【質問例アリ】タウンホールミーティングとは? 事例、テーマ

タウンホールミーティングとは、経営陣と従業員が直接対話できるミーティングのことです。ここではタウンホールミーティングが注目される理由や話すテーマ、質問例などについて解説します。

1.タウンホールミーティングとは?

タウンホールミーティングとは、さまざまなテーマについて経営層と従業員が直接対話する場のこと。「対話集会」とも呼ばれ、社長や取締役などの役員が現場の声をダイレクトに聞いて、素早く経営に反映させることが目的です。

従業員は普段顔を合わせる機会の少ない経営陣のメッセージを、また経営陣は普段聞くことの少ない現場の声をダイレクトに聞いていけます。

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2.タウンホールミーティングの概要

タウンホールミーティングは、経営陣が現場に出向いて自由に意見を交わすのが一般的です。タウンホールミーティングと似た対話形式に「タウンミーティング」があります。

タウンミーティングとの違い

「タウンミーティング」とは、おもに地域住民の生活に関わるテーマを話し合う対話型集会のこと。行政当局または政治家が実施し、公共施設の運営やゴミ出しのルールについてなど、地域の生活に関わるテーマを話し合います。

集会の構造はタウンホールミーティングもタウンミーティングも同じです。英語圏では、地方自治制度としてのタウンミーティングと混同しないようタウンホールミーティングと呼んで区別します。

起源

タウンホールミーティングのはじまりは1633年のアメリカ、マサチューセッツ州にさかのぼります。

政治家が構成員と直接面会し、法律や規制について話し合った結果、町民の懸念が解決。現代では多くの民主主義国がこのタウンホールミーティングを取り入れているのです。

タウンホールミーティングはアメリカ大統領選でも大きな役割を果たしています。第44代大統領オバマ氏がオンラインでタウンホールミーティングを開催したのは、記憶に新しいでしょう。

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3.タウンホールミーティングが注目される理由

さまざまな対面コミュニケーションのなかでも、なぜタウンホールミーティングが注目されるのでしょう。HR総研の調査によれば、企業の8割が社内コミュニケーションに課題を感じていると回答しています。

とりわけ「部門や事業所間でのコミュニケーション」「経営層と社員のコミュニケーション」に課題を感じていることが、タウンホールミーティングが注目される理由と考えられているのです。

経営層と従業員との交流

企業が大きくなるにつれ、経営陣と従業員の距離は遠くなります。通常の業務で経営陣と実際に顔を合わせたことはなく、社内報や会社のホームページでしか見たことがない人も少なくありません。

これは経営層も同じです。従業員一人ひとりの名前や顔を知らない、どのような考えを持っているのかどのような経験を詰んできたのか知らないというケースもあります。

そこでタウンホールミーティングによって意見を交換し、組織力を強化しようと試みるのです。

オンライン開催が可能

タウンホールミーティングはオンライン開催が可能です。バーチャルタウンホールミーティングでは開催場所に移動したり、外部の会場を手配したりする必要がありません。参加のハードルが低くなるため、経営層も従業員も出席の時間を捻出しやすくなります。

参加人数が多い場合や拠点が海外にある場合などでも、大きな費用をかけずにタウンホールミーティングを開催できます。

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4.タウンホールミーティングのメリット

タウンホールミーティングにはさまざまなメリットがあります。以下のメリットは従業員の企業に対するイメージを向上させ、企業活動にもよい影響を与えるでしょう。

  1. 重要決定事項の浸透
  2. 課題の早期発見
  3. SNSとの併用

①重要決定事項の浸透

活字やビデオメッセージで重要決定事項を知るのと、経営陣と直接顔を合わせて知るのとでは、受け取り方に大きな違いがあるもの。

タウンホールミーティングによって、重要事項の決定にいたるまでのプロセスや経営陣の熱量なども届けられます。質疑応答の時間を使って納得のいく説明を聞くのも可能です。

離職防止

厚生労働省の調査によると、離職理由のおもな理由に「経営陣が信用できない」「経営方針に不満」などがあるとわかっています。

従業員が直接的に経営に関与する機会は多くありません。よって言葉の裏には「会社の企業理念とかけ離れた経営に不満を感じている」「仕事内容に疑念を抱いている」という思いが隠れている可能性もあります。

そこでタウンホールミーティングで経営陣の思いを直接従業員に伝え、離職を防止するのです。

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従業員エンゲージメントの向上

終身雇用が事実上崩壊し、転職が当たり前になっている今、従業員の会社に対する帰属意識も低下しています。

タウンホールミーティングには従業員と経営層のコミュニケーションチャンスを増やし、経営層が会社に対する思いを話す、従業員がそれに賛同してエンゲージメントを高めるチャンスにつなげるという目的もあるのです。

従業員エンゲージメントの向上は離職率の低下にもつながるでしょう。

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②課題の早期発見

経営層と従業員が日頃からコミュニケーションを取れている会社は、顧客の意見や現場での気付きなどを経営層に伝える機会が多いため、課題や新たなチャンスを早期に発見できます。

反対に現場がどのような状況なのか理解していなければ、経営層は会社の大きな意思決定を下しにくくなるのです。また無理に決定事項を押し付けると反発が起きる可能性もあります。

③SNSとの併用

タウンホールミーティングにSNSを併用すると「直接面と向かって意見を伝えにくい」「まわりの目が気になってネガティブな意見を伝えにくい」「参加人数が限られているためそもそも参加できない」などの課題を解決できます。

すでにタウンホールミーティングを実施しているが期待する効果が上がらない、今後の導入に向けて効果的な仕組みを探しているという企業は、SNSの活用を検討してみるとよいでしょう。

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5.タウンホールミーティング開催時の注意点

タウンホールミーティングを開催する際は以下の点に注意する必要があります。いずれもミーティングの最終的な狙いは「決定」ではなく、「実行・成果」だと意識するのがポイントです。

事前準備

まずは参加者全員にタウンホールミーティングで取り上げる課題と目的を共有します。またもしも課題が解決しなかった場合、どのような状況になるのか、予見も話し合っておきましょう。

事前の通知は、先に共有が必要な資料とあわせて文書で行うのが望ましいとされています。またタウンホールミーティング当日に持参するものがあればそれも明記しておきましょう。

ファシリテーターの選定

続いてタウンホールミーティングのファシリテーターを選定します。ファシリテーターとはミーティングを円滑に進めるための段取り、つまりファシリテーションを担う人のこと。

ファシリテーターにはミーティングの進行だけでなく参加者の考えや意見を引き出して議論を深める、目的達成のために議論をまとめるという役割もあります。

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対話しやすい環境づくり

周囲の目が気になって、話したいことをすべて話せなかったという経験もあるでしょう。対話しやすい環境を整えておくと、タウンホールミーティングでより活発な議論を進められます。具体的には次のような方法が効果的です。

  • 会議中に参加者が気軽に質問できるようチャットツールを利用する
  • かんたんな問いかけには投票機能を使う
  • ディスカッションに十分な時間を設ける

目的とゴールの共有

タウンホールミーティングを開催する前に、会議の目的とゴールを定めておきましょう。この情報を共有しておかないと議論が脱線しやすくなり、期待する効果が得られない可能性もあります。

「このミーティングは何のために行われるのか」「何の行動があれば次のアクションにつながるのか」などを伝えておくのです。

これらは会議が始まってから伝えるのではなく、事前に告知したうえで会議冒頭に口頭でアナウンスすると、より目的意識が高まった状態で参加してもらえます。

オンライン開催の注意

タウンホールミーティングにはオンライン開催が可能です。しかしオンライン開催の場合はいくつかの対策が必要になります。

まずスムーズなミーティングができるよう、ネットワークインフラを整えておきましょう。ミーティング中に通信切断が発生すると、議論が進まなくなるからです。

通信切断のおもな理由は通信速度と通信量。パソコンでほかのアプリケーションを開いている場合は極力閉じる、モバイル端末を使用する場合は速度制限の条件を確認し、必要に応じて契約内容の見直しを検討するなどの対策を講じます。

ツールの活用

オンライン環境を活用してタウンホールミーティングを開催する際、各種ツールの活用が便利です。音声や動画の配信だけでなく録画配信や点呼、アンケート配信などさまざまなツールがあるため、これらを活用してより効果的なミーティングを行います。

Web会議ツール

Web会議ツールは大人数でのタウンホールミーティングや、複数拠点を結ぶミーティングなどに便利なツールです。システムによっては200以上の拠点を結べるため、全国的、世界的なタウンホールミーティングが開催できます。

なおWeb会議に参加可能な人数はシステムによって異なるため、参加人数にあわせて適切なツールを使用しましょう。

バーチャルイベントツール

ホールミーティング用の仮想空間を用意できるツールもあります。バーチャル空間内ではCGを駆使して商品説明やシミュレーションを行ったり、ブランドのテーマに合わせてフロアをカスタマイズしたりできます。

アバターを活用すれば参加者も気軽に参加、発言しやすくなるでしょう。懇親会やセミナー会場としても利用できます。

アンケートや投票ツール

オンラインでのタウンホールミーティングは会場参加型に比べて気軽に参加できる一方、途中退室が生じるリスクも高まります。そこで効果的なのがアンケートや投票が行えるツールの活用です。

参加者に質問を投げかけたり、アンケート機能で集計した結果をその場で公開したりして、参加者の集中力や関心を維持しましょう。

複数回に分けることも検討

一度のタウンホールミーティングで関係者と漏れなく会話するのは難しいもの。この場合、無理に参加者のスケジュール調整や会場手配を進めず、複数回にわけた開催を検討してみましょう。大人数の意見をアンケートで集約する方法もあります。

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6.タウンホールミーティングで話すテーマ

タウンホールミーティングでは経営層と従業員で会社のさまざまなテーマについて議論を進めます。タウンホールミーティングで話すテーマの一例を紹介しましょう。

経営状況や経営戦略

タウンホールミーティングのテーマとして特に多いのが、会社の経営状況や経営戦略に関する話題。現場の危機感を共有したり、ビジョン実現に向けてのドライブをかけたりして経営や事業を見つめ直し、組織の方向性を整えていきます。

新たなビジネスの提案

タウンホールミーティングから新たなビジネスが提案されることもあります。参加者の「現在の制度では若手従業員が新たなビジネスを提案するのは難しい」という指摘から、公募型企画コンテストが開催された事例もあるのです。

サステナビリティ

リクルートホールディングスではサステナビリティについて「多様性の尊重」「環境の保全」「働き方の進化」「機会格差の解消」「人権の尊重」という5つのテーマを設定し、それぞれのテーマでグループディスカッションを実施。

その結果、ダイバーシティの推進やリモートワークの利点、男性の育休制度の活用など、個を尊重した働き方について活発な議論が進められました。

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7.タウンホールミーティングの質問例

タウンホールミーティングでは経営層から従業員に向けて、また従業員から経営層に向けてさまざまな質問が挙げられます。タウンホールミーティングの質問例について説明しましょう。

会社が直面している課題は?

会社の将来について考えている従業員から、今後の課題に備えることを目指して投げかけられる質問です。経営層は今後の課題が減る方法を確認して、これに回答します。

その課題の解決方法は?

経営スタイルについて、より直接的な方法に踏み込んだ質問です。この質問には経営層によって課題が解決されるのか、チームや現場単位に解決権限が委ねられているのかを確認する意図があります。

脅威に感じていることは?

経営層の脅威を理解する目的で行われる質問です。問題が大きすぎる場合、従業員が身の振り方を考えるという意図もあります。

今後どのようなプロジェクトに参加するか?

企業の将来性を問う質問です。会社の方向性はどこを向いているのか、今後どのような計画があるのかを知るためこのような質問をします。

今年度の売上は?

売上高、離職率低下に関する質問も多く挙げられます。これらは従業員の士気に大きく影響するため、迅速な対応が必要です。

長期的な成長に何が必要か?

この質問によって、すべての従業員に可能性とチャンスを提示します。会社の成長に向けた相互協力に効果的な質問です。

現在の組織構造と今後の変化予測を教えてください

組織構造に関する理解は、企業の安定性と成長を維持するために欠かせない要素です。組織構造の変更が差し迫っている場合、従業員にその理解を促さなければなりません。

M&Aの予定はあるか?

会社を刷新して新鮮さを吹き込むM&Aについての質問です。可能性がある場合はそれによるどのような効果を期待しているか、企業の成長と拡大にどう影響するかを説明します。

管理者への研修方法を教えてください

管理職は従業員とチームの育成について十分なトレーニングを受ける必要があります。会社の経営ビジョンに向かって具体的にどのような計画を立てているのか確認する質問です。

リーダーとなりえる人材はいるか?

この質問によって、リーダーとして活躍するために必要な要素を確認できます。リーダー候補者からスキルやその姿勢を学ぶチャンスとなる質問です。

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8.タウンホールミーティングの開催事例

国内でもさまざまな企業がタウンホールミーティングを実施しています。ここではタウンホールミーティングの開催事例とその効果について説明します。

ソニー

ソニーの前CEO、平井一夫氏は社長就任中の約6年間に月に1、2回、食事を取りながら30~40代の社員と対話を続けました。このタウンホールミーティングのルールはたったひとつ。「何を聞いてもよい」というルールだけです。

ミーティングの積み重ねにより、あらゆる社員に問題意識がある、アイデアや情熱があるなどを感じました。タウンホールミーティングによって方向性を示せばターンアラウンドできると確信し、低迷するソニーの復活につなげた事例です。

アフラック

アフラック生命保険では社長が全国の拠点を訪問して社員に会社の方針を伝え、それと同時に現場の課題を意見交換するタウンホールミーティングを開催しています。開催回数は過去5年間で65回。各回に10~20人が職場単位で参加し、現場の声を届けています。

社内報では一方的な情報開示だけでなく双方向でやり取りできるシステムを導入。経営陣のメッセージに対して従業員が自由に「いいね!」を送信できる仕組みを取り入れて、相互の意見交換を活発なものにしています。

第一生命

第一生命保険では企業風土と体質の改善を目的に、全役員が主催者となったタウンホールミーティングを実施。社員と対話する既存の枠組み「役員と語る」と並行して、企業風土にまつわる課題の共有と「お客様第一」を体現する運営を行っています。

このほか、イントラネットで役員の動画メッセージを配信したり、さまざまな経営課題について考え方や背景を従業員と共有したりして社内コミュニケーションの活性化、一体感のある組織づくりにつなげているのです。