経営戦略とは? 経営戦術や経営計画との違い、目的、立案方法、おすすめの書籍について

昨今のビジネス書でも頻出するワード「経営戦略」。新聞やニュースでも目にする言葉ですが本質的な意味はどのようなものなのでしょうか?

  • 経営戦術や経営計画との違い
  • 経営戦略の目的
  • 経営戦略の立案方法
  • 経営戦略にまつわるお薦めの書籍

などについて具体例を用いながら詳しく説明します。

1.経営戦略とは?

経営戦略とは企業において、その事業体が経営目的を達成できるようにするための方策全般のこと。中でも全体の活動の方向となる指標や、また方向づけられた活動を実現できるようにするための体制づくりなどを指します。

その全体が経営戦略と一般的に呼ばれており、これは民間企業に限らず、行政体や非営利組織などのあらゆる組織で不可欠だと考えられているのです。

management strategyの語源

経営戦略とは英語で「management strategy」といいます。もともとは軍隊用語として誕生し、経営史家のA.D.チャンドラーらが経営の分野に導入しました。

経営戦術と経営戦略の違い

  • 経営戦術:企業の経営方針や経営戦略の目的を実現するための具体的な施策を表現する経営用語のことで、幅広く使用されている
  • 経営戦略:企業の持続的成長を目指した考え方(思考法)や定義、またはその計画

経営戦術は経営戦略に基づいた実践方法とされています。また経営戦略と経営戦術は役職などのポジションによって、同義として定義することもあります。

経営計画と経営戦略の違い

  • 経営計画:企業における単一事業の計画である事業計画と、一企業の複数事業の計画である経営計画があり、一般的に定義される経営計画は後者である一企業の複数事業の計画を指す
  • 経営戦略:企業が目指すビジョンを可能にさせる方策

つまり経営計画と経営戦略は、戦略の構成要素として位置付けられているのです。

経営戦略は経営計画と異なり、企業の持続的成長を目指したビジョンや定義を表しています

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2.経営戦略と戦略経営(戦略的経営)の違い

ここでは経営戦略と戦略経営(戦略的経営)の違いについて掘り下げてます。以下の各プロセスを通して考えていきましょう。

戦略の策定

まず、自社や競合相手の能力や資源などといった内的要因を洗い出し、自社や競合相手を取り巻く外的要因を明確に分析・評価します。そして、上記で洗い出された分析や評価に基づいて、企業の目標を設定。

目標は、企業の規模や市場における影響力などのレベルに応じて長期的なものから短期的なものまで考えられます。設定したそれらの企業の目標を実現するために不可欠な計画や手法をしっかりと定め、戦略を策定するのです。

戦略の実行

最初に企業における戦略の実行に必要と考えられる資源を配分します。

続いて、命令系統(階層構造)あるいはそれに代わる何らかの構造(たとえばプロジェクト・チーム)を確立し、求められる可能性のある権限と責任を企業内や組織内のグループやメンバーにそれぞれ割り当てるのです。

最後にプロセス遂行を管理します。そして、状況などから必要に応じて資源を配分したり、プロセスの変更を実施したりして進めていくのです。

戦略の評価

バランスト・スコアカードやSWOT分析などを通じて、合理性や実行可能性、正当性などといった視点や観点から見出された戦略の有効性を評価します。続いて、上記で挙げられた戦略が企業や事業の戦略に有効であるかどうか判断するのです。

もし、市場状況が変化した際などは、必要に応じて戦略を変更・再策定、さらに分析していきます。

経営戦略には多方面からの観点やさまざまなプロセスが不可欠だと分かります

3.経営戦略の目的

企業は自社における強みや特性を正確に把握し、市場において自社の何が重要であるか、また求められていることは何か、といった視点や観点にて、優先順位を明確にすることが不可欠です。そして最終的に経営戦略を見出していく必要があります。

常に急速に変化し続ける市場や経済環境。企業はこの変化を正確に見据えて、将来的な予測に基づいて経営戦略を策定・実行するのです。

また経営者は自社の強みや特性をしっかりと理解・把握し、競合企業に負けないスピード感で組織改革や事業の方向性を決定する必要があります。

経営戦略が求められる背景・必要性

現代市場では将来への生き残りをかけて、成長に向けたシナリオをどのように描いていくか、という企業における経営戦略がこれまで以上に問われているとされているのです。

たとえば、政治・経済的な状況においてのマクロ動向、事業を展開する上で関係する顧客や取引先、競合の状況、さらにヒト・モノ・カネ・技術・情報といった経営資源の状況なども含まれます。

近年ではグローバル化の進展やITやAIの普及、顧客・消費者のニーズの多様化、また業界の枠を超えた競争環境の激化など、変化のスピードや不確実性が一段と増しています。これらからも、経営戦略の必要性が一層高まっていると考えられるでしょう。

急激に変化し続けている市場や経済環境に対応するため、経営戦略の策定意義は日々高まっています

4.経営戦略の3つのレベル(企業戦略・事業戦略・機能戦略)

経営戦略はその対象や範囲の大きさなどの違いによって、以下に挙げた3つのレベルに分類できます。ここでは、具体的な戦略ごとにそれぞれ掘り下げて考えていきましょう。

  1. 企業戦略
  2. 事業戦略
  3. 機能戦略

企業戦略⇒事業戦略、事業戦略⇒機能戦略に落とし込む

経営戦略には経営戦略の対象・範囲の違いから、企業戦略・事業戦略・機能戦略の3つのレベルに分類できます。企業戦略は事業戦略に、さらに事業戦略は機能戦略に落とし込んで具体化していくことが求められているのです。

企業戦略(全社戦略/corporate strategy)とは?

企業戦略(全社戦略/corporate strategy)とは企業の長期的な経営戦略のことで、一般的には以下のような具体策が挙げられます(グループ経営戦略を含む)。

  • 企業の経営ビジョンの策定と浸透
  • 運営する事業の基本構成と方向づけの決定

具体例①経営理念の策定と企業ドメインの定義

経営理念の明示と企業ドメインの定義を基本とする経営ビジョンの策定と徹底が重要と考えられています。この場合における経営理念とは、企業経営の基本的な考え方や哲学を示したものです。

また企業ドメインは、企業の長期的な事業領域(生存領域)を示しており、企業の大きな転換期には、同様に大きな変化も必要とされています。

具体例②事業の基本構成と経営資源配分の方向づけ

事業の基本構成と経営資源配分の方向づけにおいては、全社レベルでの市場・顧客と商品・サービスの違いから戦略的事業単位(SBU:Strategic Business Unit)を設定することが必要です。

市場性や競争力の観点からSBUを評価した経営資源配分方針の決定は、企業戦略の代表的な例でしょう。

大企業の多くは、高度成長時代に企業戦略として事業の多角化戦略を展開し、経営資源を多方面に投入したとされています。一方で、グローバル社会の現代においては、事業の取捨選択により、強みのある事業に経営資源を集中する戦略の採用が目立っているのです。

具体例③グループ経営戦略

現代においては、多くの企業が、グループ連結経営を採用するフェーズに入っているとされています。しかし一方で、グループ経営戦略については親会社の企業戦略の範囲と捉えられているのです。

事業戦略(business strategy)とは?

事業戦略(business strategy)とは事業レベルの経営戦略のこと。企業における事業の多角化と事業部制の拡大や進展に伴って、それぞれの事業の経営戦略を明確にする必要性から、その概念が発生したと考えられているのです。

さらに事業の多角化時代を経験してきた大手の企業においては、事業の選択と集中の展開を行う企業戦略と一緒に個々の事業戦略が極めて重要だといえるでしょう。

また大企業では、事業本部などのSBUを組織としたセクターや、セクターの組織下に位置する事業部や事業関係会社が見出した戦略が事業戦略と捉えられています。

具体例①事業領域の設定と資源配分

企業において事業レベルでどのような市場や顧客を対象として、どのような商品・サービスを提供するか、あるいは事業レベルの事業領域の明確な設定と方向づけが、この事業領域の設定と資源配分を意味します。

またSBUをさらにブレークダウンした事業ユニット(BU:Business Unit)の設定とBUの資源配分の方向づけも重要なポイントとされています。

具体例②市場・顧客戦略と商品・サービス戦略

企業における顧客満足や競争優位を実現する「市場・顧客戦略」と「商品・サービス戦略」をBUごとに策定するという意味を持ちます。

具体例③事業モデルの設定

事業モデルは企業においての「収益が還元する重要な事業の仕組み」といえますが、それだけでなくアウトソーシングやITの進化とともに事業戦略の一環として重要と考えられています。

機能戦略(機能別戦略/functional strategy)とは?

機能戦略とは企業が事業を具体的に推進していくために必要不可欠となる機能レベルの経営戦略のこと。事業における機能領域ごとに目指す方向を明確にすることも含まれます。

たとえばメーカーであれば、研究開発や購買、生産、営業、物流等の機能についての戦略が、流通業であれば、商品企画や仕入、営業、物流等の機能についての戦略が挙げられるでしょう。

どんな業種においても機能戦略は、事業戦略を踏まえている、機能間の戦略に整合性を持たせるなどが重要と考えられています。

機能戦略の具体例

機能戦略の具体例として挙げられるのは、マーケティング戦略や財務戦略、人事戦略や営業戦略など。一方で生産、マーケティング、財務、人事などのそれぞれの専門分野や機能ごとに戦略が策定されるケースもあります。

これは機能別戦略と呼ばれています。いずれの機能においても企業が事業を推進していくために必要なものと考えられているのです。

経営戦略は、経営戦略の対象・範囲の違いによって、企業戦略、事業戦略、機能戦略の3つに分類されるのです

5.経営戦略のさまざまな分類

ここでは具体的な例をもとに、経営戦略のさまざまな分類についてご紹介します。

経営戦略を時間軸で捉えると長期戦略、中期戦略となり、範囲の違いにおいては全体戦略(全社戦略)、部分戦略(部門別戦略)と分類できます。

それぞれの戦略が構成される具体的な内容について企業の全社戦略を例に挙げると、市場戦略や体制戦略、組織戦略、要素戦略といったレイヤー構造に展開されることが多いと考えられています。

長期戦略と中期戦略の違い

企業が経営戦略を策定する際の重要なポイントのひとつとして、長期的に企業をどの方向に導くのかという成長ベクトルを明らかに定義することが挙げられます。

これには目的や対象、期間によってさまざまな種類に分類され、また単に期間の長さの違いではなく、計画の内容に本質的な違いがあると考えられているのです。期間の違いによる設定は以下の具体策が挙げられます。

  • 長期:5~10年、企業目標の設定・達成方策、トップダウン
  • 中期:3~5年、長期計画のブレークダウン、トップダウン、ボトムアップ
  • 短期:1年以下、具体的な業務の内容、ボトムアップ

経営戦略を時間軸で捉えると長期戦略、中期戦略、短期戦略に分けられます。長期的に企業をどの方向に導くのかという成長ベクトルの明らかな定義が、経営戦略を策定する際の重要なポイントとされています

6.経営戦略の考え方に影響するキーワード一覧

この項では経営戦略の考え方に影響する代表的なキーワードをご紹介していきます。

コアコンピタンス

コアコンピタンスとは各企業が保有するさまざまな強みや能力において、「自社ならではの価値」を顧客に提供する能力のこと。また「顧客に対して他社には真似のできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」として定義されています。

コアコンピタンスには、以下のような3つの条件を満たす「自社能力」を指すことがあります。

  1. 顧客に何らかの利益をもたらすような自社能力
  2. 競合他社や競争相手に模倣されにくいと想定される自社能力
  3. 複数の商品・市場に大幅に推進することができる自社能力

【解説】コアコンピタンスとは? ケイパビリティと何が違う? 企業事例5選
企業活動の中枢・中核を担うコアコンピタンスに、注目が集まっています。競合他社を寄せ付けない自社の強さを意味するコアコンピタンスとは、どのようなものなのでしょう。コアコンピタンスを見極める手段について、...

企業遺伝子/企業DNA

「企業遺伝子(企業DNA)」とはそれぞれの企業において長期間にわたり組織や構成員によって共有され、年月を経て継承されて暗黙の前提となる明確な価値観や考え方を意味するもの

また行動規範や行動様式などの総体のことを指すこともあります。企業経営の事業方針の在り方を決定づける重要な意味を持つもので、将来を見据えた持続的な競争優位の源泉となる組織体質が企業遺伝子だと、一般的に考えられています。

イノベーション

イノベーションは革新や新機軸と訳される言葉で、物事の「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」などを意味します。

企業の経済活動における生産手段や資源、労働力などに関する中で、それまでとは異なる手段で新結合することを指すのです。具体的なイノベーションのタイプとして以下の5つが挙げられます。

  1. プロダクション・イノベーション:消費者の間でまだ知られていない財貨、新しい品質の財貨の生産
  2. プロセス・イノベーション:新しい生産方式の導入
  3. マーケット・イノベーション:新しい販路の開拓
  4. サプライチェーン・イノベーション:原料・半製品の供給源の獲得
  5. オーガニゼーション・イノベーション:新しい組織の実現

イノベーションとは? 背景、特徴や類型、イノベーションのジレンマについて【リノベーションとの違い】
イノベーションは、企業が成長を続ける上で欠かせないものです。革新を起こすようなアイデアや技術、手法について常に思考を巡らせていなければ、新たな製品やサービスは生まれず、市場がマンネリ化してしまい、企業...

インテグリティ

インテグリティとは誠実や真摯、高潔などの概念を意味する際に使われる言葉で、組織のリーダーやマネジメントに求められる資質、価値観を示すときなどに用いられます。

企業においての組織のリーダーや経営陣、管理職に求められる非常に重要な資質や価値観を表すものとして、欧米企業などでもよく使われるのです。現代経営学の父と呼ばれるピーター・ドラッカーが非常に重要視したことでも知られています。

インテグリティ(誠実さ)とは? 定義、ドラッカーの説、管理職に必須の理由、事例
インテグリティは、管理職に必要とされるもので、誠実、高潔、完全な状態を意味する言葉です。インテグリティは、ビジネス上でどのように扱われているのでしょうか? ここでは、 インテグリティの定義 必要性 ...

サステナビリティ

サステナビリティとは「持続可能性」や「持続できる」という意味を持つ言葉のこと。

企業のサステナビリティと表現する際は、経済的な事業発展はもちろんのこと、周辺の環境や社会的な側面において、将来的に引き続き貢献できる、持続可能な性質を持っていることを指すのです。

近年では社会的責任(CSR)という観点から、このサステナビリティに向けた取り組みに非常に高い関心が集まっています。

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アントレプレナーシップ/起業家精神(企業家精神)

「アントレプレナーシップ/起業家精神(企業家精神)」とは新規事業や新商品の開発などにおいて高い創造意欲を持ち、リスクに対しても、果敢に取り組む姿勢や意欲を持つ起業家精神のこと。

また独創性や進取の気性によって新しいビジネスを立ち上げたり、従来にはなかった製品やサービスの開発を行ったりするなど、既存の枠にとらわれずに新しい価値の提供を率先してチャレンジする人も意味します。

昨今のビジネス書でもよく登場する経営戦略の考え方に影響するキーワードには、さまざまなものがあります

7.経営戦略を立案するまでの流れと具体的方法

経営戦略を立案するまでの流れと具体的な方法を説明しましょう。

  1. 外部環境分析
  2. 内部環境分析
  3. 競争優位の源泉を決定

①外部環境分析

外部環境分析とは、外部環境を理解する際に用いられる手法のこと。PEST分析やファイブフォース分析、あるいは3C分析などの外部環境分析は、情報収集はもちろんのこと意思決定に活かせてこそ価値があると考えられています。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は、米国のハーバード・ビジネススクールの教授、マイケル・E・ポーター氏によって生み出された、特定の業界の特徴を分析し事業戦略を策定するためのフレームワークツールです。

この場合のフォースとは「脅威」。また企業を取り巻く脅威を知り、業界の収益構造を明らかにするための分析とされています。5つの競争要因(脅威)には、以下のものが挙げられます。

  • 既存同業者との敵対
  • 新規参入企業の脅威
  • 代替品の脅威
  • 売り手の交渉力
  • 買い手の交渉力

PEST分析(PESTEL分析)

PEST分析(PESTEL分析)とはマクロ環境(外部環境)が自社にどのような影響を与えるかを分析するフレームワークのこと。PESTは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの頭文字を指します。

企業にとって統制不可能なマクロ環境を分析する手法として近年注目されており、さまざまな企業が導入していることでも有名です。

シナリオ分析

シナリオ分析とは、企業が戦略立案する中で、不確実性(リスク)要因に対処するために複数の異なる条件によって戦略を分析する手法のこと。複数の条件でNPVを計算することが基本とされています。

また戦略を実行した際、ダウンサイズ(悲観的)やアップサイド(楽観的)に振れた際、収益や投資がどれだけ変化するかを求めることが一般的だとされているのです。

プロジェクトのダウンサイズ・リスクに財務的にどこまで耐えることができるか、アップサイドに振れた際に経営資源の手当てが可能か、などを検討していきます。

②内部環境分析

内部環境分析とは、外部環境分析によって明らかになった世間一般のニーズに対して、企業は何を実現できるのか、競争相手に対して自社で勝てる領域はどこなのかなどを検討すること。

他社に真似できない資源を保持することで、「資源獲得障壁(Resource position barriers)」を構築でき、それにより企業は競争優位を得られると考えられているのです。

資源ベース理論

資源ベース理論とは、同じ業界における企業ごとの競争力の違いは、保有する経営資源の異質性により生じるという考え方や理論のこと。

1970年代後半以降、とりわけ産業組織論の知見の応用が進んだことで、競争環境の要因が企業行動にどのような影響を与えるかに関する体系的な理論化が進みつつありました。

一方、企業内部の要因を学術的に捉え、それを理論化しようとする試みは1980年代初頭からようやく進展し始めたとされています。その流れは、「資源ベース理論(リソース・ベースド・ビュー/Resource Based View)」と名付けられました。

知識ベース理論

知識ベース理論とは他の資源の再編を行い、またそれらを組み合わせる知識と各々を編集する仕組みこそ企業の競争優位の源泉であるという考え方に基づいた理論のこと。最終的には企業の存在価値を意味します。

ダイナミックケイパビリティ

ダイナミックケイパビリティとは、論文誌『戦略経営ジャーナルVol.18.7』に掲載されたティース教授らによる論文「Dynamic Capabilities and Strategic Management(ダイナミックケイパビリティと戦略経営)」によって広まった考え方です。

③競争優位の源泉を決定

競争優位の源泉の決定では、差別化、コスト優位、イノベーションの3つの方向性があるとされています。

特殊な競争環境でポイントとなるのは、競合との関係。差別化戦略、コストリーダーシップ戦略、集中戦略というマイケル・E・ポーターの基本戦略のうち、差別化戦略とコストリーダーシップ戦略が重点的に取り扱われるのです。

経営戦略を具体的に立案するまでのプロセスには、必要不可欠なキーワードやそこに関連する手法があると分かります

8.経営戦略を成功させるための書籍(比較)

この項では経営戦略の成功をテーマに描いた代表的な書籍をご紹介します。

マイケル A. ヒット『戦略経営論』(同友館)

米国で毎年5~6万部は販売されているベストセラーです。経営戦略における基本的な内容がメインに描かれており、大学院生のみならず、学部生向けの教材としても人気があります。

『戦略経営論』https://www.amazon.co.jp/dp/4496050773/

ロバート W. グラント『グラント 現代戦略分析』(中央経済社)

欧州や北米のビジネススクールを中心に、多くの大学院で採用されている標準的な教科書です。具体的な事例や理論について常に最新の議論が反映されており、評価が高いことでも知られています。

『グラント 現代戦略分析』https://www.amazon.co.jp/dp/4502251615/

ジェイ B. バーニー『企業戦略論』(ダイヤモンド社)

資源ベース理論の大家が記した書籍です。同理論の系譜を探究する大学教員を中心に、欧米の数多くのビジネススクールで採用される教科書としても有名です。

『企業戦略論 【上】』https://www.amazon.co.jp/dp/447837452X/

『企業戦略論 【中】』https://www.amazon.co.jp/dp/4478374538/

『企業戦略論 【下】』https://www.amazon.co.jp/dp/4478374546/

アメリカのビジネススクールの教科書として使用される書籍は日本でも入手可能です。興味がある人はぜひ読んでみてください