トップマネジメントとは? 構造や役割、働き、スタイル、スキルや研修について

企業のトップの力を最大限引き出すことができれば、生き残るために不可欠な強い企業づくりに役立ちます。そこで注目を集めているのがトップマネジメントです。

ここでは、

  • トップマネジメントとは何か
  • トップマネジメントの構造や役割
  • トップマネジメントのスタイル
  • トップマネジメントに求められるスキル
  • トップマネジメント研修

などについて解説していきます。

1.トップマネジメントとは?

トップマネジメントとは、組織のトップが経営方針の決定や経営計画の策定、組織運営といった経営や管理を行うことです。日本では、トップマネジメントを最高経営者層や最高管理者層と訳す場合があります。

トップマネジメントの「トップ」には「最上位」や「主要な」という意味があります。つまり、社長や経営者、各部門や事業部の長といった組織のトップを指します。

トップマネジメントはチーム推奨

トップマネジメントは「単独ではなくチーム推奨」です。

単独になると、方針や計画策定などのマネジメントの視野が狭くなるだけでなく、一人の肩にすべての責任がのしかかり、負担が大きくなります。このような状況では、トップマネジメントは破綻してしまうでしょう。

そのため、一般的には3~4人でマネジメントを行うことになっています。

トップマネジメントとは、社長・経営者などの組織のトップが組織の経営・管理を行うこと。一般的には3~4人で行います

社員一人ひとりの能力・評価の見える化は従業員満足度アップにつながる!

「社員の能力・個性に合った適正な配置ができているか?」「きちんと評価がされているか?」

人材データを見える化し、配置検討や人事評価に反映することは、社員のやる気に大きく影響します。

人材管理システム「カオナビ」なら

  • 顔写真に紐づけて人事情報を管理
  • 人材データベースの項目は「特技」や「性格」など自由自在に設定できる
  • 人事評価記録、面談記録も管理できる

「カオナビ」で離職防止・従業員満足度アップ【無料資料ダウンロード】

2.ドラッカーが提唱するトップマネジメントの構造

ピーター・ファーディナンド・ドラッカーは、オーストリア生まれの経営学者で、現代経営学やマネジメントを生み出し、世界の経営者たちに大きな影響を与えました。

ドラッカーは、トップマネジメントに12のテーマを設け、トップマネジメントの使命や組織としての成果、組織体制の在り方などについて言及しています。

また、

  • トップマネジメントの役割を複数の人物に割り当てる
  • トップマネジメントが行う仕事の担当者を決める
  • 責任の所在を明らかにし、期限を設けた工程を示す

といったマネジメント構造を語っています。

経営学者であるドラッカーは、チームトップマネジメントの体制や具体的な役割、構造について語っています

3.トップマネジメントの役割、働き

トップマネジメントの役割は多岐にわたります。役割を大きく5つに分けて、それぞれを簡単に解説しましょう。

方向性の決定

経営理念や組織戦略、事業目的などの方向性を検討し、決定します。

  • 自社の基幹事業を何にするか
  • 人材配置や資金配分が適切であるか
  • 新規参入すべき市場はどこか
  • 他社との差別化をどこに持つか

トップマネジメントは、国内外で競争が激化する市場の「どこで生き残りをかけていくか」「企業としてどのように成長を続けていくのか」といった重要な決定を行っていくのです。

経営理念の決定

「自社の事業が何であるか」「自社はどのような事業を展開する使命があるのか」といった経営理念の決定は、トップマネジメントの重要な役割といえます。なぜなら大海原で船の舵取りをするためには、先を見据えた海図が不可欠だからです。

数年後、あるいは数十年後にあるべき姿をイメージしながら、自社がどの航路を進んでどこにたどり着くべきかを明確にすることが、トップマネジメントに求められています。

体制構築

企業として進むべき方向、すなわち経営理念を決定したら、それを達成するために必要とされる組織を構築し、その管理や維持を行います。たとえば、組織構造の決定や人事体制の構築、人材育成体制の整備などを実施していきます。

企業理念を具現化させるため、経営理念に基づいて健全な組織の構築や各種制度の設計を行うことも、トップマネジメントに求められる役割なのです。

交渉、関係維持

ステークホルダーと交渉を重ね、双方向に健全な関係を構築していくことも役割となります。ステークホルダーとは、直接的間接的を問わず、企業と利害関係を持つ者のこと。具体的には、顧客や消費者、仕入先や従業員、株主や地域社会、行政機関などがあります。

リスクマネジメントと対処

企業活動を進める中、重大な事件や緊急事態が発生しないとも限りません。

このようなリスクを事前に回避するためのマネジメントはもちろんのこと、リスク発生後においても一貫した指揮命令や状況に応じた対処が速やかに実施できるようにします。

リスクマネジメントの失敗は、企業にとって命取り。トップマネジメントでリスクについて責任を果たしていくことは、ある意味当然でしょう。

トップマネジメントの役割には、「方向性の決定」「経営理念の決定」「体制構築」「ステークホルダーとの関係構築」「リスク管理」などがあります

4.トップマネジメントを含むマネジメントのスタイル

トップマネジメントを含むマネジメントのスタイルはさまざまです。成長が見込めるスタイル、自社に適したスタイルなどを選択するとマネジメントが成功しやすくなるでしょう。

マネジメントスタイル

ここでは、4つのトップマネジメントスタイルについて簡単に解説します。

  1. オーナータイプ
  2. 協議・合議タイプ
  3. 民主タイプ
  4. 説得タイプ

①オーナータイプ

いわゆる、経営者など経営トップが決定したものを組織の末端まで落とし込んでいくトップダウン方式のこと。

オーナータイプは、経営者の気持ちひとつで企業全体に関わる企業理念や経営方針が決定するため、強いリーダーシップが発揮されます。しかし見方を変えれば、独裁的な方式に陥りやすいリスクを抱えているともいえるのです。

②協議・合議タイプ

取締役会などを開き、会全体の合議をもって経営に関わる事項を決定していきます。

オーナータイプのような強力なリーダーシップはないものの、複数の取締役によって協議しながら経営に関わる重要事項を決定していくため、幅広い意見を集約できたり偏りの少ない決定ができたりするでしょう。

日本でも多くの企業が、協議・合議タイプを採用しています。

③民主タイプ

民主タイプとは言葉の通り、企業のトップマネジメントだけで経営に関する重要事項を決定していくのではなく、企業に所属するすべての構成員の合意をもとにして重要事項を決定していくスタイルです。

事業規模の小さい企業によく見られます。経営者や従業員が共に意見を出し合い、企業の将来像を描きながら目の前の課題に取り組んでいくようなマネジメントスタイルです。

④説得タイプ

説得タイプには、「マネジメントする側」「マネジメントされる側」があります。

まず、マネジメントする側がマネジメントされる側に対して、決定事項やその理由などを説明、説得します。そして、マネジメントされる側がその内容を納得し、了解した段階でマネジメントを具現化していくのです。

説得や納得には、双方向のコミュニケーションが重要になります。企業を良くしていきたいというお互いの気持ちが一致したとき、効果を発揮できるスタイルでしょう。

トップマネジメントスタイルには、「オーナータイプ」「協議・合議タイプ」「民主タイプ」「説得タイプ」があります

5.トップマネジメント以外のマネジメントタイプ

トップマネジメント以外のマネジメントタイプを、2つご紹介します。

トップマネジメント

トップマネジメントとは、社長など経営者や各部門の長といった組織のトップによる経営並びに管理のこと。トップマネジメントはチーム推奨で、トップマネジメントの中でも複数のタイプがあります。

ミドルマネジメント

ミドルマネジメントの「ミドル」とは、中間管理職のこと。ミドルと呼ばれる中間管理職は、トップマネジメントが検討し、決定した経営の方向性や経営理念リスク管理など、さまざまな事項を所属の部下に伝える役目を担っています。

また、トップマネジメントの決定事項を実践するための部下の人材育成などもミドルマネジメントの重要な役割のひとつです。

中間管理職(ミドルマネジメント)とは? 中間管理職の役割と育成
中間管理職(ミドルマネジメント)の役割と育成は、どの企業にとっても重要な課題の1つといえます。今回は、人事担当者が覚えておきたい中間管理職の役割と、中間管理職に対してどのような育成を行うべきかについて...

ロワーマネジメント

ロワーマネジメントの「ロワー」とは、実際の現場で仕事をする従業員を束ね、管理監督する立場にある人を意味する言葉です。具体的には、係長や現場監督、主任と呼ばれる人材を指します。

ロワーマネジメントとは、ミドルマネジメントの下に位置するロワーが直接、現場の業務遂行の統率を担うマネジメントのことです。

トップマネジメント以外のマネジメントには、ミドルマネジメントとその下に位置するロワーマネジメントがあります

6.マネジメントに必要な3つの能力

ここで、ハーバード大学の教授であるロバート・カッツが提唱したマネジメントにおける3つのスキルを解説します。

  1. コンセプチュアルスキル
  2. ヒューマンスキル
  3. テクニカルスキル

①コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは、複雑に絡まる状況や構造を体系的に把握し、さまざまな視点から概念化して本質的な対応を実践していくスキルのこと。

コンセプチュアルスキルとは、下記の通りです。

  • 自らが持っている知識や技術を組み合わせる
  • 目的や目標に向けてどのように業務展開していくか、アイデアを出す
  • アイデアを織り交ぜながら総合的に戦略を組み立てていく

②ヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは、「人や人間関係を理解する」「目標達成や目的の実現にはどのような人間関係が必要になるかを考察する」「実際に必要とさる人間関係を構築する」といったスキルのこと。

ヒューマンスキルは、トップマネジメントに必要なスキルの中で最重要と考えられています。社内外を含め、ヒューマンスキルをどのように発揮していくのかによって、マネジメントの結果が大きく左右されるでしょう。

【解説】ヒューマンスキルとは? 7つの能力と習得方法、関連スキルの解説
ビジネスシーンで現場に携わるマネージャーに求められる能力として、ヒューマンスキルが挙げられます。 ヒューマンスキルとは交渉や調整の際に、円滑なコミュニケーションを可能とする対人関係のスキル。ここでは、...

③テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、業務を的確にこなしていくために求められる知識や技術のこと。テクニカルスキルは、職種や業種、任務や役職などによって、内容が大きく異なります。

  • それぞれの立場で求められている知識や技術を存分に発揮する
  • 一人ひとりが持っている能力を業務に最大限反映させる

などのテクニカルスキルが欠落していれば、どんなマネジメントも思うように前には進みません。

マネジメントにおけるスキルは、「コンセプチュアルスキル」「ヒューマンスキル」「テクニカルスキル」の3つがあります

7.トップマネジメントに関する学び、研修プログラム

トップマネジメントを学ぶ場合、研修プログラムを活用するとよいでしょう。

トップマネジメント研修(早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター)

早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センターは、トップマネジメントの研修プログラムを提供しています。エグゼグティブ研修のひとつに位置付けられており、研修プログラムは5日間、25名限定で行われます。

下記5つのテーマから、高度で広い視野を持った企業幹部の養成を実現していきます。

  1. 経営戦略
  2. マーケティング
  3. ファイナンス
  4. グローバル戦略
  5. リーダーシップ

形式も、講師による講義、参加者自身の発表、グループディスカッションなど、インタラクション重視で行われます。

トップマネジメント研修  早稲田大学 ビジネス・ファイナンス研究センター

トップマネジメントコース(ドラッカー塾)

ドラッカー塾トップマネジメントコースは、ダイヤモンド社が提供するトップマネジメントプログラムです。4月と10月の年2回開催され、参加対象者は事前審査で決定します。

プログラムは12回で、下記のようなテーマを学びます。

  • トップが身に付けるべきマネジメントスタイル
  • 使命、価値、成果、計画
  • イノベーションの成功
  • 仕事の生産性を高める
  • 目標による管理

経営者としてのマネジメント力を日常の習慣として実践できるよう、ドラッカーのアドバイスを取り入れながら自社の経営を徹底的に考える時間を提供しています。

ドラッカー塾 | トップマネジメントコース

トップマネジメント研修プログラム(日本能率協会)

トップマネジメント研修プログラムは、日本能率協会が主催しています。目的は、役員としてのマインドセットや経営知識の習得です。

取締役や執行役員、経営幹部といったトップマネジメント層に求められる内容を学ぶ機会を、それぞれの立場に応じた内容で提供しています。

  • 高いコミュニケーション能力
  • 組織や人材に対する多角的な洞察力
  • 高い使命感や倫理観
  • 組織を率いる指導力

JMA トップマネジメント2020研修プログラム | 日本能率協会(JMAマネジメントスクール)

トップマネジメントを学ぼうと思った際は、トップ向けに開催されている研修プログラムを活用するとよいでしょう