従業員満足度とは? 企業にもたらす3つのメリットや高い企業と低い企業の違いについて

従業員満足度とは、従業員の満足度を示す指標のことです。ここでは、従業員満足度が企業にもたらすメリットや、高い企業と低い企業の違いなどについて解説します。

1.従業員満足度とは?

従業員満足度とは、会社に対する従業員の満足度を高めると、会社の業績も向上するという考え方のこと。英語表記ではEmployee Satisfactionとなるため、ESとも呼ばれています。

従業員満足度と似た言葉に「従業員エンゲージメント」があり、2つの違いは下記のとおりです。

  • 従業員満足度:従業員側から見た満足度を一方向的に測定する
  • 従業員エンゲージメント:会社と従業員、双方向的な関係を測定する

従業員満足度と似た言葉には、ロイヤルティやコミットメント、モチベーションなども挙げられます。言葉の意味を知り、どのように施策に落とし込むか、アプローチの方法を探っていきましょぅ

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2.従業員満足度の構成要素5つ

従業員満足度は以下5つの要素から構成されます。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

  1. 企業理念やビジョンの共有
  2. マネジメントへの納得感
  3. 職場環境の満足感
  4. 良好な人間関係
  5. 仕事の社会的意義を感じられる社会貢献度

①企業理念やビジョンの共有

企業ビジョンとは、企業が顧客に対してどのような価値を提供するのか、どのように社会貢献するのかを企業理念にもとづいて定める全体的な方向性のこと。企業理念やビジョンを共有すると、従業員同士の一体感や、企業の将来に対する期待感が高まります。

企業理念を部署やチームの目標レベルにまで落としこむと、帰属意識を強める効果も期待できます。反対にいうと、企業ビジョンが共有できなければ仕事に対する納得感が薄れ、従業員満足度の低下、生産性ダウンを招く恐れがあるのです。

②マネジメントへの納得感

上司や管理層によるマネジメントへの納得感も、従業員満足度の高低に大きく影響します。上司から認められているという承認感を持った従業員と、上司の評価や采配に納得できない従業員、どちらの従業員満足度が高いかは、いうまでもありません。

事実、実務に見合った評価がされていないと感じる、不明瞭な采配が行われていると感じる、などを理由に離職を考える従業員も一定数存在します。

また従業員満足度には、マネジメントを行うリーダー自身の満足度も影響するのです。リーダーの満足度が低ければ、公正なマネジメントが実施される可能性も低くなります。

③職場環境の満足感

職場環境への満足感は、従業員満足度の高低を左右する分かりやすい要因です。業務効率が上がるシステムや制度が積極的に導入されれば、当然ながら働きやすさが高まり、従業員満足度も向上するでしょう。

たとえば、多くの機械設備が稼働する工場で十分な空調整備がされていなかったらどうなるでしょうか。暑さに耐えながら仕事をする従業員のミスが増えるだけでなく、体調を崩したり企業全体の生産性を下げたりする恐れもあるでしょう。

このほか、職場環境の満足感には従業員のニーズに沿った福利厚生制度の拡充や、ワークライフバランスを実現した就業規則なども影響します。

④良好な人間関係

人材総合サービスを提供するエン・ジャパンが2019年に実施した調査によると、本音の転職理由の上位に「職場の人間関係が合わない」という理由がランクインしました。

「風通しが悪い」「思ったことをいえない雰囲気がある」「派閥やハラスメントが存在する」といったように、人間関係のよくない環境で従業員満足度が下がるのは当然でしょう。

人間関係の悪化は従業員満足度や生産性を低下するだけでなく、企業全体としての社会的な評価を下げる可能性もあります。メンタルケアや組織改善などに取り組み、早急に状態を改善しなければなりません。

⑤仕事の社会的意義を感じられる社会貢献度

自分の仕事がほかの従業員や社会にどのような影響を与えているかも、従業員満足度の高低に影響します。

「夜間メンテナンスで誰にも評価されない」「あまりに小さい取り組みだったため何の役に立ったのか分からなかった」など、仕事内容によっては貢献度が顕在化しにくいです。

社内で互いに関心を持ち、称賛し合える企業風土を醸成しましょう。自分の仕事が会社の役に立っている、社会に貢献していると実感できればモチベーションもさらに高まり、従業員満足度も向上します。

従業員満足度の高低には、さまざまな要素が影響しています。複数の要因が絡み合っている場合もあるため、多角的な調査から課題解決を進めましょう

3.従業員満足度が企業にもたらす3つのメリット

なぜ企業は従業員満足度を高める必要があるのでしょう。ここでは従業員満足度が企業にもたらすメリットについて解説します。従業員満足度の向上によって企業が得られるメリットは、以下の3つです。

  1. 生産性の向上
  2. 顧客満足度の向上
  3. 人材の確保と流出の防止

①生産性の向上

従業員満足度が向上すると、仕事に対するモチベーションが上がり、結果として企業の生産性が向上します。

厚生労働省からも、従業員満足度と顧客満足度の両方を重視した会社は、顧客満足度のみを重視した企業に比べ、売上高・営業利益率・売上高ともに増加傾向にあると発表されているのです。

従業員満足度の高い従業員は、仕事を「やらされている」わけではなく「自発的」に取り組みます。結果として企業全体としての生産性を高められるのです。

②顧客満足度の向上

従業員満足度と顧客満足度には密接なかかわりがあります。かつては業績を上げるために顧客満足度が重視し、従業員満足度は二の次とされていました。最近では、顧客満足度を高めるより先に、従業員満足度の向上に努める企業が増えています。

従業員満足度の高い従業員は自社への愛着が高く、商品やサービスに対してより深い理解を得ようとするのです。これが商品やサービスの品質向上、顧客に高い価値を届けることにつながります。

③人材の確保と流出の防止

従業員満足度の高い会社は、既存の従業員が離れたくないと感じている会社でもあります。企業理念や評価制度に納得できないというように、従業員満足度の低い企業では当然のことながら人材は定着しません。

また従業員満足度の高い従業員が多ければ多いほど、企業全体のイメージもアップするうえ、人材確保にかかるコストも削減します。従業員満足度の向上が、新たな求職者やリファラル採用(従業員の紹介による採用)を呼ぶのです。

厚生労働者は、従業員満足度向上の取り組み期間が長い企業ほど業績が向上し、人材確保ができているとも報告しています

4.従業員満足度が高い企業と低い企業の違い3つ

企業そのものの価値を高める従業員満足度。従業員満足度の高い企業と低い企業には、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは次の3つの視点に絞って、従業員満足度の高低による違いを解説します。

  1. 積極性
  2. 帰属意識
  3. 顧客対応

①積極性

従業員満足度の高い企業の従業員は、自分の仕事に対して前向きな傾向にあります。仕事は「他人から強要されたものではなく、自らの意思で課題や目標に向かって取り組むもの」という意識になるのです。

一方、従業員満足度の低い従業員が抱いているのは「仕事をやらされている感」。与えられた仕事をこなすのみで、生産性向上に積極的に取り組む状況は少ないです。

②帰属意識

企業への帰属意識が強く、自社に誇りを持っているため離職率が低いのも、従業員満足度が高い従業員の特徴です。経営陣や幹部従業員との絆が強い、とも言い換えられます。

従業員満足度が低いとこうはいきません。従業員同士のコミュニケーションが足りなかったり、仲間意識が芽生えなかったりとロイヤルティが低い状態になってしまいます。

③顧客対応

前述のとおり、従業員満足度と顧客満足度には密接なかかわりがあります。満足度の高い従業員は、サービスや商品の知識が深いため、顧客が真に望むサービスを適切に提供できるのです。

一方、従業員満足度の低い従業員は、顧客に対して親身に対応しにくくなります。従業員満足度の低下は、長期的に見て顧客満足度の低下を招いてしまうのです。

従業員満足度の高低は、決して一時的な問題の顕現ではありません。企業の経営課題ともいえる重要な課題なのです

5.従業員満足度を向上・改善させるための施策4つ

企業の経営課題ともいえる従業員満足度を向上・改善させるには、どのような施策が必要なのでしょう。ここでは以下4つから、従業員満足度を向上させるための施策を解説します。

  1. マネジメントの強化
  2. 待遇・福利厚生の充実
  3. 研修などのサポート体制
  4. 目標意識の共有

①マネジメントの強化

上司や管理層によるマネジメントへの納得感が、従業員満足度の高低に大きく影響することは先に述べたとおりです。そのため、従業員の直属上司にあたる管理職の教育が重要になります。

管理職のマネジメントスキルを強化するには、管理職研修などを通して、現状の分析力と問題解決力を高めるとよいでしょう。これにより管理者自身の従業員満足度も高まります。

②待遇・福利厚生の充実

福利厚生の拡充は、単なる待遇向上ではなく、さまざまな経営課題や人事課題を解決する要因になります。マイナビが調査した20年卒就職モニター調査によれば、入社決定の判断材料の第1位は「待遇(給与・福利厚生等)に関する情報」でした。

従業員満足度を高めるには、業界平均や競合他社の平均値を調査し、自社の待遇が適切なものであるか、見直しも必要です。同時に、自社の福利厚生が多様化するライフワークバランスに合っているかも確認しましょう。

③研修などのサポート体制

厚生労働省の調査によると、能力開発や訓練の機会がない場合、自社での成長に不安を覚え、離職する従業員が出てくるそうです。従業員満足度の向上、改善を行うためにもフォローアップ研修や途中入社研修などを実施し、従業員の能力値を平準化しましょう。

会社が求めるスキルと本人が求めるスキルにずれが生じていては、研修の内容も活かせません。研修をはじめとしたスキルアップサポートの体制を整えて、経営理念の浸透や従業員同心の連帯感を強化しましょう。

④目標意識の共有

経営層だけが企業ビジョンを持ち、目標を掲げていても、当然ながら従業員満足度や生産性の向上にはつながりません。企業やチームが抱える目標を現場単位にまでブレイクダウンし、企業全体で共有する必要があるのです。

そのためには目標を数値化・言語化するなどして「目標を見える化」しましょう。漠然とした企業ビジョンや経営理念を具体的にすると、当事者意識を強く持てます。この「当事者意識」を持つことが、従業員満足度の向上につながるのです。

従業員満足度は、どれかひとつの施策を講じれば向上するものではありません。後述する従業員満足度調査を通じて企業が抱える課題を明らかにし、それに応じた改善策が必要です

7.従業員満足度の調査方法

従業員満足度調査とは、従業員が仕事内容や人間関係、職場環境などについてどの程度満足しているかを測る調査のこと。そんな従業員満足度の調査方法について解説します。

従業員満足度調査の目的を理解する

はじめに、従業員満足度調査の目的を明確化します。従業員満足度調査の目的は、次の2つです。

  • やりがい(モチベーション)の可視化:日常の様子観察や面談では分からない従業員のやりがい(モチベーション)を可視化する
  • 人事施策のPDCA:調査によって現状を把握し、新たな施策検討に役立てる

目的があいまいなまま調査を進めても、アンケート設定や分析、フィードバックにブレが生じてしまいます。必ず調査の目的を理解しておきましょう。

アンケート項目の設定

続いて、従業員満足度を調査するためのアンケート項目を設定します。従業員満足度調査の成功は、調査項目の質にかかっているといっても過言ではありません。次の8つの要素をうまく組み込み、回答率を下げない程度の設問数に収めましょう。

  1. 仕事に関する項目
  2. 職場に関する項目
  3. 上司に関する項目
  4. 会社風土に関する項目
  5. 処遇に関する項目
  6. 福利厚生に関する項目
  7. 経営に関する項目
  8. 総合的な項目

分析

従業員満足度調査の目的は、分析とデータの活用です。データを集計して終わっていては、調査の必要性が感じられなくなり、反対に従業員満足度を下げてしまうでしょう。

ここで明確化しておいた「調査の目的」が役立ちます。どのような分析が必要なのかが、おのずと明らかになるのです。目的に応じて相関関係を調べたり、従業員満足度を下げる要因は何か特定したりして次のフィードバックにつなげましょう。

対策をフィードバック

従業員満足度調査の集計や分析を通して課題が明らかになったら、そこから優先度を決めて、それぞれ解決する手段を見つけます。

フィードバックには、直接的な課題解決だけでなく、企業全体として職場環境を改善しようとしている、従業員満足度を高めようとしている姿勢を伝える目的もあるのです。

社内報や全社宛てメールなどを活用して、調査結果をまとめた資料や顕現した課題、今後の具体的な施策内容などを共有しましょう。

従業員満足度調査を意味のある取り組みにするためにも、はじめに調査の目的をしっかりと定めておきましょう

8.従業員満足度が高い企業の事例

それでは、従業員満足度が高い企業の事例を見ていきましょう。各社の取り組みが、参考になるかもしれません。

ディノス・セシール

通信販売事業を手掛けるディノス・セシールは、厚生労働省が定める「2018年の働きやすく生産性の高い企業」において優秀賞(職業安定局長賞)を受賞しました。

企業統合の際、働き方に対する意識や風土が異なっていた点から新規プロジェクトを立ち上げ、従業員満足度の向上に努めたのです。

「企業内掲示板を使用した情報発信」「時差出勤の奨励」「時短フレックスの推進」などさまざまな取り組みを実施し、労働生産性と雇用管理改善の好循環を作り出しました。

伊藤忠商事

みずほグループの大手総合商社・伊藤忠商事では、優秀な人材の流出やビジネスチャンスの逸失に課題を抱えていました。そこで取り組んだのが、朝型勤務制度の導入です。

夜型の残業体質から朝型勤務にシフトして、年間平均残業時間を10%以上削減。先進的な取り組みは政財界にも影響を与え、導入から6年たった今も着実に成果を生み出しています。

メルカリ

日本最大のフリマアプリ「メルカリ」や、アプリ内で簡単に決済が行える「メルペイ」を運営するメルカリでは、すでに入社している人材の成長、活躍支援に注力しました。

  • 産休・育休中の給与を100%保障する「merci box」
  • 異なる国籍や文化を持つメンバーが円滑なコミュニケーションをはかれる翻訳・通訳のサポート

などユニークな福利厚生制度を充実させ、ワークライフバランスの推進や生産性の向上を実現したのです。

ジヤトコ

変速機や自動車部品の製造開発、販売を手掛けるジヤトコは労働時間の「見える化」を推奨しながら休暇制度や在宅勤務の利用率を高め、生産性の向上を実現しました。

また取り組みが評価され、厚生労働省静岡労働局が魅力ある職場づくりに取り組んだ企業として発表する「ベストプラクティス企業」に選定されたのです。

従業員満足度を高めるための取り組みは、自社の規模や背景、抱える課題などによってさまざま。有為な施策を立てるためには、従業員満足度調査が欠かせないのです