協調性とは? 協調性がある人の特徴、探る方法、育成方法など

日常からビジネスまでさまざまな場面で見聞きする協調性とは、一体なんでしょうか。ここでは、協調性について理由や特徴などから解説します。

1.協調性とは?

協調性とは自分と異なる立場、違う意見や考え方を持つ人たちと協力しながら、同じ目標の達成に向けて行動できる能力のこと。協調性のある人は周囲の意見を鋭く察知できるため、利害や立場の異なる人とも協力して何かを遂行できます。

協調性と混同されがちな言葉に、イエスマンがあります。イエスマンとはその名のとおり、自分の考えを捨てて多数派の意見にイエスで従う人のこと。対する協調性は、周囲の意見に合わせながらも自分の意見をしっかりと持っている能力のことです。

「自分の考えをはっきりと持っているか」「自分の意見がないのか」といった点に大きな違いがあります。

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2.企業が求める協調性

求める人材に「協調性のある人」と挙げる企業も多く存在します。ビジネスシーンで求められる協調性は、次の2つに分かれます。

  1. 他者への協力やサポートを通じて全体の生産性を上げる能力(チームを組んでプロジェクトを進める場合、生産性を高めるには互いの長所を理解したうえで短所を補う必要がある)
  2. 個人よりも組織を優先して物事を考えられる能力(個人の考えや利益を優先して組織の進むべき方向から外れてしまう性格ではないかを見る)

働く側が考える協調性

協調性と聞くと、働く側は「ほかの人と同調できるコミュニケーション能力」と考えがちでしょう。しかし企業の求める協調性には、社員同士の調和だけでなく、「課題解決に向けた協力体制と意見交換」も含まれるのです。

働く側が協調性について考える際は、「同調するだけのコミュニケーション」「会社の望む結果とかけ離れた慣れ合い」にならないよう注意しましょう。

企業が求める「協調性」とは、利害や立場の異なる人とも協力しながら既存フローに疑問を抱き、より効率のよい方法に変えられる性格のことです

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3.仕事に協調性が必要な理由

協調性は業界や職種、会社を問わずあらゆる仕事に役立ちます。しかしなぜ仕事に協調性が必要なのでしょう。ここでは仕事に協調性が必要な理由を、3つの視点から説明します。

  1. 人事評価
  2. リーダー育成
  3. チームにおける役割の明確化

①人事評価

仕事に協調性が求められる理由のひとつとして「人事評価」が挙げられます。人事評価には、

  • 能力考課
  • 業績考課
  • 情意考課

と呼ばれる3つの評価軸があり、協調性が影響するのは目標達成のための行動や姿勢を評価する「情意考課」です。

情意考課を行う際、被評価者がただ行動を起こすかどうかだけでなく、周囲と歩調を合わせて仕事に向き合っているかという「協調性」を見ます。

②リーダー育成

組織を率いるリーダーに必要な要素は、専門性や経験などの「知識」、モチベーションやメンタリティーに代表される「意識」、そしてマネジメントに必要な「行動」の3つです。

協調性はこのうちの「行動」に作用する要素。リーダー育成には、チームのバランスを保ちながら、仲間たちによい影響を与える「協調性」が必要なのです。

③チームにおける役割の明確化

生産性の高いチームをつくるには、目標を設定したうえで各々の役割を明確にする必要があります。各社員の役割が不明確なままでは、役割交渉や縄張り維持にエネルギーを消費してしまうため、本来の目的であるチーム目標を達成できません。

効率的に目標を達成する鍵は、「協調性をもって役割を明確化し、何が期待されているのかを伝える」です。

「人事評価」「リーダーの育成」「効率的な目標達成に向けた役割の明確化」において、協調性は欠かせない要素といえます

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4.協調性がある人の特徴

「周囲と調和できる能力」「利害や立場が異なる集団の中で協力や助け合いができる能力」ともいわれる協調性。しかしどのような特性をもって「協調性がある」と判断するのでしょう。ここでは協調性がある人の特徴について、4つの角度から説明します。

  1. 洞察力がある
  2. 進んで人の手伝いをする
  3. 本音を言わない
  4. 受動的である

①洞察力がある

協調性のある人には、得てして「人間を洞察する力」があります。初めて訪れた客先や新たな現場でも、瞬時にその場の人間関係を見抜く能力です。

こうした能力を持つ人材は、「決定権を持っているのは誰か」「誰に対してどのような対応をすればスムーズに仕事が進むか」を一瞬で判断できます。

協調性のある人が「いつどんな場所に行ってもすぐその環境に馴染める」といわれるのは、「洞察力」があるからです。

②進んで人の手伝いをする

各業務で困っている人を手伝うのは、珍しくありません。しかし協調性がある人は、先に挙げた「洞察力」によって周囲をよく見ています。よって「あの人はこの場面に対峙したときに困る」と事態を先読みしてフォローできるのです。

また協調性のある人は、「困っていないように見えて実は困っていた」「他人に手伝ってもらうのが申し訳ないと思っている」人たちに対しても自然な流れで接していけます。

③本音を言わない

適度に本音を伝えて周囲に心を開けば、距離感を縮められるでしょう。しかし一方、本音を表に出し過ぎると組織全体としてのバランスを崩す恐れもあるのです。

協調性のある人は、組織全体としての雰囲気を大切にするもの。結果、「自己主張が少ない」「本音を言わない」「目立たない」人物、と評される場合があるのです。

④受動的である

「受動的」「受け身なタイプ」という表現は一般的にマイナスの印象が強いでしょう。しかし裏を返せば「人の話をきちんと聴ける=周囲と同調する力がある」証でもあるのです。

事を荒立てたくないといえば消極的な表現になってしまいます。周囲の意見を聞いてチームとして共通の利益を目指せる、と言い換えれば、それは「受け身タイプ」ではなく「協調性」になるのです。

「全体を把握している」「不満を言わない」「相手を否定せずに共感できる」なども特徴として挙げられます

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5.協調性がない人の特徴

反対に協調性がない人は、どのような特徴を持っているのでしょうか。ここでは以下4つの視点から、協調性がない人の特徴について説明します。

  1. 自分の意見を押し通す
  2. 相手の立場に立てない
  3. 融通がきかない
  4. 話を聴くのが不得意

①自分の意見を押し通す

異なる複数意見から1つに決めなければならないとき、周囲の意見や希望に耳を傾けず「どうしてもこれがよい」と自分の意見を押し通すシーンは容易に想像できるでしょう。

立場や価値観の異なる複数の人間がうまくやっていくためには、それぞれの意見を聞きながら調整する必要があります。しかし協調性がない人にはそれができず、自分の意見を一方的に押し付けてしまいがちなのです。

②相手の立場に立てない

協調性のない人は、相手の立場に立って考えられません。優先するのはいつでも自分の気持ち。

「相手の意見を聴かない結果、相手が嫌な気持ちになる」状況を想像できないのです。他者とのコミュニケーションを重視していないからこそできる行動、ともいえるでしょう。

「自分のやりたいことを実行している」といえば実直な印象になります。しかし言い換えれば「人の気持ちを考えられない」「協調性がない」と評されている状況でもあるのです。

③融通がきかない

融通がきかない人は、自分で決めた事柄がマイナスの状況に変化していても、その変化に合わせて変えられません。その結果、単純な問題がややこしい状態に発展する恐れも十分あります。

融通がきかないままだと、やがて周囲の変化に取り残され、いつまでも古い対応しかできない人物と評されてしまうでしょう。

④話を聴くのが不得意

協調性がない人は、自分から話すのは得意でも、反対に他人の意見を聴くのは苦手です。これは先に述べた「自分の意見を押し通す」「融通がきかない」という特徴にも関係しています。「他者の意見は聞いても無駄」という認識が無意識のうちに潜んでいるのです。

このような人物が上司になってしまうと、部下は仕事がしにくいと感じます。結果としてチームから協調性がなくなってしまうのです。

ほかにも「頑固で周囲への気遣いができない」「自分勝手で孤立している」なども協調性がない人の特徴として挙げられます

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6.協調性を高める人材育成の方法

協調性を高めるには、どうしたらよいのでしょう。ここでは協調性を高める人材育成の方法について説明します。

  1. チームビルディング研修を導入する
  2. チームワークが高まるゲームを行う

①チームビルディング研修を導入する

チームビルディングとは、組織内のチームワークを強化する方法のこと。組織をひとつのチームとして考え、社員一人ひとりの協調性やコミュニケーション能力、主体性の向上を図り、結果としてチーム全体の生産性を高めようとする取り組みです。

チームビルディング研修を通じて組織全体の生産性やモチベーションの向上を目指します。

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②チームワークが高まるゲームを行う

チームビルディングにおすすめな方法は、かんたんなワークショップやゲームの活用。ゲーム形式なら、楽しく取り組めるのはもちろん、冷静な判断力や論理的思考なども磨けます。

ペーパータワー

ペーパータワーとは、新聞紙や印刷紙などの紙を使ってより高いタワーをつくるゲームのこと。

ルールはシンプル。1チームにつき30枚程度の用紙を配布し、5~10分程度の決められた時間内にタワーを組み上げていくだけです。用紙は切ったり折ったりして構いません。しかし紙以外の道具は使えません。

ただ和気あいあいと盛り上がるゲームのように思えますが、このゲームには「チームビルディング」の考え方が基本になっています。

経営シミュレーションとしての要素も含んでおり「発想力が育つ」「冷静さや粘り強さが磨かれる」「役割を分担する力が身に付く」といったメリットが存在するのです。

バースデーライン

バースデーラインとは、制限時間内に誕生日順で並ぶゲーム。各チームに分かれ、1月1日を先頭に誕生日の早い順から並んでいきます。しかしプレイ中、会話や筆談ができません。相手に情報を伝える手段は非言語的な身振り手振りのみです。

このゲームによって「情報共有のミスを起こさないためのコミュニケーション能力」「情報を言葉で伝えることの大切さ」「相手が理解したかを確認する重要性」などのコミュニケーションスキルが磨けます。

このほか、キャンプやアスレチック、ドミノや人狼ゲームなどがあるのです。自分に合った方法を探してみましょう

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7.人事担当が面接で相手の協調性を探るには?

企業が「協調性のある人材を採用したい」と考えるのは当然のこと。新規人材採用や期末面談などで、人事担当者は相手の協調性を探らなければなりません。相手の協調性を探るには、どのような手段を講じればよいのでしょうか。

質問しながら掘り下げる

数度の面接で相手の協調性を見極めるのは非常に困難といわれています。そこで意識したいのが、いくつかの質問をしながら関係性を掘り下げ、協調性を探ること。協調性の見極めには、次のような質問が効果的です。

  • 協調性についてどう考えているか
  • なぜそう考えるのか(相手の価値観を深掘りする)
  • 考えるに至った具体的なエピソードを聞く(発言の整合性や実績を探る)
  • 相手が考える協調性について整理し、本人の理解度を確認する
  • 協調性を発揮できたと感じたときについて、周囲の反応を聴く

チームワークに関する質問をする

「協調性」というキーワードを「チームワーク」と置き換えて質問するのも効果的です。「協調性の低さ」をよいと考える人はほとんどいません。人物特性を確認する際の質問として、以下のような質問を取り込んでみましょう。

  • チームワークは得意ですか? チームワークに関するエピソードがあれば教えてください
  • あなたが考えるチームワークとは何ですか?
  • チームで活動する際に意識していることがあれば教えてください

グループ面談

複数の人物が一堂に会する「グループ面談」も効果的です。

自分の意見を主張するだけでなく他の人の意見を認めるような発言が入れば「人事担当は周囲へアンテナを貼れる人材だ」「周囲への配慮ができる人だ」と判断します。グループ面談に臨む際はリーダー役を買って出て、担当者に印象を残すとよいでしょう。

どんなに優秀な社員がいても、一人でできることは限られます。会社全体としての生産性を高め、個人一人ひとりのパフォーマンスを最大限発揮するためには、協調性が欠かせないのです