代表取締役とは? 社長・取締役との違い、代表権について

代表取締役とは会社法の規定にある呼称です。代表取締役はどんな人が就くのでしょうか。権限や任期、また取締役社長との違いなど、代表取締役について詳しく解説します。

1.代表取締役とは?

代表取締役とは、会社法で定められた企業の最高責任者(代表者)のことです。取締役会で代表として選ばれた役員で、業務の執行や会社を代表して契約締結などの権限を持ちます。代表取締役が社長ではない、社長との兼任、1人とは限らず複数存在する場合もある、など企業によって状況が異なります。

代表取締役に対して社長は、会長や部長などと同じ各企業が規定する呼称となります。会社のトップとして業務を執行しますがあくまでも会社内部の責任者で、外部に対する責任者は代表取締役になるのです。

代表取締役とは会社法の規定にある肩書きです。会社の業務を執行し、会社を代表して契約を締結するなどの権限を持っています

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2.会社法と代表取締役

会社法とは2006年に制定されたすべての会社が対象となる法律です。会社法から、代表取締役について見ていきましょう。

会社法第349条(株式会社の代表)

  • 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。(略)
  • 4.代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
  • 5.前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。(代表者の行為についての損害賠償責任)

会社法第363条(取締役会設置会社の取締役の権限)

  • 1.次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
  • 一 代表取締役
  • 二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
  • 2 前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。(取締役会設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表)」

会社法の規定にある通り、代表取締役は対外的に会社の代表として、会社業務のすべてに権限を持っています

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3.代表取締役と社長との違い

代表取締役と社長を別個にしている会社もありますが、多くは代表取締役と社長と兼務しています。社長は社内の業務を執行するトップとして社内の最高責任者となりますが、代表取締役のような社外に対する責任者という立場にはありません。

たとえば新規プロジェクトを進めるにあたり全業務の意思決定を行うのが社長ですが、取引先との契約や多額の借り入れなどを行うのは代表取締役です。

社長が代表権を持つ代表取締役社長とは、社内と社外に対する最高責任者の立場で、まさしく社の顔というべき存在といえます。

社長はあくまでも社内の最高責任者。取引先との契約や借り入れなど社外に対する最高責任者は代表取締役です

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4.代表取締役が持つ権限

代表取締役は。取締役会で決定したことを執行する権限を持ちます。どのような権限があるのか詳しく見ていきましょう。

執行の権限

代表取締役は業務を執行する権限を持っています。その際、代表取締役は会社の意思を決定する権限はなく、あくまでも株主総会や取締役会などで決定した事項を執行する権限を有すると会社法で定められているのです。

例外として、取締役から委ねられたものについては、代表取締役が自ら意思決定し執行することができます。権限を持つ業務執行の例は、事業計画の実行、営業活動やサービス提供、製品の製造、資金の調達など。

代表の権限

会社法第349条にあるように、代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有するとされています。

つまり、代表取締役は会社を代表して、裁判などに関する行為を実行できる権限を持っており、また代表取締役の行為は会社の行為として認識されるのです。

裁判上の行為とは、訴訟を提起し、訴訟代理人を選任して、各訴訟行為を実行できるというもの。弁護士に委任する際は、取締役が作成した委任状が必要になります。

その他の権限

その他、下記のような社外的、社内的な業務執行権を有します。

  • 株主総会、取締役会の議事録、株主名簿、社債原簿などの作成と準備
  • 計算書類、事業報告書、付属明細書を作成し監査役会と会計監査人への提出
  • 計算書類、事業報告書の株主総会への提出、貸借対照表の作成
  • 株券への署名、記名押印

しかし、代表取締役が一人でこれらの業務を執行することは困難でしょう。そのため、社内的な業務執行権を行う際は、業務担当取締役を配置できるようになっています。

代表取締役は、会社の意思を決定する権限はありません。あくまで株主総会や取締役会などで決定した事項を執行する権限を有します

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5.代表取締役になるには?

会社法第331条では、代表取締役になれない条件を定めています。たとえば下記のようなものです。

  • 法人
  • 成年被後見人、被保佐人
  • 会社法など一定の法律上の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • 一定の法律以外の法令に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで、またはその執行を受けることがなくなるまでの者

こうした条件に該当していない条件を持つ人が、株主総会や取締役会など特定の会で選任されて初めて代表取締役になれるのです。

代表取締役は株主総会や取締役会などで選任されます

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6.代表取締役の任期はいつまで?

代表取締役の任期に、規定はありません。しかし多くの会社では代表取締役の任期は2年となっています。代表取締役は会社の取締役から選任されますが、取締役の任期は通常2年であることから、代表取締役の任期も同じく通常は2年となっているのです。

取締役を辞めて、代表取締役だけを継続することはできません。また代表取締役と会社は、会社法では委任に関する規定に従うとあるので、任期途中でも自ら代表取締役を辞退することは可能です。また取締役会が代表取締役を解任することもできます。

代表取締役の任期に規定はありませんが、取締役から選定されるため取締役の任期と同じく通常2年となっています

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7.代表取締役の人数は?

代表取締役の人数は特に決まっていません。会社法第331条では、取締役設置会社の取締役の人数は3名以上と規定されていますが、代表取締役の人数については規定がなく、1名でも問題ないのです。

複数の仲間と起業したため、全員を代表取締役にするという会社もあります。また取締役全員を代表取締役にすることも可能です。

しかし、多岐にわたる会社の権限を有する代表取締役が複数存在すると、社内外に混乱を招く可能性が高まります。できるだけトラブルを防ぐような方向で進めましょう。

代表取締役の人数に規定はないため、複数人を置くこともできます。ただし、2名以上置く場合は社内外に混乱を招かないよう注意が必要です

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8.代表取締役と登記

代表取締役を選任した際は、取締役の就任承諾の日から2週間以内に、本社の所在地を管轄する法務局に代表取締役の変更の登記を申請します。登記に必要な申請書類は、下記の通りです。

  • 株主総会議事録
  • 代表取締役を選任したことを証する取締役会議事録などの書面
  • 就任の承諾を証する書面(住民票、運転免許証のコピーなど)
  • 印鑑届書または印鑑証明書(発行後3カ月以内のもの)
  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙

代表取締役と登記申請書

法務局がホームページで登記申請書の様式を提供しています。申請書式は一太郎、Word、PDFが用意されているので、必要な様式をダウンロードし、必要事項を記入し作成しましょう。申請書の作成には記載例(PDF)も提供しています。

登記の申請書に必要な項目は、下記の通りです。

  • 商号、本店、代表者の氏名、住所
  • 代理人が申請する場合は、代理人の氏名、住所
  • 登記の事由
  • 登記すべき事項
  • 官庁の許可を要するときは許可書の到達した年月日
  • 申請の年月日
  • 登記所の表示

登記の完了は、申請してから1週間から10日ほどです。

取締役の就任承諾の日から2週間以内に登記を行います。登記申請書は法務局ホームページで様式を提供しているので、確認しておきましょう