社内コミュニケーションとは? 社内コミュニケーションの必要性と活性化について

「社内コミュニケーション」とは?

いくら情報の共有が大切であるとはいえ、一人の人間の情報処理能力には限界があり、組織である以上、分権(それによる分業、分担)はどうしても必要となります。

そのため、実際には意思決定につながる情報処理も分散的に行われ、多くの人が、自分が手に入れた情報、自分がその情報から発見した意味に基づいて決定を行います。その情報処理のために、人々は情報を交換し、コミュニケーションを保っています。社内で行われるこうした情報のやりとりが社内コミュニケーションと呼ばれるものです。

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社内コミュニケーションの形

「力の泉源は秘匿した情報ではなく、共有した情報だ。」―ビル・ゲイツ *1

長いあいだ、情報は、金やモノ、人と並び支配の手段であり、権力の源のひとつといわれてきました。企業内では、経営陣(上層部)が情報を囲い込み、どんな情報を誰にどう配るかを検討するという経営スタイルが取られてきました。

ところが、競争環境の変化とともに、かつては従業員の仕事が「上層部の命令通り動く」ことだったのが、今では従業員が自ら考え「価値を創造する」「イノベーションを起こす」ことなどが仕事の中心になりました。

また、近年の社会心理学の研究から、

「(コミュニケーションにおける)階層的な関係は、単純な仕事を成し遂げるのには向いているが、複雑で多くの人々の意見を取り入れなければならないような仕事、創造的な仕事を遂行するためには適していない」*2

ことが明らかになりました。

Googleのエリック・シュミットも、

「こんにち最も成功を収めている経営者は、情報を囲い込んだりしない。共有する。リーダーシップの目的は、会社全体の情報の流れを24時間、365日、最適化することだ。それにはまったく新しいスキルセットが求められる。」*3

と述べているように、企業のメンバーのひとりひとりが自ら考え価値を創造するためには、組織に情報を行き渡らせる必要がありました。そこで模索されたのが、新しい社内コミュニケーションの形です。

企業にとっての社内コミュニケーションの必要性

こうした情報の交換活動は、基本的に「分散的に、個々の人の自律性のもとに行われる」とされています。さらに、現在では企業に求められるアウトプットについて、問題が複雑であるだけでなく、多様性や柔軟性、信頼性への要求も高まっています。

こうした背景から、組織のメンバーが個々に自律性を保ちつつ行動しながらお互いに協調し、組織全体として秩序を生むという高度な体系を築き上げることが、企業の競争力の源泉となると考えられています。そうした組織における情報流通の体系をつくるために、社内コミュニケーションを活性化させる必要性が高まりました。

社内のコミュニケーションの活性化

社内コミュニケーションを活性化する際にクリアしなければならないのが、主に

  • (1)縦(階層や年代)の壁
  • (2)横(事業所や部門、職種、本社と事業部など)の壁
  • (3)組織全体(地域差、場所など)の壁

です。こうした壁を何らかの形で取り払うことで、日常の業務に関連する限定された内容や共有の範囲を越えて情報が流れるようになります。この動きを活発化させることを目的に、これまで各企業でさまざまな社内コミュニケーションツールが導入されてきました。

社内コミュニケーションツール

企業が属する業界や採用する組織の形態、従業員構成等により、組織に生じるコミュニケーションの課題や、目指す社内コミュニケーションの姿は異なってきますが、上記に挙げた主な課題とそれに対応した具体的な社内コミュニケーションツール(の一部)として、次のような事例が挙げられます。

1.縦(階層や年代)の壁への対策として

(1) 経営層と現場社員の交流会
ミーティング形式のものから、昼食懇談会等の会スタイルなど。社内階層の異なる双方の意見や情報を積極的に交換しようというもの。

(2) メンター制度
若年層の社員や、ロールモデルの少ない女性社員や外国人社員などに対し、直属の上司ではない他部門の管理職や役員などを相談係としてペアリングし、中長期的な人材の育成や定着の視点から助言を与えるもの。

(3) ES調査
従業員満足度アンケート、社内アンケートなど(詳細は用語解説集「ES調査」参照)。

2.横(事業所や部門、職種、本社と事業部など)の壁への対策として

(1) 社内研修
新入社員研修や、年次・階層別研修、昇進・昇格時研修など。何らかの節目に行われるこうした研修によって、所属が違いながらも共通項を持った社員が一同に集うことで社内に新たなネットワークが形成され、それが組織内の情報や人材の流通に寄与することを期待するもの。

(2) 社内公募・FA制度
会社命令によって行われる通常の人事異動とは違って、社員本人が希望するポジションに自由に応募する社内公募制度や、社内FA制度。部門などの横の壁を越えて社内の人材が動くことで、組織の横方向へのコミュニケーションの活性化を目指す。

3.組織全体(地域差、場所など)の壁への対策として

(1) フリーアドレス
社員の座席を固定せず、その時どきによって社内の自由な位置で業務にあたらせることで、空間的な場所という縛りを超えたコミュニケーションの活性化を狙うもの。

(2) 社内SNS
例えば、Eメールやグループウェアといったツールが担うような担当業務に関わる範囲だけでなく、それらを超えたコミュニケーションを促す投稿・閲覧型情報発信(交換)ツール。
また、内容を熟考し体裁を整えた上で発信する社内文書やEメール、会議でのコミュニケーションとは違って、より直感的で即座のやり取りが可能になるチャット型ツール(slackやチャットワークなど)。こうした新たなツールが近年多く開発されており、これらのアプリはPC上だけでなく、スマートフォンやタブレットなどで気軽なやり取りが可能である点が特徴。

このように企業に古くから存在する懇談会や研修などのツールの実施目的を再定義して活用したり、新たな技術を用いたツールを導入して、時代背景や業務環境に対応する形で社内コミュニケーションを活性化する工夫がなされています。

現代において業務の専門化・細分化が進んでいることや、人材や雇用形態、就業スタイルの多様化に伴い、企業は今後も従来以上に社内コミュニケーションを促すための仕掛けを継続的に用意し運用・メンテナンスしていく必要性が高まっていくでしょう。


*1 Bill Gates, “Bill Gates, New Rules” (TIME, 4.19.1999)

*2伊丹敬之・加護野忠男『ゼミナール経営学入門』日本経済新聞社,1989

*3Eric Schmidt & Jonathan Rosenberg with Alan Eagle, foreword by Larry Page , “How Google Works” (2014)