サステナビリティとは? 意味・定義、CSRとの違い、取り組み具体例について

環境問題のニュースなどでよく使われる「サステナビリティ」という言葉。最近、耳にする機会が多くなった言葉の一つですが、その意味を正しく理解していますか?

ここでは、

  • サステナビリティという言葉の意味
  • サステナビリティ経営の考え方
  • 取り組みの現状や背景

などについて解説します。

1.サステナビリティとは?

サステナビリティとは環境や経済、社会のバランスを考え、世の中全体を持続可能な状態にしていく考え方のことです。「サステナビリティ」と表記しますが、日本語では「持続可能な」「持続可能性」と表現されることもあります。

もともとは、水産業界で、水産資源を減らさずに漁獲量を持続させるという意味で使われていましたが、この考えが企業経営にも取り入れられるようになり、やがて「コーポレート・サステナビリティ」として確立していきました。

企業戦略上のサステナビリティとは?

コーポレート・サステナビリティとは、企業が事業活動を通じて、環境や経済など社会全体に対して与える影響を考えながら、長期的な運営を目指す取り組みのことです。

環境保全や社会貢献などの活動がこれに当たるでしょう。

ボランティアにも通ずる考え方ですが、長い目で世の中全体を考えて、

  • 自分たちだけでなく、その子どもたち、またその先にいる人々が生きていくための財産となるような経営をしよう
  • そのための取り組みをやっていこう

という思想のことです。

CSRとの違い

サステナビリティに近い考え方に、「CSR(企業の社会的責任)」があります。

CSRとは、「企業が利益を追求するだけでなく、企業が行う活動が世の中に影響を与えることに責任を持った上で、消費者や社会全体からの要求に応えること」で、サステナビリティという言葉が広まる以前から呼びかけられていた概念です。

CSRとというと、慈善活動や寄付や募金のようなものを連想しがちでしょう。どちらかというと優れたサービスや商品を提供することで社会的責任を果たす、という捉え方が本来の意味に近いです。

グローバル企業のCSR

一方で、グローバル企業のCSRの考え方は少し異なります。社会活動や環境への配慮を行って事業活動を自己抑制するもの、と考えられています。

この考え方に基づくとたとえば、工場から出た工業廃水などで環境が汚染され周辺住民に健康被害が出たケースなどは、CSRが欠けていたために起こったもの、という解釈ができます。

企業の過度な利益追求は、環境や社会の利益向上と対立するもの、と定義しているのです。

サステナビリティの考え方

サステナビリティの考え方は、大きく次の2つに集約されます。

  1. 長期的視野を持つ
  2. CSRはコストではない

①長期的視野を持つ

まずは「長期的視野を持つ」という点です。サステナビリティが一般的に普及する前、多くの企業が短期的な利益に集中する傾向にありました。年次決算や、半期や四半期といった短期間の利益だけを求める動きです。

しかし最近は、

  • 短期的な利益の追求は、長い目で見るとかえって利益を損ねる
  • 結局は成功しない

というサステナビリティに通ずる考え方が一般的になりつつあります。

②CSRはコストではない

もう一つの「CSRはコストではない」は、特に海外企業では一般的な考え方になっています。日本企業では「CSRはコストだ」と考えられることが多いですが、海外では「社会・環境への価値提供は将来的な利益になり得る」という考え方が広まっているようです。

CSRをコストと見なす企業は、

  • 善管注意義務違反
  • 受託者責任違反

になる可能性もあるようです。

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2.GRIスタンダードとは? サステナビリティの要素

サステナビリティの考え方には少し曖昧なところがあり、国や企業によって解釈の仕方が異なることがあります。そのためサステナビリティの国際的なスタンダードを記した「GRIスタンダード」というガイドラインが作成されているのです。

このガイドラインは、サステナビリティを推奨する企業やあらゆる団体の活動を支援する内容になっています。

グローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)とは?

GRIスタンダードを発行しているのは、GRI(Global Reporting Initiative)という団体です。サステナビリティについて具体的な国際基準を設定するためにつくられた団体で、UNEP(国連環境計画)の公認団体でもあります。

GRIスタンダードをもとに作成されるサステナビリティ報告書では、企業が行った持続可能性に即した活動がどのような効果をもたらしたのか、という情報が提供されています。

経済・社会・環境の33テーマ

サステナビリティが対象にできる分野はとても広いため、どの分野の何を問題視して考慮していく必要があるか、分かりにくいでしょう。

そのため、GRIスタンダードでは、企業が持続可能な経営のために考慮すべき分野を経済・社会・環境の3つのポイントから、33テーマに分けています。

社会(19項目) 環境(8項目)
  • 雇用
  • 労使関係
  • 労働安全衛生
  • 研修および教育
  • 多様性と機会均等
  • 非差別
  • 結社の自由と団体交渉
  • 児童労働
  • 強制労働
  • 保安慣行
  • 先住民の権利
  • 人権評価
  • 地域コミュニティ
  • サプライヤーの社会評価
  • 公共政策
  • 顧客の安全衛生
  • マーケティングとラベリング
  • 顧客プライバシー
  • 社会経済コンプライアンス
  • 原材料
  • エネルギー
  • 生物多様性
  • 大気への排出
  • 排水および廃棄物
  • 環境コンプライアンス
  • サプライヤーの環境評価
経済(6項目)
  • 経済的パフォーマンス
  • 市場での存在感
  • 間接的な経済影響
  • 調達慣行
  • 腐敗防止
  • 反競争的行為
参考 GRI Standards Japanese Translations Download CenterGRI

サステナビリティ日本フォーラム

GRIガイドラインの普及活動は、日本でも積極的に行われています。2002年、GRIガイドラインの普及と持続可能な社会の実現を目指す「GRI日本フォーラム」が発足しているのです。

3.CSR格付けインデックスのDJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)

GRIガイドラインの他、コーポレート・サステナビリティの指標となるものとして、「DJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)」があります。DJSIは、アメリカのS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社とスイスのRobecoSAM社によって共同開発されました。

世界中の3,400社以上もの大手企業を対象に、経済・環境・社会の3つの観点から、企業を詳細に分析し、持続可能性に優れた企業が選定されるというものです。DJSIは、世界で最も信頼性が高いサステナビリティの指標といわれています。

世界で最も持続可能な企業はどのように分布しているか?

コーポレート・サステナビリティに共感し、活動をしている企業のうち、最も持続可能性のある企業はどの国に多いのでしょうか。

DJSIと連携している大手サステナビリティ投資会社であるRobecoSAMは、毎年「Sustainability Yearbook」を発行し、詳細な採点方法で持続可能性に優れた企業を掲載しています。

2017年のSustainability Yearbookによると、図のような分布となっていました。群を抜いて掲載数が多いのはアメリカの70社で、日本はアメリカに次いで多く53社となっています。

参考 The_Sustainability_Yearbook_2017RobecoSAM

日本の「サステナビリティリーダー 2017」

サステナビリティリーダーは、毎年Sustainability Yearbookに掲載された企業の中で、各分野の高スコアを獲得した企業が選ばれます。日本企業も毎年、複数の分野でランクインしているのです。

2017年にサステナビリティリーダーに選ばれた日本企業数社を、以下に紹介しましょう。

積水化学工業株式会社、積水ハウス株式会社、住友林業株式会社(住宅建設)

住宅建設業界のサステナビリティリーダー2017には、

  1. 積水化学工業株式会社
  2. 積水ハウス株式会社
  3. 住友林業株式会社

の3社が選ばれ、リーダーとして選定された企業はすべて日本企業となりました。そのうち、積水化学工業株式会社と積水ハウス株式会社はゴールドクラスを獲得しています。日本企業全体のゴールドクラス3社中、2社がこの住宅建設業界となっています。

住宅建設において、有害物質を使用しない取り組みや廃棄物をリサイクルするなどの仕組みが評価されたということです。

本田技研工業株式会社 、日産自動車株式会社 、マツダ株式会社(自動車)

自動車業界では、

  1. 本田技研工業株式会社
  2. 日産自動車株式会社
  3. マツダ株式会社

の3社がブロンズクラスとしてリーダーに選ばれました。ゴールドクラスはドイツのBayerische Motoren Werke AG、シルバークラスはフランスのPeugeot SAが獲得。日本企業と並ぶブロンズクラスには、イタリアのFiat Chrysler Automobiles NVも選ばれました。

自動車メーカーにはここ最近、排ガス量の改ざんや試験結果の矛盾疑惑などの問題が起きていました。そのため財務的な観点からサステナビリティに対して、非常に厳しい状況が続いているようです。

TOTO 株式会社、株式会社 LIXIL グループ(建設関連製品)

キッチンやユニットバス、窓やプラスチック製品などを製造する建設関連製品の部門では、

  • TOTO株式会社がシルバークラス
  • 株式会社LIXIL グループがブロンズクラス

を獲得しました。海外企業では、ゴールドクラスにアメリカのOwens Corning、シルバークラスにフランスのCie de Saint-Gobainが選ばれています。

建築物の製造には、全世界のエネルギー約40%、水25%、資源40%が費やされており、世界の温室効果ガス排出量の3分の1(国連環境計画のデータ)が使用されています。そのため、この業界では資源をどう有効に使うかが重要なポイントとなったようです。

コニカミノルタ株式会社、富士フイルムホールディングス株式会社、日本電気株式会社(コンピューター・周辺機器および事務用電子機器)

コンピューター・周辺機器の部門では、

  • コニカミノルタ株式会社がシルバークラス
  • 富士フイルムホールディングス株式会社、日本電気株式会社がブロンズクラス

に選ばれました。

また、海外企業ではゴールドクラスにアメリカのHewlett Packard Enterprise Co、シルバークラスに同じくアメリカのHP Inc、ブロンズクラスにLite-On Technology Corpが選ばれています。

コンピューター利用が進む中、クラッカーなどの脅威から利用者を守る技術が求められているようです。

株式会社ベネッセホールディングス(各種消費者サービス)

教育や人的資源などの幅広いサービス提供を行う、各種消費者サービスの分野では株式会社ベネッセホールディングスとアメリカのH&R Block Incの2社のみが選ばれました。2017年は、ゴールド・シルバー・ブロンズを獲得した企業はありません。

この分野の企業はBtoCが多いというのが特徴で、顧客数の獲得と維持が重要視されています。

株式会社日立製作所、オムロン株式会社(電子装置・機器・部品)

電子装置業界での日本企業は、

  • 株式会社日立製作所がブロンズクラス
  • オムロン株式会社が Yearbookに掲載

されています。

ゴールドクラスは台湾のAU Optronics CorpとDelta Electronics Inc、ブロンズクラスでは韓国のLG Display Co Ltd、LG Innotek Co Ltd、Samsung Electro-Mechanics Co Ltd、Samsung SDI Co Ltdが選ばれました。 シルバークラス獲得の企業はありませんでした。

この業界では顧客が効率よく営業するための仕組みづくりが重要なポイントとされています。

味の素株式会社(食品)

食品業界では味の素株式会社がブロンズクラスとして選出されました。ゴールドクラスにはスイスのNestle SA 、シルバークラスにはコロンビアのGrupo Nutresa SAが選ばれています。

Yearbook には、アメリカ6社、コロンビア1社、フランス1社、韓国1社、タイ2社の計11社が掲載されました。

食品業界に関しては、日本だけでなく海外でも安全性に注目が集まっているためかいかに安全に提供しているか、という点が重要視されているようです。

4.日本のサステナビリティ先進企業の取り組み

サステナビリティリーダーに選出される日本企業は多く、国別ではトップクラスの水準です。中でも、サステナビリティ先進企業はどのような取り組みをしているのか、以下で具体的に解説していきます。

ファーストリテイリング(ユニクロ事業など)

ユニクロやGUなどのアパレル事業を行うファーストリテイリングではサステナビリティを推進するに当たり、「サプライチェーン」「商品」「店舗とコミュニティ」「従業員」の4つをポイントとしています。

4つのポイントを核として、同社では次のような取り組みを行っています。

サプライチェーン
  • 人権尊重、無駄をなくすことによる環境負荷の最小化
  • 取引先との強固なパートナーシップによる経営の安定と成長
  • トレーサビリティの追求と課題の理解・解決、お客様への情報開示
商品
  • 原材料調達・生産における社会・環境への配慮
  • サステナブルな商品づくり
  • 社会・環境に貢献するライフスタイルと商品の提案
店舗とコミュニティ
  • 店舗使用エネルギーの抑制・削減
  • 店舗での廃棄物管理とリサイクル
  • サステナブルな店舗建材・設備・消耗品
  • コミュニティの安定・持続的成長および地域社会との共存共栄
  • 顧客創造および従業員のモチベーション向上につながる社会貢献
従業員
  • 人権尊重
  • 機会均等・多様性尊重
  • 安全・健康尊重
  • キャリア開発の促進
  • 能力開発・教育の促進

キヤノンのサステナビリティレポート

電気機器メーカーのキヤノンは、

  1. 新たな価値創造、社会課題の解決
  2. 地球環境の保護・保全
  3. 人と社会への配慮

の3つをコンセプトとした取り組みを行っています。特に環境の分野では評価が高く、キヤノンサステナビリティレポートは環境コミュニケーション大賞の環境報告書部門で3年連続優良賞を獲得しています。

各項目の具体的な取り組み目標は以下の通りです。

新たな価値創造、社会課題の解決 医療、セキュリティ、産業ロボットなど、社会的要請の高い事業の強化・拡大を通じて国際社会の課題解決に貢献
地球環境の保護・保全 豊かな生活と地球環境が両立する社会をめざして製品ライフサイクル全体で地球環境への影響を軽減
人と社会への配慮 人権と労働、社会貢献、製品責任など、社会の一員としてステークホルダーへ説明責任を果たし、期待に応える

まとめ

環境や雇用、人権や市場のバランスなど、企業をとりまく課題はさまざまです。短期的な利益を追求するだけでなく、事業を通して問題改善に取り組むことは、事業の継続に不可欠でしょう。

重点を置いて取り組むべき問題は業種によって異なります。まず、持続可能な経営を実現するために解決すべき課題を明確にして、何ができるかを考えることから始めてみてはいかがでしょうか。