洞察力とは?【意味をわかりやすく】鋭い人の特徴、鍛える方法

洞察力とは、目に見えないものも含めた広範な物事を観察し、その背後にある意味や本質を見抜く能力のこと。ここでは特徴や鍛え方などを解説します。

1.洞察力とは?

洞察力とは、身の回りの物事をその詳細まで観察して目に見えない要素を推測し、その本質を見抜く力のこと

たとえば、普段はよく話す同僚が今日に限って誰ともあまり話さなかったとしましょう。その際「何か悩みを抱えているのではないか?」「体調が悪いのではないか?」と考えられる人は洞察力を持っているといえるのです。

洞察力があると適切な判断や行動をとれます。よって洞察力は、業種や業態にかかわらずビジネスパーソンに必要とされる能力なのです。

洞察力の言い換え方

洞察力の類語には次のものが挙げられます。

  • 先見性
  • 推察力
  • 観察力、あるいは観察眼
  • 判断力
  • 直観力、あるいは直感力

ただの勘や思い込みではなく、その場の状況から仮定や推測を積み上げて答えを導き出すのが洞察力です。

洞察力の英語表記

「insight」です。また文章において、洞察力が備わっている状態を「have aninsight」と表現します。

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2.洞察力と観察力の違い

「観察」とは「目の前の物事について、その状態や変化を詳しく見ること」であり、観察力は「物事の表面的な状態や様子を客観的に見極め、把握する能力」を意味します。そのため洞察力と観察力は、根拠ととらえ方のふたつが異なるのです。

根拠

観察力と洞察力は、考察の根拠に「内面的な部分」を含むかどうか、が異なります。

  • 観察力:物事の表面に現れる特徴や変化を詳しく読み取る能力
  • 洞察力:目に見える物事から内面的な部分を推察し、本質を見抜く能力

たとえば顧客との会話で「相手が乗り気ではなさそうだ」と気づけるのが観察力、さらに「提案がマッチしていないのかもしれない」と問題の本質まで考察できるのが洞察力です。

とらえ方

観察力と洞察力は、物事をとらえるときのプロセスも異なります。

観察力は、現在の状況と過去の経験を照らし合わせて、現れた変化を捉える能力。一方洞察力は、現状や変化を把握したうえで、推測や仮定を交えて隠れた本質を捉える能力です。

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3.洞察力を高めるメリット

洞察力を高めると、課題解決の促進やアイデアの創出などさまざまなメリットが期待できます。ここでは4つのメリットを解説しましょう。

  1. 根本的な課題の発見と解決
  2. 新しい発想の創出
  3. コミュニケーションスキルの向上
  4. リスク回避能力の習得

①根本的な課題の発見と解決

洞察力が高い人は、課題の根本的な原因を突き止めて適切な対策を考案できます。そのため組織全体や自社事業にかかわる大きな課題およびその解決策を発見できる可能性があるのです。洞察力の高い人が多いほど、根深い課題が解決に近づくでしょう。

②新しい発想の創出

高い洞察力を持つ人は、新しい発想を創出するのにも長けています。目に見えない部分を推測しながら物事を多角的に検討できるため、新しい発見につながりやすいからです。

また物事の本質を見極めるため、常識や慣習などを疑ってゼロベースから考えます。そのためほかの人が考えないような、斬新な解決方法を導く場合もあるのです。

事業やビジネスモデルなどのイノベーションを実現させるには、高い洞察力を持つ人材が必要でしょう。

③コミュニケーションスキルの向上

洞察力が高まると、良質なコミュニケーションを取れます。相手の表面的な言動から本心を読み取れるため、その人にとって最善な言動を選択できるからです。

たとえば洞察力がない上司は、自信をなくしている部下に対してやみくもに褒めたりプレッシャーをかけたりしてしまうでしょう。一方、洞察力がある上司ならば、自信をなくしている理由を突き止めたうえで最適なフォローを行えるのです。

部下にとって最善なコミュニケーションを取れると、モチベーションやエンゲージメントを高める効果も期待できます。

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④リスク回避能力の習得

洞察力が高い人は、リスク回避能力も身につきます。物事を深く分析し、あらゆることを想定した思考ができるためです。

複数のリスクが存在しても、それぞれの防止策と発生後の対策を用意しておけるため、実際にリスクが発生しても慌てず行動できるでしょう。

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4.洞察力がある人・鋭い人の特徴

洞察力の有無や高さは、性格と普段の行動から判断できます。ここでは洞察力がある人や鋭い人の特徴について説明しましょう。

  1. 思いやりがある
  2. 先入観がない
  3. 理解力が高い
  4. 冷静で落ち着きがある
  5. 知識が豊富にある
  6. 直感力がある
  7. 周りをよく見ている

①思いやりがある

周囲から「思いやりがある」といわれる人は、高い洞察力を持っていると考えられます。人を思いやるには、あらゆる人の立場や気持ちを想像しなければならないからです。このような人は、何事も客観的かつ多角的に考察できる洞察力を持っているでしょう。

②先入観がない

先入観がない人は、高い洞察力が備わっている可能性もあります。既存のルールや慣習、固定観念などを取り払い、ゼロベースで物事をとらえられるからです。このような人が、革新的かつ抜本的な解決方法を発見するのも少なくありません。

③理解力が高い

物事への理解力が高い人は、洞察力も高い可能性が高いでしょう。物事の様子だけを眺めるだけでなく、本質を追求して理解しようとするからです。

たとえば理解力の高い人は相手の言動から根本にある意図を見抜き、最適な言動を選択できます。またいくつかの部分から全体像を推測できるため、少しの説明で仕事を理解したり、必要となる作業を先回りして進めたりできるのです。

④冷静で落ち着きがある

冷静で落ち着きがある人は、洞察力が高い傾向にあります。普段から状況や状態を客観的に見て分析し、先の展開を推測できるからです。

このような人はトラブルなどが発生して、冷静かつ迅速に状況を把握して根本的な原因を探ります。取り乱すことなく対応する様子が、周囲に冷静で落ち着きがあるという印象を与えるのです。

⑤知識が豊富にある

知識が豊富な人は広い視点で物事をとらえられるため、高い洞察力を発揮するでしょう。物事の本質を見抜くには、自身の持つ知識と収集した情報を関連づけて、さまざまなパターンの仮説を立てる必要があるからです。

また普段から情報収集と分析を行って思考しているため、自然と知識が蓄積していきます。知識が増えるほど、物事の本質にたどり着きやすくなるのです。

⑥直感力がある

直感力(感覚的に物事を判断して正しい結果に導く能力)を持つ人は、洞察力も優れていることがあります。明確な根拠がなく瞬時に判断しているように見えるため、「ひらめき」や「インスピレーション」ともいい換えられます。

しかし実は無意識下で自身の知識や経験、状況などを分析し、明確な根拠にもとづいていて直感的に判断しているのです。これは洞察のプロセスにあたります。

⑦周りをよく見ている

周囲の物事を仔細に観察できる人は、洞察力も高まります。周りをよく見てさまざまな情報を取得し、それらをつないで全体像を把握したうえで物事を分析するからです。

このような人が「ミスの改善」に取り組んだ場合、業務全体のプロセスや担当者の状況なども考察したうえで、根本から解決する方法を考えるでしょう。

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5.洞察力を鍛える方法

洞察力は、日々の心掛けやトレーニングによって高めるのも可能です。洞察力を鍛える7つの方法を紹介しましょう。

  1. クリティカルシンキングを意識
  2. ゼロベース思考の習得
  3. 周囲や物事の観察
  4. 失敗や経験の記録
  5. インプット量の増加
  6. メンターをとおしたトレーニングの実施
  7. 洞察力を鍛える研修の実施

①クリティカルシンキングを意識

クリティカルシンキング(自分が思っていることや行っていることに対して疑問を持ち、改めること)を意識すると客観的な視点が身につき、洞察力を養えます。自分が持っている先入観や偏見に気づき、客観的に物事を考えられるようになります。

またクリティカルシンキングで「なぜ」を繰り返して本質を探ると、論理的思考力も向上。物事の根拠や本質を見極められるようになり、洞察力が高まります。

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②ゼロベース思考の習得

ゼロベース思考(自分が持っている思い込みや既成概念を意識的に捨て、物事を完全なゼロの状態から考えること)を習慣化すると、洞察力が高まります。

白紙の状態で「なぜそうなるのか」を探る過程をとおして、物事を客観的かつ多角的な視点で捉えられるようになるのです。

またこの思考法では、物事を改めて深く掘り下げていくため、周囲の状況をよく見て情報を収集する必要もあります。集めた情報をつないで本質を探るプロセスを繰り返すほど洞察力が鍛えられていくでしょう。

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③周囲や物事の観察

周囲や物事を観察し、その根拠や背景を考える習慣を身につけると、洞察力も高まります。

普段から周りをよく見て情報を集めておき、人の行動や発生した課題に気づいたら「なぜそうなったのか」を考えてみましょう。このとき自分の主観的な意見にとらわれず、相手の心情や物事の背景などを考慮したうえで客観的に考えるのが重要です。

周りから得る情報が多いほど多角的な考察ができ、物事の本質をより見極めやすくなります。

④失敗や経験の記録

失敗や経験を記録すると自分の言動や思考パターンを把握でき、洞察力の習得を促進します。無意識下で生じていた思考の偏りを知ると、それらを排除してゼロベースで物事をとらえられるようになるからです。

記録方法のひとつが、振り返り日記を書くこと。気になった出来事や気づきを挙げ、客観的な根拠を含めた推察を書き足していきます。日記を書いたらあとから見返し、自分の思考パターンを分析しましょう。

⑤インプット量の増加

洞察力を養うためには、知識のインプット量を増やすのも重要です。

仕事に関する洞察力なら自社の業務や業界に関する知識や情報、ノウハウなどを積極的に収集しましょう。これらが増えるほど広い視野が身につき、より深い分析ができるようになります。

また今は必要ない知識でも、あとで課題解決につながるかもしれません。さまざまな人とコミュニケーションをとり、積極的に知識を増やしていくことをオススメします。

⑥メンターをとおしたトレーニングの実施

メンターとのトレーニングをとおして、洞察力を高めるのも可能です。

一般的にメンターは経験豊富な先輩社員が担当します。彼らは自分の知見や経験を生かして、メンティー(サポートを受ける後輩社員)へアドバイスや問いかけを行います。

このような対話をとおして、メンティーは自分自身の固定観念や先入観に気づくことがあるのです。またメンターとの対話を通じて業務に関する知識やスキルを習得すれば、物事の分析や解決策の考案にも役立ちます。

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⑦洞察力を鍛える研修の実施

洞察力を高める研修を実施するのも、ひとつの手です。講師を務められる社員がいなければ、専門講師を招くとよいでしょう。管理者向けやリーダー向け、一般社員向けなどに分けた研修を行うのも効果的です。