扶養控除とは? 基本的な仕組み、適用されるための要件について

扶養控除とは、所得税上のひとつの控除です。ここでは、扶養控除について、さまざまな観点からポイント解説します。

1.扶養控除とは?

扶養控除とは、納税義務のある者に所得税上の控除対象となる扶養家族がいる場合、扶養家族の人数に応じて一定の金額の所得控除が受けられる税制上の仕組みのこと。扶養控除の制度によって、納税者本人の納税負担が軽減されるのです。

扶養家族に該当するか否かについては、いくつかの要件が定められています。要件のすべての当てはまる扶養家族がいる場合、扶養控除の対象にできるのです。

扶養控除とは、納税者に所得税上の扶養家族がいる場合、その人数に応じて一定の所得税控除が受けられる仕組みのことです

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2.扶養控除の定義と税制改正の影響

扶養控除を正しく理解するためにも、扶養控除の定義を確認しておきましょう。ここでは、2020年の税制改正と扶養控除との関係について解説します。

税制上の扶養

国税庁では扶養控除の定義を「納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。」としています。

ここから、税制上の扶養が所得税の控除に関する控除だと分かるでしょう。このほか住民税の控除に関しても扶養控除の対象となるものがあるのです。所得税や住民税ともに、扶養家族には扶養への該当要件が定められています。

社会保険上の扶養

扶養には、健康保険や厚生年金に関する社会保険上の扶養という概念もあります。社会保険上の扶養の要件は「6親等内の親族」「3親等内の姻族」で、具体的には下記のとおりです。社会保険上の扶養になると、被扶養者は社会保険料を負担する必要はありません。

  • 父母、祖父母、宗祖父母、高祖父母、子、孫、ひ孫、曾孫、来孫、昆孫などの6親等内の親族
  • 結婚した配偶者の3親等内の親族

交通費などの取り扱い

交通費や通勤手当の取り扱いについては、「税制上の扶養」「社会保険上の扶養」とで、異なります。

税制上の扶養では、交通費や通勤手当は年収に含めません。一方、社会保険上の扶養では交通費や通勤手当は年収に含まれます。

厚生年金保険法における「報酬」が、被保険者が事業主から労務の対償として受けるすべてを指すため、金額を問わず交通費も含むさまざまな手当は年収に含まれるのです。

2020年の税制改正による影響

2020年の税制改正によって、扶養控除は一部変更されました。変更事項は、「基礎控除の引き上げ」「給与所得控除の引き下げ」の金額で、具体的には下記のとおりです。

  • 基礎控除は、所得にかかわらず一律38万円が、改正によって原則48万円に引き上げ
  • 給与所得控除は、原則10万円の引き下げ

改正前と改正後を比較すると、基礎控除と給与所得控除の合計金額は103万円と変更がありません。

扶養控除は、税制上の控除・社会保険尿の控除によって定義や交通費の取り扱いに関する要件が異なります

3.扶養控除を受けるための要件と控除金額

扶養控除を受けるためにも、要件や控除金額を正しく理解しておきましょう。ここでは、下記3点についてポイントを解説します。

  1. 扶養控除の要件
  2. 控除金額
  3. 扶養から外れた場合の社会保険の加入

①扶養控除の要件

扶養控除を受ける要件は5つです。その年の12月31日時点ですべての要件を満たすと扶養控除が受けられます。

  • 納税者の扶養親族で生計を一にする人
  • 年間の合計所得金額が48万円以下の人
  • 個人事業主の事業を手伝っている家族である青色事業専従者、事業専従者でない人
  • 他の人の扶養親族、控除対象配偶者になっていない人
  • 16歳以上である

②扶養控除の金額

扶養控除の金額は、扶養親族の年齢や同居の有無などにより下記4つのパターンがあります。

  • その年12月31日現在の年齢が16歳以上の「控除対象扶養親族」は、38万円
  • その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の「特定扶養親族」は、63万円
  • その年12月31日現在の年齢が70歳以上で同居老親等以外の者である老人扶養親族は、48万円
  • 老人扶養親族のうち、納税者またはその配偶者の直系の尊属で、納税者又はその配偶者と普段同居している同居老親等は、58万円

③扶養から外れると社会保険への加入が必要

扶養控除対象となっていた親族が、扶養から外れる場合があります。

たとえば扶養控除対象者である親族の収入が増えるなどの理由で、扶養要件を満たさなくなるケースです。扶養控除の対象親族から外れる際、社会保険の加入に注意しなくてはなりません。

扶養から外れた場合は、社会保険に加入する手続きを行うと共に、社会保険料の支払い義務が発生します。扶養を外れなければならない年収に近くなったら、年収の金額を確認しましょう。

扶養控除を受ける要件は5つです。また扶養控除の金額には、4つのパターンがあります

4.◯◯万円の壁と年収の計算

扶養控除を語る際、よく「◯◯万円の壁」という言葉を耳にしますが一体何でしょうか。これは扶養控除に関わる年収ラインを意味します。一体どんなものか、下記から解説しましょう。

  1. 「◯◯万円の壁」とは?
  2. 年収の計算方法
  3. 扶養控除を受けるための手続き
  4. 扶養の範囲内で仕事を見つけるのも1つの方法

①◯◯万円の壁とは?

「◯◯万円の壁」とは、扶養に関わる年収ラインのこと。税制上の扶養や社会保険上の扶養には、それぞれ、税制上の不利が生じる年収ラインが設けられています。

  • 103万円の壁を超えると所得税が発生する
  • 130万円の壁を超えると社会保険の扶養から外れる
  • 150万円の壁を超えると配偶者特別控除が徐々に減額されていく
  • 201万円の壁を超えると配偶者特別控除が受けられる上限

②年収の計算方法

「◯◯万円の壁」を考える際、年収の計算方法を確認しておくとよいです。

税制上の扶養でも社会保険上の扶養でも、年収を計算する際は「月収×12カ月」の計算式を用います。ボーナスなどが支給された場合には、「月収×12カ月」にボーナス分をプラスするのです。

交通費や通勤手当などは、下記のように異なる取り扱いがなされている点に注意してください。

  • 税制上の扶養は、交通費などの手当は年収に含まない
  • 社会保険上の扶養は、交通費や各種手当を年収に含む

③扶養控除を受けるための手続き

税制上の扶養控除を受けるには、必要な手続きがあります。必要書類は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で、個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」と統合した様式となっています。

扶養控除を受ける際は、申告書をその年の最初に給与の支払を受ける日の前日(中途就職の場合、就職後最初の給与の支払を受ける日の前日)までに給与支払者に提出します。給与支払者は、申告書の提出が求められる場合を除き、手元に保管しておくのです。

④扶養の範囲内で仕事を見つけるのも1つの方法

今後、新たに仕事を探そうと考えた場合、扶養の範囲内に収まる年収の仕事を探すのもひとつです。勤務時間や給与の要件をよく確認しないで就職した結果、税金や社会保険料の金額によって思わぬ不利を被る場合もあります。

扶養控除を賢く利用するためにも、家庭の年収を事前に確認したりどのくらいの時給や日数で働くのがいいか、基準を設けてみましょう。また扶養の範囲内で働ける働き方がある会社を探すなど働き方に注目するのもよいでしょう。

扶養には、いくつかの「◯◯万円の壁」があります。扶養控除を利用できる年収で働く方法を見据えるのもよいでしょう

5.扶養控除と配偶者控除は異なる仕組み

扶養控除と似ている言葉に配偶者控除があります。しかし扶養控除と配偶者控除は仕組みが異なるのです。それぞれの仕組みや特徴について解説しましょう。

配偶者は扶養控除の対象とならない

扶養控除の対象にならないケースは3つです。

  1. 同時に2人の扶養に入れない:たとえば父に扶養されている子どもは、同時に母の扶養には入れない
  2. 配偶者は扶養控除の対象にならない:配偶者は、配偶者控除や配偶者特別控除の対象となるため、扶養控除の対象にならない
  3. 16歳未満の子ども:16歳未満の子どもは子ども手当の対象になるため、扶養控除対象者には該当しない

配偶者控除と配偶者特別控除

配偶者控除とは、納税者に一定年収以下である所得税法上の控除対象配偶者がいる場合、一定金額の所得控除が受けられる控除制度です。

一方、配偶者特別控除とは、配偶者に48万円を超える所得があって配偶者控除の対象外となっても、配偶者の所得に応じて所得控除が受けられる控除制度です。

配偶者控除、配偶者特別控除共に、控除要件や手続きがそれぞれ定められています。控除を受ける際には、事前に確認しておきましょう。

老人扶養親族として親も控除対象となる

老人扶養親族とは、控除対象となる扶養親族の中でも、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人のこと。

70歳以上の親を扶養親族として扶養控除を受ける場合、老人扶養親族に該当すると、一般的な扶養控除額よりも控除される金額が上がるのです。具体的な控除額は、下記のように定められています。

  • 老人扶養親族で同居老親等以外の者の控除額は48万円
  • 老人扶養親族で同居老親等の者の控除額は58万円

「扶養控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「老人扶養親族の扶養控除」など、扶養控除の仕組みを正しく理解しましょう