インテグリティ(誠実さ)とは? 定義、ドラッカーの説、管理職に必須の理由、事例

インテグリティは、管理職に必要とされるもので、誠実、高潔、完全な状態を意味する言葉です。インテグリティは、ビジネス上でどのように扱われているのでしょうか?

ここでは、

  • インテグリティの定義
  • 必要性
  • インテグリティマネジメントの役割
  • 製薬会社のデータインテグリティや評価されている企業などの事例

などについて解説します。

1.インテグリティとは?

企業におけるインテグリティとは、誠実、真摯、高潔などの概念を意味します。

インテグリティは企業の経営やマネジメントにおいて最も重要な資質、価値観を示すもので企業はインテグリティ(誠実さ)を最優先し、法令遵守をはじめ幅広く社会的責任の遂行と企業倫理の実践を目指しているのです。

欧米の企業では、頻繁に使われる言葉となりますが、日本でも評価される企業は多数あります。また、インテグリティのある経営者と呼ばれるのは非常に名誉なことです。

インテグリティ(integrity)と語源

インテグリティという言葉の由来は、全体性(wholeness)や完璧性(completeness)、清廉性(purity)を意味するintegritasというラテン語にあります。英語としては、完全性を意味する言葉です。

日本語では、

  • 高潔さ
  • 誠実さ
  • 真摯さ

と訳されますが、インテグリティの意味にぴったり適しているとはいえないそうです。

インテグリティの定義

インテグリティは、マネジメントの担い手に重要な資質、とピーター・ドラッカーは話しています。しかしインテグリティを定義するとなると、真摯さという個人の態度ゆえ、ドラッカーでさえ難しいのです。

インテグリティを持っていない人の定義

「インテグリティのある人」は最高の褒め言葉とされています。対照的に、インテグリティを持っていない人とはどのような人なのでしょう?

  • 人の強みでなく弱みに注目する者
  • 冷笑家
  • 何が正しいかではなく、誰が正しいかに関心を寄せる
  • 部下の人格ではなく、頭脳を重視する
  • 有能な部下を歓迎するのではなく恐れる
  • 自分の仕事に高い基準を掲げない

経営・人事におけるインテグリティの意味

誠実、高潔、完全な状態、といった意味を持つインテグリティは、経営・人事の世界では、誠実さ、高潔さ、真摯さなどを指す言葉として使われます。

インテグリティのある企業や人には、

  • 法律や社会規範を守る
  • 顧客や取引先、株主、社員、また社会に対して誠実で真摯な経営をする

などの特徴があります。


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2.ビジネス界でインテグリティを持つ人とは? ドラッカーが示す必要な資質

インテグリティを持つ人とはどういった人なのでしょう。

  • ドラッカーが示す必要な資質
  • ドラッカーの著書やインテグリティの必要性
  • コンプライアンス経営の重要性
  • 経営者の役割や条件

などについて解説します。

P.F.ドラッカーと著書『現代の経営(The Practice of Management)』

『現代の経営』(1954 年)は、P. F. ドラッカーがマネジメントについての体系的言説を世に問うた事実上最初の書物であり、概念上の基本的枠組みを理解できる本です。

『現代の経営』は、マネジメント探究をする上で大きな役割を果たしています。業界への巨大な影響から見ても、その刊行は経営学史にあって特筆すべき出来事でした。日本企業の事業展開において指針となった本でもあります。

なぜ企業経営にインテグリティが必要なのか?

管理職である人間には、インテグリティが重要なのです。たとえば、

  • 管理職の態度が悪い
  • 頼りない
  • 知識が浅い

といった場合、部下はそれらを感じ取ってもある程度許容できるといいます。しかし、インテグリティの欠如については許さないものなのです。

ドラッカーは『現代の経営』の中で、経営者に知識と魅力が備わっていてもインテグリティ(誠実さ)が欠けていれば組織は腐敗すると記しています。経営には、インテグリティは欠かせないのです。

インテグリティマネジメントとは?

法令や規範の遵守だけでなく、幅広い社会的責任を実行するのが広義のコンプライアンス経営であり、その実践がインテグリティマネジメントです。

「経営者が組織の管理活動の中で直面する倫理的諸問題についてオープンな討論と計画化された意思決定を促進する方法である」 (J.A. Waters, 1988)ともあります。

なぜ今コンプライアンス経営が重要視されるのか?

インテグリティマネジメントの必要性が提起される理由は、企業や経営者のインテグリティの欠如です。

  • 倫理的リーダーシップの不備や経営理念の腐敗が引き起こされている
  • 倫理行動基準や倫理戦略などといった一連のプロセスが未確立
  • その基盤を形成している共通の倫理基準(common ethical standards)が認識されていない

これらによって、インテグリティの欠如が起こっています。改めて、コンプライアンス経営を見直すことが大切なのです。

インテグリティを持つ経営者とは? 要件や役割

インテグリティを持つ経営者とはどんな人物なのでしょう。目標を達成するために、

  • 公正で正義感がある
  • 非利己的な動機を持つ
  • 法的義務と倫理基準に対応しながら利益を求める
  • 倫理的行動の範囲内で実践できる

といった要素を持つ人物がインテグリティを持つ経営者といえます。こうした経営者は、意思決定や行動の際、すべての利害関係者にとって公平となるかといった視点で判断します。

3.インテグリティが評価された日本企業例

最高の褒め言葉とされるのがインテグリティで、日本でもインテグリティな経営をしている、と認められている企業があります。一体どんな企業でしょうか。インテグリティについて認識を深めていきましょう。

「誠実な企業」賞 Integrity Award

「誠実な企業」賞・Integrity Awardは、誠実な経営、すなわちインテグリティを意識した企業経営をすることを推進し応援する賞です。株式会社インテグレックスが調査を実施し、審議会において決定します。

  • 誠実な経営
  • 企業倫理
  • コンプライアンス
  • 内部統制

などで優れた取り組みを行い社会的責任を果たしつつ、市場において高い競争力を持っている企業ということです。

伊藤忠商事株式会社

2015年最優秀賞を受賞したのが、伊藤忠商事株式会社です。伊藤忠商事株式会社は、

  • 繊維
  • 機械
  • 金属
  • エネルギー
  • 化学品
  • 食料
  • 住生活
  • 情報
  • 金融

などの分野でビジネスを展開する総合商社です。

  1. 先見性
  2. 誠実
  3. 多様性
  4. 情熱
  5. 挑戦

といった5つの質問を掲げ、スタッフが毎日、自らの行動を確認できるようにしています。

株式会社滋賀銀行

同年、優秀賞を受賞した株式会社滋賀銀行は、近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」の精神を根底に、

  • 自分にきびしく
  • 人には親切
  • 社会につくす

を理念とし、社会において共存共栄を実現している企業です。地域社会の発展に努め、役職員には個性の尊重、働きがいのある職場づくりを、そして地球環境を守る会社づくりをしています、

東レ株式会社

同じく優秀賞を受賞した東レ株式会社は、

  • 繊維
  • 機能化成品
  • 炭素繊維複合材料
  • 環境・エンジニアリング
  • ライフサイエンス

などの製造、加工、販売を行っています。東レ株式会社では、

  • 企業倫理
  • 法令遵守
  • 安全・防災・環境保全

を最優先とした経営をすると同時に、地球環境問題への取り組みや新素材の開発・提供を行って、多くのビジネスを支えています

日本人や日本製品が信頼されるのはインテグリティが高いから

日本人や日本製品が信頼される理由は、誠実で真摯に製品やサービスへの取り組みを行うなど、インテグリティの高さにあります。海外では、日本製というだけで商談が成立する場合もあるそうです。

同様に、震災時における日本人の助け合いの精神も海外で広く知られています。嘘をつかない誠実さや助け合いの精神、おしゃれで繊細な部分などが信頼される理由なのです。

4.製薬業界の「データインテグリティ」とは?

横浜市のマンションの「杭打ちデータ改ざん事件」や、フォルクスワーゲンの排ガス不正など、データの改ざん偽装は、社会に大きな衝撃を与えるとともに問題となっています。

不正データや曖昧な情報は、社会全体を不安にさせます。そういった不安を解消し安全で安心な社会を目指すためにも、データインテグリティ(データの完全性)が求められているのです。

医薬品品質を保証する「データインテグリティ」

データ改ざんやデータ偽装は、社会を不安にさせる要素ですが、イギリスでは医薬品や医療製品におけるデータインテグリティに関するガイダンスが発行され、世界の注目を浴びています。

薬の品質を満たし、安全性を認識するため、データインテグリティは医薬品品質システムの基本です。医薬品製造業者や分析ラボラトリーでは、データインテグリティリスクに基づき、管理状態を供給できるシステムの設計と運用を行うことが求められます。

「GMP 査察における指摘事項 2013 年版」の内容とデータインテグリティ関連の指摘

イギリス医薬品・医薬製品規制庁(MHRA)で発表された「GMP査察における指摘事項2013年版」では、過去5年間の要件不適合ランキングや変化が報告されています。

メジャーな不適合の発生割合は、

  • 2009年が2.27
  • 2013年は1.87

と減少している一方で、クリティカルな不適合の割合は、

  • 2013年以前の4年間は0.07から0.09
  • 2013年には0.13

と急増しています。これはデータインテグリティ関連の指摘によるものと報告されています。データインテグリティの問題は、公衆衛生に潜在的な影響を及ぼしているということが明らかになったのです。

悪い習慣や意図的な不正行為は、すべての地域や産業分野において存在するとされています。それらを是正するためにも、データインテグリティとトレーサビリティ(情報を記録し、追跡できる状態にすること)を確実に維持しなければなりません。

海外規制当局MHRA(医薬品・医療製品規制庁)のガイダンス

イギリス医薬品・医薬製品規制庁(MHRA)は、2014年10月に公開した過去5年間のGMP査察レポートで、データインテグリティに関する指摘が急増していると報告しています。

それを重要視し、MHRAは2015年3月にデータインテグリティに関するガイダンスを発行したのです。さらにそれに倣ったFDAやWHOからもデータインテグリティに関するガイダンスが発行されています。

データインテグリティの対策(セミナーなど)

データインテグリティに関する要件不適合の指摘により、各関係機関からデータインテグリティに関するガイダンスが発行される中、製薬企業ではプロセスや組織などでの対応が求められています。

その取り組みの一つとして、データインテグリティの要点や企業における対応ポイントなどについてのセミナーが開催されているのです。