テクニカルスキルとは? 定義、向上させる方法、類型について

テクニカルスキルとは、与えられた業務を適切に遂行するために欠かせない知識や技術、能力のことです。ビジネスパーソンに欠かせないとされるテクニカルスキルについて、見ていきましょう。

1.テクニカルスキルとは?

テクニカルスキルとは、業務を遂行する上で必要となる専門的知識や技術、業務遂行能力などのことで、内容は職務内容によりさまざまです。

  • 販売職や接客職:接客技術、説明力、商品知識、観察力など
  • 事務職:事務処理能力、PCスキル、資料作成能力など
  • 営業職:コミュニケーション能力、マーケティング技術、調品知識など
  • 企画職:情報収集力、市場理解、分析力など

テクニカルスキルは、比較的若手のマネージャーに必要なスキルとされていましたが、近年では上位のマネージャーにも求められるようになっています

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2.テクニカルスキルの定義と類語

テクニカルスキルを正しく理解するには、言葉の定義をしっかりと押さえる必要があります。現場運営が中心となるロワーマネジメントほど必要と考えられるテクニカルスキルmについて、定義や類語、他スキルとの違いなどを解説しましょう。

テクニカルスキルの定義

テクニカルスキル(Technical Skills)とは、与えられた業務を行うために欠かせない知識や技術、熟練度を指す言葉で、1955年、ハーバード大学の経営学者ロバート・カッツ氏により提唱されました。

氏が発表した論文『スキル・アプローチによる優秀な管理者への道』ではテクニカルスキルは管理者に必要な仕事力、ビジネススキルのひとつとして提唱されています。これにより業務をやりきる能力、テクニカルスキルは世界中で注目を集めるようになりました。

テクニカルスキルと類語

テクニカルスキルと似た言葉に、ヒューマンスキル」と「コンセプチュアルスキル」があります。いずれもロバート・カッツ氏が管理者の持っておくべきスキルとして提唱したものです。

  • ヒューマンスキル:他者との良好な人間関係を構築し、円滑なコミュニケーションを可能とするためのスキルで、対人関係能力と言い換えられる
  • コンセプチュアルスキル:物事を本質的に捉える力のことで、日本では「概念化能力」とも訳される

他のスキルとの違い

概念上、ヒューマンスキルはコミュニケーションやプレゼンテーションに関するスキル、コンセプチュアルスキルは理解力や分析力と区別されます。しかし職種や職務内容によってはいずれもテクニカルスキルとして捉えられる場合があるのです。

そのスキルが業務遂行のために欠かせないものであればテクニカルスキル、課題解決や社内連絡など業務と直接関係ない部分に活用するものであればノンテクニカルスキル(ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル)と分類されます。

それぞれのスキルを見比べると、テクニカルスキルが業務遂行に特化したスキルを限定的に指していると分かります

3.テクニカルスキルはビジネススキルの一種

テクニカルスキルは数あるビジネススキルの中のひとつで、前述の通り、職務や立場によって求められるスキルは異なります。そんなビジネススキルの類型や立場ごとに異なるスキルの詳細、バランスについて解説しましょう。

さまざまなスキルの類型

ハーバード大学の経営学者、ロバート・カッツ氏はビジネススキルを以下の3つに大別しました。

  • テクニカルスキル:業務遂行能力、実務そのものに関するスキルや知識、技術熟練度
  • ヒューマンスキル:対人関係能力、他者との良好な人間関係を構築し、円滑なコミュニケーションを可能とする
  • コンセプチュアルスキル:概念化能力、物事の本質を的確に捉え個人や組織の可能性を最大限に高める能力

さらに同氏は管理職に求められる能力を「トップマネジメント」「ミドルマネジメント」「ロワーマネジメント」の3段階に分けました。これらを組み合わせたものが「カッツモデル」と呼ばれるスキルバランスです。

立場によって求められるスキルは異なる

立場によって、ビジネスシーンにおいて必要とされるスキルは異なります。

カッツモデルでは、組織の上層部に位置するトップマネジメントであればコンセプチュアルスキルが、現場で働くロワーマネジメントであればテクニカルスキルが重要だと言及しているのです。

このことから、カッツモデルではスキルバランスに多少の差異があっても、現場で働くロワーマネジメントからトップマネジメントまですべての立場においてテクニカルスキルが必要だと分かります。

専門性と汎用性のバランスが大切

業務遂行能力を指すテクニカルスキルですが、そのスキルが専門的であればあるほど取り扱いには注意が必要です。

中には、会社や部署単位でしか使えないスキルも含まれています。特定の部署でしか通用しないスキルばかりを集めては各人材の活用が困難になるでしょう。専門性は高いのに適応力が低いといったケースは、人材採用評価の厳しさにもつながります。

汎用性のあるスキルと専門性のあるスキルをいかにバランスよく身に付けさせるか、これが重要なポイントとなるのです。

転職市場では、ミドル人材の市場価値判断にテクニカルスキルを重視するというアンケート結果もあります

4.テクニカルスキルの3つの類型

テクニカルスキルは、3種類に分かれます。

  1. さまざまな状況で対応できる汎用スキル
  2. 特定の範囲で活かしていける専門スキル
  3. 高度な業務に必要とされる特化スキル

①さまざまな状況で対応できる汎用スキル

汎用スキルとは、パソコンスキルや語学力、文書作成能力などで、「ポータブルスキル」「トランスファラブルスキル」とも呼ばれます。部署や職種に限定されず、さまざまな状況で活用できるスキル全般を指すのです。

一般的に社会人に必要とされるスキルの多くは、汎用スキルに分けられます。特定の業種や職種、時代背景にとらわれない汎用スキルには真面目さや積極性、几帳面さなど性格や人柄なども含まれるので覚えておきましょう。

②特定の範囲で活かしていける専門スキル

専門スキルは限定された領域でしか発揮できないものの、特定の現場では全員が身に付ける必要があるスキルのことで、下記のようなものがあります。

  • 教育:コーチング、ティーチング
  • 営業職:プレゼンテーション、マーケティング能力
  • 会計職:財務、経理処理
  • 福祉:保険制度、医療、介護

職場全員が身に付けておくと、欠員や業務量増加といった場合でも速やかにフォローができるようになるのです。

高度な業務に必要とされる特化スキル

特化スキルは職場で限定された人のみに任される高度なテクニカルスキルのこと。特化スキルを持つ人材を「職人」と呼ばれる人材と考えるとイメージしやすいでしょう。

専門性を追求した知識や技術は一朝一夕で模倣できません。そのため特化スキルを持っている人材は組織で非常に重宝されます。よって経営者や人事担当者は希少性の高いスキルが途絶えてしまわないよう、後継者育成を計画的に進めていく必要があるのです。

汎用スキルを身に付けさせることが大切

テクニカルスキルは3種類に分かれますが、人材育成では「汎用スキル」をベースに、人材の能力に応じて「専門スキル」や「特化スキル」が身に付くよう進めていきます。汎用性の高いテクニカルスキルは、下記の通りです。

  • マネジメント能力
  • 情報収集能力
  • 商品知識
  • 市場理解
  • 分析力
  • 文書作成能力

テクニカルスキルは、試験やテストを通じてスキル習熟度を指標化しやすくなっています。

テクニカルスキルは業種や職種に固有なものもあるため、細分化しやすいスキルです。うまく抽出し評価基準の優先度を上げると人事評価に応用できるでしょう

5.テクニカルスキルを向上させる方法

テクニカルスキルを高めるためにはどんな方法があるのでしょうか。ここではテクニカルスキルを向上させる方法についてご紹介します。

職場内訓練であるOJT

職場内で実施される実践的な訓練「OJT(On-the-Job Training)」では、上司や先輩から直接指導を受けながら学べます。

社内の熟練者やベテラン社員からマンツーマンで指導を受けるため、必要となるテクニカルスキルを実際に見ながら習得でき、短時間でテクニカルスキルをマスターできるでしょう。

しかしその反面、成果が指導者の能力に左右されやすい面もあります。人選は慎重に検討しましょう。

職場外訓練を意味するOff-JT

職場外で受けられる訓練「Off-JT(Off-the-Job Training)」では、業務遂行に必要な知識やスキルなどを体系的に学習できます。自社にないスキルやノウハウを身に付けさせるために有効な手段でしょう。

自社のテクニカルスキルと他社のテクニカルスキルを比較し、汎用性や専門性を見極めることも可能です。新しいスキルを習得するためのチャンスにもなるため、積極的に活用しするとよいでしょう。

eラーニングを積極的に活用する

eラーニング(e-Learning)とは、パソコンやモバイル機器を使って時間や場所にとらわれることなく学習できる形態のことで、ビジネスパーソンの必需品ともいえるスマートフォンや携帯電話で学べる仕組みです。

またeラーニングには、従業員の能力や習熟度に合わせてきめ細かな教育を施せるというメリットがあります。

事業拡大や新商品開発などさまざまな環境の変化で、これまでにないクニカルスキルが必要になる場合もあり得ます。自社の環境に合わせて効率的に人材教育を実施しましょう