【解説】ヒューマンスキルとは? 7つの能力と習得方法、関連スキルの解説

ビジネスシーンで現場に携わるマネージャーに求められる能力として、ヒューマンスキルが挙げられます。

ヒューマンスキルとは交渉や調整の際に、円滑なコミュニケーションを可能とする対人関係のスキル。ここでは、ヒューマンスキルと共に、テクニカルスキル、コンセプチュアルスキルなどについて詳しく紹介します。

1.ヒューマンスキルとは?

ヒューマンスキルとは、他者との良好な人間関係を構築し、円滑なコミュニケーションを可能とするスキルのこと。現場マネージャーの指揮能力とされているもので、米国の経営学者R.カッツが提唱しました。

多くの仕事で、

  • 他者の考えをより正確に引き出す技術
  • 自分の考えを他者に正確に伝える技術

といったように、相手と同じ立場に立つことができるかが基本とされています。また、それらのコミュニケーション能力を意識していくことも必要とされているのです。

またヒューマンスキルには、

  • 対立する意見の調整
  • 自分の意見を主張するネゴシエーション
  • 自分の考えを正確に伝えるプレゼンテーション
  • 現場スタッフたちのモチベーションを上げる能力

なども含まれています。

コンセプチュアルスキルとは?

コンセプチュアルスキルとは、物事の本質を的確に捉えて、個人や組織が持つ可能性を最大限にまで高める能力のこと。先述した米国の経営学者R・カッツが、ヒューマンスキルと共に提唱したビジネススキルの一つです。

日本では概念化能力と訳されており、

  • 物事を概念化して論理的に捉える能力
  • 曖昧な事象に対して創造的に取り組む能力
  • 鮮明な将来ビジョンを描く能力

と定義されています。物事や事象の根本的性質や成立条件を正しく認識して、課題の解決
や目標の達成を目指していくのです。多くの経営資源を扱う経営者や人事部が身に付けるべきマネジメントスキルとして、現在注目を集めています。

テクニカルスキルとは?

テクニカルスキルとは、実務そのものに関するスキルや知識、技術熟練度のことで、業務遂行能力とも呼ばれます。

  • 汎用的スキル:基本的なPCスキルやビジネスマナー
  • 専門的スキル:職種などに応じた専門性の高い知識・技術など

と大別されているのです。

専門的スキルの具体的には、

  • 会計職:経理、財務
  • 営業職:マーケティングやプレゼンテーション
  • 教育関係:指導、コーチング、ティーチング
  • 福祉関係:医療、介護、介護保険制度

などが挙げられます。より専門分野に特化した能力・技術・知識とされているのです。

なぜマネージャーにヒューマンスキルが必要なのか

ビジネスを取り巻く環境は日々変化しています。そのためマネージャーには、現場での変化に迅速で的確に対応できるスキルが求められているのです。

マネージャーは、上記のさまざまな人材と接する機会が多くなっています。

  • 他部署のマネージャーといった同格の存在
  • 経営層といった上長に当たる存在
  • チームメンバーといった部下に当たる存在

こうしたさまざまな人材とコミュニケーションを取りながら現場の調整や人材育成などを行うためにも、ヒューマンスキルが必要とされているのです。

また現在は「人材の多様性(ダイバーシティ)」が叫ばれており、現場スタッフそれぞれの価値観も多様化。スタッフ一人ひとりと向き合うことで現場での信頼感が生まれ、業務を円滑に遂行できるようになるのです。

ヒューマンスキルを学ぶメリット

ヒューマンスキルはマネージャーに必須のスキルといわれているもの。しかしマネージャー以外の人も、ヒューマンスキルを学ぶことでメリットを得られるのです。

業務を遂行する上で、良好な人間関係の構築は重要なものですし、ヒューマンスキルは人間関係を良好に保つために必要な能力。ヒューマンスキルの習得により、あらゆる分野・現場において、さまざまな人間関係を良い方向に導くことができるのです。

特に以下のスキルを高める役割を持ちます。

  • コミュニケーション力
  • ヒアリング力
  • 交渉力
  • プレゼンテーション力
  • リーダーシップ

ヒューマンスキルとは、マネージャーが業務を円滑に遂行するために必要なコミュニケーションスキルのこと

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2.ヒューマンスキルの種類一覧

ヒューマンスキルは、以下の7つに細分化されています。

  1. ネゴシエーション
  2. 傾聴
  3. リーダーシップ
  4. プレゼンテーション
  5. コーチング
  6. コミュニケーション
  7. ファシリテーション

①ネゴシエーション

ネゴシエーションとは、双方共に納得できるよう物事をまとめて、信頼関係を構築するスキルのことで、交渉力とされています。

ネゴシエーションの前提は「自分の立場だけを考えるのではなく、相手の立場で考えること」で、習得には経験を積んでいくことが必要です。

  • 相手の意図を正確に理解する:相手の真意をきちんと受け取り、認識の差異を埋める
  • 戦略を立てる:相手の性格や権限などを分析し、相手の立場を認識する
  • 演出:交渉にふさわしいタイミングや場所を選ぶ
  • 分析と修正:計画した戦略がそぐわなかった場合、臨機応変に軌道を修正していく
  • クロージング:もし決裂したとしても双方で納得ができる結果を残す

②傾聴

傾聴とは、相手の話を真摯な姿勢で聴くコミュニケーション技法で、相手を受け入れて共感する力のこと。

話し方や表情、姿勢、しぐさといった言葉以外の部分にも注意を払い、相手を深く理解していきます。また、信頼関係を築くだけでなく、傾聴によって自分自身を知り、精神的成長を促す効果も持つのです。

傾聴はビジネスシーンでも活用されており、以下のような特徴を持っています。

  • 傾聴によって顧客が本当に求めていることを知ることができ、顧客の満足度向上につながる
  • 社内のあらゆる範囲の人たちとの信頼関係を築く上でも力を発揮する
  • 現場で働くスタッフを理解することで、モチベーションの向上にも一役買う
  • 企業に大きなメリットを及ぼす

傾聴とは? 意味、ロジャーズの3原則、実践方法8選、ビジネスで効果を出すには?
傾聴とは、「耳」「目」「心」を傾けて真摯な姿勢で相手の話を聴くコミュニケーションの技法。相手との信頼関係を築くだけでなく、傾聴を通して自分自身を知り、感情のコントロール等精神的成長を促すきっかけにもな...

③リーダーシップ

リーダーシップという言葉から、「先頭に立ってチームを率いる」「指揮を執る」といったイメージを思い浮かべてしまうでしょう。しかし近年は「定めた目標に向かって取り組み、成果を挙げていくためのスキル」と考えられているのです。

オーストリアの経営学者ピーター・ドラッカーは、リーダーシップの本質を以下のように3つの定義で示しています。

  1. 付き従う者がいる:そのリーダーを信頼しており、自らの意思に基づいて従う者がいる
  2. リーダーシップを仕事として捉えている:組織の使命をメンバーに明示して、目標に対して優先順位を決めて体制を維持していく
  3. リーダーシップを責任として見る:地位や特権ではなく、すべての責任は自分にあるという潔さを持つ

【すぐに実践できる例】リーダーシップとは?ドラッカーの定義や種類、具体的な行動まとめ
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④プレゼンテーション

プレゼンテーションは、自分の意思を適切に相手に伝えて、理解を深めてもらうために必要なスキルで、英語で「表現」「提示」「紹介」といった意味を持ちます。

広告業界では「プレゼン」という言い方で浸透しており、自社や作品をクライアントに提示するときをはじめ、広告活動に関する計画・戦略の提案などで、この言葉が使われているのです。

プレゼンテーションは視覚伝達手段の一種。スケッチ・図表などのデザインをスライド方式で提示するものがほとんどで、一般的に以下の表現方法が用いられています。

  • 大型ディスプレイやプロジェクターでスクリーンに映し出す
  • ノートパソコン上で必要な画像などを再生する

業務によっては、モックアップやマケットなどの模型を使用する場合もあります。

⑤コーチング

コーチングとは、個人またはチームを指導・育成するスキルであり、成果を達成していくためのパートナーシップ。創造力・情報・技術などを持った第三者の視点が加わることで、現場スタッフはより効果的に業務に取り組むことができるといわれているのです。

  • スタッフたちの話を聞き、質問し、提案することで、業務の活性化を促す
  • スタッフたちのスキルや知識を高めて、解決策や戦略を築いていく
  • スタッフたちが新しい視点やこれまでになかった考え方を持つ
  • 意思決定や対人能力を促進して、今まで以上に業務を円滑に遂行する

など企業の発展にもつながるため、近年のビジネスシーンでは、コーチングスキルの習得がマネージャーに求められています。

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⑥コミュニケーション

ヒューマンスキルの根幹をなすコミュニケーション能力は、どんな人とも良い人間関係をストレスなく構築・維持する際に発揮されます。業務を円滑に遂行して目標を達成するためにも、スタッフたちと良好な人間関係を築くことはとても大切なことでしょう。

  • 挨拶や何気ない会話で、現場を和やかにする
  • 常に相手に対して正直に接し、相手の価値観を尊重する

などを心掛けて、信頼関係を強固なものにしていきます。注意点は、コミュニケーションとは押し付けではないということ。自分や相手に何かを強制してしまっては、かえって関係を壊してしまう可能性もあるでしょう。

本当のコミュニケーション能力とは、一人ひとりの性格や立場を把握した上で適切に接することなのです。

⑦ファシリテーション

ファシリテーションとは、組織内の会議などで、円滑に話し合いが進むように支援するスキルのこと。段取り・進行・プログラムといった役割を担う人は、「ファシリテーター(facilitator)」と呼ばれています。

ファシリテーションには、以下のようなスキルが必要です。

  • 「傾聴」といったコミュニケーションスキル
  • 「図解」や「フレームワーク」などで構造化できるスキル
  • 「合意(コンセンサス)」を取り付けられるスキル

ファシリテーションは70年代の米国でビジネスの分野に取り入れられたといわれており、日本では、90年代後半から注目されるようになりました。

その背景には、問題解決や企画立ち上げで、メンバー間のコミュニケーションを重視する、業務遂行の際に、異なる立場や価値観を持つ人々を尊重するといった社会的な意識の変化が挙げられます。

ヒューマンスキルには、「ネゴシエーション」「傾聴」「リーダーシップ」「プレゼンテーション」などがあり、これらは業務遂行において良い効果を発揮します

3.ヒューマンスキルの学び方

ヒューマンスキルを身に付けるとで、企業全体に大きなメリットを及ぼします。そんなヒューマンスキルは、どのように習得すればよいのでしょう。

  • 研修で学ぶ
  • ゲーミフィケーションで学ぶ
  • 人事が評価する観点をもとに学ぶ
  • 振り返りから学ぶ
  • フィードバックから学ぶ
  • PDCAサイクルを意識して学ぶ

①研修で学ぶ

研修でしっかりヒューマンスキルを学ぶことが可能です。集合研修なら、より多くの社員が一緒に学べるでしょう。

集合研修の特徴は、

  • 社内で目的意識を共有できる
  • 顧客や取引先などとのコミュニケーション能力がアップする
  • 未然にミスを防げる

ヒューマンスキルの研修を実施することで、それまでとは違った新しい意識が芽生えるでしょう。それによりスタッフは、ビジネスパーソンとして大きく飛躍でき、それは企業にとっても大きなメリットとなります。

研修を実施する際は、不公平感や能力差を生み出さないよう、研修を受けられなかった社員のフォローもしっかりと考えましょう。

②ゲーミフィケーションで学ぶ

ゲーミフィケーションとは、ビジネスシーンにゲーム的な要素や考え方を取り入れて、楽しみながら分かりやすく学んでいく方法のことで、米国のガートナー社が提唱しました。

メディアなどで「奇抜な発想」と紹介されていますが、ゲーム的に捉えることは、決してお遊びではありません。

そんなゲーミフィケーションのメリットは、

  • 「ゲームによって人に行動を起こしやすくさせる
  • 組織・チームとして目標の達成がしやすくなる
  • 現場のスタッフが仕事に対して意欲的に取り組む
  • 組織全体のパフォーマンス向上

独自にゲーミフィケーションを実践している企業も増えています。

③人事が評価する観点をもとに学ぶ

ヒューマンスキルは対人関係のスキルですので、資格や実績のように目に見えるかたちで提示できません。そこで有用な方法が、企業内の人間を評価する人事担当者の観点を持つことで、自分にとって必要なスキルを知り、学んでいくもの。

人事担当者は、具体的に以下のような行動・対応が取れる人を「ヒューマンスキルが高い人」と評価しています。

  • 顧客と円滑にコミュニケーションが取れて、満足度の高いアプローチができる
  • 部下の統率・管理がしっかりとできていて、育成が行き届いている
  • 業務のスケジュールを円滑に行い、予定通りに遂行できる
  • 顧客や取引先との交渉時、相手を尊重しながら、互いに納得のいく結果に導ける

④振り返りから学ぶ

客観的にヒューマンスキルを測ることは難しいです。また、仕事を重ねていくと「自分はできている」と、思い込んでしまうこともあるでしょう。そのため、業務がある程度進んだところで、今までのことを振り返る必要があります。

有効な手段として考えられるのは、

  • グループディスカッション:現場で一緒に働いている同僚や直接の上司などと、「それまでの仕事内容」「自分の仕事への取り組み方」について意見を述べ合う
  • 個別相談:普段から接することが多い人に個人的に相談・面談してもらい、指摘やアドバイスを受ける

振り返りは、楽しいだけでなくときにつらいことも。しかし、新しい自分を獲得するためにも、振り返りによって自分自身を見つめ直すことは重要です。

⑤フィードバックから学ぶ

フィードバックは単に「良い」「悪い」という評価を下すものではありません。フィードバックとは、振り返りの内容をもとに面談をし、それまでの行動や態度などへの指摘やアドバイスを受けて学び直していくもののこと。

  • 「何が原因で失敗したのか」「どうすれば目標を達成できたのか」などをしっかりと引き出す
  • 仕事上での不明点や至らないところなどを明確にして、今後の業務に向けて改善していく

これらがフィードバックの目的なのです。

またフィードバックは同僚や部下の意欲を引き出す効果があります。さまざまな場面でフィードバックをうまく活用すれば、スタッフが仕事に対して能動的に取り組むようになるでしょう。

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⑥PDCAサイクルを意識して学ぶ

PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」4つを繰り返して、現場の管理を継続的に改善していく方法のこと。それぞれの頭文字を取ってPDCAサイクルと呼ばれています。

  • Plan(計画):目標を設定し、情報を集めて、解決に向けて計画を立てる
  • Do(実行):最初から完全を目指すのではなく、テストを繰り返しながら少しずつ実践を進めて計画を実行していく
  • Check(評価する):「計画通りに実行できたのか」「解決策が本当に有効なのか」を評価する
  • Action(改善する):実施してきた結果を検討して、業務の改善を行う

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企業によって、研修やゲーミフィケーションでヒューマンスキルを学ぶ、現場にフィードバックやPDCAサイクルを取り入れる、など方法はさまざまです