新規事業とは? 立ち上げ、助成金・補助金、フレームワーク

新規事業とは、新たに立ち上げた事業のことです。ここでは、新規事業についてさまざまなポイントから解説します。

1.新規事業とは?

新規事業とは、新たに手掛ける事業のこと。以下のように3種類あります。

  1. 核心的技術で新製品を創り出すといった、ハード要素を強みとする事業
  2. マーケティングやシステム開発などで新たなビジネスモデルを構築するといった、ソフト要素を強みとする事業
  3. 見過ごされていたニッチ市場の開拓を強みとする事業

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2.新規事業の立ち上げが重要な理由

新規事業の立ち上げはなぜ重要なのでしょう。その理由を3点から解説します。

  1. 収益を安定化させて会社を存続する
  2. プロダクトライフサイクル
  3. 優秀な人材の育成

①収益を安定化させて会社を存続する

どのような事業でも事業のマンネリ化や競争力の低下、消費者ニーズの移り変わりなどが原因となり、低迷期が訪れます。新規事業を立ち上げられれば、新たな収益源や複数の事業の存在がリスクヘッジになるでしょう。

②プロダクトライフサイクル

プロダクトライフサイクルとは、製品やサービスサイクルを「導入期・成長期・成熟期・衰退期」といったステージで分類したもの。

多くの製品やサービスは、プロダクトサイクルにより最終的に市場から撤退を余儀なくされます。衰退期に近くなったら、新規事業を考えましょう。新規事業の立ち上げは、撤退する事業の後を継ぐ新たな収益源となります。

③優秀な人材の育成

新規事業を立ち上げれば、優秀な人材を育成できます。幹部候補生に事業企画や戦略立案、財務・法務やチームマネジメント、マーケティングや営業・数値管理といった立ち上げ時の過程を経験してもらえば、優秀な幹部を育成できるのです。

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3.新規事業の立ち上げに必要なプロセス

新規事業の立ち上げではどのようなプロセスを経ていくのでしょう。プロセスを6段階から解説します。

  1. 市場の需要をつかむ
  2. ビジネスの分野を決める
  3. 理念・ビジョンを明確にする
  4. 市場性と事業性を検証する
  5. 商品・サービス作りに必要な環境を整える
  6. 行動計画を立てる

①市場の需要をつかむ

市場の需要をつかむためには、顧客の課題の洗い出しが鍵になります。市場・業界・既存の製品やサービスなどからニーズを洗い出せれば、成長が見込まれる市場を発掘できるからです。

「自分がやりたい事業」ではなく、「市場が抱える課題を解決できる事業」を見極めます。

②ビジネスの分野を決める

「顧客や市場のニーズ」「自社のノウハウや特許・強みとなる既存事業や領域」などからビジネス分野を決定します。強みを最大限発揮できれば、ハイクオリティを実現しながら競合他社に勝てるでしょう。

③理念・ビジョンを明確にする

理念やビジョンを経営層やリーダー、チームメンバーの全員で共有できれば、会社が一体となって目標達成に向けて進めます。SWOT分析を使って自社の現状を把握し、将来のビジョンを設定しましょう。

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④市場性と事業性を検証する

検証項目として挙げられるのは、下記のようなものです。

  • 見込まれる収益
  • 競合他社動向
  • 顧客や市場の課題解決力
  • 市場のリスク
  • 市場の成長性
  • ビジョン

⑤商品・サービス作りに必要な環境を整える

市場性や事業性の検証を経たのち、製品やサービス作りに必要な環境を整えます。環境整備には、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を基準としましょう。たとえば下記のような内容です。

  • 事業計画の作成
  • 資金調達のための助成金申請
  • 人材の採用
  • プロセスとフレームワークの確認
  • 資材の確保

⑥行動計画を立てる

計画を立案する際は、途中でトラブルが発生したり頓挫したりする可能性を想定しましょう。無理のない範囲や実行するタイミングの見極め、メンバーの役割や責任の明確化などをおさえながらスケジュールを検討します。

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4.新規事業のアイデアを探す方法

新規事業のアイデアはどのように探すとよいのでしょう。3点から解説します。

  1. 既存事業・サービスから分析
  2. ライバル企業を分析
  3. 新たな付加価値の発見

①既存事業・サービスから分析

既存事業や製品、サービスを分析すると、新規事業のアイデアを探せます。これから取り組もうとしている新規事業の分野で、すでに事業展開している他社の長所や短所を客観的に分析していきましょう。

また自社の強みや弱みもあわせて分析し、どうしたら新規事業に活用できるか、考えます。

ビジネスモデルの応用

ビジネスモデルの応用から新規事業を考える方法もあります。たとえば以下のようなものです。

  • すでに事業展開している業態やシステムを、別の業態や事業で応用活用する
  • 特定地域で売上を伸ばしたり注目を集めたりしている事業を、ほかの地域で展開する
  • 成功しているビジネスモデルに自社の特性をくわえて、オリジナルモデルを構築する

②ライバル企業を分析

新規事業の分野で、すでに実績があるライバル会社を分析し、下記のような点を見つけていきます。分析結果をもとに、自社のアイデアをより質の高いものにしていきましょう。

  • 新規事業プラン
  • 製品やサービスの質
  • 外部環境
  • ライバル会社と自社の強みと弱みの違い

③新たな付加価値の発見

既存製品やサービスなどに新たな付加価値の発見をすると、新規事業のアイデアを導き出せるのです。たとえば改良をくわえたり新たな価値をつけくわえたりすれば、既存の製品やサービスからより多くの収益をあげるきっかけになるでしょう。

今より質の高いビジネスをクリエイトできるチャンスは、どのような付加価値を発見できるのか、にかかっています。

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5.新規事業の立ち上げに役立つフレームワーク

フレームワークを活用すれば、よりかんたんに新規事業を立ち上げられるのです。ここではフレームワークとそのポイントについて、解説します。

  1. マンダラート
  2. SCAMPER法
  3. SWOT分析
  4. 4P分析
  5. MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)
  6. PEST分析
  7. ペルソナ分析
  8. 6W3H

①マンダラート

まんだら模様に似たマス目を用いてアイデアを生み出していく発想法のこと。ユニークなアイデアが生まれやすい発想法で、手順は以下のとおりです。

  • 中心にあるマスにテーマを書く
  • その回りの8つのマスにテーマから連想するアイデアを書く
  • 8つのアイデアから発想を深めたいアイデアを選び、マス目の真ん中に書く
  • 選んだアイデアから連想するアイデアを8つ書く

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②SCAMPER法

以下7つの問いでアイデアを拡げるフレームワークのこと。この方法の特徴は、「スピード重視」「質より量重視」です。

  • 代用できないか?
  • ほかのものと組み合わせられないか?
  • 応用できないか?
  • 修正できないか?
  • ほかの使い道はないか?
  • 削除、削減できないか?
  • 逆転、再編集できないか?

③SWOT分析

強み「Strength」弱み「Weakness」機会「Opportunity」脅威「Threat」の頭文字をとって、命名されたフレームワークのこと。自社をそれぞれのカテゴリーから分析するため、業務上の課題や市場におけるビジネスチャンスなどを見つけ出せます。

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④4P分析

製品「Products」販売価格「Price」流通「Place」販売促進「Promotion」の頭文字をとったフレームワークのこと。

製品から販売促進までの流れを順に分析するため、「強みを生かせる製品やサービスは何か」「いくらで買ってもらえるか」といったそれぞれの課題を分析できます。

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⑤MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)

「なぜそれを行うのか:MISSION」「何を目指しているのか:VISION」「どうやって実現するのか:VALUE」の頭文字をとったもの。活用しながら、「今の時代に自社が求められていること」を追いもとめ、変化していく必要があります。

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⑥PEST分析

政治「Politics」経済「Economy」社会「Society」技術「Technology」の頭文字をとったフレームワークのこと。

自社を取り巻く環境が、現在そして将来的にどのようになるかを把握し、自社の戦略に役立てます。マクロ環境分析にもとづいた業界全体の把握にも役立つのです。

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⑦ペルソナ分析

新規事業のターゲットになる顧客をペルソナ、いわゆる理想の顧客像として設定して、新規事業をブラッシュアップするフレームワークのこと。

ペルソナは、ターゲットよりも具体的に人物像を設定されるのです。分析で設定したペルソナをもとに、カスタマージャーニーマップを作成する場合もあります。

⑧6W3H

いつ「when」どこで「where」誰が「who」何を「what」なぜ「why」どうやって「how」誰に「Whom」商品の数「How many」価格「How much」を用いるフレームワークのこと。書き出して新規事業計画を作成すれば、優先順位を明確にできます。

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6.新規事業の立ち上げ成功事例

新規事業の立ち上げに成功した企業事例とは、どのようなものでしょうか。実際の成功事例を見ていきます。

  1. 本田技研工業
  2. 三菱商事
  3. ソニー

①本田技研工業

本田技研工業が立ち上げた新規事業は、小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」。速いうえに高く遠くまで飛べるため、2019年上半期の納入機数世界最多を達成しました。自社が持つ技術を駆使したブランド戦略が成功した事例です。

②三菱商事

三菱商事は、スープ専門店「スープストックトーキョー」を社内ベンチャーとして始動。「料理の持つ力で誰かの一日や一生を変える」というストーリーをもとに展開し、消費者ニーズをとらえた成功事例です。

③ソニー

ソニーは、「一般消費者向け売買仲介サービス」「賃貸管理プロパティマネジメント事業」を展開するソニー不動産を設立。売却や購入エージェントによるサービスで、顧客満足の向上に成功しました。

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7.新規事業の立ち上げに利用できる助成金・補助金

新規事業の立ち上げに利用できる、助成金や補助金があります。新規事業にはさまざまな費用が発生するため、資金面のサポートについても積極的な情報収集が必要でしょう。ここでは、5種類の助成金を解説します。

  1. キャリアアップ助成金
  2. 小規模事業者持続化補助金
  3. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  4. 事業承継補助金
  5. 都道府県独自の助成金・補助金

①キャリアアップ助成金

「短い期間で契約更新する有期雇用労働者」「パートやアルバイトなどの短時間労働者」「派遣社員といった非正規社員」について、正社員化や賃金などの待遇改善を行った企業に支給される助成金のこと。

事業立ち上げ時にはアルバイトで雇用し、事業が軌道に乗ったあと正社員として雇う場合に利用できます。

参考 キャリアアップ助成金厚生労働省

②小規模事業者持続化補助金

法人や個人事業主を対象に、事業を進めるうえで必要になる経費の一部を支援する助成金のこと。機械装置等費や広報費、新商品開発費などの一部が支援されます。補助上限額は一般型が50万円、コロナ特別対応型と低感染リスク型特別枠は100万円です。

参考 小規模事業者持続化補助金全国商工会連合会

③ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善による生産性向上を目的とした投資を支援する補助金のこと。対象は中小企業や小規模事業者など今後の制度変更に対応する企業で、金額は下記のとおりです。

  • 従業員数5人以下で100万円~750万円
  • 従業員6人~20人で100万円~1,000万円
  • 従業員21人以上で100万円~1,250万円
参考 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金ものづくり補助金総合サイト

④都道府県独自の助成金・補助金

各都道府県が地方創生のための社会的事業を新たに起業する際、伴走支援や事務費助成を目的として最大200万円を支給する制度のこと。東京都の要件は、下記のとおりです。

  • 創業を具体的に計画する個人
  • 一定の要件を満たした創業後5年未満の中小企業者
  • 助成率3分の2以内
  • 助成限度額300万円(下限100万円)