ハラスメントとは? 主な種類と発生を未然に防ぐ方法、発生しやすい原因について

ハラスメントとは、本人の意図とは無関係に相手を不快にさせることです。ここでは、さまざまなハラスメントについて解説します。

目次

1.ハラスメントの種類について

ハラスメントは、1997年の男女雇用機会均等法改正によって設けられた規定です。最初にセクシャルハラスメントという言葉の定義付けが行われてから現在までの間、30以上のハラスメントに関する定義が誕生しました。

ハラスメントとは?

ハラスメントとは、言葉や行動などを発した本人の意図に関係なく、「相手を不快にさせる」「尊厳を傷つける」「不利益を与える」「脅威を与える」ことを意味する言葉です。ハラスメントを行う本人の意識の有無は関係ありません。

本人にハラスメントの自覚がなくても相手がハラスメントだと思った場合、その言動がハラスメントに該当する可能性が高い点に注意しなければなりません。

ハラスメントとは、言葉や行動など、それを発した本人の意図に関係なく相手を不快にしたり傷つけたりすることです

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2.こんなにあった!?代表的なハラスメントの種類と定義を紹介

ハラスメントには、さまざまな種類があります。ここでは、計16種類のハラスメントの定義について解説します。

  1. パワーハラスメント
  2. リストラハラスメント
  3. モラルハラスメント
  4. セクシャルハラスメント
  5. マタニティハラスメント
  6. ジェンダーハラスメント
  7. ラブハラスメント
  8. エイジハラスメント
  9. ソーシャルハラスメント
  10. パーソナルハラスメント
  11. スメルハラスメント
  12. スモークハラスメント
  13. アルコールハラスメント
  14. カラオケハラスメント
  15. テクノロジーハラスメント
  16. 終われハラスメント

①パワーハラスメント

パワーハラスメントとは、職場内での優位性や立場を利用し、部下などの労働者に対して業務の適正範囲を超え、叱責・嫌がらせを行うハラスメントのこと。

パワーハラスメントの多くは、上司と部下の関係における指導という名目で起こります。そのため「判断が難しいという実情」「両者の関係修復が難しい」といった特徴があるのです。

②リストラハラスメント

リストラハラスメントとは、リストラの対象者である労働者に対し、嫌がらせや不当な配置転換などの行為にて、リストラ対象者である労働者を自主退職に追い込むハラスメントのこと。

リストラハラスメントは、「違法に退職を強要する行為」「嫌がらせ行為」と見なされれば、損害賠償請求の対象になる場合もあります。

③モラルハラスメント

モラルハラスメントとは、モラルによる嫌がらせや精神的な暴力のこと。フランスの精神科医であるマリー=フランス・イルゴイエンヌが提唱しました。

いわゆるいじめに近い概念です。職場で話しかけられても無視する行為は、モラルハラスメントの代表的な事例といえます。

④セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントとは、相手の意に反した性的言動により、「労働条件に関して不利益を被る」「就業環境が妨げられる」「不快感を与えられる」といったハラスメントです。

セクシャルハラスメントは、たとえその行為が1度であっても、ハラスメントと認定されます。セクシャルハラスメントのターゲットの多くは、新入社員・非正規雇用者など、比較的弱い立場にある人です。

⑤マタニティハラスメント

マタニティハラスメントとは、妊娠・出産・子育てなどをきっかけに、「不利益な就業環境を強いられる」「嫌がらせを受ける」「不利益な扱いを受ける」「各種制度を利用しないよう強いられる」といった行為を受けるハラスメントです。

マタニティハラスメントは法律で禁止されており、会社にはマタニティハラスメント防止措置が義務付けられています。

⑥ジェンダーハラスメント

ジェンダーハラスメントとは、性別によって異なった社会的役割があるといった固定的概念に基づいた、差別・嫌がらせのこと。

男女問わずすべての人が被害者になる可能性があるもので、なかでも女性の就業意欲や心身の健康に大きな影響を及ぼすと考えられています。

⑦ラブハラスメント

ラブハラスメントとは、本人は嫌がっているにもかかわらず、恋愛や性に関する話題にて相手に不快な思いをさせてしまうハラスメントのこと。

特徴は、言った本人に悪気はなく、よかれと思って余計な話をする点です。被害者は比較的若い世代で、酒の席での会話によるものが目立ちます。

⑧エイジハラスメント

エイジハラスメントとは、相手の年齢について、差別的な発言や行動を取るハラスメントのこと。

「年齢による能力低下を侮辱する」「年齢を理由に組織の人間関係から疎外する」「理由がないにも関わらず、年齢制限を設けて求人を行う」などさまざまなケースがあります。

⑨ソーシャルハラスメント

ソーシャルハラスメントとは、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの中における嫌がらせのこと。多くは、職場における上下関係をもとに行われます。

たとえば「SNSの友達登録を強要する」「自分の投稿に対するコメントを強要する」「投稿を逐一チェックしたり、逐一コメントしたりする」などで。

⑩パーソナルハラスメント

パーソナルハラスメントとは、外見や趣味といった個人的な部分を個性と認めず、逆にそれを標的として、「相手を否定する」「相手に文句を言う」「相手に嫌がらせをする」「相手を精神的に追い込む」などの行為をするハラスメントです。

職場だけでなく、家庭や学校といった場所でも問題となっています。

⑪スメルハラスメント

スメルハラスメントとは、においによって周囲の人に不快感を与えるハラスメントのこと。においの原因はさまざまで、たとえば個人の食生活や病状、衛生状態などが起因になっているものもあります。

またにおいの強い香水や柔軟剤なども、周囲の人に不快感を与える場合、スメルハラスメントに該当します。

⑫スモークハラスメント

スモークハラスメントとは、たばこの煙や喫煙に関する嫌がらせのこと。たとえば「職場などで自己の意思に反し、喫煙者が非喫煙者へ喫煙の強制をする」「非喫煙者が、嫌がっているにもかかわらず受動喫煙の害にさらされる」などです。

受動喫煙は健康被害にもつながるため、非喫煙者が会社を訴えるケースも発生しています。

⑬アルコールハラスメント

アルコールハラスメントとは、アルコール飲料によって起こる対人関係の問題や社会的迷惑行為のこと。たとえば「アルコール飲料の摂取を強要する」「酩酊状態に陥った飲酒者が、さまざまな迷惑行為を行う」などです。

日本では、1980年代に起きたアルコールハラスメントによる死をきっかけに、問題が表面化しました。

⑭カラオケハラスメント

カラオケハラスメントとは、「カラオケを苦手とする社員に歌うことを無理強いする」「カラオケで歌う歌を強制する」といったハラスメントのこと。背景にあるのは、職場での上下関係や取引先などの優位性などです。

⑮テクノロジーハラスメント

テクノロジーハラスメントとは、パソコンやスマートフィンなど、IT機器の操作に関するハラスメントのこと。たとえば「IT機器の操作に不慣れな人に対し、操作スキルの不足を理由にして嫌がらせをする」などです。

ITテクノロジーの急速な発展に伴い、テクノロジーハラスメントは現代社会で大きな問題となっています。

⑯終われハラスメント

終われハラスメントとは、学生に対して企業が就職活動の終了を強要するハラスメントのこと。「終われ」は、「就職活動を終わらせろ」と強要する言葉を意味します。

たとえば「自社に就職するよう過度なプレッシャーをかける」「無理に就職するように誘導する」などです。

ハラスメントには、さまざまな種類があります。どのようなシーンがハラスメントに該当するのか、正しく理解しておきましょう

3.ハラスメント対策で企業が回避できるリスクとは?

ハラスメント対策で企業が回避できるリスクは、3つです。ここではそれぞれについて、解説します。

  1. ハラスメント被害者からの民事訴訟や損害賠償請求
  2. 離職率の増加
  3. 社員の生産性低下

①ハラスメント被害者からの民事訴訟や損害賠償請求

ハラスメントに対する対策を講じない場合、被害者から高額な賠償金・和解金の支払いを求められたり、ハラスメントに無策であった点から企業イメージがダウンしたりする可能性は高いです。

②離職率の増加

求人サイトなどが行う調査で転職理由の上位によくランキングされる「人間関係」。

「キャリアアップを理由に退職したが、実はハラスメントに悩んでいた」「ハラスメントに悩んでいたら、うつ病から休職へと深刻化した」といったケースもある点から、ハラスメントが離職率と密接な関係にあると分かります。

③社員の生産性低下

企業でハラスメントが発生すると、「ハラスメントによる不適切な言動が職場に横行する」「職場全体のモラルが低下する」「モラル低下と共に社員のモチベーションが低下する」「生産性の低下につながる」といった、悪循環が生まれかねません。

企業はハラスメントに伴うリスク回避のためにも、職場で起きるハラスメントに対して対策を講じておきましょう

4.ハラスメントの対策と発生時の対処方法

ハラスメントの対策と発生時の対処方法についても、知っておきましょう。

  1. ハラスメント予防の取り組み
  2. 職場内でハラスメントが起こった場合の対処方法

①ハラスメント予防の取り組み

ハラスメント予防の取り組みについては、

  • 2014年の男女雇用機会均等法の改正で、セクシャルハラスメントについて予防と事後対応の徹底が盛り込まれる
  • 2019年の改正労働施策総合推進法成立で、企業に対しパワーハラスメントについての防止策が義務付けられる

といった歴史があります。企業はコンプライアンスとして、ハラスメント予防への取り組みを推進していかなければなりません。

迅速な対応をするための社内体制づくり

迅速な対応をするための社内体制として一般的なのは、内部通報制度です。企業は、内部通報制度の手順に従い、適正に対処していきます。

また厚生労働省では、セクシャルハラスメントについて事業主が講じるべき措置や指針を定めているのです。

セクシャルハラスメントがあった場合、「事実関係を迅速かつ正確に確認する」「事実が確認できた場合、行為者と被害者に対する措置を適正に行う」「再発防止に向けた措置を講じる」と明記しています。

ハラスメント防止に関する方針の周知

ハラスメント防止に関する方針の周知とは、あらかじめ「ハラスメントの内容や、ハラスメントがあってはならない旨の方針」「行為者に対しては、厳正に対処する旨の方針と対処内容」を定め、それらを社員に対して周知させること。

企業には、ハラスメントへ迅速に対応する社内体制の構築が求められています。

②職場内でハラスメントが起こった場合の対処方法

職場内でハラスメントが起こった場合の対処方法は、3つです。さまざまな問題へ発展する前に、対処できるよう準備しておきましょう。

事実関係の確認

ハラスメントでは、当事者である加害者・被害者の発言が食い違う場面も多いです。「当事者に事実確認を行う」「情報漏えいを防ぐため、人選に気を付けながら第三者への聞き取りを行う」とよいでしょう。

被害者・加害者への適切な対応

「ハラスメント発生時、当事者双方のプライバシーを保護する」「ハラスメントへの相談を理由に被害者が不当な扱いを受けないよう、管理者や上司が対応する」といった対処を行います。

再発防止に向けた対策の考案

ハラスメントの根本的な解決に結び付けるため、「被害者や相談者がその後、快適な環境で就労できているか」「加害者が同様の問題を再び起こす恐れはないか」などに着目した再発防止策を考案します。

ハラスメントが起こったら、「事実関係の確認」「当事者への適切な対応」「再発防止策の考案」といった対策が不可欠です

5.ハラスメントが発生する原因には、2つの要因があった?

ハラスメントが発生する原因には、2つの要因があります。

  1. 労働環境や管理体制などの組織的な要因
  2. 性格や考え方などの個人的な要因

①労働環境や管理体制などの組織的な要因

「会社からの過度な期待」「ミスの許されない仕事」「人員不足」などストレスがある労働環境では、ハラスメントが発生します。

また「組織内で情報交換ができていない」「事業所と本部の意思疎通に問題がある」といった閉鎖的な管理体制も、ハラスメントの温床になります。

②性格や考え方などの個人的な要因

ハラスメントが発生するもうひとつの理由として挙げられるのは、性格や考え方、価値観などの個人的な要因です。

たとえば「社会的構造の変化」「職場の風土」「コミュニケーションの変化」といった要因になります。

ハラスメントが発生する要因は、「労働環境や管理体制などの組織的な要因」「性格や考え方などの個人的な要因」の2つです

6.【社員向け】ハラスメントの被害に遭った場合の対処法

社員がハラスメントの被害に遭った場合の対処法は、3つあります。

  1. 何をされたのか明確にする
  2. 組織内の相談窓口を利用する
  3. 外部組織の相談窓口を利用する

①何をされたのか明確にする

ハラスメントの内容を具体的に説明できるよう、「いつ・どこで・誰が・何を・何のためにしたか」をできるだけ詳細に、メモ・録音などで記録しておきます。

②組織内の相談窓口を利用する

一人で悩まず、まずは上司・人事部・社内相談窓口に相談します。その際企業には、「ハラスメントへの相談を理由に相談者が不利益を被らないようにする」「相談者のプライバシー保護に配慮する」などが求められるのです。

③外部組織の相談窓口を利用する

社内に相談できる人や窓口がない場合、外部組織の相談窓口を利用します。「全国の労働局」「各労働基準監督署」などには、総合労働相談コーナーがあり、無料でハラスメントに関する相談を受け付けているのです。

ハラスメントに遭った場合の対処法は、「何をされたのか明確にする」「組織内の相談窓口を利用する」「外部組織の相談窓口を利用する」の3つです