給与所得者の基礎控除申告書とは? 書き方、控除額、計算

給与所得者の基礎控除申告書とは、給与所得者が基礎控除を受けるために必要となる書類のことです。ここでは基礎控除申告書の書き方や年末調整の方法について解説します。

1.給与所得者の基礎控除申告書とは?

給与所得者の基礎控除申告書とは、給与所得者が年末調整の際に提出を求められる書類のひとつ。給与所得者が基礎控除を受けるために必要となる書類で、毎年11月頃に会社から配布されます。

基礎控除申告書の提出がないと源泉徴収された所得税が正しく精算できないため、還付金があってもこれを受け取れません。

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基礎控除とは?

すべての納税者が無条件で差し引ける所得控除のこと。合計所得金額にそのまま所得税率を乗じて所得税額を決めた場合、個人の社会保険料や生活費などの必要支出が度外視されてしまいます。

そこで納税者個人の事情を加味して、無理なく納税できるよう設けられたのが基礎控除をはじめとする所得控除です。

基礎控除は会社員にも事業を営む個人事業主にも一律で適用される制度であり、後述する税制改正までは所得に関係なく一律で38万円(住民税は33万円)でした。しかし現在は一定の要件がくわわっています。

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2.令和2年分から様式が変更

2020年分より基礎控除申告書の様式が変更になりました。「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼所得⾦額調整控除申告書」という名称で、3つの申告書が1枚で提出できるようになっています。

そのため、基礎控除を受ける場合はたとえ所得金額調整控除や配偶者控除を受けなくても、基礎控除申告書の欄のみ記入して提出しなければなりません。

給与所得者の配偶者控除等申告書

給与の支払を受ける給与所得者が、年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を受けるために必要となる書類のこと。配偶者の氏名や生年月日、マイナンバーや本年中の配偶者の合計所得金額見積額などを記載するのです。

ここでいう「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄には、配偶者の合計所得金額の見積額を「給与所得」と「給与所得以外の所得の合計額」にわけて記載します。
なお、配偶者控除の金額は納税者の合計所得金額により異なります。

配偶者控除とは?

配偶者のいる納税義務者が受けられる所得控除のこと。以下すべての要件を満たした場合に配偶者控除が適用されます。

  • 民法規定の配偶者(市区町村役場に婚姻届出を提出して受理された、正式な婚姻関係にある配偶者)である
  • 納税者と生計を一にしている(別居でも生計を一にしていれば対象となる)
  • 配偶者の年間合計所得額が48万円以下(2019年分以前は38万円以下)である
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない
  • 白色申告者の事業専従者でない

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所得⾦額調整控除申告書

納税者が「所得金額調整控除」の適用を受けるために必要な書類のこと。会社に勤務する給与所得者は、会社に「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」を提出して、年末調整を行ってもらう必要があります。

所得金額調整控除とは?

子育てや介護をしている世帯に納税の負担が生じないよう、税負担を軽減する目的のもと、2020年分以降新たに導入された制度のこと。

一定の要件を満たす納税者は、給与等の収入金額から850万円を差し引いた金額の10%相当額を所得金額調整控除として差し引けます。

所得金額調整控除の対象となるのは、その年の給与等の収入金額が850万円を超え、扶養親族に子どもや特別障がい者がいる、あるいは給与所得と公的年金等の双方を受給している納税者です。

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3.給与所得者の基礎控除申告書の控除額

従来、所得に関係なく一律38万円の基礎控除を受けられました。しかし2020年分より、控除額は以下のとおり所得に応じて0円から48万円までの控除額に変更となっているのです。

  • 2,400万円以下:48万円
  • 2,400万円超2,450万円以下:32万円
  • 2,450万円超2,500万円以下:16万円
  • 2,500万円超:0円

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4.給与所得者の基礎控除申告書の書き方

給与所得者の基礎控除申告書で記入するのは「給与所得の収入⾦額」「給与所得の所得⾦額」「給与所得以外の所得の合計額」「控除額の計算」の4項目です。

給与所得の収入⾦額

「給与所得の収入⾦額」欄には、当年1月から12月までの収入合計金額を記入します。ただし年末調整の書類を用意するのは給与等の最終支払前であるため、ここには概算見積金額を記入するのが一般的です。

従業員に、給与明細のどの部分を参考にするか、提示しておくとよいでしょう。副業で複数の勤務先から給与を受け取っている場合、それらの給与収入を含めた合計見積額を記入します。

交通費や通勤手当などは収入に含まれる?

注意したいのが、交通費や通勤手当の取り扱いです。給与所得の収入金額に、交通費や通勤手当などの非課税項目は加算されません。交通費は勤務先への通勤費用を実費補てんする目的で支給するもので、所得にはあたらないと考えるためです。

給与所得の所得⾦額

続いて「給与所得の所得金額」欄に給与所得の金額を記入します。給与所得の金額は、「給与所得=給与収入-給与所得の控除額」で算出可能です。

紙の様式には裏面に収入額に応じた計算式が記載されているため、参考にするとよいでしょう。ただし年間所得金額が2,400万円以下であればすべて同一の控除額になるため、そこまで難しく考える必要はありません。

給与所得以外の所得の合計額

「個人事業主として副業している」「利⼦所得がある」場合など、給与以外に収入がある納税者は「給与所得以外の所得の合計額」欄に合計額を記入します。具体的には以下のものが、給与所得以外の所得に該当するのです。

  • 雑所得(単発の副業所得など)
  • 事業所得(個人事業主やフリーランスとしての副業収入)
  • 配当所得(株などを運⽤した利益)
  • ⼀時所得(懸賞当選⾦や賞⾦など)

控除額の計算

最後に控除額の計算表に本年中の合計所得金額の見積額を当てはめ、基礎控除額を判定します。

「判定」欄の□にチェックを記入し、判定した金額を「基礎控除の額」に、判定欄にA、B、Cのアルファベットが記載されている場合はその記号を「区分1」の欄に記入して完成です。アルファベットの記載がなければ「区分1」欄には何も記入しません。

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5.給与所得者の基礎控除申告書を使った年末調整の方法

年末調整で給与所得者の基礎控除申請書を使用する際、どのような手続きが必要なのでしょう。ここでは給与所得者の基礎控除申告書を使った年末調整について説明します。

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従業員に必要書類を提出してもらう

まず従業員の所得控除を確認するため、必要な書類を提出してもらいます。具体的には「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼所得金額調整控除申告書」「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書」の3枚です。

「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」のうち「基礎控除申告書」はすべての納税者が記入しなければなりません。また「配偶者控除」は配偶者がいる場合に、「所得金額調整控除」は年収見積額が850万円以上の場合に記入します。

扶養控除等申告書

所得税の扶養控除等を受ける際に必要となる書類のこと。その年の12月31日現在に以下すべての要件を満たす人が、扶養親族の対象となります。

  • 納税者と生計を一にしている親族である
  • 申請年中の所得見積額が48万円以下である
  • 配偶者以外の親族や里子、市町村長から養護を委託された老人である
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない、かつ白色申告者の事業専従者でない

保険料控除申告書

各種保険料を支払ったと証明する書類のこと。「生命保険料控除」や「社会保険料控除」、「小規模企業共済等掛金控除」や「地震保険料控除」などを受ける際に必要です。

これらに加入していない場合、保険料控除申告書を提出する必要はありません。しかし名前だけ書いて提出するよう申し伝えておけば、申請書の回収漏れを防げます。

納税額の過不足の計算

「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼所得金額調整控除申告書」「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書」の3枚を回収したら、それぞれのデータにもとづいて税額を計算します。

その際、上記3点の申告書と「給与所得に関する源泉徴収簿」を活用しましょう。これは給与の支払いなどから社会保険料を引いた所得に関する源泉徴収額を記録したもの。

ここで計算した税額と、源泉徴収により天引きした税額の差額を12月あるいは1月の給与支給時に還付するのが「年末調整」です。

過不足納税額の精算

過不足金の計算が完了したら、その過不足分を精算しましょう。年末調整をした月の納付書(所得税徴収高計算書)に過不足金を記載して、徴収税額を納付します。

「過不足税額」とは、実際に納めるべき所得税額と、すでに源泉徴収した金額の差額のこと。徴収税額が多い場合には還付が、少ない場合には追加徴収が行われます。

過不足納税額が発生する理由として挙げられるのは「税額計算に使用される税額表が簡略化されている」「その年の途中で扶養親族や保険料控除などが変わる」などです。

翌年1月末までに各種法定調書を提出

ここまでの対応を、毎年およそ11月下旬から12月下旬にかけて行います。業務はここで終わりません。年末調整に関する書類作成や提出はさらに1月下旬まで続きます。

年末調整の計算が完了したら「源泉徴収票」および「支払調書」を税務署に、「給与支払報告書」を従業員が居住している市区町村に提出します。

源泉徴収票

会社が1年間のうちに支払った給与や手当などの金額、納めた所得税の金額を記載した書類のこと。本来、所得税の納税義務は個人にあるため納税は個人単位で行う必要があるのです。

しかし納税忘れやミス、トラブルを防ぐため、会社が従業員に給与を支払う前に所得税を差し引いて、本人に代わって納税します。これが「源泉徴収」であり、その結果をまとめた控えともいえるのが「源泉徴収票」です。

源泉徴収票とは?【いつ・どこでもらう?】発行方法、見方
源泉徴収票は、給与などの支払額や源泉徴収した所得税額を証明する書類です。企業に勤めていても、生活のいくつかの場面で源泉徴収票の添付や提出を求められることがあるかもしれません。 ここでは、 源泉徴収票...

支払調書

1年間に支払った報酬額や源泉徴収税額を集計した書類のことで、正しくは「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」といいます。おもに企業がフリーランスなどの個人事業主に業務を発注して報酬を支払った際に作成する法定調書です。

支払調書は年末調整を行った翌年の1月31日までに税務署に提出します。これは個人事業主が正しく税金を申告しているか、税務署が確かめるためです。支払調書を見て税務署はお金の動きを把握し、脱税を防ぎます。

給与支払報告書

従業員に給与を支払った事業者が、当該従業員の住んでいる市区町村に提出する書類のこと。記載されている内容は源泉徴収票とほぼ同じといえます。

所得税を納めているという証明のために税務署に提出する書類が「源泉徴収票」、従業員の住民税と国民健康保険を計算するために市区町村に提出する書類が「給与支払報告書」です。

給与支払報告書の提出対象は、前年の1月1日から12月31日のあいだに給与を支払ったすべての従業員。年の途中で退職した人や、12月に一度だけ給与を支払った人も対象となります。

法定調書合計表

同じく法定調書を提出する際に使用する書類のひとつで、法定調書の種類ごとに人数や支払金額などを記載する書類のこと。従業員に渡した以下の書類を集計して、年末調整時に税務署へ提出しなければなりません。

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書