庭向けの支援
  • マミートラックを生み出さないためのキャリア支援
  • 時短勤務制度、フレックスタイム制 など

②介護に関する離職防止

核家族化により、キャリアを断念して親の介護に従事する人材も増えています。家族介護については介護休業法による定めがありますが、介護度が高くなるほど職場復帰や仕事との両立は難しくなり、企業における特別な配慮がいま必要とされています。

介護と仕事の両立に必要な取り組み

介護離職者を出さないためには、介護休暇制度や介護休業制度を整えることが必須です。同時に、介護制度の利用ハードルを下げる取り組みも行うべきでしょう。介護に従事する従業員には、時間の融通だけでなく、メンタルヘルスケアが必要になる場合もあります。

具体的には、下記のような対応が有効です。

  • 介護休暇制度や介護休業制度の整備
  • ストレスチェック
  • 社外専門家の活用
  • 時短勤務制度、フレックスタイム制 など

6.離職防止の成功事例

離職率を改善させた企業の事例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

エンゲージメント向上でびっくり退職を防ぐ|日清食品ホールディングス株式会社

課題

  • パフォーマンスが発揮できない、キャリアの展望に不足を感じてなどの「びっくり退職」が相次いだ
  • 個々の社員への細やかなコミュニケーションとフィードバックが不十分

解決

  • 「カオナビ」のパルスサーベイ機能でフォローすべき社員を早期発見
  • 1on1ミーティングの実施状況や効果をアンケート調査し、課題発見につなげる

スキル管理と評価制度で離職率低下を目指す|医療法人社団せんだん会

課題

  • 平均15~17%に上る高い離職率と人材不足
  • 職員の業務効率化を図り、適切な収入も得られる枠組みが必要
  • キャリアに応じたスキルレベルを体系化し、評価の軸を定める必要

解決

  • 職員のスキルや研修履歴、資格情報を一元管理
  • MBO(目標管理)による評価制度の採用

7.離職兆候をいち早く察知! 人材マネジメントシステム「カオナビ」

離職の防止には、離職率や退職傾向といったデータを追いながら対策を練るだけでなく、同時に、モチベーションマネジメントやコミュニケーションの推進が求められることがわかりました。ときには人事評価制度の抜本的な見直しも必要です。

離職防止ツールを導入するなら、総合的な人材マネジメントシステムを選ぶと効果的でしょう。

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