無断欠勤とは? 意味・定義、会社側の対応について【解雇できる?】

無断欠勤は会社に勤める上でもってのほかです。まともな社会人であれば説明不要の常識でしょう。しかし、無断欠勤とはそもそもどういったものか、詳しく知る人は少ないかもしれません。

明確な意味や定義を理解することで、より一層重要性を再確認できます。そんな無断欠勤における会社の対応など、働く側と使用者側双方の視点からまとめました。参考にしてみてください。

1.無断欠勤の定義とは?

無断欠勤とは、事前の連絡なく、自分の都合のみで休み、会社に迷惑をかけることです。会社を休むという行為には、いくつかの種類があります。もちろん、真っ当な理由があり、報告や手続きも規定通りに行われていれば、特に問題ありません。

しかし無断欠勤をされると、会社側で予定していた人員が不足するため、業務に支障を来します。さらに時間になっても出社しないとなれば、会社内で大きな混乱が生じるでしょう。無断欠勤は避けるべき行為です。

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2.無断欠勤した社員は解雇できる?

そもそも一般的に、欠勤の流れは社則で規定されています。契約の際、その内容をすべて確認した上で署名、捺印などをするわけですから無断欠勤は社則違反、さらには契約違反に相当するのです。

そのため、基本的に解雇理由として指摘することは可能です。しかし、やむを得ない・正当な理由がある場合は、即座に解雇とならないこともあります。

解雇権濫用の法理

確かに、会社は賃金を対価に人員を雇っています。だからといって誰でも自由に解雇できるわけではありません。

労働基準法において解雇権濫用の法理という概念がありはたから見て合理的な理由がなければ解雇できないと定められているのです。

もし解雇しても、その解雇は法律に基づき無効とされます。だからこそ、無断欠勤時のすべてのケースが解雇につながるとはいえないのです。正当な理由、避けられないトラブルなどがあった際には、交渉の余地が伴います。

解雇できる合理的理由

上述では、法的な観点から解雇できないケースがあるとお伝えしました。では、解雇できる合理的理由とは何でしょう。主に、以下の4点が挙げられます。

  1. 労働者の労務提供の不能や労働能力、または適格性の欠如・喪失
  2. 労働者の規律違反行為
  3. 経営上の必要性に基づく理由による場合
  4. その他の事由

最後の「その他の事由」とは、使用者と労働組合がユニオン・ショップ協定を締結しており、労働組合で除名・脱退が発生した場合、規定に基づき解雇となる例外的なケースです。

無断欠勤でも解雇できないケース(例)

具体的にどのようなケースで解雇が不可となるのでしょうか。以下3つの具体例についてご紹介します。

  1. 事故や天災
  2. メンタルの病気(うつなど)
  3. 職場のハラスメント(セクハラやパワハラなど)

①事故や天災

事故や天災など、出勤したくても困難でありさらに報告もままならない状況という場合は、解雇事由に当たらないのです。ただ、よほどの大事でなければ解雇不可の理由にはなりません。そのため、乱用されることも少ないです。

②メンタルの病気(うつなど)

現代では、仕事を通じたメンタルの病気が広く取り沙汰されています。また、メンタルの病気で通勤困難である社員に出勤を強要する場合、それこそブラック企業などという悪評のもととなり、大きく問題視されるでしょう。

この風潮からも分かる通りうつ病などメンタル面に関する病気で無断欠勤した社員においては、解雇が難しいです。

③職場のハラスメント(セクハラやパワハラなど)

少々定義が曖昧なものに、職場内におけるハラスメント(セクハラ・パワハラなど)のケースがあります。通勤状況や健康状態に問題がないにもかかわらず、無断欠勤理由として使用できるといった状況です。

会社側から見るとハラスメント(セクハラ・パワハラなど)が発生した場合、その被害を受けていた無断欠勤者を解雇したくてもできないことがほとんどでしょう。

無断欠勤で懲戒解雇は可能?

解雇は、必ずしも法的ベースで行わなければならないわけではありません。懲戒が必要な人員という判断に至った場合、ペナルティとして懲戒解雇を実行可能です。

ですが、無断欠勤を理由としてこの手法を取るのは、容易ではありません。相当期間の無断欠勤が続き、なおかつ実害が生じなければ、懲戒解雇の有効性は否定されることが多いのです。

無断欠勤者の懲戒解雇を検討している場合、まずは長期間にわたって様子を窺わなくてはなりません。

無断欠勤日数が何日で解雇が認められる?

懲戒解雇理由につながる相当期間の無断欠勤というのも、少々定義が曖昧でしょう。法律上ではある程度の目安が存在します。たとえば東京地方裁判所の判例をベースとする目安では、2週間以上が一般的です。

しかしこれは、法律で厳格に定められた定義ではありません。勤続日数においては有給休暇も発生しますし、自主退社の猶予も存在します。そのため、あくまでも目安として捉えるほうがよいでしょう。

短期間ですぐに解雇できる場合とは?

無断欠勤の内容が悪質な場合、例外的に短期間で解雇できることもあります。たとえば無断欠勤に際して会社が出社命令や健康状態の確認を行っているにもかかわらず、まったく応じないケースです。

無断欠勤に加えて業務命令の無視という状況も成立するため、短期間における懲戒解雇が行える可能性は高まります。

3.無断欠勤を続ける社員への対応とその流れ

無断欠勤が確認できたからといって、すぐさま解雇の検討に入るわけにはいきません。せっかく採用し、実務などを学んだ人材ですから、引き留められれば何よりです。

しかし無断欠勤が発生した場合、どのような対応をすればよいのでしょうか。対応の流れについて見ていきます。

  1. 会社から連絡(電話、メールなど)
  2. 出社命令を出す
  3. 退職勧奨
  4. 普通解雇
  5. 懲戒解雇

①会社から連絡(電話、メールなど)

まずは速やかに連絡を取ります。本人との対話は、安否確認にもつながるからです。無断欠勤の場合、多くはさぼりや無断退職という可能性を予想するでしょう。しかし、事故にあった、急に大病を患ったといった可能性も考えられます。

電話やメール、SNSなどを駆使して上司や人事が速やかに本人と連絡を取り、安否を気遣うようにしましょう。

②出社命令を出す

安否確認時に反応があった場合、出社命令を出しましょう。安否に問題がないにもかかわらず無断欠勤していたとなれば、出社しない理由は見当たりません。上司の権限や契約を行使して、出社を促すのです。

ただ、例外的なケースもあります。

  • 天災や交通機関の乱れが影響してやむを得ず欠勤した
  • 社内におけるハラスメント行為(セクハラやパワハラなど)により心に支障を来している

といった場合です。このような状況では、安否に問題がなくても安易に出社は促せません。

③退職勧奨

出社命令に従わず無断欠勤が続く場合、さまざまな影響が発生します。

  • その人物が担っていた仕事やポストは空き、業務が回らなくなる
  • 待つことで負担が生じる
  • 他の社員や業務への影響を気にする必要が出てくる

そのため、相当期間の欠勤が続けば、解雇を検討する段階へと移行するのです。しかし無断欠勤を理由に解雇を命じる場合、不当解雇の問題が起こる可能性もあります。まずは退職推奨を行い自発的に退職する流れを促しましょう。

退職届の用紙を郵送

退職勧奨のポイントは、あくまで自発的に退職してもらうということです。結果的に退職する流れであっても、それが強制的であればやはり不当解雇事案となりかねません。

そこで効果的なのが、退職届の郵送です。部署の近しい人間から退職届を取得し、それにより退職手続きを行うとなれば、自発的に退職するという構図がはっきりとつくれます。

④普通解雇

出社命令を聞かず退職勧奨にも応じないとなれば、最後の手段である解雇を検討する段階に入ります。解雇には主に2つの種類が存在するので、適切なほうを選択しましょう。

  1. 普通解雇
  2. 懲戒解雇

普通解雇は比較的軽い解雇のため、最初にこちらから検討するとよいでしょう。会社に断りを入れることなく欠勤する無断欠勤は、雇用関係における信頼を破壊しています。そのため、この普通解雇が適用可能である可能性が高いのです。

解雇通知書を内容証明郵便で送る

無断欠勤者の解雇がスムーズにいくとは限りません。無断で会社に来なくなっているため、対面上で手続きできないからです。解雇通知書を郵送しても契約が終了できない場合もあるでしょう。

必要でなくなった雇用関係が続くと、業務やポストの引き継ぎ、保険関係などさまざまな問題が生じます。そこで有用なのが遠隔ながら受け取りを法的に成立させられる、内容証明郵便です。

解雇通知書の書き方の注意点

普通解雇を行ったからといって、すぐにその人物への賃金支払いが停止できるわけではありません。またこれは、解雇通知書の書き方によって内容が異なります。労働基準法のルールに注意しつつ、以下2つのパターンから選びましょう。

無断欠勤者が解雇通知書を受け取ったその日を解雇とする書き方
  • 受取日に即退職とできる
  • 労働基準法「解雇予告手当のルール」に則り、
  • 原則として30日分の給与を解雇予告手当として支払わなくてはならない
  • 無断欠勤が2週間以上続く場合、除外認定が適用されることも
解雇通知を受け取った日から30日以上経った日を解雇日とする
という書き方30日分の解雇予告手当を避けたい場合
期間分の社会保険料は支払わなくてはならない

双方の特徴を比較して、より有益なほうを選ぶとよいでしょう。

⑤懲戒解雇

普通解雇よりさらに厳格さを増すのが無断欠勤を重い違反と捉える際に適用される懲戒解雇です。ただ前述した通り、実際のところ無断欠勤での懲戒解雇は成立しにくいとされます。

また不当解雇で訴えられて、損害賠償請求につながることも懸念されるのです。過去には、平成23年に出た東京高裁の判決において、不当解雇を理由に約1,600万円の支払いが命じられたケースもあります。

連絡を取り続ける以外に、会社側がやっておくとよいこと

無断欠勤は、比較的ありがちなトラブルですが、法律や訴訟リスク、保険などさまざまな面が伴うため、軽く見ているとデメリットが生じるかもしれません。出社を促すべく連絡を取り続けると同時に、以下の対策も押さえておきましょう。

  1. 無断欠勤の証拠を確保
  2. 雇用保険や健康保険の手続き準備

①無断欠勤の証拠を確保

前述の通り、無断欠勤に改善が見られない場合、解雇につなげられます。しかし解雇時に下準備をしっかり行っていなければ、訴訟を起こされ敗訴に至る可能性もあるのです。

無断欠勤者に連絡を取り続けると同時に、証拠確保を行っておきましょう。

証拠確保とは出席簿やタイムカード、自社システムへのログイン履歴などから、無断で欠勤しているという事実を証明できる物やデータを揃えることです。

②雇用保険や健康保険の手続き準備

ほとんどの会社では、雇用契約と同時に保険の手続きも行っており、これは解雇と別に正規の手順が必要となります。

  • 雇用保険
  • 健康保険
  • 労災保険
  • 厚生年金

が代表的でしょう。

理想的な流れは無断欠勤かつ音信不通状態が2日以上続いた段階で、内容証明郵便の送付や自宅訪問を開始し、その中で保険の各種手続きを決定することです。

4.無断欠勤社員の給料や有給消化について

業務は残った人員でカバーできることもありますが、金銭問題から目をそらすことは難しいです。こうした問題は、雇用契約を結んでいる以上、大事なポイントとなるでしょう。

無断欠勤が起こった際の給料や有給休暇の消化についてどのように対応していくべきか、いくつかの項目に分けて紹介します。

無断欠勤をされても労働分の給料や残業代を支払う義務がある

無断欠勤は、迷惑をかける行為として大きな違反に他なりません。だからといって無断欠勤を理由に金銭面へのペナルティを与えることはできないのです。基本的に、労働分の給料や残業代は支払う義務があります。

例外は、無断欠勤が想定外の損害につながっていたケースで、この場合、額面通りの賃金支払いの義務が生じない可能性も出てきます。ただ基本的には支払うことが一般的ですし、無断欠勤者には賃金を請求する権利も伴います。

2年の請求期限

無断欠勤に際しての賃金支払いルールは前述の通りです。しかし無断欠勤者が100%その賃金を受け取れるとは限りません。

  • 請求権は2年間しか有効ではない
  • 期限を過ぎると、労働基準法第百十五条により、請求が不可

となるのです。

会社側が有給休暇を無断欠勤に充てることはできない

無断欠勤者が相当な反逆者でない場合、会社としては穏便に扱いたいと考えるでしょう。無断欠勤した日を有給休暇を充てるといった配慮も検討されるかもしれません。ですが、本人のためとはいえこの配慮は会社の一存で行えないのが実際のところといえます。

給休暇は必ず本人による申請が必要となるため、音信不通を伴う無断欠勤の場合、基本は実行不可です。有給休暇取得を提案するため出社命令を出す方法が効果的となる場合もあります。

解雇後の社員は失業保険を受給できるので離職票を発行する

無断欠勤が理由とはいえ、退職後の失業保険の受給権利は伴うため、会社側は失業保険のための準備をしておかなくてはなりません。解雇される社員も受給申請のため、離職票の発行を行うようにしましょう。

ただ、失業保険は解雇された全員が受け取れるものではありません。所定の支給条件を満たして、初めて受け取れることになっているのです。項目は多岐にわたるので、あらかじめ支給可否を確認しておきましょう。

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5.人事が普段から気を付けておくべき4つのこと

社員の無断欠勤問題は、いつ起こるか分かりません。会社側が最大限親身に接していたとしても、本人の個人的な理由から無断欠勤してしまったらどうすることもできないのです。

会社を経営している時点で、無断欠勤は避けられない事象として念頭に置いておくことが重要でしょう。そこで押さえておきたいのが以下4つの点です。

  1. タイムカードや日報を用いた勤怠管理
  2. 社員の無断遅刻や無断欠勤の原因調査
  3. 勤怠の事実に基づいた正確な評価
  4. 問題社員の配置転換や降格

①タイムカードや日報を用いた勤怠管理

タイムカードや日報などを用いて、無断欠勤の証拠を残すことが重要です。証拠が不十分な場合、無断欠勤ではないにもかかわらず解雇されたとして、問題化することも考えられます。不当解雇で訴訟になったとき、不利になるかもしれません。

無断欠勤の証拠としては、明確な物証であることがポイントとなります。客観的に見ても出勤していないことが明確であれば、裁判でも認められやすくなるのでます。

②社員の無断遅刻や無断欠勤の原因調査

無断欠勤は、ないに越したことはありませんが。そのため、遅刻や欠勤の多い人物については、普段からその原因について把握しておくことが重要です。しかしどういった原因が多いのでしょうか。

  • 体調不良になりやすい
  • だらしない性格

2つの特徴が代表的です。こういった社員には普段から気遣いなどのフォローを行い、長期の無断欠勤に至らないよう対策しましょう。

③勤怠の事実に基づいた正確な評価

欠勤が多い人物でも業務成績が良いといったケースは考えられます。しかし、成績通りの評価をするのはお勧めできません。勤怠実績を踏まえた、正当な評価を与えるよう心掛けましょう。

もし欠勤が目立つにもかかわらず業務成績が優秀となれば、まじめに出勤している社員から不満が湧き上がります。またそのような社員は会社の評価に乗じて、さらに欠勤を繰り返すかもしれません。

無断欠勤、周囲のモチベーションといったトラブルを防ぐためにも、勤怠状況を含めた正確な評価を心掛けるようにしましょう。

④問題社員の配置転換や降格

無断欠勤の原因が社内にある場合もあります。この場合上司や人事が工夫することで、欠勤している社員の問題を解決できる可能性が高まるでしょう。

  • 配置転換や降格
  • 仕事内容やグループの変更

などでより適正な環境に該当社員を異動できれば、社員の働きやすさにつながるかもしれません。また環境が変わることで、新たな気持ちで臨んでもらうことも期待できるでしょう。