メンタルトレーニングとは? 種類と具体的な方法、効果を解説

メンタルトレーニングとは、心理学の理論に基づいて、自分の感情や行動、思考をコントロールする力を高めるトレーニングです。

本記事では、メンタルトレーニングの概要や必要性、メンタルの弱さがもたらすリスクなどについて解説します

メンタル要因による休職や離職を解決するためのメンタルトレーニングについて、詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

1.メンタルトレーニングとは?

メンタルトレーニングとは、心の状態を整え、精神的な強さや安定性を高めるための訓練方法です。

もともとは宇宙飛行士の訓練のために開発されたものですが、近年ではビジネスやスポーツ、日常生活においても、その重要性が認識されています。例えば、集中力の向上やストレス耐性の強化、自己肯定感の向上などが期待できます。

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2.メンタルトレーニングの必要性

ビジネスの現場では、メンタルの強さや安定性を身につける必要性が増しています。その理由を3つ紹介します。

  • メンタルヘルスによる離職を防止するため
  • 安定したパフォーマンスを発揮するため
  • 人間関係

メンタルヘルスによる離職を防止するため

近年、職場におけるメンタルヘルスの問題が深刻化しています。令和5年に実施された厚生労働省の調査によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休職した労働者や退職者がいた事業所の割合は、13.5%でした。

前々年度の同調査では8.8%、前年度では10.6%であり、上昇傾向にあります。

つまり、従業員の健康維持や休職率あるいは離職率の低下のために、メンタルトレーニングの必要性が高まっています。

出典:厚生労働省|令和5年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要令和4年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要令和3年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要

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安定したパフォーマンスを発揮するため

メンタルの安定性は、仕事でのパフォーマンスにも影響を与えます。メンタルトレーニングを通じて、目標設定や心理的・身体的回復力の向上、心理的コンディショニング、集中力の向上などのスキルが習得可能です。

メンタルが安定していると、ビジネスシーンにおける様々な状況に適切に対応でき、緊張を伴う場面や予期せぬトラブルに直面しても、安定したパフォーマンスを発揮できるでしょう。

人間関係

職場での強いストレスや悩みの要因の一つに、対人関係が挙げられます。働き方も多様化するなかで、異なる価値観や思考を持つ人々と協働する機会が増加しており、そのような環境下では、職場における人間関係の課題は避けて通れません。

メンタルトレーニングを通じて、自己理解や感情コントロールのスキルを身につけることで、同僚や上司とのコミュニケーションが円滑になります。ストレス耐性が高まると、対人関係のトラブルに対しても冷静に対処可能です。

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3.メンタルが弱くなる原因

人間は時に、メンタルが弱くなることがあります。その主な原因は以下の通りです。

  • 他人と比較してしまう
  • 周囲の評価を気にしすぎる
  • 気持ちの切り替えが苦手
  • 完璧主義である
  • 内向的である

他人と比較してしまう

他人と自分を比較しすぎることは、自己肯定感の低下や自己喪失につながります。例えば、同僚の昇進や友人の結婚など、周囲の出来事と自分の状況を比べるなどです。

とりわけ近年は、SNSの普及により、他人の華やかな生活や成功を目にする機会が増え、自分の人生と比べてしまう場合が多いでしょう。

周囲の評価を気にしすぎる

周囲からの評価を過度に気にする人は、常に不安と緊張の中で生活することになります。

自分の軸が明確でないため、常に周囲の反応を気にしてしまい、自らの言動や成果を他人の基準で判断しようとする傾向があります。自分の価値観や考え方を確立できていないと、周囲からの評価に依存してしまうことも少なくありません。

気持ちの切り替えが苦手

気持ちの切り替えが苦手な人は、ネガティブな感情や思考から抜け出すことが難しく、メンタルが弱くなる傾向があります。

例えば、仕事で失敗した後、その出来事を何度も思い返してしまい、次の仕事に集中できないといった状況が起こることも考えられるでしょう。

「自分は仕事ができない」という自己否定を断ち切れず、メンタルがさらに弱くなる悪循環に陥ります。

完璧主義である

完璧主義は、一見すると努力家で理想的な姿勢に思えますが、メンタルを弱くする要因の一つです。

完璧主義者は自分や周囲に対して、非常に高い基準を設定し、その達成に向けて努力します。適度な努力であれば、成長するために必要ですが、これが行き過ぎると、ストレスや自己否定感の増大につながり、メンタルヘルスが低下します。

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内向的である

内向的な性格自体は問題ではありません。しかし、自己表現の不足や他者との交流の少なさは、孤独感や不安を招く原因になります。

内向的な場合、対人関係に気を遣いすぎて、人が多い場所や長時間の会話などで疲れることも少なくありません。人知れず職場でのコミュニケーションに苦労を感じており、心身が疲弊する場合があります。

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4.メンタルの弱さがもたらすリスク

職場において従業員のメンタルが弱くなると、以下のリスクが生じる可能性があります。

  • モチベーションが下がる
  • 生産性が低下する
  • 離職者が増える

モチベーションが下がる

メンタルヘルスが不調になると、従業員の意欲が低下し、仕事に対する興味や関心が薄れ、業務への取り組む姿勢に影響を及ぼします。

一人の従業員のモチベーション低下が、周囲の従業員にも連鎖し、組織全体の士気が下がり、チームバランスの乱れなどを引き起こす可能性もあります。

生産性が低下する

メンタルヘルスの不調は、集中力や判断力の低下、ミスの増加などを引き起こし、結果として業務効率の著しい低下につながります。

さらに、チームメンバーの一人がメンタル不調により、任された業務をこなせない場合、他のメンバーの負担が増加し、チーム全体の生産性が低下する可能性もあります。

生産性の低下は、仕事への熱意や好奇心を削ぎ、アイデアの創出力や新たなことへのチャレンジ精神なども停滞させます。

離職者が増える

メンタルヘルスの問題が適切に対処されないと、従業員は職場に対する不満やストレスを抱え、最終的には離職するかもしれません

少子化が進む日本では、人員確保が難しく、企業に貢献できるパフォーマンスの高い人材を採用および育成することは簡単ではありません。

離職者の増加は、企業にとって人材の損失だけでなく、採用や育成にかかるコストの増加や職場の士気の低下を招く原因になります。

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5.メンタルトレーニングの効果

メンタルトレーニングは、個人の精神的な強さや安定性を高め、様々な場面でのパフォーマンス向上に寄与します。これからは、メンタルトレーニングによって得られる主な効果を紹介します。

  • モチベーションが向上する
  • 自己肯定感が高まる
  • 緊張に強くなる

モチベーションが向上する

メンタルトレーニングを通じて、自己の感情や思考を適切にコントロールする能力が養われます

困難な状況やネガティブな出来事に直面しても、前向きな姿勢を維持しやすくなり、結果として、日々の業務や新たな課題に対する意欲が高まります。持続的な高いモチベーションは、生産性や創造力の向上につながります。

自己肯定感が高まる

メンタルの強化により、自分の価値や能力に対して自信が持てるようになり、自己肯定感が高まります。

自己肯定感が高まると、失敗を過度に恐れず、今後の伸びしろとして前向きに捉えられます。こういったポジティブな思考は、最終的に目標達成や成果につながるでしょう。

また、過度に周囲と比較せず、自分らしい生き方を追求できるため、精神的な安定感も得られます。

緊張に強くなる

ビジネスの現場では、プレッシャーのかかる場面に直面することが多々あります。メンタルトレーニングによって心を落ち着かせるスキルを身につけておくと、このような状況下でも冷静さが保てます。

例えば、緊張しにくいメンタルトレーニングを受けておくことで、重要なプレゼンテーションや商談でも実力を発揮できるでしょう。

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6.メンタルトレーニングの種類と方法

次は、具体的なメンタルトレーニング内容を紹介します。主なメンタルトレーニングは以下の通りです。

  • 自己肯定感を高める
  • 目標設定をする
  • 成功者の真似をする
  • 感情をノートに書きだす
  • 鈍感力を身につける
  • セルフトークをする
  • アファメーションを行う
  • マインドフルネスを取り入れる
  • 認知行動療法を取り入れる
  • リラックスする時間をつくる
  • 生活習慣を見直す

自己肯定感を高める

自己肯定感とは、自分の価値を肯定的に受け入れることです。

自己肯定感が育まれると、失敗や自分の弱さに直面したときでも、それを否定的に捉え過ぎずに、そのままの自分を受け入れられます。その結果、気持ちを切り替えて前向きに考えられるようになり、ストレスにも強くなります。

自己肯定感を高める具体的な方法としては、日々の小さな成功や努力を認める習慣を持つことが効果的です。

例えば、「毎日10分間の運動を続ける」や「1日1つ自分を褒める」など、達成可能な目標を設定して、それを実行することにより自己信頼感が向上します。

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目標設定をする

具体的な目標を持つことは、モチベーションの維持や行動の指針になります。

なお、目標を設定する時は、憧れの人物像を決めるのが有効です。普段からその人の思考や行動を思い描くことで、ポジティブな姿勢や習慣を自分の中に取り入れられます。

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成功者の真似をする

成功者の行動や考え方を観察し、それを自分の日常に取り入れることも有効なメンタルトレーニングの一つです。

成功者の習慣やマインドセットの模倣により、自分の行動パターンや思考もポジティブに変化します。ただし、全てを真似するのは難しいため、自分の価値観や強みに合った点を一部取り入れるところから始めることがポイントです。

感情をノートに書き出す

感情をメートに書き出すことは、自分の内面と向き合うために効果的な方法です

日々のストレスや不安を書き出すことで、自分の気持ちを客観的に整理できるだけでなく、自分の感情のパターンや課題を客観的に把握できます。これを続けると、自己理解が深まり、思い悩むことが減る可能性もあります。

鈍感力を身につける

鈍感力とは、小さなストレスや周囲からの批判に過剰に反応しない力のことです。この能力は、多くの情報が交差する現代社会で、心穏やかに過ごすために非常に重要です。

周囲からの評価ばかり気にせず、自分の価値観や目標に集中することによって、不必要なストレスから解放されるでしょう。

セルフトークをする

セルフトークとは、自分に語りかける内的な対話のことです。ポジティブなセルフトークの習慣化により、自己肯定感が高まり、困難な状況でも前向きに対処できます。

例えば、「自分ならできる」「この経験は成長のチャンスだ」といった前向きな言葉を意識的に使うことで、心の状態を良好に保てます。

アファメーションを行う

アファメーションとは、肯定的な宣言を繰り返すことで、潜在意識に働きかけ、自己実現を促す方法です。

「私は価値ある存在だ」「私は成功できる」といった言葉を繰り返し唱えることで、自己イメージをポジティブに保てます。前向きな考え方の習慣化によって、自分の理想や目標に向かって、自発的に行動を起こせます。

マインドフルネスを取り入れる

マインドフルネスとは、今この瞬間に意識を集中させる瞑想法です。不安や過去への執着から解放され、心身がリラックスした状態になれます。

具体的な方法としては、静かな場所で姿勢を正し、呼吸に意識を向けるシンプルな瞑想があります。

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認知行動療法を取り入れる

認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy)は、自分の思考パターンや行動パターンを見直し、引き起こされる感情や行動を改善する心理療法です。

具体的には、ネガティブな思考を認識し、それに対する新たな視点や行動を取り入れることで、心の健康を促進します。

専門家の指導のもとで行うのが一般的ですが、自己学習も可能です。認知行動療法に関連する書籍やマニュアルなどもあります。

リラックスする時間をつくる

リラクゼーションは心身の健康維持に欠かせません。深呼吸や軽いストレッチ、マッサージなど、自分がリラックスできる時間を意識的に作ります。この時間はストレス解消だけでなく、新しいアイデアやエネルギー回復にも役立ちます。

生活習慣を見直す

生活習慣はメンタルヘルスと密接に関わっています。

例えば、不規則な生活リズムや偏った食生活、過度な飲酒・喫煙などはメンタルヘルスの悪化につながります。

そのため、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、健康的な生活習慣を取り入れて、心身の健康を維持するように促しましょう。

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7.職場でのメンタルトレーニングの実施方法

従業員にメンタルトレーニングを取り入れてもらうには、職場全体での仕組み作りが必要です。ここでは、職場内でメンタルトレーニングを導入および推進するための具体的な取り組みについて紹介します。

  • メンタルトレーニング研修を実施する
  • セルフケアを推奨する
  • ストレスチェックを実施する

メンタルトレーニング研修を実施する

従業員がメンタルヘルスの重要性や対処法を理解するための研修を行うことは、組織全体の健康促進につながります。

研修内容としては、メンタルの仕組みやリラクゼーション方法、イメージトレーニング方法、ネガティブな思考からポジティブな思考への転換技術などが効果的です。

例えば、厚生労働省の「こころの耳」では、職場で実施できるメンタルヘルス研修ツールを提供しているため、研修目的に応じて活用してください。

出典:厚生労働省|こころの耳

セルフケアを推奨する

セルフケアとは、従業員が自らのストレスに気づき、適切に対処するためのスキルです。職場でのセルフケアの推奨によって、従業員自身が日常的にストレスを管理し、心身の健康を維持できます。

セルフケアを推奨する際は、各自に合った方法の選択が大切です。「コーピングリスト」と呼ばれる、自分に合ったセルフケア方法をリストアップしておく取り組みも有効です。

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ストレスチェックを実施する

ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルス状態を定期的に把握し、早期対応につなげるための検査です。

労働安全衛生法の改正により、常時50人以上の労働者が働いている事業所では、年に一度ストレスチェックを実施することが義務付けられています。ストレスチェックの結果を使って、高ストレス者への個別フォローや、職場環境の改善を行います。

また、結果を従業員自身にフィードバックすることで、自分のストレス状態を認識させ、セルフケアの実践を促せます。

ただし、ストレスチェックの実施にあたっては、プライバシーの保護に十分配慮し、従業員が安心して回答できる環境を整えましょう。

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8.メンタルトレーニングと併せて実施したいメンタルヘルスケア

メンタルトレーニングと併せて実施したいメンタルヘルスケアについて紹介します。

  • セルフケアを学ぶ場を設ける
  • 安心して働ける環境を整備する
  • 相談できる場を提供する
  • 職場復帰支援の仕組みを整える
  • 復帰後の継続的なサポート体制を構築する

セルフケアを学ぶ場を設ける

メンタルヘルス対策を効果的に進めるには、従業員自らが心のケアに取り組めるよう、セルフケアに関する知識や方法を学ぶ機会を設けましょう

例えば、ストレスマネジメントやセルフケアの方法、テレワーク下におけるセルフケア、相談窓口の案内などの情報を提供し、従業員の自己管理能力を高めてください。

なお、厚生労働省の「こころの耳」では、セルフケアに関する短時間の研修動画を提供しており、従業員が手軽に学べるリソースとして活用できます。

出典:厚生労働省|こころの耳 5分研修シリーズ

安心して働ける環境を整備する

従業員が安心して働ける職場環境の整備は、メンタルヘルス不調の予防につながります。

具体的には、職場の人間関係の改善や業務負荷の適正化、ハラスメント防止策の徹底などが挙げられます。

柔軟な勤務形態の導入や、適切な休暇取得の推奨など、ワークライフバランスを支援する制度の整備も大切です。

相談できる場を提供する

メンタルヘルスの問題は、早期発見・早期対応が重要です。そのため、従業員が気軽に相談できる場所の提供が欠かせません。

例えば、管理職が定期的な面談の機会を設けて、従業員の声に耳を傾け、それぞれのメンタルコンディションを把握するのもよいでしょう。

社内の産業医やカウンセラーとの面談機会を設けるといった、外部の専門機関と連携した相談窓口の設置も効果的です。

職場復帰支援の仕組みを整える

メンタルヘルス不調により休職した従業員が円滑に職場復帰できるよう、組織的な支援体制を構築しましょう。

職場復帰支援プログラムを策定し、復職前の準備や復職後の業務調整を行うことで、従業員の不安を軽減し、再発防止につなげられます。

その際は、厚生労働省が公開している「職場復帰支援の手引き」に基づき、復職までの具体的なサポートの流れを参考にしてください。

具体的な職場復帰支援の流れは、以下の通りです。

  • 病気休業開始及び休業中のケア
  • 主治医による職場復帰可能の判断
  • 職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
  • 最終的な職場復帰の決定
  • 職場復帰
  • 職場復帰後のフォローアップ

従業員が職場復帰プログラムの内容を理解していれば、休職中であっても不安や気まずさを抱えることなく、安心して職場に戻れます。

出典:厚生労働省|職場復帰支援の手引き

復帰後の継続的なサポート体制を構築する

復職した従業員が再びメンタルヘルス不調に陥らないよう、継続的なサポート体制を整えることが大切です。

段階的に業務量や責任を増やしていく計画を立て、従業員の状態に合わせて調整していきましょう。定期的に面談を行い、個々の状況に応じた支援によって、従業員の職場定着を促進します。