扶養とは? 扶養の壁、被扶養者認定、扶養を超えた場合について

扶養は、税金や社会保険の制度に深く関わるワードです。ここでは、扶養についてのポイントを解説します。

1.扶養とは?

扶養とは、一般的には親族から経済的援助を受けることで、「妻が夫の扶養に入る」「夫が妻の扶養に入る」といった使い方をします。

所得税や社会保険に限定して解釈すると、一定の収入を超えた場合に扶養から外れてしまう、超えてはいけない壁のことを意味します。

所得税と社会保険の扶養には、「所得税と社会保険の扶養」「社会保険のみに関する扶養」と2つのパターンがあり、それぞれに超えてはならない収入の金額設定が設けられているのです。

扶養には、「所得税と社会保険の扶養」「社会保険のみに関する扶養」の2つがあり、それぞれに超えてはならない収入額が設定されているのです

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2.超えてはならない扶養の「壁」とは?

所得税法上の扶養には、超えてはならない金額の壁があります。ここでは、扶養における所得税法や社会保険上の「壁」について、下記3つの年収額を用いて解説しましょう。

  1. 年収103万円の壁
  2. 年収106万円の壁
  3. 年収150万円の壁

①年収103万円の壁

年収が103万円以下であれば所得税がかからないという収入ラインです。所得税額は1年間の収入から、「年間48万円の基礎控除」「年間55万円の給与所得控除」を差し引いた残額に税率をかけて計算します。

つまり1年間の収入総額が、基礎控除と給与所得控除の合計金額である103万円以内であれば、収入総額から控除額を差し引いた値がゼロ以下となるのです。所得税率をかけても所得税額がゼロになります。

②年収106万円の壁

年収が106万円以上になると、一定要件を満たしたアルバイトやパートタイマーは社会保険に加入しなければならない収入ラインとなります。要件は下記のとおりです。

  • 正社員が501人以上の企業
  • 収入が月88,000円以上
  • 雇用期間が1年以上
  • 所定労働時間が週20時間以上
  • 学生ではない

年収106万円以上で、かつ上記の要件を満たした場合、厚生年金保険、健康保険に加入しなくてはなりません。

③年収150万円の壁

税制改正による配偶者特別控除の拡大で生まれた壁で、配偶者の税金控除である「配偶者特別控除」が段階を追って減額されるラインです。下記のような仕組みになっています。

年収103万円を超えた場合:年収150万円までは配偶者控除が受けられなくなる一方、年収約201万円までは配偶者特別控除が受けられる

年収150万円を超えた場合:夫の収入が1,220万円を超えるまで配偶者特別控除の額が徐々に減額されていく

所得税・社会保険に関わる金額の壁は、103万円・106万円・150万円の3つがあります

3.健康保険の被扶養者の認定とは?

健康保険の被扶養者の認定については、法律によって一定の基準が設けられているのです。ここでは、健康保険の被扶養者について、4つの観点からポイントを解説します。

被扶養者の範囲とは?

健康保険の被扶養者の認定に際し、重要になるのが被扶養者の範囲です。被扶養者の範囲は法律上で下記のように定められています。

  • 同居を問わず、被保険者の直系尊属、事実上婚姻関係と同様の人を含む配偶者、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
  • 被保険者と同居して家計を共にしており、主として被保険者の収入により生計を維持されている被保険者の三親等以内の親族

被扶養者の収入基準

健康保険の被扶養者認定には、被扶養者の収入にも基準があります。認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合、下記が基準になるのです。

  • 年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)
  • 被保険者の年間収入の2分の1未満である

ただしこの基準で認定を行って、実態と著しくかけ離れていたり社会通念上妥当性を欠いたりした場合は、具体的事情に照らし保険者が最も妥当と認めた認定にできます。

生計維持関係

健康保険の被扶養者の認定には、生計維持関係の要件が求められます。生計維持関係の要件とは下記のとおりで、これらを満たした場合、健康保険の被扶養者と認定されるのです。

  • 年収が130万円(60歳以上または障害年金受給者の場合は180万円)未満で、かつ被保険者の年収の2分の1未満
  • 対象者の年収が130万円(60歳以上または障害年金受給者の場合は180万円)未満で、かつその額が被保険者からの援助(仕送り)額よりも少ない

共働きの場合の扶養

被扶養者の認定には、共働きの場合の子の扶養についても要件があります。夫婦が共に就労している場合は、将来を継続的に見て原則、収入が多いほうの扶養にするというもの。

共働きの夫婦の間に複数の子どもがいる場合、父母で分担した子どもの扶養を認めてはいません。そのため子どもが複数いても、収入の多い親がその子ら全員を健康保険の扶養にするのです。

健康保険の被扶養者では、被扶養者の収入基準や生計維持関係などが認定要件となります

4.扶養にどこまで入れるのが得か?

「扶養に入る、扶養に入らない」どちらを選択したほう得になるのか、気になりませんか? 注意しておきたいポイントを「扶養控除の対象」「扶養控除の対象ではない」と共に解説します。

扶養の範囲

まず扶養控除の対象として認められる範囲を確認しましょう。配偶者以外の親族では、「6親等内の血族」「3親等内の姻族」までと定められています。つまり下記の範囲が対象です。

  • 自分の兄弟
  • 叔父叔母
  • 4親等である祖父母の兄弟
  • 6親等であるいとこの孫
  • 3親等の姻族である配偶者の兄弟の子ども

また扶養の対象年齢は対象年の12月31日時点で16歳以上の親族とされており、かなり広範囲で扶養と認定できます。

配偶者控除

所得税は、配偶者の収入などの要件によって配偶者控除や配偶者特別控除といった制度を受けられます。ただこれら配偶者に係る控除に対しても、適用に関する要件が定められているのです。

具体的には、配偶者控除と配偶者特別控除の両控除ともに対象となる配偶者は、法律上の配偶者でなければならないという点。内縁の関係は法律上の配偶者とは認められず、配偶者控除と配偶者特別控除とも適用外になります。

親を扶養に入れるべきか

親を扶養に入れるか入れないか、判断に迷うケースがあるでしょう。税法上の扶養に関していえば、下記両方の条件を備えた場合、親を扶養に入れたほうがよいとなります。

  1. 所得税や住民税が減少する
  2. そのほかのデメリットがない

一方で健康保険上の扶養に関しては、医療費が高額になる点も考え、下記2つを比較検討して判断します。

  1. 毎月の親の健康保険料
  2. 親の収入での高額療養費制度の毎月の上限額

扶養に入れるかどうかは、「扶養範囲の確認」「制度上のメリットを享受できるかどうか」から判断しましょう

5.扶養の範囲を超えたらどうなるのか?

残業などで労働時間が増えたため収入も増えて扶養範囲内を超えてしまった場合、デメリットが発生する場合も。ここでは、下記の範囲を超えた際のデメリットを解説します。

  1. 年収103万円の壁を超えた場合
  2. 年収130万円の壁を超えた場合
  3. 年収150万円の壁を超えた場合

①年収103万円の壁を超えた場合

年収103万円の壁を超えた場合に考えられるデメリットは、年末調整をやり直す点。もし配偶者が年末調整で配偶者控除を受けていた場合、年収103万円を超えると配偶者控除が受けられなくなり、年末調整をやり直さなければなりません。

配偶者以外の、たとえば子どもや親などの税金に関する扶養内控除のボーダーラインは103万円のみです。年末調整の前には、年収を正しく計算して103万円を超えているか否かを確認してください。

②年収130万円の壁を超えた場合

年収130万円の壁を超えた場合のデメリットは、社会保険に加入しなければならない可能性がある点。仮に年収130万円以内であれば、健康保険や厚生年金といった社会保険加入義務は発生しません。

しかしそれを超えて一定の要件を満たした場合、社会保険に加入し本人負担分の保険料の支払い義務が生じます。保険料の支払いによって社会保険の手厚い給付対象になりますが、手取り金額は減少する可能性があります。

③年収150万円の壁を超えた場合

年収150万円の壁を超えた場合のデメリットは、配偶者特別控除の減額です。

配偶者特別控除の減額とは、「夫の年収に応じた合計所得金額」「妻のパート収入」に応じて、9段階に分かれている合計所得金額の区分に応じて、38万円分ある配偶者控除金額が徐々に減額されていく制度です。

このほか年収150万円を超えると、配偶者は自分で社会保険に加入する必要が発生します。社会保険の給付対象にはなりますが、現在の手取りが減る可能性もあるのです。

「年収103万円」「年収130万円」「年収150万円」を超えると、税金面や手取り金額でデメリットが生じやすいです