【種類一覧】従業員サーベイとは? 目的や項目を分かりやすく

従業員サーベイとは、企業が従業員の本音や実情を把握するために行う調査のこと。種類や目的、実施のポイントなどを解説します。

1.従業員サーベイとは?

従業員サーベイとは、従業員が企業をどのように認識しているかを知るために行う調査のこと。サーベイ(Survey)は、「調査」や「測定」を意味する言葉です。

従業員サーベイを実施する際は、ターゲットを絞って深く掘り下げず、できるだけ多くの従業員を対象に全体像を把握します。

リサーチやアンケートとの違い

サーベイと似た言葉に「リサーチ」や「アンケート」があり、いずれもサーベイと意味が異なります。

  • サーベイ:物事をより深く詳細に知るため、調査対象や内容を絞って行われる調査
  • リサーチ:全体像を知るため広範囲の人を対象にした大規模な調査
  • アンケート:多くの人から意見を集めるため投げかける質問のこと。サーベイを実施する手段として、アンケートを活用する場合もある

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2.従業員サーベイの種類と項目例

従業員サーベイは従業員へ対する調査の総称で、種類はさまざまあります。3つのサーベイの特徴と効果、代表的な調査項目を説明しましょう。

  1. パルスサーベイ
  2. エンゲージメントサーベイ
  3. モラールサーベイ

①パルスサーベイ

脈拍のように、短いスパンでくり返して行う意識調査です。パルス(Pulse)は脈拍を意味します。

週1回から月1回ほどの頻度で行い、短時間で答えられるかんたんな質問を用いるのが特徴です。調査を短いスパンで繰り返して従業員の意識や変化をリアルタイムに把握できるため、問題に早期に気づけます。代表的な調査項目は以下のとおりです。

  • 従業員の幸福度
  • 経営理念やビジョンへの理解度
  • 業務への意識

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②エンゲージメントサーベイ

従業員が持つ、自社や仕事への満足度や愛着度、信頼感などを把握する調査のこと。アンケートをとおして調査し、結果から企業と従業員の関係性を数値で表せるのです。

数値化によって従業員のコンデションを的確に把握できるため、モチベーションや生産性の向上や離職率の低下、パワハラやセクハラの予防などにも効果的といえます。代表的な調査項目は以下のとおりです。

  • 企業への満足度
  • 仕事への意欲
  • 仕事への満足度や達成感

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③モラールサーベイ

従業員の士気やモチベーションを把握するための調査です。主な実施方式は、3項目からなる「厚生労働省方式」と、5項目からなる「NRK方式」の2種類。

多くの企業で実施されているため、自社の調査結果と他社を比較できるのです。また職場管理や労働条件などに関する質問をとおして、従業員に「自分たちも経営に参加している」という意識を持たせられます。代表的な調査項目は以下のとおりです。

  • 労働条件
  • 人間関係
  • 管理
  • 行動
  • 自我

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3.従業員サーベイの目的

従業員サーベイの目的は、従業員への調査をとおして可視化されていない企業課題を発見すること。ここでは従業員サーベイを行う目的を説明します。

  1. 従業員の本音を調査
  2. 企業の環境改善

①従業員の本音を調査

本音を聞き出し、表面に現れないニーズを知るため、従業員サーベイを行います。

経営陣が対話や面談を実施しても、従業員は印象が悪くなることを恐れて本音を語らない場合も少なくありません。従業員サーベイを実施すれば、集めた回答から客観的に従業員の現状を数値化でき、隠された本音を把握できます。

企業と従業員との間に生じている認識のズレが明らかになり、新しい課題が発見される可能性もあるのです。また数値化したデータは、人事戦略における指標として活用できます。

②企業の環境改善

表面化していない組織の課題をあぶり出し、企業の環境を改善するために、従業員サーベイを行います。さまざまな視点で調査と分析を行うと、職場における従業員の不満や組織の問題点などを把握しやすくなるからです。

明確になった問題や課題に対する改善を実施すると、従業員満足度や従業員エンゲージメントの向上につながります。これらは従業員のモチベーションや生産性を高める効果があるため、自社の利益増加などの効果も期待できるのです。

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4.従業員サーベイは無意味なのか?

「従業員サーベイを実施しても効果が実感できない」ケースがあります。これは調査後に「結果の分析」「改善策の実行」を行っておらず、従業員サーベイが「ただのアンケート調査」になっていることが原因です。

従業員サーベイを効果的に行うためにも、以下の4つを徹底しましょう。

  1. 実施する目的を明確にする
  2. 収集したデータを数値化して解析する
  3. 改善策を立案する
  4. 施策を実行する

また従業員が「サーベイに協力しても何も変わらない」と感じればエンゲージメントは低下し、逆効果になりかねません。従業員サーベイを実施したあとは、従業員に向けて結果をフィードバックするとよいでしょう。

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5.従業員サーベイのメリット・デメリット

従業員サーベイで集めたデータを活用すると、さまざまな効果が得られます。ここでは従業員サーベイのメリットとデメリットを説明しましょう。

メリット

従業員サーベイのメリットには、満足度や課題の数値化と、離職率の低下が挙げられます。それぞれについて詳しく説明しましょう。

  1. 満足度や課題を数値化
  2. 離職率の低下

①満足度や課題を数値化

従業員の満足度や企業の課題などを数値化できる点が、従業員サーベイの大きなメリット。現状を客観的なデータで示して深く分析すれば、効果的な施策を立案できます。

さらに数値化すると過去のデータと比較でき、施策の有効性を判断する際の指標にもなるのです。従業員サーベイをくり返してPDCAサイクルを回していけば、持続的な成長を促進するでしょう。

②離職率の低下

従業員サーベイの実施で、離職率が低下する可能性もあります。組織の現状や従業員の本音を把握でき、組織や職場環境の改善に取り組めるからです。

働きやすい職場は従業員の満足度やモチベーションの向上につながり、離職率の低下も期待できます。サーベイを行わずに組織や環境の改変を行ってしまうと、従業員のニーズと合わず、人材の流出や生産性の低下をもたらす恐れもあるのです。

デメリット

従業員サーベイの実施が、かえって従業員の負担や不満を高めてしまうかもしれません。ここでは従業員サーベイのデメリットを解説します。

  1. 従業員の負担が大きい
  2. サーベイに対する不満が募る

①従業員の負担が大きい

従業員サーベイを実施する担当部署と、回答する従業員に負担がかかります。

集めたデータを有効活用するには、結果の集計と分析が欠かせません。そのため、担当部署には時間と労力の負担がかかるのです。とくに「調査対象者が多い」「実施頻度が高い」場合、担当部署の負担が増える可能性もあります。

また業務の合間に回答する従業員にも負担がかかるため、不満が高まるかもしれません。

②サーベイに対する不満が募る

従業員サーベイの実施が、かえって従業員が不満や不安、不信感を募らせてしまうことがあります。

たとえば調査の目的や期待される効果を明示せずに行った場合、従業員は「何のための調査だろう」と不安を感じ、質問に答えないかもしれません。これでは正確なデータが得られず、適切な分析やフィードバックもできなくなります。

このような状況を避けるためにも、事前に調査の意図を丁寧に説明しましょう。

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6.従業員サーベイ実施のポイント・注意点

従業員サーベイを効果的に実施する際は、先述したデメリットに注意が必要です。ここでは4つのポイントを説明します。

  1. 目的を従業員に共有する
  2. 定期的に実施する
  3. 従業員への負担を軽減する
  4. フィードバックを忘れずに

①目的を従業員に共有する

従業員のリアルな現状を知るためにも、調査の目的や意図を事前に周知しましょう。そして従業員に不安を抱かせないよう、「回答は評価に影響しない」「匿名である」点もしっかりと伝えます。

従業員が納得して従業員サーベイに回答するほど、正確なデータを収集できるようになるのです。それは企業の成長や環境改善などへ効果的に活用できるでしょう。

②定期的に実施する

従業員サーベイは「1回で終わり」ではなく、継続して実施しましょう。

めまぐるしく変化するビジネス環境のなか、企業の課題は次々に発生するもの。定期的に従業員サーベイを行い「調査」「分析」「改善策の実行」の工程をくり返しながらPDCAサイクルを回せば、新たな課題の発見と改善がスピーディーに行われるでしょう。

それにより、さまざまな課題解決による企業の継続的な成長が期待できるのです。

③従業員への負担を軽減する

従業員サーベイを実施する際は、従業員への負担を軽減する配慮が必要です。サーベイが負担になった従業員がいいかげんな回答をするケースもあるからです。

正確なデータが得られずに誤ったデータをもとにした改善策を実行すれば、職場環境が悪化するかもしれません。「選択肢を設けて答えやすい工夫をする」「回答期間を長めに設定する」など、できるだけ従業員の負担にならない工夫が必要です。

④フィードバックを忘れずに

従業員サーベイを実施したら必ず従業員に向けてフィードバックを行いましょう。従業員側は調査結果や企業のアクションに注目しているからです。

情報を得るだけで企業が何の反応も示さなければ、失望した従業員のエンゲージメントやモチベーションが大きく低下する恐れもあります。調査結果や分析結果はHPや社内報などで共有し、改善策も実行しましょう。

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7.従業員サーベイの企業事例

従業員サーベイを実施する際は、成功している取組み事例を参考にできます。ここでは3社の企業事例を紹介しましょう。

  1. スターバックス
  2. イオングループ
  3. ソフトバンク

①スターバックス

スターバックスはアメリカでの業績が悪化した2007年ごろから、従業員エンゲージメントの重要性を痛感し、エンゲージメントサーベイを行ってきました。

結果から、アルバイトを含めた新採用の従業員に対して、企業のミッションやバリューが浸透する取り組みを考案。さらに「個人の成長目標」と「店舗でのパフォーマンスに関する目標」を設定してもらい、4か月ごとの人事考課で振り返るようにしました。

取り組みを継続しているスターバックスは、コロナ禍でも黒字をキープして右肩上がりの成長を続けています。

②イオングループ

イオングループは、毎年継続してモラールサーベイを実施し、結果や改善策は企業全体で共有しています。調査の目的は従業員の働く環境を向上させること。

同社が実践するモラールサーベイでは奇数年度に「自社の位置づけ」「強みや弱みの把握」、偶数年度に「課題の原因を深く掘り下げる」を調査します。

結果や改善策も共有し、従業員の当事者意識を高め、企業全体のモチベーションアップに役立てているのです。

③ソフトバンク

ソフトバンクは、2019年から人事本部が独自に開発したパルスサーベイを実施。目的は「従業員の満足度や健康状態の把握」と「上司とのコミュニケーションの活性化」です。

同社のパルスサーベイは「仕事」「生活」「健康」のカテゴリーに分類される12の設問に、総合設問をくわえた「13の設問」で構成されています。

パルスサーベイは毎月定期的に行われ、設問ごとに「7つの段階」から選択し、わずか1分から2分ほどでかんたんに回答できるよう工夫されているのです。個人が力を発揮する状態の分析に、サーベイ結果を役立てるといった活用も検討されています。