取締役とは? 目的や取締役会、役割や委任契約、任期や責任などについて

取締役は、会社法で定められている役員のことです。しかし、一体何をしているのか、どんな役割を持っているのか、分からないこともあるでしょう。そんな取締役について、さまざまな角度から解説します。

1.取締役とは?

取締役とは、会社の業務執行に関する意思決定を行う者で会社法で定められている役員のこと。最低1名以上必要、とされていますが取締役会を設置している場合、最低3名の取締役が必要です。

取締役は経営に関する重要事項を決定する立場にあるため、株主総会の決議により選任されます。任期は、会社法第332条1項により原則2年間と定められていますが、株式譲渡制限会社は、定款によって10年以下の任期にすることも可能です。

会社法第348条から見る取締役

会社法第348条では、「取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。)の業務を執行する」と定められています。これは取締役が会社経営の決定権を有することを意味するのです。

取締役とは、会社の業務執行に関する意思決定を行う者で、会社法で定められる役員のひとつです

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2.取締役の目的

取締役の目的は、社長の独断による経営方針の決定を避けること。取締役の選任には、株主総会の決議が必要となります。株主総会で認められた取締役が経営に眼を光らせることで、ワンマン経営の防止に大きな役割を果たすのです。

また最近では、社外取締役を選任するケースも。外部人材の視点が、経営に透明性をもたらすからです。

取締役の目的は、社長によるワンマン経営の防止です。社外取締役を選任すると、経営に透明性をもたらします

3.取締役会とは?

取締役会とは、全取締役で構成される、株式会社内で業務執行に関する意思決定を行う機関のこと。役割は、代表取締役の選任や解職、取締役や執行役の職務執行の監督、新株発行など、株主総会の権限以外の会社経営に関わる重要事項の決定です。

取締役会の設置は、2005年、会社法改正によって任意となりましたが、公開会社、監査役会設置会社、委員会設置会社では、必ず取締役会を設置すべきと定められています。

取締役会は、全取締役で構成される業務執行に関する意思決定機関です。会社法改正により、一部を除いて設置は任意となっています

4.取締役の役割~取締役会を設置する会社の場合~

取締役会を設置する会社の取締役の役割は、下記の3つです。それぞれについて解説しましょう。

  1. 監督
  2. 決定
  3. 監査

①監督

取締役は、自らが決定した経営や業務遂行に関する意思決定が、実際に適切に進行しているかどうか、監督する責務を担います。意思決定に基づき業務を遂行するべき立場にあるのは、代表取締役、業務執行取締役です。

取締役は、業務遂行を担う立場にある、代表取締役や業務執行取締役の職務執行を監督して、計画通りに経営を進めていきます。

②決定

取締役会では、株主総会で決定する決議以外の経営や業務遂行に関する意思決定を担います。具体的な決定事項は、下記の通りです。

  • 重要な財産の処分や譲り受け
  • 支配人その他の重要な使用人の選任や解任
  • 支店その他の重要な組織の設置、変更、廃止
  • 社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
  • 内部統制システムの構築に関する事項
  • 代表取締役の選任や解任

③監査

取締役は、会社の経営が取締役会で決定された方向以外に進んでいないかどうか、監査をします。法令や株主総会の決議に違反していないか監査するため、報告要求、財務調査、違法行為差止請求権といった権利も認められているのです。

取締役会がある会社の取締役が行う役割は、「業務遂行の監督」「経営に関わる意思決定」「ワンマン経営防止のための監査」の3つです

5.取締役の役割~取締役会を設置しない会社の場合~

取締役会を設置しない会社の取締役の役割は、業務の執行と社の代表の2つです。これら2つの役割について解説しましょう。

業務の執行

取締役会を設置していない会社では、取締役が業務執行を担い、株主総会での決議事項など決定されている業務を自らが先頭に立って業務を執行していきます。

決議事項など経営に関する意思決定、意思決定事項の執行といった2つの課題を責任を持って担う、これは取締役の重責である反面、やりがいのある職務とも考えられるでしょう。

社の代表

取締役会の設置がない場合、取締役が自ら株式会社の代表として業務執行を担当します。

仮に取締役が2名以上選任されている場合、取締役の過半数をもって業務の執行を決定しますが、このような場合、それぞれの取締役が株式会社における代表となって業務を執行するのです。

どちらにしても取締役には、事業の成功を目指した積極的な働きが求められます。

取締役会を設置しない会社の取締役の役割は、業務の執行と社の代表の2つです。取締役は、事業の成功に重い責務を負います

6.取締役と委任契約

取締役は会社と、民法第643条に定められている「法律行為を相手方に委託し、相手がこれを承諾することで成立する」委任契約を締結しています。委任契約の例は、弁護士などの特定分野の専門家に対して当該専門業務を依頼するなどです。

取締役に関しては、下記の構図が成り立ちます。

  • 会社は経営という専門業務を取締役に依頼する
  • 取締役は、経営の専門家としての仕事を受任する

雇用契約との違い

雇用契約とは、会社と一般社員が結ぶ契約のことで、「会社は雇用契約をもとにして人材である社員を雇用する」「社員は、雇用契約によって会社に雇われる」といった契約となります。

取締役は一般社員とは異なり、経営の専門家としての業務を遂行するため、雇用契約ではなく、会社と委任契約を結ぶのです。

取締役は、会社と民法第643条で定められている委任契約を締結します。取締役は委任契約によって、経営の専門家として業務を遂行するのです

7.取締役と任期

取締役の任期は、原則2年と定められていますが、注意したいのは取締役と会社が締結しているのは、委任契約という点です。

委任契約の場合、民法第651条1項により「相互解除の自由」の大原則が認められています。つまり、取締役と会社の双方は、契約を解除する自由が認められているのです。

会社と雇用契約を締結している一般社員の場合、解雇事由制限の原則が適用されますが、取締役に関しては、「いつでも辞任できる」「いつでも解任される」という点を持ちます。

委任契約では、相互解除の自由が認められています。そのため取締役は、いつでも辞任できる・いつでも解任されるという可能性があるのです

8.取締役と責任

取締役には、経営に対する非常に大きな責任が発生します。ここでは、2つの主要な責任について解説しましょう。

会社への損害賠償

会社に対して損害賠償が発生するのは、経営の専門家である取締役が注意深さの欠如によって善管注意義務違反を犯した場合です。この場合、会社や委任者に対して与えた損害に対し、損害賠償を負うことになります。

会社法第423条1項にも、「取締役は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と明記されているのです。

第三者(ステークホルダー)に対する損害賠償

取締役が、悪意や故意、大きなミスによりステークホルダーに損害を発生させた場合、ステークホルダーは、取締役個人を訴えて会社に対する損害賠償を請求できる「株主代表訴訟を実行できます。

ただし取締役が支払う賠償金額が巨額になる場合を考え、民法では、株主総会の決議・定款の定めにより、取締役の賠償責任を限定的なものにする手段も認められているのです。

取締役の責任は、「会社に対する損害賠償」「第三者に対する損害賠償」の2つです