ファシリテーションとは? 目的や背景、ファシリテーターやスキル、メリット、やり方や学び方について

たくさんの人が集まって行うミーティングやプロジェクトなどで、議論を促進したり問題解決が得られるようサポートをしたりするファシリテーションが注目を集めています。

ファシリテーションの目的や広まった背景、ファシリテーターやその役割、求められるスキル、メリット、やり方や学び方について詳しく解説しましょう。

1.ファシリテーションとは?

ファシリテーション(facilitation)とは会議や研修、ミーティングなどさまざまな活動の場において、良質な結果が得られるように活動のプロセスをサポートしていくこと

「司会がその場を進行する」ことを想像される方もいると思いますが、本質的には異なります。それはファシリテーションの一部にしか過ぎません。参加者が集団で問題を解決するため、認識の一致を確認したり、相互理解を深めたりするためのサポートをして、成果を生み出す手法がファシリテーションなのです。

そのため、司会・進行の役割とは別に、ファシリテーター(ファシリテーションを行う人)を置くケースもあります。

ファシリテーションとは、集団で問題を解決するよう、認識の一致や相互理解に向けたサポートを行って成果を生み出す手法のことです

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2.ファシリテーションの目的

ファシリテーションは会議やミーティングなどビジネスの世界だけではなく、地域活動やグループ学習、生涯学習など人が集まる活動すべてに適用できる手法です。

性別、年齢、職種などさまざまな価値観の人が集まるその集団を、ひとつの目標や目的に向かって進めるのは困難でしょう。

ファシリテーションによって、参加者の意見を引き出し、多くの意見をまとめ上げ、スムーズに場を進行するだけでなく、達成や完了といったゴールにたどり着くことが可能になります。

ファシリテーションの目的は、さまざまな価値観が集まる参加者たちをひとつに束ねるなど、目標達成のため円滑に進行することです

3.ファシリテーションが広まった背景

日本における日常は民俗的な同質性を特徴としていましたが、近年、民族や文化、宗教、言語、国籍、人種などといった多様性に富む社会が広がりを見せるなど、これまでの環境は変わりつつあります。

さらに、ビジネスなどの組織構造は、縦社会から横に広がるネットワーク型組織へと変化し、価値観の違う人たちとの交流も増えているのです。

そうした時代の流れから、誰かに教えてもらう答えより、集団で考えてみんなで決める答えが求められるようになりました。こうした背景により、人の意見を引き出し、まとめてひとつの回答へと導く手法であるファシリテーションの重要性が広まったのです。

時代は同質性から多様性、縦社会からネットワーク型へと変化しました。それに伴い、集団で決める答えが求められるようになったためファシリテーションの重要性が広まったのです

4.ファシリテーターとは?

ファシリテーターとはファシリテーションを行う人のこと。会議や研修、セミナーなどの進行役と考えると分かりやすいでしょう。プログラムに沿って進行することだけが役割ではありません。

参加者一人ひとりの考えや意見、アイデアなどを引き出しながら議論を深める、参加者同士の感情のぶつかり合いなどをコントロールするなどで場の環境を整えます。目的や目標を達成できるよう集団をうまくまとめる役割を担っているのです。

ファシリテーターとは、ファシリテーションを行う人のことです。目標や目的を達成できるよう参加者に働きかける役割があります

5.ファシリテーターの役割(ファシリテーションスキル)

ファシリテーターは、ただ司会進行をする存在ではありません。参加者の意見を引き出すなどファシリテーターには必要なスキルがあるのです。

  1. 目的地を定める
  2. 場の雰囲気づくり
  3. コミュニケーションの促進
  4. タイムキーパー
  5. 話を整頓してまとめる
  6. コンセンサス

①目的地を定める

目的地を定めるとは、ファシリテーションの対象となる会議やプロジェクト、ミーティングなど、活動のゴール地点を決めるということ。

目的地とはどのような状態を指すのか、何をテーマにしているものなのか、何のために活動を行うのか、活動のゴールを目指すためにどのような方法があるのかなどを明確にして、参加者と共有します。

目的地がない活動をファシリテーションすることはできません。目的地を明確にしてからファシリテーションをスタートすることで、その後の進行内容のクオリティーが高くなるのです。

②場の雰囲気づくり

さまざまな価値観や考えを持つ人、立場もそれぞれ異なる人などが集まる場もあるでしょう。

ファシリテーションでは誰もが人の話を聴き、それでいて話しやすくなるような場の雰囲気をつくります。的外れと感じる意見があっても、しっかり傾聴していけば参加者は安心して議論を進めていけます。

そのためにもファシリテーターは、常に中立的な立場で、すべての意見に対して興味を示すような立ち居振る舞いが必要となるのです。

参加者同士の意見の対立で険悪な雰囲気になることもあるでしょう。その際、ファシリテーターは、参加者の心理状態を読み取り、チーム全体が気持ちよく話し合いができるようコントロールします。

③コミュニケーションの促進

ファシリテーションのクオリティーを高めるには、参加者たちのコミュニケーションを促進することが必要です。お互いが理解し合うことで、その場に安心感や共感、信頼関係が生まれ、ファシリテーションは活発に行われます。

そこでファシリテーターは、参加者たちのコミュニケーションをうまく取るよう意識して行動するのです。

たとえば、

  • 相手のペースに合わせて話を聴き、会話を引き出す
  • 積極的に話を聴く
  • 発言する人が偏らないよう呼びかける
  • 参加者に質問をして会話を盛り上げる
  • うなずく、あいづちを打つ、話を聞き返す
  • 異なる意見がたくさん出ることを歓迎する

など、活発な意見交換ができるよう努めます。

④タイムキーパー

タイムキーパーとは、話し合いなど活動の場の時間を管理して時間内にまとまるよう進めていく人。話し合いに集中したり白熱したりすると、参加者は時間を忘れてしまいがちです。

場を見るファシリテーターが時間まで管理するのは難しいことも。タイマーなど道具を用いる、またタイムキーパーを誰かにお願いしておくのもよいでしょう。それによりファシリテーターは、時間を気にすることなく話し合いに専念できます。

⑤話を整頓してまとめる

参加者から多くの意見やアイデアなどが出されるほど、活動の目的や目標の達成度は上がり、参加者たちの達成感や納得度も高まります。そうした異なる意見やアイデアを活用して、今まで気付かなかった新たなものを見出すよう進行していくのです。

ほかの人の意見を批判しない、否定しない、お互いを尊重して意見を言い合うなどのルールを決めておくとよいでしょう。参加者全員、気持ちよく意見交換でき、新たなアイデアを生み出すことができます。

⑥コンセンサス

コンセンサスとは、参加者全員の意見が一致していること。ファシリテーターは参加者から出された多くの意見をまとめ、全員の合意が取れるように進行していきます。

ファシリテーションでは、全員が納得するまで意見交換がなされます。その中の1つの意見に対して参加者全員が支持するという状況はほとんどないでしょう。

その際、活動のゴールを再度明確にする、具体的な質問を投げかけて選択肢を広げていく、投票するなど話し合うべきことを絞り、参加者全員が共通の結論に至るよう努めるのです。

ファシリテーターは常に中立の立場で活動を進行します。また、参加者全員が意見しやすいを環境をつくって、参加者の合意形成をサポートします

6.ファシリテーションのメリット

ファシリテーションの第一のメリットは納得できるということ。

ファシリテーターは、職位に関係なく意見を聞くのはもちろん、多数派・少数派にとらわれず、確認を取りながら全員が納得できるよう進めます。また、段取りをあらかじめ組み立ててから打ち合わせをするため、時間内にまとまりやすいのです。

納得に至るというと時間を要すると考えがちですが、ファシリテーターの意識によって、スムーズかつスマートに進められます。

新しい発想を促す

ファシリテーションではさまざまなアイデア、考え、価値観の異なる人が集まって、活発に意見交換します。しかし集団で話し合えば、参加者同士が意見の相違でぶつかり合うことも。

とはいえ、自分にはなかった思考や発想で刺激し合えば、お互いの違いに気付き、新たなアイデアが生み出されます。これによりこれまでと異なる革新的な答えにたどり着き、さらに参加者全員でゴールに至った喜びと達成感に満たされるでしょう。

さまざまな分野に良い変化をもたらす

ファシリテーションは、人とのつながりや組織、社会あらゆる分野の活動で応用できます。

たとえば、ビジネスシーンではジャンルを問わず幅広い分野で用いられており、NPO活動や地域のまちづくり活動、グループ学習や生涯学習などでも広く活用されているのです。

ファシリテーションは集団で、活動の目的を達成させるためのプロセスをサポートするもの。それによって、新たな発想の創出、協働などが生まれ、人や組織や社会に良い変化がもたらされるでしょう。

広い分野で応用できるファシリテーションは、参加者に新たな気付きや協働を生み、その結果、人、社会、組織に良い変化がもたらされます

7.ファシリテーションのやり方、事例

会議とワークショップにおけるファシリテーションのやり方を説明します。

会議の場合

ファシリテーションの具体的なやり方を事前準備、活動中、活動後で見ていきましょう。

会議前の準備

会議前に事前準備をしっかり行うと、当日のファシリテーションのクオリティーが高くなります。

準備の内容は、

  • 活動の目的や目標を定める
  • 会議の進め方を確認する
  • どのようなメンバーが集まるのか参加者情報を共有する
  • 使用するツールの確認と準備
  • 会場の整備や備品の準備
  • フレームワークの準備

など。そのほか、会議中のルールを下記のように決めておくとよいでしょう。

  • 積極的に参加者の話を聞く
  • 他人の意見を批判しない
  • 理解できない場合は質問する
  • そこで話した内容を許可なく外に持ち出さない

会議中

会議中は、問題解決のサポートをします。

  • 参加者に活動の目的や目標を認識させる
  • 現時点での問題や課題が何かを明確にする
  • 原因を突き止めたり原因を解消するための対策を考えたりする

各プロセスでは、参加者のアイデアや意見が広がるよう、ブレインストーミングや質問をしながらさまざまな発言が集まるように努める

時間内に会議の目的が達成できるように、時間を管理したり進行中に時間を参加者たちに伝えたりする(タイムキーパーに任せる場合も)

会議後

会議後は、

  • 活動の目的や目標の達成状況を確認する
  • 会議によってどのような結果が出たかを振り返る
  • 次回の会議の課題をまとめる
  • 会議で話し合った事項を主催者と参加者の間で共有する
  • その他、主催者側が行うことは、
  • 議事録を作成して参加者に回覧する
  • 決定した事項のプランを実行する
  • 次回の会議の準備を行う

など。

議事録は、できるだけ会議後にすぐ作成しましょう。会議中に内容をメモに取る役割を持つ議事録係を設けるのもひとつの手です。

ワークショップの場合

ワークショップにおけるファシリテーションのやり方を説明します。

事前準備

ワークショップは講座や講義などを一方的に受けるのではなく、参加者が実際に参加して体験し、参加者全員で学び合ったり、何かを創り上げたり、問題や課題を解決したりするもの。

ワークショップにおけるファシリテーションでは、事前に参加者に合ったプログラムをつくり、参加を促すための仕掛けを考えます。

たとえば、どのような順番で活動を進行するのかを考えたり、活動が活発に進行するため会場には何が必要なのか環境を工夫したりするのです。

ワークショップ中

ワークショップ中は、ファシリテーションを用いて参加者の活動が活発に進むよう努めます。たとえば、参加者同士の意見交換では自分の意見や考えをぶつけ合うディスカッションではなく、対話重視で進行するのです。

ワークショップでは、自分のアイデアを相手に理解してもらうために議論や討論をするのではなく、お互いに相手の話に耳を傾けて、新しいアイデアを一緒に見つけていくというスタイルで参加者の対話を促します。

ワークショップ後

ワークショップが終わった後は、記録を残しながら、各場面における対応や次回に活用できる点を考えます。

  • ワークショップの目的や目標の達成や成果を確認する
  • ワークショップを行ったことでどのような学び、体験、創造があったかを振り返る
  • ワークショップの活動内容を記録する

ワークショップは会議や講義、セミナーなどと異なり、「スキルや知識を得て終わり」ではありません。終了後に、フィードバックや振り返りの時間を取ることが大切なのです。

ファシリテーションは事前準備、活動中、終了後と3ステップでそれぞれ対応する必要があります

8.ファシリテーションの学び方

ファシリテーションは会議やセミナー、地域活動などさまざまな場面で必要とされている手法です。

集団の話し合いを円滑に進行する司会役だけではなく、

  • 参加者の心理を把握して意見交換しやすい空気をつくる
  • 新しいアイデアを生み出せるよう話し合いを活発にする
  • さまざまな意見を収束して合意形成を行う

などその役割は多岐にわたります。

こうしたスキルを身に付けるには、ファシリテーションに特化した研修やセミナーに参加して、専門家から知識を学ぶことが必要です。そして実践と経験を重ねていけば、ファシリテーターの実力が磨かれていくでしょう。

専門家からスキルと知識、技術を学び、その後は実践と経験を積み重ねてファシリテーション力を身に付けていきます