配偶者控除とは? 計算方法の具体例、平成30年改正「年収150万円の壁」の詳細について【所得税・住民税・相続税】

アルバイトやパートで働く主婦の多くが直面している年収の壁。少しでも税金の負担を抑えたいと思う人も多いでしょう。

2018年より世帯の税金に関わる「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の条件が改正となりました。これまでとどう変わったのか、そもそも配偶者控除とはどういった制度なのか。配偶者控除について解説します。

目次

1.配偶者控除とは?

配偶者控除とは一定の条件を満たした配偶者がいる場合に受けられる控除のことで、配偶者とは婚姻届を役所に提出して法律的に夫婦となっている関係のことです。

妻または夫がいる人の税金負担を軽減するための制度で、所得税や住民税、相続税を算出する際、控除の一種となります。

所得税・住民税・相続税の3種類の配偶者控除

配偶者控除は、所得税・住民税・相続税の3つを算出する際に必要となります。納税者に収入のない、または少ない配偶者がいる場合に納税者の総所得金額等から一定の控除を行い所得税や住民税を少なくする仕組みです。

2018年の改正で配偶者控除および配偶者特別控除の大幅な見直しが行われました。

住民税の配偶者控除、相続税の計算における配偶者控除など、何の説明もなく配偶者控除と言われた場合には、一般的に「所得税の配偶者控除」を指します。

専業主婦や収入の少ない配偶者がいる納税者から、一定の所得控除を行って所得税や住民税の負担を少なくする制度を「配偶者控除」といいます

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2.所得税・住民税の配偶者控除とは?

配偶者控除の控除額は、所得税・住民税どちらの場合も本人(夫)と配偶者(妻)の収入の組み合わせで決まります。

納税者本人の年間合計所得金額が1,000万円以下、かつ控除対象配偶者の条件を満たす配偶者がいる場合のみ、適用を受けられるのです。その具体的な条件は下記の5つとなります。

  1. その年の12月31日時点で夫婦である
  2. 夫婦で生計を一にしている
  3. 事業専従者として給与をもらっていない
  4. 納税者本人の年間合計所得金額が1,000万円以下(給料年収1,220万円以下)
  5. 配偶者の年間合計所得金額が38万円以下(給料年収103万円以下)

わかりやすく解説(具体例)

下記の場合は適用の対象となります。

  • その年の9月1日に結婚した
  • 収入源を共有している(日常生活で使うお金を同じにしている)
  • 納税者本人の1月1日~12月31日の合計所得が800万円
  • 配偶者の1月1日~12月31日の合計所得が25万円

反対に、下記のような場合は適用対象外となります。

その年の11月30日に離婚した

  • 互いに独立し、日常生活の資を共通にしていない
  • 納税者本人の1月1日~12月31日の合計所得が1,300万円
  • 配偶者の1月1日~12月31日の合計所得が200万円

配偶者控除の適用には複数の要件を満たす必要があります。すべてを満たさないと適用できません

3.所得税・住民税の控除対象配偶者の条件

住民税の控除対象配偶者の条件について、もう少し掘り下げてみましょう。配偶者控除を受けるには、その年の12月31日時点で次の4つすべての要件に当てはまる必要があります。

控除の分だけ所得税を計算する金額となる「所得」が少なくなるため、結果として納める税金を少なくすることができるのです。

  1. 民法の規定による配偶者である(内縁関係の人物は該当しない)
  2. 納税者と生計を一にしている
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下である
  4. 青色申告者の専業従事者として給与の支払いを受けていない又は白色申告者の専業従事者でない

①民法の規定による配偶者である(内縁関係の人物は該当しない)

その年の12月31日までに婚姻関係を結んでいる、つまり「婚姻届」を役所に提出して法律的に夫婦となっている必要があります。事実婚や内縁関係、同性婚といった場合、婚姻関係がないため、残念ながらパートナーを配偶者控除の対象にはできません。

夫が妻を配偶者控除の対象とすることはもちろん、反対に妻が夫を配偶者控除の対象にすることも可能です。

②納税者と生計を一にしている

「生計を一にしている」とは、日常生活の資を共にしている、つまり日常生活で使うお金を共有しているという意味です。同じ家で暮らしている親族は、共働きでも食費や光熱費を共有していれば「生計を一にしている親族」として認められます。

では単身赴任の場合や大学進学による一人暮らしなどによる別居の状態はどうでしょうか。

この場合、単身赴任先から生活費などを送金している事実があれば「生計を一にしている」と見なされます。週末やお盆休み、年末年始などには帰宅して一緒に住んでいる場合も「生計を一にしている」の条件を満たします。

③年間の合計所得金額が38万円以下である

配偶者が会社から振り込まれる給与のみを収入源とした給与所得者である場合、給与収入が103万円以下である必要が、会社から振り込まれる給与以外に事業所得や不動産所得、雑所得などの所得がある場合は、合計所得が38万円以下である必要があります。

この場合の合計所得は各種繰越控除の適用前の金額です。なお、ここでいう合計所得に育児休業給付金や失業手当、傷病手当や児童手当、生活保護などの非課税所得は含まれません。

給与収入が103万円を超過すると、配偶者控除の対象から外れるだけでなく配偶者本人も所得税の納税が必要となります。これがよくいう「103万円の壁」です。

最近では会社に属さないフリーランスやインターネットビジネスで仕事をする方も増えてきました。

この場合は収入から必要経費を引いた金額、つまり「合計所得」が38万円以下かどうかで判断します。もちろん、配偶者が専業主婦・主夫で収入が何もなければ必ず受けることができます。

④青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色申告者の専業従事者でない

事業専従者とは夫や妻、または親族が営む個人事業に従事している人のこと。夫が自営業の場合、年間6カ月を超えてその仕事を手伝っている妻は「事業専従者」となり、残念ながら配偶者控除は適用されません。

なお夫が白色申告者の場合は、事業専従者となっていないことが条件となります。

配偶者の個人事業に従事しているのが6カ月以下の場合でも、「従事できる期間のうち半分よりも長く」従事していた場合、配偶者控除は適用されません。自営業者の家族従業員になっていると配偶者控除の対象にはならないため注意が必要です。

「103万円の壁」は配偶者控除で多くの夫婦が直面する問題です。本人や配偶者が配偶者控除の要件を満たしているか、それぞれ要件の意味を理解しておきましょう

4.所得税・住民税の配偶者特別控除とは?

配偶者控除と混同しがちなのが配偶者特別控除です。配偶者特別控除も所得税や住民税を算出する際の所得控除のひとつです。こちらも同じく配偶者がいる納税者の負担を考慮し、収入の一部の税金が免除される節税策として設けられました。

配偶者の合計所得が配偶者控除を受けられる上限額を上回った場合、一定の要件を満たすことで配偶者特別控除の適用を受けることができます。

大まかにですが、年収103万円以下なら「配偶者控除」、年収201万円以下なら「配偶者特別控除」と考えるとよいでしょう。

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

配偶者控除の適用要件は上述した通りですが、配偶者特別控除も基本的な条件は変わりません。しかし、配偶者特別控除は配偶者控除に加えて下記条件を満たす必要があります。

  • 配偶者が他の人の扶養親族となっていない
  • 配偶者の年間合計所得が38万円を超えていても、123万円以下である(給与のみの場合は年収が103万円超201万円以下)

配偶者控除と配偶者特別控除では給与所得や事業所得など各種所得を合計した「所得の範囲」が異なります。つまり配偶者の年間合計所得が38万円を超えた場合でも123万円以下であれば、控除を受けることができるのです。

わかりやすく解説(具体例)

下記の場合、配偶者特別控除適用の対象となります、

  • その年の9月1日に結婚した
  • 収入源を共有している(日常生活で使うお金を同じにしている)
  • 納税者本人の1月1日~12月31日の合計所得が800万円
  • 配偶者の1月1日~12月31日の合計所得が90万円

反対に、下記のような場合は適用対象外となります。

  • その年の11月30日に離婚した
  • 互いに独立し、日常生活の資を共通にしていない
  • 納税者本人の1月1日~12月31日の合計所得が1,300万円
  • 配偶者の1月1日~12月31日の合計所得が300万円

「配偶者控除」と「配偶者特別控除」、それぞれの仕組みと違いを理解してどちらに当てはまるのか知っておきましょう

5.所得税の配偶者控除・配偶者特別控除改正(平成30年改正)の内容

平成30年、配偶者控除と配偶者特別控除が大きく改正されました。所得税は平成30年分以後、住民税は令和元年度分以後に改正案が適用されます。改正のポイントは主に以下の3つです。

  1. 控除を受けられる配偶者の年収が103万円以下から150万円以下に拡充
  2. 控除要件に納税者本人の年収要件が追加
  3. 控除を受けられる配偶者の年収上限が変更され、それぞれの合計所得金額に応じた控除額が適用

以下、世帯主を夫、配偶者を妻、年収を給与収入のみの場合を想定して詳しく説明します。

改正のポイント① 配偶者の年収上限が103万円から150万円に引き上げ

夫が38万円の控除対象となるための妻の年収上限が、103万円から150万円に引き上げられました。これにより、妻の年収が150万円以下であれば38万円の控除が適用となります。

年収の壁が「103万円(141万円)の壁」から「150万円(201万円6千円)の壁」へ変更になったことで、これまで141万円以上201万6千円未満で働いていた妻は夫の配偶者特別控除が使えることになるのです。

改正のポイント② 納税者本人の所得によって控除額が逓減・消失

一方で、平成30年の改正前にはなかった夫の年収要件が追加されました。これにより、夫の年収が1,120万円(合計所得金額900万円)を超えた場合、年収が増えるに従って控除額が減少します。

控除額は年収に従って段階的に減少し、年収1,220万円(合計所得金額1,000万円)で適用外となるのです。

多くの家庭で妻の年収要件の拡大を喜ぶ一方、夫の年収が1,220万円(合計所得金額1,000万円)を超える高所得者層は配偶者控除が使えなくなるため、所得税と住民税の負担が大きくなりました。

控除額の減少が始まる夫の年収1,120万円(合計所得金額900万円)のあたりから注意が必要です。

改正のポイント③配偶者の年収上限が141万円から201万6千円に引き上げ

改正前、夫が配偶者特別控除の適用を受ける際の妻の年収の最大は141万円でした。そのため、141万円以上で働いていた場合、配偶者特別控除の適用外になっていたのですが、今回の改正で、上限が年収201万円6千円に引き上げられたのです。

これは141万円以上201万6千円未満で働いていた妻にとっては、夫の配偶者特別控除が使えることになるうれしい改正です。

しかし妻の年収が150万を超える場合、収が増えるに従って38万円の控除額が段階的に減少します。

配偶者の年収が149万円と151万円の場合、2万円額面が増えるメリットがありますが、所得税が納税者と配偶者合わせて3,200円、住民税が4,000円増えるというデメリットもあるのです。

税金面だけ見るとほとんどの場合で、額面が増えた分税金が増えています。こちらも注意が必要でしょう。

「103万円の壁」に加えて「150万円の壁」ができる

ここを超えると所得税が発生するという従来の「103万円の壁」に加えて、今回の改正に伴って生じた「150万円の壁」にも注意する必要があります。

夫が配偶者控除、もしくは配偶者特別控除で最高額となる38万円の控除を受けるボーダーラインという観点では、妻の年収上限は103万から150万に変わりました。しかし妻の年収が103万を超える場合、今度は妻自身が所得税の課税対象となります。

「150万円の壁」は配偶者特別控除の満額である38万円が受けられる上限のラインです。前述の通り、夫の年収によっては減額される場合もあります。

場合によっては結果的に手取りが減り、働いて年収は増えても税収も増える、いわゆる「働き損」となる可能性も考えられます。定期的にご自身の給与額や配偶者の年収額をもとに算出し、検討する機会を設けるとよいでしょう。

配偶者が働いていない期間でも、これらを目安として知っておくと、仕事探しの判断材料になります

6.所得税の配偶者控除の金額

配偶者控除額の金額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額と控除対象配偶者の年齢によって決まります。

参考 No.1191 配偶者控除国税庁

合計所得金額は900万円以下、900万円超え、950万円以下、の3パターン。年齢はその年の12月31日現在、70歳以上であるか、そうでないかの2パターンです。

合計所得金額が900万円を超えると段階的に控除額が減少していき、1,000万円を超えると配偶者控除を受けることができません

7.所得税の配偶者特別控除の金額

配偶者特別控除の金額は、配偶者控除に比べてもう少し細かく分けられています。控除額は控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額と、配偶者の合計所得金額に応じて決まるのです。

参考 No.1195 配偶者特別控除国税庁

平成30年の改正に伴い、平成30年分以前、平成31年分(令和元年分)、令和2年分以降で配偶者の合計所得金額が異なりますので注意してください。

こちらも900万円を超えると段階的に控除額が減少し、1,000万円を超えると配偶者特別控除の適用外となります

8.配偶者(特別)控除を含む所得税の計算方法

それでは具体的に配偶者控除、配偶者特別控除を含む場合の所得税の計算方法について見ていきましょう。

計算する期間

まず始めに、計算する期間は1月1日~12月31日の1年間と決められています。これは配偶者控除であっても配偶者特別控除であっても同じです。

給与所得の金額は給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出しますが、この給与所得控除額は給与等の収入金額に応じて変動します。

計算式

納税額は「納税額=課税所得金額×所得税率-税額控除」で算出されます。

課税所得金額は、「課税所得金額=総所得金額-所得控除額」にて算出されます。この「所得控除額」の部分に配偶者控除、配偶者特別控除が含まれるのです。

また総所得金額は給与所得を含む所得の合計額を指し、給与所得は「給与所得=給与収入-給与所得控除」で算出されます。

前述の通り、給与所得控除額は給与収入の金額に応じて下記の通り変動します。

参考 No.1410 給与所得控除国税庁

参考事項に明記されている通り、令和2年分以降や平成28年分、平成25年分~平成27年分とその年によって計算方法が異なります。給与所得控除の計算方法は頻繁に変更されるため、随時国税庁のサイトで確認しておくとよいでしょう。

配偶者(特別)控除を含む所得税の計算方法は、会社員だけでなく個人事業主やフリーランスで働く人も覚えておきましょう。毎月の家計だけでなく長期的なライフプランにも大きな影響が出てくる可能性があります

9.所得税の配偶者控除・配偶者特別控除に関するQ&A

所得税の配偶者控除や配偶者特別控除について、よく挙げられる質問を整理しました。

配偶者控除と配偶者特別控除、どちらがお得?

所得税だけでは判断できません。夫婦それぞれの住民税額や社会保険の扶養対象可否などを踏まえて綿密に計算する必要があるからです。「103万円の壁」「150万円の壁」だけでなく、夫婦合計で手元に残る金額がどのパターンなら最大になるかを調べましょう。

「配偶者控除で変動する税額等のシミュレーションツール」などを使って、夫婦の合計手取額が最大になる組み合わせを調べることをお勧めします。

自分で調べるだけでは分かりにくい、不安だ、という方は資産形成・家計見直しのプロフェッショナル・ファイナンシャルプランナー(FP)に相談する方法もよいでしょう。

配偶者特別控除の相互適用はできる?

できません。配偶者特別控除ですので、年間の合計所得金額が38万円超123万円以下の場合を想定します。それぞれ相互にこの「配偶者特別控除」の適用が受けられるかというと、相互適用は法律上排除されているのです。

これには扶養控除関係の相互適用は原理として馴染まないという考えがあります。今回の税制改正の際に見直され、夫と妻の相互が配偶者特別控除を受けることはできないことが明記されました。

配偶者控除と配偶者特別控除の併用はできる?

できません。「配偶者控除と配偶者特別控除の違い」の項で説明した通り、そもそも配偶者控除と配偶者特別控除の適用可否は配偶者の年間合計所得がどの程度あるかによって自動的に決まります。

どちらかひとつのみに該当するもので、両方入ることはあり得ません。これは改正前も改正後も同じです。配偶者の年収が150万円以下なら配偶者特別控除の対象となり、最大控除額の38万円が適用となります。

そのため配偶者控除の範囲である103万円以下を狙って勤務時間を減らす意味はありませんが、改正に伴い夫の年収要件が追加されたため、控除額の減少が始まる夫の年収1,120万円(合計所得金額900万円)のあたりからは注意が必要です。

配偶者控除と扶養控除は併用できる?

できません。配偶者控除と扶養控除を両方適用できれば所得控除の範囲が広がり大きな節税対策となりますが、残念ながら併用できません。

所得税や住民税の控除項目となる扶養控除の適用要件には、「配偶者以外の扶養者」という条件が付いています。一般的に本人から見た扶養控除に該当する人は「子ども・祖父母・同一世帯の兄弟姉妹」です。この中に配偶者を加えることはできません。

たとえ同居している親子で母親が専業主婦、父親も子も納税者であった場合でも、父親の配偶者控除・配偶者特別控除の適用(母親=父親の控除対象配偶者)と、子の扶養控除の適用(母親=子の扶養親族)を併用することはできません。

配偶者控除・配偶者特別控除と扶養控除、どちらがお得?

一概にはいえませんが、同一世帯全体で見れば扶養控除を適用したほうが税金は安くなる場合もあります。

具体的に70歳以上の母親を父親の配偶者控除とするか、同居で同一生計の子の扶養親族とするかで比べてみましょう。

母親を父親の配偶者控除とすると控除額は48万円です。それに対して同居し同一生計の子の扶養親族とすると58万円の控除を受けられます。結果として、同一世帯全体で見ると、後者のほうが節税対策になるのです。

一口に扶養控除がいいとは言えず、家族環境や年齢、年収などによって状況は異なります。配偶者控除または配偶者特別控除と扶養控除、どちらの適用を受けるかは納税者が選択できますので、ご自身の状況に応じて選びましょう。

配偶者控除・配偶者特別控除に関しては税理士が相談窓口を設けていることも。無料相談もありますので気軽に利用しましょう

10.住民税の配偶者控除の改正

ここまで説明してきた所得税の改正に伴い、住民税の配偶者控除も改正となりました。個人住民税は令和元年度(2019年度)以後から適用されます。

給与収入金額が1,120万円(合計所得金額900万円)以下であれば従来と同じく33万円の控除が適用できますが、給与収入金額が1,120万円を超えると段階的に控除額が減り、結果的に増税となります。

1,120万円超1,170万円以下で22万円、1,170万円超1,220万円以下で11万円です。さらに1,220万円を超えると控除額は0となり、個人住民税に配偶者控除は適用できなくなるのです。

納税者本人の合計所得金額が900万円、給与収入金額が1,120万円に近づくあたりから注意が必要です

11.改正後の住民税の配偶者控除の金額

前述の通り、改正後の住民税の配偶者控除は納税者本人の所得に応じて控除額が異なります。住民税とは「所得割額」と「均等割額」を合算した納税額のことです。

  • 所得割額:住民税の大半を占めるもので、個人の所得(収入)によって差がある
  • 均等割額:所得にかかわらず課税される額で、同じ自治体に住む納税者は同額を納税している

所得税と同じく、住民税の配偶者控除金額も納税者本人の所得に応じて異なります。給与収入金額が1,220万円を超えると配偶者控除は適用できなくなります

12.改正後の住民税の配偶者特別控除の金額

住民税の配偶者特別控除も配偶者控除と同じく、納税者本人の合計所得金額に応じて控除額が異なります。

これまでは、配偶者の前年度における合計所得金額の上限が76万円未満でしたが、今回の改正に伴い令和元年度からは合計所得金額が123万円以下(給与収入金額で201万6000円未満)に引き上げられました。

こちらも納税者本人の合計所得金額が900万円を超えると段階的に減額となり、配偶者の合計所得金額が123万円(給与収入金額が201.6万円)を超えると控除額は0になります。

改正前の制度と同様、合計所得金額が1,000万円を超えると住民税の配偶者特別控除は適用できなくなります

13.相続税の配偶者控除とは?

それでは相続税の場合、配偶者控除はどのように適用されるのでしょうか。

相続税とは相続や遺言で遺産を受け継ぐ際、遺産総額となる金額が大きくなるとかかる税金のこと。配偶者が相続した遺産のうち、税対象となる額は1億6,000万円です。

つまり、配偶者が取得した遺産額が1億6,000万円以下であれば相続税はかかりません。また1億6,000万円を超えてもね配偶者の法定相続分相当額までであれば相続税は課税されないのです。

1億6,000万円、もしくは配偶者の法定相続分相当額のどちらか高いほうが控除されるという優遇措置が取られています。

相続税の配偶者控除を受けるための3つの要件

相続税の配偶者控除を受けるためには以下3つの要件を満たしている必要があります。

  1. 戸籍上の配偶者である
  2. 申告期限までに遺産分割が完了している
  3. 相続税の申告書を税務署に提出する

①戸籍上の配偶者である

相続税の配偶者控除を受けるには、前提として戸籍上の配偶者である必要があります。戸籍上の配偶者であれば婚姻期間の長短は問われません。仮に婚姻期間が1年でも30年以上でも、どちらも同様に配偶者控除を受けることができます。

ただし籍を入れていない関係、いわゆる内縁関係には認められません。内縁の妻は戸籍上の配偶者とはいえないからです。婚約中や結婚式を挙げたけれどまだ入籍していないといった場合も同様。控除の適用にはあくまでも戸籍上の配偶者である必要があります。

②相続税の申告期限までに遺産分割が完了している

配偶者控除の額は、配偶者が実際に受け取った遺産の額をもとに計算します。そのため相続人全員で遺産の分け方について話し合う「遺産分割協議」が難航している間、配偶者控除を受けることはできません。

また相続税の申告期限は一般的に、被相続人が亡くなった日の翌日から10カ月以内とされています。

申告期限までに遺産分割が終わっていない場合、一旦法定相続分で相続税を申告し、その後3年以内に「更正の請求」をすることで配偶者控除を利用できます。当然ですが、遺産を隠蔽・仮装する行為を行った場合、その財産についての控除は利用できません。

③相続税の申告書を税務署に提出する

相続税の配偶者控除を受けるには、相続税申告書を税務署に提出する必要があります。配偶者控除を受けた結果、納付する相続税が0円になる場合でも、申告手続きをしなければ配偶者控除を受けることはできません。

配偶者控除の場合、実際に配偶者が取得した財産をもとに計算するため、相続税の納付額が0円だったとしても、どういった内容で遺産分割が行われてその財産を取得したのかを把握する必要があるのです。

また申告書の提出がないと、税務署としても配偶者控除によって税額が0円になったのか、単に申告漏れで0円となっているのか判断ができません。

修正申告や期限後申告でも配偶者控除は受けられる

原則として配偶者控除を受けるためには、申告期限までに相続税の申告書を税務署に提出する必要があります。相続税の申告期限は相続の開始を知った日の翌日から数えて10カ月後です。

しかし相続税申告の期限を過ぎてから申告書を提出した場合や、適用を忘れて申告書を提出し直す場合でも、特例が適用されます。

ただしこちらも注意が必要です。税務調査が入り、税務署から指摘を受けた後だとこの特例が使えなくなる可能性があります。

相続税の申告期限が過ぎてしまいそうだと気付いた時点で相続税の申告書または更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、軽減を受けましょう。

また申告期限から3年以内に遺産分割できないなど、やむを得ない事情がある場合も税務署長の承認を得ることで軽減対象にできます。期間はその事情が発生した日の翌日から数えて4カ月以内です。

相続税の配偶者控除は、メリットの大きい制度です。しかし、次の相続の際に大きな控除枠を持たない相続人が、多額の相続税を課されるリスクについて考慮しなくてはなりません