玉突き人事とは? ジョブローテーションとの違いは人事異動の理由

人事の仕事には、人材育成や採用、人材配置などが挙げられます。限られた社員をもっとも効率よく配置するために頭を悩ませる人事担当者も多いのではないでしょうか。人事異動は、欠けた人材をただ補充すればよいというものではありません。玉突き人事とジョブローテーションについて考えてみましょう。

玉突き人事とは?

営業部の職員が定年退職することになった場合、営業部の人材がひとり減ることになります。そのため、かねてより営業部に配属を希望していた別部署の従業員を営業部に異動させることになりました。

ところが、そうなると今度は管財部が人手不足になってしまいます。そこで、入ったばかりの新人をその部署に回すことに……、という人材配置をしていると、複数の部署で特に目的のない人事異動が起こることになります。これが、「玉突き人事」です。

玉突き人事の特徴として、人材を「ひとり」という観点でしか見ていないという点が挙げられます。先の例でいくと、最初に営業部に配属された従業員以外は、特に異動する必要のなかった従業員ばかりです。

ただ「従業員が足りないから」という理由で連鎖的に行われる異動が、玉突き人事なのです。

人事異動にはしかるべき理由が必要

一度配属した人材を別の部署に異動させるということは、その従業員に新たな仕事を教えるということですから、人材育成の時間と労力が必要になります。

人材が育つまでは、周囲の従業員に業務量のしわ寄せがいきがちになりますし、そもそも、異動させた先の仕事がその従業員にあっているかどうかも定かではありません。人事異動には、こうしたリスクを負うだけのしかるべき理由に基づいて行われなければなりません。

ところが、玉突き人事が起こる理由は、「人材の不足」であり、個人のキャリアアップや企業の人材育成といった前向きなものではありません。

このような場当たり的な異動理由で人材の配置転換をすることは、従業員のためにも企業のためにもあまりメリットのあることではないといえるでしょう。

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ジョブローテーションと玉突き人事の違い

企業内における人事異動のひとつに、ジョブローテーションがあります。これは、数か月や数年など、一定の期間ごとに従業員をあちこちの部署に異動させるという人事異動の方法です。

玉突き人事が起こる理由が「人材の不足」であるのに対して、ジョブローテーションは、人材育成のために行われる人事異動です。どちらも、同時に複数の従業員が異動するという点では同じですが、どの程度の目的意識を持って行われるかという点において大きな違いがあります。

ジョブローテーションは、欠員の有無にかかわらず行われるものですが、ただあちこちの部署を経験させるというだけでは、玉突き人事とさほど状況は変わりません。

ローテーションさせた結果を鑑みた上で、最終的に最も適した部署への配置を行ったり、管理職として登用したりと、ローテーションの結果を人事異動に活かすことが大切です。

ジョブローテーションで行う人材育成

ジョブローテーションのメリットには、「適材適所の人員配置がしやすくなる」、「企業全体の業務の流れを意識できる従業員を育成できる」、「社員同士のコミュニケーションを活性化させる」、「仕事のマンネリ化を防ぐ」などが挙げられます。

反面、「ひとつひとつの部署での仕事が適当になる可能性がある」、「専門業務に特化したスペシャリストを育成しづらい」といったデメリットもあります。

明確な人材育成意図を持って行われるジョブローテーションは、従業員のモチベーションアップや、キャリア育成のためにも役立ちます。

誰をどこに配置するのかは人事担当者の悩みのタネですが、ジョブローテーションを行うことで最適な配置が見えてくる場合があるのです。

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