懲戒免職とは? 退職金やそのほかの処分、原則や不当解雇となるケース、手続きや注意点について

懲戒免職とは、公務員に対する強制解雇です。ここでは、懲戒免職についてポイントを解説します。

1.懲戒免職とは?

懲戒免職とは、公務員に対する懲罰となる強制解雇のことで、

  • 国家公務員法
  • 地方公務員法

にて規定されています。なお民間企業では、懲戒免職ではなく懲戒解雇となっています。

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2.懲戒免職の特徴

懲戒免職について下記5つのポイントから解説しましょう。

  1. 法令で公務員の懲戒免職が認められている
  2. 退職金は基本、支給されない
  3. 再就職との関係性
  4. 企業における懲戒解雇以外の懲戒処分の種類
  5. 公務員における処分の種類

①法令で公務員の懲戒免職が認められている

法令で公務員の懲戒免職が認められています。

関連法令に、罰金刑を受けた場合の失職や懲戒免職を定めた規定は存在していません。しかし国家公務員法や地方公務員法などにある抽象的な規定を適用すると、懲戒免職が可能となる事案があるのです。

②退職金は基本、支給されない

懲戒免職を申請されて認可された場合、「基本、退職金は不支給」「即時免職」となります。定年間近でも懲戒免職が認可された場合、退職金は支払われません。

ただし懲戒免職の申請が認可されておらず先に解雇処分となった場合、予告を受けない退職者の退職手当を支給する必要があります。

③再就職との関係性

懲戒免職になるというのはつまり、それに値する不誠実な行動を起こしたわけです。また再就職の際、履歴書や面接、離職票にて懲戒免職の事実が分かってしまいます。そのため、社会的な信頼を失い再就職にも大きな悪影響がある可能性も高いのです。

④企業における懲戒解雇以外の懲戒処分の種類

企業の場合、懲戒解雇という名称の懲戒免職と同等になる懲罰があります。また企業には懲戒解雇以外の懲戒処分が複数存在するのです。ここでは企業における懲戒解雇以外の懲戒処分を5つ、解説します。

戒告・譴責・訓戒

企業における懲戒処分のうち最も軽い処分に位置付けられているのは、下記の3つです。

  • 過失や非行などをいましめて注意する「戒告」
  • 口頭注意や始末書の提出などで不正や過失などを厳しくとがめる「譴責」
  • 口頭注意や厳重な指導などで善悪を教え戒める「訓戒」

減給

減給は、労働基準法第91条に規定されている処分です。

  • 1回の非違行為に対する減給は、平均賃金1日分の2分の1以下
  • 同一の労働者による数回の非違行為があった場合でも、1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない

出勤停止

出勤停止とは、処分期間中は会社に出社したり就労したりできなくなる懲罰のこと。就業規則に「出勤停止期間を無給とする」とあれば、その間の賃金が減額されます。法律で無給の決まりはないものの一般的に、出勤停止処分期間は無給とするのです。

降格

降格とは、会社に損害を与えたり社内規定に違反したりした社員の行為に対して懲戒権を行使し、降格させること。

「就業規則に懲戒処分の規定がある」「事由に該当する合理性がある」「社会通念に対して相当である」といった際、処分が行われます。

諭旨解雇・諭旨退職

諭旨解雇・諭旨退職の「諭旨」とは、趣旨を諭して告げること。それぞれ下記のようになります。

  • 諭旨解雇:会社が社員に処分の事由を諭した解雇で、退職金や解雇予告手当が支給される
  • 諭旨退職:社員に自発的な退職を促し退職させる処分で、退職金が支給されるといった処分

⑤公務員における処分の種類

公務員における処分の種類は、公務員法第82条「国家公務員の懲戒処分について」に明記されています。具体的な内容は下記のとおりです。

  • 公務員の職を失わせる「免職」
  • 職員の身分を保有させながら一定期間職務に従事させない「停職」
  • 公務員の勤務時間に対する報酬の支給額を減らす「減給」
  • 将来への戒めを申し渡す「戒告」

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3.企業における懲戒免職(懲戒解雇)の7原則

企業における懲戒免職(懲戒処分)の判断を定める法はなく、それぞれの企業が独自に行うしかありません。ここでは企業が懲戒免職(懲戒解雇)を行うための判断に用いられる7原則について、解説します。

  1. 罪刑法定主義の原則
  2. 適正手続の原則
  3. 相当性の原則
  4. 平等取扱の原則
  5. 個人責任の原則
  6. 二重処分禁止の原則
  7. 効力不遡及の原則

①罪刑法定主義の原則

罪刑法定主義の原則とは、憲法上の大原則のこと。「あらかじめ文章で記載された法律の中に、明確な規定が定められていなければ処罰できない」というルールです。

つまり企業が社員に懲戒免職(懲戒解雇)を下したい場合、「就業規則に懲戒免職(懲戒解雇)についての規定が文章化されている」「事由が具体的に規定されている」必要があります。

②適正手続の原則

適正手続の原則とは、適正な手続きによって処分が行われなければならないというルールのこと。懲戒免職(懲戒解雇)を行う場合、就業規則や労働協約に手続きについて特に定めがあれば、従って手続きを行わなければなりません。

もしも手続きを履践しない場合、その懲戒解雇は無効になる可能性もあります。

③相当性の原則

相当性の原則とは、懲戒免職(懲戒解雇)の内容が事由に見合ったものでなければならないというルールのこと。

処分事案を考えた際に、重すぎる・必要のない処分であれば無効となります。背景や経緯、情状酌量の余地などを考慮し、一般的な視点で納得のできる処分を行わなければならないのです。

④平等取扱の原則

平等取扱の原則とは、「以前にあった事案に関する処分」「以前と同様の事案が起こったときの処分」は、以前の処分との均衡性を考慮して平等に取り扱うべきというルールのこと。

同じ問題行動に対して、その処分が平等さを欠いてしまうと原則に違反します。つねに毅然とした対応で、均衡な処分を下す必要があるのです。

⑤個人責任の原則

個人責任の原則とは、個人の問題行動にもかかわらず、連帯責任を負わせるような処分は無効であるというルールのこと。

処分はあくまでも個人単位で進める事案です。責任のない内容に対する処分はできません。ただし就業規則に具体的な規定がある場合、部下の問題行動に対する管理職の管理責任を処分対象にできます。

⑥二重処分禁止の原則

二重処分禁止の原則とは、同一事由に対して2回以上処分できないという日本国憲法第39条で保障されているルールのこと。

「過去に処分を受けた事由で、再び処分を受ける」「当時、処分の対象外とされた事由を、のちに蒸し返し処分する」「発覚後、長年処分の検討されなかった事由を、突然処分とする」などは禁止されています。

⑦効力不遡及の原則

効力不遡及の原則とは、新たに処分対象事由を定めた場合、新たな規定は制定後に発生した事案にのみ効力を発揮するというルールのこと。

問題行動が発覚した後で当該行為を処分事由に付けくわえても、無効になるのです。懲戒事由は多様化しています。社会動向や社内情勢に鑑みながら、懲戒事由を定期的に見直すとよいでしょう。

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4.企業における懲戒免職(懲戒解雇)が不当解雇となるケース

企業が行った懲戒免職(懲戒解雇)が、不当解雇となるケースもあります。社員とのトラブルを避けるためにも、不当解雇となる基準について知っておきましょう。

懲戒免職が不当解雇となる基準

不当解雇となる基準の根拠は、労働契約法第16条にあります。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、その権利を濫用したものとして無効とする」。客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性がない場合、企業が行った懲戒免職(懲戒処分)は不当解雇になるのです。

客観的に合理的な理由

客観的に合理的な理由とは、社員の問題行為が就業規則に記載されている事由に該当する理由であるというものです。

懲戒免職(懲戒解雇)は社員に対して大きな不利益を与えるほど重大な処分。そのため形式として事由に該当するだけでは認められません。処分が相当であるほど重大な違反行為であったかどうかが問われます。

社会通念上の相当性

社会通念上の相当性とは、社会通念から考えてその処分がふさわしいかどうかに鑑みること。

「反省の程度やそれまでの勤務態度、家族構成といった情状に照らした懲戒免職(懲戒解雇)になっているか」「過去の処分例と均衡が保たれているか」「解雇手続が履践されているか」といった面から、処分が妥当かどうかを判断します。

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5.懲戒免職の手続き・流れ

懲戒免職の手続き・流れはどのようになっているのでしょうか。ここでは手続き・流れについて5つのステップから解説します。

STEP.1
問題行動についての調査
最初に、問題行動の調査を行います。根拠が曖昧といった理由から懲戒解雇が不当解雇と見なされる場合もあります。不当解雇をめぐって裁判にまで発展する場合も、少なくありません。

そのためどんな懲戒解雇事由でも、問題行動についての調査や証拠の収集を行います。

STEP.2
弁明の機会を与える
問題行動についての調査を行ったら、当該社員に弁明の機会を与えます。弁明の機会とは、社員本人に対し、「企業として懲戒免職を検討していると伝える」「懲戒免職処分について本人の言い分を聴く」という機会です。

裁判になった時、裁判所が弁明の機会があったか否かの確認を行います。弁明の機会があれば、懲戒免職であると判断されるひとつのポイントになります。

STEP.3
懲戒免職通知書の作成
社員本人に弁明の機会を与えた後、懲戒免職通知書を作成します。

懲戒免職通知書は必ず書面で作成し、あらかじめコピーを取って社員に署名させておくのです。それはトラブルの回避や裁判の証拠資料に役立ちます。もし当該社員に直接渡せない場合は、内容証明郵便で郵送するのです。

STEP.4
懲戒免職の公表
懲戒免職通知書を当該社員に通知したら、職場内にも、「当該社員を懲戒免職した事実とその事由」を公表します。職場内の秩序を維持するためです。

就業規則違反となる問題行動に対し、企業として厳正に対応しているとほか社員に周知し、組織の再結束を促していくようにします。

STEP.5
手続き
最後に、離職票発行といった手続きです。

社員が失業保険などの手続きができるよう、「離職票の発行や社会保険脱退の手続き」「源泉徴収票の交付」「住民税の特別徴収停止手続き」「給与の支払い」「必要な場合のみ、解雇予告手当や退職金の支払い」「請求があった場合、解雇理由証明書の交付」などを行います。

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6.企業が懲戒免職(懲戒解雇)処分を行う際の注意点

企業が懲戒免職(懲戒解雇)処分を行う際の注意点3つについて、解説しましょう。

  1. 弁明の機会を与える
  2. 書面で通知する
  3. 就業規則への記載と社員への周知

①弁明の機会を与える

懲戒免職(懲戒解雇)を行う場合、必ず本人から言い分を聴く機会を設けます。

「弁明の場の有無は、裁判で懲戒処分の有効性が問われた際に争点になる」「懲戒処分は制裁罰であり、刑事裁判で被告人に弁護人がつき、反論の機会が与えられていることと同様に取り扱う必要がある」からです。

②書面で通知する

口頭で処分を行うと「処分内容が曖昧に伝わる可能性がある」「処分した証拠が形として残らない」という可能性が高まります。

懲戒免職を行う際は、「懲戒処分通知書」といった書面に「いつ・どこで・誰が・何を・どうしたなどの具体的な処分対象行為」「明確な処分内容」を記載するのです。

③就業規則への記載と社員への周知

就業規則に、該当する事由や処分時の手段を具体的に明記します。労働基準法106条では、従業員に周知されない就業規則は効力がないとしているのです。