【何をすると…?】懲戒解雇とは? 判断基準、退職との違い、理由、有給など手続き

懲戒解雇とは、労働者に科されるペナルティの中で最も重い処分です。

  • 懲戒解雇の意味
  • 懲戒解雇の理由
  • 懲戒解雇の要件
  • 懲戒解雇の判断基準
  • 懲戒解雇の手続き
  • 懲戒解雇を言い渡された際に残っていた有給休暇について
  • 懲戒解雇と普通解雇の違い

などについてしっかりと確認しましょう。実際に懲戒解雇事例が起きた際も慌てず対処できるようになります。

1.懲戒解雇とは?

懲戒解雇とは労働者に罰を与えるための解雇のことで、労働者に科されるペナルティの中でも極めて重い処分です。

通常、企業は労働者を何の理由もなく解雇できません。しかし従業員としての義務や規律違反といった企業の秩序維持を乱す者に対しては、懲戒解雇が認められているのです。

懲戒解雇された労働者は、次の転職先へ提出する履歴書に「自己都合退社」と記載した場合、虚偽記載に該当するとして採用を取り消されるケースもあります。

人事担当者が採用時に前の職場へ退職理由の確認をすることも珍しくなく、その結果、虚偽記載が発覚することもあるのです。

もちろん、前に勤めていた企業も自社のマイナス情報を開示するケースばかりではありません。しかし懲戒解雇された労働者は、懲戒解雇されたことを正しく記載しなければならないことに変わりはないのです。

懲戒解雇以外の制裁処分

従業員としての義務違反などに対する制裁処分には懲戒解雇のほか、

  • 懲戒免職
  • 停職
  • 戒告
  • 減給

などがあります。

客観的合理的理由と社会通念上の相当性(労働契約法)

労働契約法第15条では「当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は無効」と規定しています。

労働契約法の規定からは、懲戒処分が認められるには、客観的に合理的理由と社会通念上の相当性がキーワードになると分かります。企業は従業員を懲戒処分に処する場合、この2つの要素を丁寧に見ていく必要があるのです。

労働契約法第15条の規定により、懲戒処分を行う際、
・客観的に合理的な理由
・社会通念上の相当性
が根拠とされます

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2.懲戒解雇の理由・原因となるもの|何をしたら懲戒解雇?

懲戒解雇の理由や原因についてどのようなものが考えられるのか、いくつかの例を挙げながら見ていきます。

  1. 業務上横領
  2. 転勤の拒否など重要な業務命令の拒否
  3. 無断欠勤
  4. セクハラ
  5. パワハラ
  6. 経歴詐称

①業務上横領

業務上横領とは、仕事上占有している他人の財産や物を横領すること。業務上横領は、刑罰の対象になります。

②転勤の拒否など重要な業務命令の拒否

転勤の拒否など重要な業務命令の拒否とは、企業からの重要な業務に関する命令を自分の都合で拒否すること。

③無断欠勤

無断欠勤とは、正当な理由なしに、上司や使用者に欠席する旨の連絡もしないで無断で出勤しないこと。

④セクハラ

セクハラとは、職場での性的な言動によって、他者に対して働く上で不利益や不快感を与えること。

⑤パワハラ

パワハラとは、組織の中で職務上の地位や人間関係などの優位性を利用して精神的、身体的苦痛を与えること。

⑥経歴詐称

経歴詐欺とは、労働契約を結ぶ際、労働者が年齢、学歴、職歴などを偽る、もしくは隠蔽すること。

懲戒解雇の理由には、業務上横領、転勤の拒否など重要な業務命令の拒否、無断欠勤、セクハラ、パワハラ、経歴詐称などがあります

3.就業規則に懲戒解雇の規定がない場合

もし、就業規則に懲戒解雇に関する記載がなかった場合、従業員を懲戒解雇処分することができないと考えられます。しかし、これでは従業員の適切な管理はできなくなるでしょう。

そのため、就業規則には絶対的記載事項というものがあるのです。そしてそこに、「退職に関する事項(解雇の条件を含む)」についての規定を記載することが義務付けられています。

懲戒解雇の退職金規程

多くの企業は、懲戒解雇された従業員に対する退職金の支給について、減額もしくは不支給といった規程を設けています。

従業員との退職金に関わるトラブルを回避するためにも、懲戒解雇を行う前に、退職金規程に懲戒解雇の場合の退職金支払いに関する条項が盛り込まれているか確認してください。

もし、退職金規程に懲戒解雇時の退職金減額、もしくは不支給の記載がない場合、退職金を減額、もしくは不支給にすることはできません。

ただし、大阪高等裁判所昭和59年11月29日の判決によると、退職金の減額や不支給が認められる条件に関する裁判所の考え方は、「それまでの勤続の功を抹消又は減殺するほどの著しい背信行為」があった場合に限り減額を認めるものとなっています。

就業規則の記載だけでなく、会社に対する背信行為の中身についても問われる点に注意しましょう。

就業規則に懲戒解雇の記載がない場合、基本的に使用者は、従業員を懲戒解雇することができません

4.懲戒解雇が認められる要件と判断基準

懲戒解雇が認められるための要件と判断基準のポイントを見ていきましょう。

  • ポイント①正当性の原則
  • ポイント②平等待遇の原則
  • ポイント③二重処罰の禁止の原則(一事不再理)
  • ポイント④不遡及の原則
  • ポイント⑤個人責任の原則
  • ポイント⑥適正手続の原則

ポイント①正当性の原則

1つ目は正当性の原則。就業規則に懲戒解雇の規程があったとしても、記載されている解雇理由が社会的妥当性を持ったものであるかがポイントになるのです。

たとえば就業規則に「無断欠勤が3日続いた場合懲戒解雇となる」と記載されていたとしましょう。しかし要件の正当性から考えるとあまりに重すぎるため無効になります。

正当性の範囲についてどのように解釈するのかは、判例などを参考にしてください。

ポイント②平等待遇の原則

2つ目は平等待遇の原則。同じ就業規則違反をした従業員が複数いたとき、ある人は減給で済んだけれど、ある人は懲戒解雇処分になってしまったら、従業員の平等待遇が崩れてしまうだけでなく、社内の混乱を引き起こす原因になります。

規則や規程に違反した従業員が誰でも、同じ就業規則違反であれば同等の処分をし、従業員を平等に扱いましょう。また、私情を挟むようなことももってのほかです。

ポイント③二重処罰の禁止の原則(一事不再理)

3つ目は、二重処罰の禁止の原則も。二重処罰とは、1つの問題に対して複数の処罰を行うこと。懲戒解雇の要件では、二重処罰として懲戒解雇処分を行うことを禁止しています。

憲法第39条の一事不再理が原則二重処罰の禁止の根拠となっており、これは一度無罪とされた事件を再度、法廷内で争うことができないことを示しています。この原則は裁判の世界だけでなく、一般企業の中でもいえるのです。

つまり、同一の問題に対して、二回の懲戒処分を実施することは認められません。

ポイント④不遡及の原則

4つ目は不遡及の原則。遡及とは、過去にさかのぼって影響を及ぼすこと。つまり不遡及の原則は、過去にさかのぼって懲戒解雇の処罰を行うことを禁止したものなのです。

たとえば、就業規則に懲戒解雇の規程が定められる前の行動に対して、懲戒解雇を言い渡すことはできません。不遡及の原則は、一般の法解釈にも用いられている原則ですので、当然、懲戒解雇についても適用されます。

ポイント⑤個人責任の原則

5つ目は個人責任の原則。懲戒解雇はあくまで、個々の従業員の行動に関しての制裁になります。

よって、

  • 行為に関与していない従業員の懲戒解雇
  • 組織としての責任連座制を取るかたちでの懲戒解雇

は認められません。懲戒解雇処分は、従業員個人に対して実施します。

ポイント⑥適正手続の原則

6つ目は適正手続の原則。当然のことながら、懲戒解雇の手続きは公正に行われなければなりません。そのために適正手続を事前に明確にしておくことが重要です。

たとえば、就業規則に「懲戒委員会で協議する」といった規程を設けた場合、

  • 懲戒委員会を開催し、協議
  • 処分が決定した場合には、処分の根拠を明確にすると同時に、証拠を提示
  • 懲戒解雇処分に不服がある場合には、公正に検討
  • 懲戒解雇処分を言い渡された従業員には弁明の機会を与える

といった手続きが必要になります。このような手続きに不備不足がある場合には権利の濫用になり、懲戒解雇処分は無効になるのです。

懲戒解雇が認められるポイントは、正当性の原則、平等待遇の原則、二重処罰の禁止の原則、不遡及の原則、個人責任の原則、適正手続の原則の6つです

5.解雇と退職の違い

解雇とは使用者側によって一方的な都合で労働契約が終了となることで、退職とは解雇以外で労働契約が終了すること。

解雇には、普通解雇と懲戒解雇の2種類があります。

解雇された場合、それが普通解雇なのか懲戒解雇なのかを意識することはあまりないため、「普通解雇と懲戒解雇のどちらに該当しても解雇には変わりがない」と思うかもしれません。

しかしこの両者には大きく質的な違いがあるのです。

解雇には普通解雇と懲戒解雇があることを知っておきましょう。解雇以外で労働契約が終了することを、退職といいます

6.普通解雇と懲戒解雇の違い

解雇には、普通解雇と懲戒解雇の2種類があります。この2つは解雇という同じカテゴリーに分類されていますが、質的には大きな違いがあるのです。両者にどのような違いがあるのか、5つの点から見ていきましょう。

  • 解雇事由
  • 30日前の解雇予告義務
  • 退職金の支給
  • 転職への影響
  • 失業保険の給付日数
普通解雇 懲戒解雇
主な解雇理由 ・病気による就業不能
・能力不足、成績不良
・協調性の欠如
・業務上横領
・重要な業務命令の拒否
・無断欠勤
・セクハラ、パワハラ
・経歴詐称
目的 対象者との雇用関係の終了 対象者との雇用関係の終了+組織の規律維持、引き締め
解雇予告手当 30日分の支払必要 支払不要の場合あり
失業保険の給付日数 会社都合退職として給付日数について有利な扱いを受けることが多い 自己都合退職と同じ扱いとなり給付日数が短い
退職金 退職金規定どおり 減額や不支給の場合あり
転職への影響 懲戒解雇されことを申告する義務があり、転職に不利

①解雇事由

解雇には、普通解雇と懲戒解雇の2種類があります。

普通解雇
  • 従業員の能力不足、会社の経営難といったことを解雇事由としている
  • さまざまな理由によって労働契約を解除することが適当であるとして解雇を行うなど
懲戒解雇
  • 従業員の「規律違反」を解雇事由としている
  • 「規律違反」に対する制裁として解雇を行うなど

たとえば、業務上横領などといった従業員の規律違反は懲戒解雇に該当しますが、急激な経営悪化や従業員の業務怠慢などの理由は普通解雇に該当します。普通解雇と懲戒解雇、どちらになのかを決める解雇事由の根拠となるのは、就業規則にある解雇事由の記載です。

解雇の事由の違いは以下の通りとなります。

  • 普通解雇:能力不足や経営問題など
  • 懲戒解雇:従業員の規律違反

②30日前の解雇予告義務

普通解雇を行う場合、原則として、

  • 解雇予告手当の支払い
  • 30日前の解雇予告

どちらかが必要となります。

一方、懲戒解雇の場合一部条件が異なり、労働基準監督署より解雇予告除外認定を受けた場合は、解雇予告手当の支払いや30日前の解雇予告について不要になるケースがあるのです。

懲戒解雇処分を行う際は、労働基準監督署に解雇予告除外認定の対象になるかどうか、確認してください。

③退職金の支給

解雇の場合の退職金の支給についても、普通解雇と懲戒解雇では違いがあります。

まず普通解雇の場合、原則、退職金は通常通りに支払われますが、懲戒解雇では、就業規則や退職金規程の中で、退職金の減額支給や不支給といった内容を事前に決めている企業が多いです。就業規則にのっとって、このような処置を行うことは違法ではありません。

また、中小企業で退職金対策として多くの利用がある「中小企業退職金共済(中退共)」でも、従業員を懲戒解雇した場合には、厚生労働大臣の認定を受け、退職金の減額を行うことができるようになっています。

退職金の金額に違いが出る可能性があるため、普通解雇、懲戒解雇のどちらに該当するのか、根拠を持って適正に決定することが重要です。

④転職への影響

懲戒解雇の場合、転職に影響が生じると考えられます。

  • 転職の際、それまでの職を解雇されたことについて申告義務がない
  • 普通解雇、懲戒解雇のどちらに関しても、履歴書への記載義務がない
  • 履歴書の賞罰欄には、前科のみ記載すればよい

となっているため、書面上では解雇事由を人事採用担当者に知られることなく転職活動ができることになるのです。しかし、採用面接でそれまでの職の退職事由を問われた際、解雇事由に関して嘘をつくことはできません。

真実を回答したとき、懲戒解雇か普通解雇かによって人事採用担当者が受ける影響は大きく変わります。これらから、事実上、懲戒解雇は転職に不利になると分かるのです。

⑤失業保険の給付日数

失業保険の給付日数に関しても、普通解雇と懲戒解雇では違いがあります。

  • 懲戒解雇の場合、自己都合退職と同じ扱いとなり、給付日数が短くなる
  • 普通解雇は、会社都合退職と同じ扱いになり、有利な扱いになることが多い

労働者の生活にも大きく影響するため、判断を間違うと労使トラブルになりやすいです。

普通解雇と懲戒解雇では、解雇事由、30日前の解雇予告義務、退職金の支給、転職への影響、失業保険の給付日数などで違いがあります

7.解雇予告手当とは?

解雇予告手当とは企業が従業員を解雇する場合に支払うことが義務となっている手当のこと。

企業は、

  • 従業員に対して解雇する旨を30日前に予告する
  • 30日分の解雇予告手当を支払う

このどちらかを選択できます。30日前に解雇を予告した場合には、解雇予告手当の支払い義務は発生しません。

さらに、懲戒解雇が行われる場合には、「労働基準監督署の除外認定」を活用すると一定の場合に限り労働基準監督署の認定を受けることができ、30日前の予告と解雇予告手当の支払い、どちらの義務も免除されます。

労働基準法第20条

労働基準法第20条では、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。」と記載されています。

労働基準監督署の解雇予告除外認定とは?

労働基準監督署の解雇予告除外認定とは、会社側の申請によって労働基準監督署が解雇予告義務と解雇予告手当支払義務の2つについて、当該企業を対象から除外することを認める制度のこと。

この認定を受けることができれば、企業はよりスムーズに解雇できます。

労働基準監督署の解雇予告除外認定の対象になるケースとは、

  • 事業場内における盗取、横領、傷害等
  • 賭博や風紀紊乱(男女関係の乱れ)等により、職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合
  • 経歴詐称
  • 他の事業場への転職
  • 2週間以上の無断欠勤
  • 出勤不良で数回注意を受けても改まらないとき

解雇予告除外認定を受ける際は、その対象になるかどうか、冷静に検討してください。

労働基準法第20条には、企業の解雇予告義務と解雇予告手当支払いの義務についての明記があります

8.懲戒解雇時の有給休暇の扱い

懲戒解雇を従業員に言い渡した際、まだ当該従業員に有給休暇の残日数があることも考えられます。

このような場合、当該従業員が保有している未消化の有給休暇をどうにかして消化できるように、有給休暇を取得させる期間を設定したり有給休暇の残日数を買い取ったりといった配慮をする必要はありません。

そもそも、有給休暇は労働者が在職中に取得するもの。懲戒解雇の処分を受けた段階で、当該従業員の有給休暇は消滅するのです。

懲戒解雇の処分となった従業員に有給休暇が残っていた場合、懲戒解雇処分を受けた段階で有給休暇は消滅します

9.懲戒解雇の手続きの流れ

懲戒解雇の手続きには流れがあります。

  1. 問題行為を調査する
  2. 懲戒解雇理由に該当するか検討する
  3. 就業規則を確認する
  4. 従業員に弁明の機会を与える
  5. 懲戒解雇通知書を作成する
  6. 従業員に懲戒解雇を伝える
  7. 職場で懲戒解雇を発表する
  8. 失業保険の離職票などの手続きを行う

①問題行為を調査する

懲戒解雇について、裁判にまで発展するトラブルになった場合、当該従業員の規律違反や問題行動などの証拠があるかどうかが重要となります。裁判では、証拠をもとに話が進められるからです。

たとえば、横領やセクハラ、パワハラといった問題行動が起こったときには、関係者への十分な聞き取り調査と証拠の収集が欠かせません。無断欠勤など、誰から見ても明らかに従業員に非があると考えられる懲戒解雇事由でもそれは同じといえます。

なぜなら無断欠勤の理由が、パワハラやセクハラなどのハラスメントが原因になっていると後で発覚することもあるからです。この場合、ハラスメントは会社側にも原因があると判断されるケースも多くあります。

懲戒解雇が不当解雇と判断されることを避けるためにもどのような懲戒解雇事由でも現状の正確な把握につながる調査や証拠の収集を必ず実施しましょう。

②懲戒解雇理由に該当するか検討する

万が一懲戒解雇が不当だと裁判になったときは、懲戒解雇理由に該当するか検討しなければなりません。そのためには懲戒解雇理由となった原因について、懲戒解雇に該当するかどうかの事前検討が必要です。

  • 単なる無断欠勤
  • セクハラやパワハラによってやむを得ず行った無断欠勤

の両者では、欠勤の意味が異なります。単なる無断欠勤では懲戒解雇になり得ますが、セクハラやパワハラが原因だった場合、無断欠勤の一因が企業側に存在することとなるからです。

懲戒解雇の後で不当解雇と判断されないためのポイントは以下の3つとなります。

  1. 就業規則の懲戒解雇事由を確認
  2. 懲戒解雇が重すぎないかを検討
  3. 過去に懲戒した問題を理由に懲戒解雇はできない

③就業規則を確認する

懲戒解雇をする場合、事前に就業規則に懲戒解雇に関する規定が存在するのかどうかが重要となります。

就業規則には、

  • 懲戒をする場合は懲戒委員会で審議する
  • 懲戒をする場合は事前に従業員代表者あるいは労働組合と協議する

といったように何らかのルールがあるケースが多いようです。

就業規則に規定がない場合には労使トラブルの危険性が高まります。まず自社の就業規則にどのような記載があるか、または規定が未整備かどうか、確認してみてください。

④従業員に弁明の機会を与える

懲戒解雇をする場合、懲戒解雇を言い渡す前に当該従業員本人に対して、懲戒解雇について弁明する機会を与えることが重要です。

弁明の機会とは当該従業員本人を呼び、問題行為について企業として懲戒を検討している旨を伝える、懲戒処分の検討について本人の言い分を聴くというプロセスのこと。

懲戒解雇をした後、その懲戒解雇が不当解雇であるとし、当該従業員から裁判で訴えられることがあります。その場合、懲戒解雇を言い渡す前に従業員に弁明の機会を与えたかどうかについて確認が行われるのです。

弁明の機会の有無は、裁判所が懲戒解雇だと判断するポイントの一つになります。

⑤懲戒解雇通知書を作成する

企業側は、従業員に懲戒解雇を言い渡した後、当該従業員に対して懲戒解雇通知書を渡します。そのため、懲戒解雇が決定的になった場合には、懲戒解雇通知書を作成しなければなりません。

書面でしっかりと従業員に懲戒解雇を提示できるため、正当な懲戒解雇を示す重要な証拠となるのです。

⑥従業員に懲戒解雇を伝える

懲戒解雇を行うことが決まったら、当該従業員を会議室などの別室に呼び、懲戒解雇を伝えましょう。あらかじめ用意しておいた懲戒解雇通知書は事前にコピーを取っておきます。

また、必ず従業員から懲戒解雇通知書を受け取ったというサインをもらってください。従業員が出勤していない状態で懲戒解雇を言い渡す場合は、懲戒解雇通知書を内容証明郵便で自宅に送付します。

⑦職場で懲戒解雇を発表する

当該従業員を別室に呼んで本人に解雇を通知したら、次に、職場に対して当該従業員の懲戒解雇を発表します。

懲戒解雇には、

  1. 本人に違反行為に対する制裁を加える
  2. 従業員の問題行動や就業規則違反について、企業として厳正に対応することを他従業員にも示す

という2つの意味があります。懲戒解雇の機会を利用して企業秩序の引き締めを図るという意味も含めて、職場内で簡潔に懲戒解雇の理由などを公表しましょう。

職場内も懲戒解雇の実例を目の当たりにするため気を引き締めて業務に当たると考えられます。懲戒解雇は、組織の再結束を促すチャンスになるのです。

⑧失業保険の離職票などの手続きを行う

懲戒解雇後は当該労働者が失業保険の受給ができるように離職票発行などの手続きを行います。懲戒解雇後に必要となる手続きは以下の通りです。

  • 離職票等「ハローワーク」の手続き
  • 会社の社会保険から脱退する手続き(健康保険と年金)
  • 源泉徴収票の交付
  • 住民税の特別徴収を止める手続き
  • 最後の給与の支払い
  • 解雇予告除外認定を受けない場合の解雇予告手当の支払い
  • 退職金規定があり、不支給とならない場合の、退職金の支払い
  • 従業員から請求があった場合の解雇理由証明書の交付

手続き漏れなどで失業給付の受給に支障を来たさないようにするためにも必要な手続きを一つひとつ確認して確実に処理しましょう。

懲戒解雇の手続きには、問題行為の調査と解雇事由の検討、就業規則の確認、弁明の機会提供、懲戒解雇通知書の作成、解雇の通知と公表、失業保険の手続きなどがあります

10.失業保険の離職票の手続き方法

失業保険の手続きは、離職票をハローワークに提出することで始まります。離職票には企業が離職理由を記載する欄があり、懲戒解雇の場合には離職理由欄の4(2)の「重責解雇」にチェックをつけて、離職票をハローワークに送付します。

懲戒解雇された従業員でも失業保険の受給は可能です。しかし受給内容は、普通解雇の場合と比較した場合、

  1. 失業保険が支給されるまでの待機期間が長くなる
  2. 失業保険をもらえる日数が減る

という2つの側面で不利な条件になります。離職票の記載内容に関して、労使トラブルになることも多いため、離職理由は調査に基づき、正確に記載してください。

失業保険を手続きする際は、離職理由欄の4(2)の「重責解雇」にチェックをつけた離職票をハローワークに提出してください