リテンションとは? ビジネス上の意味、重要性、効果、施策活動例について

これまで育成してきた社内の人材が離職・転職してしまうことは、会社にとって大きな損失でしょう。離職・転職を防ぎ、人材を引き留めるための施策を「リテンション」と呼ぶのです。

「人」の価値や転職のイメージが変化したことから、現在リテンションマネジメントの重要性が高まっています。ここでは、

  • リテンションの概要
  • 重要度が高まった背景
  • 施策の具体例
  • 離職リスクを把握する方法

上記のようなことをご紹介します。人材流出を抑えるヒントにしてみてはいかがでしょう。

1.リテンションとは?

リテンション(retention)を英和辞書で引くと、「保有、保存、保持」などの意味を持つことがわかります。

マーケティング分野でのリテンションは、既存の顧客との関係を維持するためのマーケティング活動を指しますが人事においてのリテンションは人材の維持・社員の退職を引き留めるための施策のことを指します。せっかく育成した優秀な人材が退職してしまうのは会社として大きな損失です。

その空いたポストに適任の新しい人材を採用し、一から育てていくためにかかる時間やコストを考えると、今の優秀な人材を引き留めるためのリテンション施策を行うことがとても大切だとわかります。

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2.リテンションマネジメントの重要性

もし、将来を嘱望される優秀な人材が退職した場合、どのようなマイナスが起こるのでしょうか。

  • ポストに代わりの人材を採用し、一から育て上げる時間とコストがかかる
  • 新しい人材が育つまでの空白を埋めるため、周囲に負担がかかる
  • 優秀だった人材が退職して他社に転職した場合、周囲の士気が低下する可能性

このようなことが考えられます。

優秀な人材の流出で起こるマイナスの詳細

退職した社員が営業担当であれば、顧客が一緒に他社に流れる可能性もありますし、内部の機密情報が一緒に持ち出される危険性もあります。裁判沙汰になってはっきりクロとなるような機密情報ではなくても小さなノウハウなどがライバル会社に知られてしまえば、それは大きな痛手です。

このように、ひとりの優秀な人材が流出することでのマイナス面は計り知れません。また、景気が良くなるほど転職者が増えるともいわれており厚生労働省による調査では、新卒入社3年以内の離職者は3割超というデータが見られます。

こういった事情からも人事部は優秀な人材を見つけて採用するだけでなく、優秀な人材の流出を防ぐためのリテンションマネジメントにも力を注ぐ必要があるでしょう。

リテンションの重要性が高まった背景

リテンションマネジメントが重要視されるようになった背景には、優秀な人材を確保することの難しさと、社会環境の変化があります。

優秀な人はさまざまな離職の要因を抱えている

優秀な人材ほど、会社を離れてしまう要因を抱えているものです。

  1. 仕事が集中
  2. 社内の評価基準が不透明
  3. アイディアに関する不満

仕事が集中する

例えば効率良く仕事ができる優秀な人ばかりに仕事が集中してしまうという状況に心当たりはありませんか?

大量の仕事を抱え込むことにより、優秀な人ばかりが残業を強いられたり、ワークライフバランスを崩してしまったりといった問題が起こり得ます。頑張って仕事を終わらせても、仕事量はますます増え、プライベートの時間は減っていく・・・そんな毎日を送らざるを得なくなっている人が、果たして今後もずっとその会社で働き続けたいと思えるでしょうか。

社内の評価基準が不透明

これも、優秀な人材を離職させてしまう原因になり得ます。優秀な人だけを高く評価すればよいというものではありません。ビジネスパーソンはほかの社員に対する評価が適切に行われているかどうかにも目を向けているのです。

アイディアに関する不満

また、優秀な人は優れた提案をしてくれることがあるものですが社内でビジネスパーソンの発言権が弱い場合、意見を通すまでに時間がかかったり、意見が軽く扱われたりということがあるでしょう。

なかなか自分のアイディアが通らないという経験が積み重なると、彼らは「今の会社ではやりたいことができない」といった悩みになります。こうして解消されなかった不満が、やがて離職を考えだすきっかけとなるのです。

社会環境の変化に対処できる組織づくりが必要

ご存じのとおり、近年では終身雇用制度が崩れてきたこともあり、転職が盛んになってきています。以前ほど「転職」に対して負のイメージがつかなくなり、優秀な転職者を歓迎する企業も増えてきました。より良い条件で働ける場所がある場合に転職を選んでしまうのは無理もないでしょう。そこで対処が必要です。

対応力やアイディア力を持つ優秀な人材を引き留めるために

近年はITの発達などを背景にサービス・ソフトといったものが主要な商品となっています。そのため企業には、柔軟な対応力やアイディア力を持っている人を優秀な人材として確保することが求められているのです。

企業に大きな発展をもたらすようなアイディアを生みだすには、そうした優秀な人たちの存在が不可欠です。ビジネスパーソンの能力を活かせる環境が整っていなかったばかりに優秀な人材を失うのは、企業にとっては大きな損失となるでしょう。

以上のように、優秀な人材が転職をしやすい世の中になってきている・企業が今後発展を狙うためには優秀な人材の存在が重要であることから優秀な人材を引き留めるリテンション施策を考える必要が出てきたのです。

3.リテンションマネジメントの具体例

リテンションマネジメントの施策としてどのようなことを考えたらよいのでしょうか?

まず思い当たるのがお金です。高収入を約束すれば、社員を引き留められるでしょう。しかし報酬だけでは、さらに良い報酬の会社があった場合そちらへ流れていく可能性もあります。

他社から良い報酬を提示された際、「それでも今の会社に残りたい」と思わせる要素がなければ、リテンション施策は成功とはいえません。考えられる施策としては、下記のようなことが挙げられます。

  • 社内のコミュニケーションを良くし、社員が働きやすい環境をつくる
  • 本人が描くキャリアプランの実現に向けた研修制度や、異動の実現を支援していく
  • それぞれの職責の範囲で責任、権限を与える
  • 出産、育児、介護などの支援制度を充実させる
  • ワークライフバランスを考慮した働き方が選択できるような人事制度を作る

新卒採用に際しては、入社前と入社後のギャップが大きいほど企業に対する失望感が生まれ、早期離職に結びつく可能性があります。採用段階でのしっかりした取り組みが必要でしょう。

人材は「人財」と考える

社員一人ひとりを大切にし、また企業のなかで自分がナンバーワンではなくてもオンリーワンの存在であるという実感を持たせることが必要です。社員一人ひとりを大切にするということは、一人ひとりの様子をよく見る必要があることでもあります。

ここからは、さらに具体的なリテンションマネジメントの例を2つ見ていきましょう。

  1. パフォーマンスへのフィードバックやフォロー
  2. 社員の仕事負荷をモニタリング

①パフォーマンスへのフィードバックやフォロー

リテンションマネジメントとして、一人ひとり社員のパフォーマンスに対するフィードバックやフォローを行うことは重要です。ご存じかと思いますがフィードバックとは部下が仕事で出した結果に対して管理者や上司が評価を行い、部下本人も反省を行うことによって、今後のパフォーマンスをより良くしていくマネジメントのことです。

質の良いフィードバックやフォローを行うには

社員が良い仕事をしたらその働きを認め、どの点が良かったのかを具体的に評価するようにしましょう。特に優秀な人物に対しては自然と評価のハードルが上がり、その働きを見過ごしてしまうこともあるかもしれません。客観性を保つよう心がけてください。正当な評価を下さず、社員のモチベーションを低下させても会社のためにはなりません。

優れた働きを評価することはもちろんうまくいかなかった点に対しても冷静に評価することが大切です。そして、「どうすればうまくいくのか」をともに考え、改善がうまくいくよう部下のフォローを行うようにします。どちらの場合にも、社員自身をあいまいに褒めたり叱ったりするのではなく、社員の「働き」に対して具体的な評価を行うことが大切です。

このように適切な評価がなされ、誠実なサポートが受けられる環境で働けるということが、会社に対する満足度と信頼感を高めることにつながるでしょう。

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②社員の仕事負荷をモニタリング

前述したとおり、優秀な人は仕事ができるからこそ、多くの仕事を任され、過度の労働を強いられがちです。しかし社員を眺めているだけでは、誰にどの程度の負荷がかかっているかを確実にとらえることは難しいでしょう。

ですが社員一人ひとりにかかる仕事の負荷をモニタリングすることで、一部の社員に負荷が偏ってしまう状態を改善できる可能性があります。この負荷を知るには、仕事量を記録するクラウドサービスの利用が便利です。

仕事量や報酬などから対策を取る

大きな負荷がかかっている社員を把握できれば、仕事量が適切になるよう割り振りを見直したり、サポートを増やしたりするなどの対策が取れます。ひとりの社員が大量の仕事を抱え込むのを防ぐことができるでしょう。

もし仕事量を減らすことがどうしてもできない場合は、昇給・昇進させてモチベーションを下げさせない努力をする必要があります。前述したとおり、報酬だけが良くなっても、ほかに「会社に残りたい」と思える点がなければ離職のリスクは避けられません。かといって報酬をおろそかにしては、ますます離職の意思を強めることになってしまいます。

仕事量と報酬のバランスが取れていない状態では、モチベーションを保って仕事を続けることが難しくなり、いずれ労働量に見合った報酬を受け取れる他社に移ってしまうでしょう。

4.社員の離職リスクを把握する方法

リテンション施策においては辞めたいといいだした社員を引き留める方法だけでなく、「どうすれば社員が離職を考えなくても済むようになるのか」も考える必要があります。どちらかというと、リテンションとしてより効果を発揮する施策は後者のほうでしょう。

なぜかというと社員が「辞める」といいだしたあとに引き留めを行うことはそう簡単ではないからです。特に優秀な人材の場合、「辞めたい」といいだした頃にはすでに離職の意思が固まっており、どんな条件を提示しても引き留められないこともあります。このような経験を味わった方もいるのではないでしょうか。

より確実なリテンションを行うには、辞める意思が固まらないうちに問題を発見し、ケアをしましょう。社員の離職リスクを把握する方法として下記の4つが挙げられます。

  1. 社員間でコミュニケーション頻度が落ちていないか確認
  2. 手遅れになる前に話を聴く
  3. 勤怠状況ログを分析
  4. 過去の離職者との類似点を探す

①社員間でコミュニケーション頻度が落ちていないか確認する

離職リスクを把握するには社員間でのコミュニケーションが少なくなっていないかを確認することが重要です。まだ離職の意思が固まっているわけではなくても、「辞める」という選択肢を何となくでも考えている人は、ほかの社員とのコミュニケーションにネガティブな影響が出ていることがあります。

以前と変わったことがないか確認する

以前はそうでなかったのに・・・と考えられる例には下記のようなものがあります。

  • ほかの社員と挨拶や世間話をしなくなった
  • 笑顔を見せることが少なくなった
  • 休憩時間にひとりきりで職場から離れることが増えた

ほかの社員との付き合いが悪くなったと感じる場合、その人は職場や仕事にかなり嫌気がさしているのかもしれません。辞めるかもしれないのにわざわざ今の職場での人間関係を気にする必要はない、と考えている可能性は十分あり得るでしょう。

また、休憩時間にひとりきりで職場から離れることが増えたという場合は、上記のように社内での人付き合いを重視できなくなっただけでなく社内の人間に気づかれないよう離職・転職の情報収集を行っている可能性もあります。

②手遅れになる前に話を聴くことが大切

こうした様子の社員が絶対に離職を考えていると決めつけることはできません。しかし離職の件ではないにしろ、何か悩みごとを抱えている可能性は高いといえます。

詮索しすぎては逆効果になりかねないので慎重に接するべきですが手遅れになる前に声をかけ、悩みごとがあるようなら時間を取って話を聞くようにしましょう。プライベートの悩みでも相手から話してくれるのであれば耳を傾けるようにし、仕事関係の悩みであれば対策を考えるのが大切です。

③勤怠状況ログを分析する

社員の離職リスクを把握する方法として、勤怠状況ログの分析も効果的といえます。離職リスクが高いのは「どのような勤怠状況ログを持つ人か」というと、遅刻・欠勤が増加している社員です。

特に休みあけの遅刻・欠勤が増えている場合、会社に行くことを強く拒否している可能性が考えられます。また残業時間が多すぎないかどうかもチェックするようにしてください。

勤怠データから社員ひとりひとりの離職の危険性を予測してくれるシステムもあります。こうしたツールを利用することで早めの対策が可能になるでしょう。

④過去の離職者との類似点を探す

過去の離職者との類似点を探すことも離職リスクの把握に役立ちます。例えば辞めてしまった人と似た状況に立たされている社員は、離職のリスクが高くなるといえるでしょう。辞めていった人と同じ職種やポジション、報酬で働いている社員に心あたりはありませんか?

そうした類似点はこれまでの経験から把握できることもあるかと思いますが、これに関しても、より効率よく調べるためにはデータから社員の離職予測を立ててくれるシステムが役に立つのです。同じ理由で離職者を出してしまうことのないよう、過去の経験やデータを活用しましょう。

まとめ

以上、社内の人材流出を防ぐ取り組み「リテンション」についてご説明しました。これまで育ててきた社員や活躍していた社員を失えば、会社にとって大きな損失です。できる限り一人ひとりの社員に長く働いてほしいと考える部分は大きいでしょう。

中には離職の兆候をまったく見せない社員もいるかもしれませんが、離職を考えている可能性がある人物は、経験やデータからある程度把握することができます。離職の意思が固まってしまうと引き留めも難しくなりますので、できるだけ早めに対策を取りましょう。