メタ認知能力とは? 種類と段階、必要な理由、鍛える方法

メタ認知能力とは、客観的に認知する能力です。ここではメタ認知能力について、さまざまなポイントから解説します。

1.メタ認知能力とは?

メタ認知能力とは、自分の物事に対する認知状態を客観的かつより高い次元から認識する能力のこと。メタ認知能力があると、下記ができます。

  • 自分自身のセルフモニタリング
  • セルフコントロール

それにより適切な目標設定や目標の達成、問題解決や戦略的実践など、実行力を高められるでしょう。

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メタ認知能力の起源

メタ認知の考え方の起源は、古代ギリシアの哲学者ソクラテスが唱えた、「無知の知」にあります。

「無知の知」とは、「彼らは何も知らないにもかかわらず知っていると思い込んでいる。私は何も知らないということを知っている限り、知恵がある」という考え方で、この言葉には、メタ認知ができていることがあらわれています。

1976年、ジョン・H・フラベルが、メタ認知の基本となる概念「メタ記憶」を定義しました。

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2.メタ認知能力の種類と段階

メタ認知能力には2種類あり、メタ認知には5つの段階があります。両者についてポイントを解説します。

メタ認知的知識

自分自身の短所・長所などについて、客観的な知識として認識しているもの。つまり、自分を分析して得た知識のことです。メタ認知的知識には、「自己」「方略」「課題」があります。

  1. 自己
  2. 方略
  3. 課題

①自己

人間の認知特性に関わる知識のこと。自分自身の強みや弱み、好きなことや嫌いなことなどを客観的に分析、評価し、認知することです。たとえば、「長時間同じ作業をしているとミスをしやすくなる」などがあります。

②方略

課題を解決するための方法について、認知している知識のこと。「問題解決のためには、相関関係を図にして可視化したほうが理解しやすい」「課題設定には、どのフレームワークを使えば、簡単に本質をつかめるか」などがあります。

③課題

課題に関して認知している知識のこと。「イベントを企画するより、裏方で作業をしているほうが現場の臨場感を味わえる」「複雑なプロセスを習得するには、単純作業を覚えるのに比べて時間が倍必要だ」などがあります。

メタ認知的技能

メタ認知能力を生かして、「不得意を得意にする」「より良い選択をする」といった能力です。メタ認知的技能には、「モニタリング」「コントロール」があります。

  1. モニタリング
  2. コントロール

①モニタリング

今の自分を観察して、状況や知識の有無を確認すること。具体的には、「今自分はどのような状況に置かれているのか」「課題は何か」「課題に対応する知識はあるか」などです。

②コントロール

モニタリングで得た情報をベースとして、対応のための目標を設定し、目標に向けて実行すること。たとえばストレスのもとが相手の話し方であった場合、話の内容に集中するよう自分自身をコントロールしてストレスを軽減させることです。

メタ認知の段階

メタ認知の段階は5段階あります。その概要は以下のとおりです。

  • 1段階目は、知らないからできないといった無意識的無能の状態
  • 2段階目は、知っている、分かっているけれどできない意識的無能の状態
  • 3段階目は、習慣化はされていないが、頑張ればできる意識的有能の状態
  • 4段階目は、意識しなくてもあたりまえにできる無意識的有能の状態
  • 5段階目は、あたりまえにできる状態を他人に指導できる、無意識的有能で意識的有能の状態

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3.メタ認知能力が仕事で活用できる理由

メタ認知能力は仕事で活用できます。その理由を5つ解説しましょう。

  1. コミュニケーション能力が向上する
  2. 問題解決力が向上する
  3. 客観的な思考が身につく
  4. 自分の強みがわかる
  5. 新たな創造につながる

①コミュニケーション能力が向上する

従業員のメタ認知能力が向上すれば、「自分の意見と、自分の意見を表現したものとのギャップ」「自分が表現したものと、それを周囲の人が理解したものとのギャップ」に気づけます。

ギャップを埋めれば組織内での認識のズレも解消され、コミュニケーションがスムーズになります。

メタコミュニケーションも可能

メタコミュニケーションとは、今、まさにこの時点で起こっているコミュニケーションについて、客観的なコミュニケーションを交わすこと。

「会話の中で相手との距離感や違和感を覚えたとき」「話が意図しない思わぬ方向に進んで困ったとき」「会議が盛り上がらないときうまくいっていないと感じたとき」などに活用します。

②問題解決力が向上する

メタ認知能力があれば、「本質を捉えた現状分析」「課題の早期発見」「早期の問題解決」が可能になります。そうなれば、大小さまざまなトラブルも早期に決着するでしょう。問題への対応力や解決力の向上は、企業力のアップにもつながります。

③客観的な思考が身につく

メタ認知能力があれば、課題に対して論理的な思考が働きます。「Aの原因はB」「Bの原因はC」「Cの原因はD」といったように、問題をかみ砕き、問題の関係性を整理できるのです。その繰り返しで客観的な思考が身につきます。

④自分の強みがわかる

メタ認知能力を発揮すれば、「自分自身と他人について客観的な分析」「自分と他社の違い」「自分にしかない能力」などを明確にできます。自分自身が持っている強みにも気がつければ、それをいかした効率的な仕事ができるでしょう。

⑤新たな創造につながる

現代、予測不可能なVUCAの時代です。誰も経験していないことに対して答えを見つけ出すためには、慣習や慣例などにとらわれない新しい発想が必要です。メタ認知能力を生かせば、既成概念を超えた新たな価値創造を実現できます。

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4.メタ認知能力が引き起こす認知バイアス

メタ認知能力が引き起こす認知バイアスで有名なのは、「できないにもかかわらず、できると思い込む」ダニングクルーガー効果です。ダニンググクルーガー効果では、能力が低い人ほど自己評価が高くなるとわかっています。

ここではメタ認知能力が引き起こす3つの認知バイアスを、取り上げます。

  1. 過大評価
  2. 他責思考
  3. ヒューマンエラー

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①過大評価

自分自身を実際より良く評価すること。これはメタ認知能力が低い人ほど、自己評価が高くなってしまう認知バイアスです。

ダニングとクルーガーが実施した、「成績の良い人ほど、自分の順位を低く見積もる」「成績が悪い人ほど、自分の順位を高く見積もる」という実験結果からもわかります。

②他責思考

問題発生時に問題を解決できない自分の能力の低さを棚に上げて、「未解決状態」「難航状態」を他人の能力不足のせいにする認知バイアスです。他責思考があると、問題が解決できなかったり遅れたりします。

③ヒューマンエラー

目標から意図せずに逸脱した期待しないミスのこと。ヒューマンエラーは、経済的損失や社会的信頼度を失うことにもなりかねない、企業活動の大きなリスクです。たとえば、医療ミスや個人情報の漏えい、労災事故などは、大きな損失を与えます。

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5.メタ認知能力を鍛える方法

メタ認知能力を鍛える方法5つについて、それぞれポイントをかんたんに解説します。

  1. セルフモニタリング
  2. マインドフルネス
  3. ジャーナリング
  4. フィードバック
  5. コーチング

①セルフモニタリング

セルフモニタリングの流れは、以下のとおりです。

  • 身の回りのトラブルを思いつくまま書き出す
  • 優先順位を決め、迅速対応するトラブルを決定する
  • 選択したトラブルの発生した原因を考える
  • 原因をもとにして解決策を検討する
  • 解決策を実行する

②マインドフルネス

不要なストレスから自分自身を解放すること。「今まさにある状態に意識を向ける」「善悪や好き嫌いなどの判断をせず、現状をありのまま受け入れる」のです。下記のようなステップで行います。

  • 椅子や床に背筋を伸ばして座る
  • 楽な姿勢で自然な呼吸をする
  • 呼吸に意識を集中させる

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③ジャーナリング

自分の今の気持ちをひたすら書き出すこと。自身が置かれている状況を視覚的に認識すると、現状を客観化できるのです。「書く瞑想」ともいわれ、自分の感情を俯瞰し、メタ認知ができます。下記のような効果が期待できるのです。

  • 気分をスッキリ整理させる
  • イライラをしずめる
  • ネガティブな感情を開放する

④フィードバック

自分自身の軌跡を振り返ること。自分らしくいられる場所や自分の好きな空間などで自分の振り返りを行います。

また会社の同僚や部下など、周囲の人に自分に関するフィードバックを求めるのもよいでしょう。メタ認知能力が鍛えられるうえ、人間関係も円滑になり、仕事にもプラスに働くはずです。

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⑤コーチング

コーチの視点からさまざまなことを教えること。自分が置かれている現状を、異なる角度から視点を変えて考えるきっかけを得られるでしょう。

これにより、自分の感情や意見にとらわれず自身を俯瞰的に考察できるため、メタ認知能力を高められます。「問題と感じていたことが自分の思い込みだった」など、新たな発見ができるでしょう。

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