非認知能力とは? 高い人の特徴、伸ばし方、具体例を簡単に

非認知能力とは、協調性や計画性、コミュニケーション能力といった数値で測りにくい能力のことです。近年、関心が高まっている非認知能力について説明します。

1.非認知能力とは?

非認知能力とは、積極性や粘り強さ、リーダーシップやモチベーションの高さといった数値では図りにくい能力のこと。社会情緒的スキルともいわれ、社会人にとっての「世渡り力」に通じるものです。個人の人生に大きく影響し、将来の成功につながる能力であるとされ、昨今は非認知能力を高める教育への関心が高まっています。

そもそも認知能力とは?

認知能力とは、学力テストや知能テストで測定し、指標化して「認知」できる能力のこと。教育を受けると「認知能力と学歴が高くなり、収入も上がる」と考えられがちで、認知能力を高めるほうに関心が向きやすくなっています。

しかし幼児期に非認知能力が高まる教育を受けると、のちの人生の幸せにつながると指摘されているのです。

非認知能力は学歴や年収に影響する

非認知能力が高いと、成長するにつれて学力や進学率、就職率や年収、マイホーム購入率などが高まるとされています。そのため幼少期の非認知能力を高める教育の必要性が、注目されているのです。

ペリー就学前プロジェクト

ペリー就学前プロジェクトとは、シカゴ大学教授のジェームズ・ヘックマンが行ったもので、非認知能力が注目されるきっかけになりました。経済的に恵まれない家庭の3〜4歳の児童を対象に「就学前に質の高い教育を受けさせる」というものです。

約40年にわたり追跡調査をした結果質の高い教育を受けた子供たちのほうが、収入や持ち家率、学歴が高く逮捕率も低いとわかりました。

モンテッソーリ教育

モンテッソーリ教育とは、医師で教育家であったマリア・モンテッソーリが考案した教育法で、非認知能力を伸ばすのに有効だといわれています。

「子供には自分を育てる力が備わっている」とし、子どもの自己教育力を前提とした教育法です。現在、世界の140カ国以上に、モンテッソーリ教育を実践している施設があるといわれています。

非認知能力は、協調性や忍耐力など、学力とは異なる能力のことです。この能力が高いと、将来の成功につながるといわれています

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2.非認知能力の一例と高い人の特徴

非認知能力は、感情や心の動きといったもので、学力やIQとは異なり数値で評価できません。ここでは下記4つについて例を見ていきます。

  1. 意欲
  2. 協調性
  3. 自制心とやり抜く力
  4. 自己肯定感

①意欲

意欲を持って取り組んだり、好きなものに夢中になる力で、自分の希望を叶えるため、努力や調整を身につけていきます。夢中になるあまり、周囲がびっくりするほどの集中力を発揮する場合もあるでしょう。それは大人になっても役立ちます。

②協調性

性格や意見などが違う人同士、お互いにゆずりあいながら、調和を保とうとする力です。子供のころに伸ばしておきたい非認知能力といえます。

子供でも幼稚園や保育園、習い事の教室では、先生の指示に従う、友達と譲り合って仲良くする必要があるでしょう。周囲とうまくやっていくのは、どんな状況でも重要です。

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③自制心とやり抜く力

自制心とやり抜く力も重要な非認知能力です。自制心とは、目先の誘惑に負けず、我慢をする力のこと。感情を抑え、耐える力がある人はどんなときでも良い判断ができます。

またあきらめず一貫性を持ったやり抜く力がある人は、大人であれば周囲に信用されて、良い成果を生み出せるでしょう。

④自己肯定感

ありのままの自分を受け入れ、自己主張していく能力です。どんな内容でも自信を持って前向きに取り組める「自己肯定感」を幼少期に養うのは大切でしょう。

2013年の調査で、日本の若者の「自分に満足しているかどうか」という自己肯定感は世界の中で最下位です。日本では控えめに主張するのが美徳とされているためかもしれません。

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非認知能力の例として挙げられるのは、「意欲」「協調性」「自制心とやり抜く力」」「自己肯定感」です

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3.ビジネスパーソン(大人)にとっての非認知能力

これまで子供時代の非認知能力について見てきました。では成人したのち、ビジネスパーソンにとって、非認知能力はどうかかわってくるのでしょうか。

非認知能力とキャリア教育

子供の頃に備わった非認知能力は、大人になるとさまざまな場面で発揮されます。キャリア教育でも非認知能力にかかわるものとして、

  • 人間関係を形成する力
  • 自己理解、自己管理能力などの「基礎的・汎用的能力」

が重要視されているのです。自分がどのような力をつけ、どのような人になりたいか具体的に描くことが重要視されています。

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非認知能力と社会人基礎力との関係

ビジネスパーソンが非認知能力を考える際にポイントとなるのが「社会人基礎力」。社会人として活躍するうえで不可欠であり、3つの能力(12の能力要素)からなります。若い時だけでなく、年齢を重ねながらも鍛え続ける必要があるでしょう。

社会人基礎力とは

社会人基礎力は、経済産業省によって2006年に提唱されました。「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」とされており、人生100年時代といわれるにあたり、ますます重要なものになっています。

前に踏み出す力や考え抜く力、チームで働く力から構成され、それぞれに含まれる計12の能力要素があるのです。そんな社会人基礎力を3つ見てみましょう。

  1. 前に踏み出す力(アクション)
  2. 考え抜く力(シンキング)
  3. チームで働く力(チームワーク)

社会人基礎力とは? 3つの能力・12の要素とその鍛え方を簡単に
社会人基礎力とは、さまざまな人と仕事をしていくうえで必要とされる基礎的能力のことです。 ここでは社会人基礎力の3つの能力や鍛え方について説明します。 1.社会人基礎力とは? 社会人基礎力とは、社会人...

①前に踏み出す力(アクション)

「前に踏み出す力(アクション)」とは、一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力のこと。ここに含まれるのは、下記の3つです。

  • 主体性:物事に進んで取り組む力
  • 働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
  • 実行力:目的を設定し確実に行動する力

失敗を恐れず、他人と協力しながら取り組める能力が必要となります。

②考え抜く力(シンキング)

「考え抜く力(シンキング)」とは、疑問を持ち、考え抜く力のこと。ここに含まれるのは、下記の3つです。

  • 課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
  • 創造力:新しい価値を生み出す力
  • 計画力:問題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力

問題意識を持ち、課題を見つけ解決方法やプロセスをよく考えられる能力が必要となります。

③チームで働く力(チームワーク)

「チームで働く力(チームワーク)」とは、多様な人々とともに、目標に向けて協力する力のこと。ここに含まれるのは、下記の6つです。

  • 発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
  • 傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
  • 柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
  • 情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
  • 規律性:社会のルールや人との約束を守る力
  • ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力

チームワークとは? 大切さ、大切なこと、高める方法を簡単に
組織活動において、チームワークは欠かせない要素です。複数人で構成される部署やプロジェクトチームでは、独創的な個人プレーだけが先行してしまうと組織としての方向性を見失ってしまうこともあります。 チーム...

非認知能力は社会人基礎力の一つ

社会人基礎力は、ビジネスパーソンが職場や地域社会でさまざまな人々とかかわっていくために必要な力です。同時に周囲の人に「また一緒に仕事がしたい」と思わせる能力といえます。

そしてここには、多くの非認知能力が含まれているのです。非認知能力は、若いときだけでなく、年齢を重ねながらも習得し続ける必要があるでしょう。

ビジネスパーソンに必要とされる「社会人基礎力」には、非認知能力と重なるものがあります。年齢を重ねても磨き続けるとよいでしょう

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4.ビジネスパーソンが非認知能力を伸ばすには?

ビジネスパーソンにとって、非認知能力の高さは大切なポイントです。子ども時代だけでなく、大人になっても常に能力を高めていく必要があります。慌ただしい毎日のなか、非認知能力を鍛えていくにはどうしたらよいか、その方法を見ていきましょう。

非認知能力は大人になってからも鍛えられる

非認知能力を伸ばすためには、6歳までの教育が重要といわれています。しかし大人になってからでも非認知能力を伸ばせます。子どもより成長速度は落ちてしまいますが、非認知能力を習得し続けるのは可能なのです。

「大人になってしまったから無理」と諦めず、「今からでもできる」と前向きに取り組んでみましょう。

ビジネスパーソンが非認知能力を鍛える方法

ビジネスパーソンが非認知能力を伸ばしていくためには、どんな方法がよいでしょうか。下記の点から見ていきましょう。

  1. 趣味の延長により計画・記録・達成度を管理し、自制心を鍛える
  2. 仕事以外の話題でコミュニケーション能力を高める

①趣味の延長により計画・記録・達成度を管理し、自制心を鍛える

心理学の分野では、自制心を高めるために有効なのは「計画・記録・達成度の管理」「繰り返し継続的に行う」などとされています。

ウォーキングを例にすると、

  • ウォーキングを始めようと「計画」
  • 実際行い、歩数や時間を「記録」
  • スピードや歩数の目標を決め「達成度を管理」

これを繰り返し行うと、自制心が鍛えられます。

②仕事以外の話題でコミュニケーション能力を高める

周囲と協調しながら行うビジネスは、より円滑に進みます。そのためにも、下記を心掛けましょう。

  • 職場の同僚と仕事以外の会話をして親しくなる
  • 業務本来の目的を共有し、衝突を防ぐ

個人としてのコミュニケーション能力も伸び、ビジネスも成功しやすくなるといった効果があります。

企業が非認知能力の高い人物を採用するべき理由

これまでの採用では、学歴や学力などが重視されていました。しかし人生100年時代と呼ばれる現在、高い非認知能力を持つ人材が必要となっています。何歳になっても積極的に学ぼうという意欲のある人が求められているのです。

中高年になっても怠惰な気持ちを持たないため、若い頃から学習する習慣を身につけるとよいでしょう。

ビジネスパーソンも非認知能力を伸ばせます。人生100年時代、何歳になっても学び続けようという意欲が必要です

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5.AI時代における非認知能力の重要性

人間の仕事では多くを、AI(人工知能)が代わりに行うようになりました。労働人口の49%の就いている仕事が、AIに代替可能だといわれています。そこで今後は、AIがカバーできない非認知能力の重要性が増してくるでしょう。

AI時代が到来すると人間の仕事の49パーセントがなくなる

AIによりなくなるとされる仕事の特徴は、下記のとおりです。

  • システム化できる単純作業
  • スピードや正確さが求められる作業
  • 情報量が多い作業

たとえば「受付や取次」「電話オペレーター」「データ入力・管理」「事務や経理」です。これらの仕事は「ロボットの導入」「受付にタブレット端末を置く」「コールセンターは自動音声にする」といった方法に変えられています。

非認知能力はAIにはできない創造的な仕事をするのに必要

しかし人間とAIは共存できるとされています。「AIが代替できない・非認知能力を生かした仕事は人間が行う」というものです。

「さまざまな情報やアイデアを合成する」「創造力を発揮して、物事を成し遂げたり変えたりする」といった作業は今後も人間の力が必要となるでしょう。非認知能力の習得と成長が求められているのです。

AI時代でも非認知能力による仕事は、人間しか行えません。柔軟に考え、問題解決する力など、非認知能力の重要性が高まっているのです