メンター制度とは? 歴史、メリット・デメリット、助成金、導入フロー、注意点、事例について

メンター制度とは、先輩社員が後輩社員を個別支援する制度です。ここでは、メンター制度について解説します。

1.メンター制度とは?

メンター制度とは、「メンターと呼ばれる業務上の知識や経験豊富な社内の先輩社員」「メンティと呼ばれる後輩社員」が、1対1の関係を築いたりメンターがメンティの悩みなどを支援したりする制度のことです。

メンターには、優れた指導者や助言者といった意味があり、一般的にメンティの直属の上司以外に当たる人がメンターになります。そのためメンティは業務への影響を考えず、安心してメンターの支援を受けられます。

メンター制度は、職場内で無理なく人材を育成できる方法なのです。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【大変だった人事評価の運用が「半自動に」なってラクに】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!⇒ カオナビの資料を見てみたい

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

2.メンター制度の歴史

メンター制度の歴史は、1970年代のアメリカに遡ります。1980年代のアメリカで、現在のような制度になりました。

日本でも厚生労働省が2012年度、ポジティブ・アクション展開事業の一環である女性の幹部候補育成制度として、「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」を作成。メンター制度は現在、新入社員の支援体制にも活用されています。

メンターの語源

メンターの語源は、メンターは、トロイア戦争後のオデェッセウス王の流浪を歌ったホメロスの叙述詩「オデュッセイア(The Odyssey)」にあるのです。

登場人物の一人に「メントール(Mentor)」という男性がおり、メントールが王の息子の良き指導者・良き理解者になっていた点から、メンター制度の語源となりました。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

3.日本におけるメンター制度

日本でもメンター制度は積極的に活用されています。その背景にあるのは、組織のフラット化や成果主義の導入といった労働環境の変化による、新入社員など若手社員への教育の弱体化です。

「企業文化・風土・理念の伝承」「若年層の離職防止」といった観点から近年、メンター制度に多くの注目が集まっています。

マネジメントに役立つ資料を無料でダウンロード!⇒こちらから

4.メンター制度と類似する制度

メンター制度には、類似する制度があるのです。「ブラザー・シスター制度」「OJT制度」「コーチング・ティーチング」3つの制度について解説しましょう。

ブラザー・シスター制度

ブラザー・シスター制度とは、各新入社員に同部署の先輩社員を指導役としてつけ、「仕事への取り組み」「社会生活への不安」などについてアドバイスをする制度のこと。

キャリア支援の側面が強いメンター制度と異なり、実務指導が中心になります。指導役は、「男性がブラザー」「女性がシスター」と呼ばれるのです。

OJT制度

OJT制度とは、経験を積んだ先輩社員が、経験の浅い後輩社員に対して行う支援のこと。大きな特徴は、机上の空論でなく実務を通した実践的な教育訓練が行われる点。メンター制度との違いは、下記のとおりです。

  • OJT制度は、同部署の先輩社員が支援を行う
  • メンター制度は、別の部署の先輩社員が支援を行う

コーチング・ティーチング

  • コーチング:あらかじめ定めておいた目標達成のために行う手法
  • ティーチング:問題に対する明確な答えを教えて、スムーズな問題解決を図る手法

メンター制度との違いは、メンター制度が「自発的な成長を促しながら問題を解決していく」「自らが問題解決方法を模索し、糸口を探し出す」点にあります。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

5.メンター制度のメリットについて

メンター制度を導入するとどのようなメリットが得られるのでしょうか。下記5点について解説します。

  1. メンターの成長につながる
  2. メンティの不安が解消される
  3. メンティのキャリア形成の一助となる
  4. 社内のコミュニケーションが活性化する
  5. 離職防止につながる

①メンターの成長につながる

メンターはメンティの支援をとおして、「自分の過去の成功体験や失敗体験について、振り返るきっかけとなる」「メンティに届くような話の伝え方やメンティを理解できる話の聞き方を考える結果、コミュニケーション力が向上する」といった成長が期待できます。

②メンティの不安が解消される

メンター制度を利用すれば、メンティの不安を早期に把握・解消できるのです。またメンティはメンターの支援を受けながら、会社や仕事に早期に馴染めます。仕事も円滑に進めらていけるでしょう。

③メンティのキャリア形成の一助となる

メンター制度では、目的に応じたメンター・メンティが配置されます。そのためメンティは、「日々の業務に対する姿勢」「必要なスキルや資格」「キャリア形成の過程」など、希望のキャリア形成に生かせるアドバイスをメンターからもらえるのです。

④社内のコミュニケーションが活性化する

メンター制度では、「メンティの直属の上司以外に当たる人がメンターになる」「メンター同士やメンティ同士が横のつながりを作りやすくなる」効果が期待できます。そのため組織を超えた人間関係の構築や社内コミュニケーションの円滑化などが見込めるのです。

⑤離職防止につながる

離職理由の上位にランキングされる、社内における人間関係の悩み。メンター制度を活用すれば、離職を考え始めたメンティの気持ちをいち早く察知してケアを進められます。労働職不足に悩む企業に、大きなメリットをもたらすでしょう。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

6.メンター制度のデメリットについて

メンター制度にはデメリットもあります。下記3点について解説しましょう。

  1. メンターの負担が大きい
  2. メンターによって能力差がある
  3. メンターとメンティの相性が合わない場合も

①メンターの負担が大きい

メンター自身も担当業務を持っています。つまり通常業務に追加して後輩の支援という責任を担うため、メンターには大きな負担がかかるのです。そうした負担をどうケアしていくかは、大きな課題となるでしょう。

②メンターによって能力差がある

メンターによってスキルや知識、経験や性格などに違いがあります。メンターの能力差により、メンティの成長にも格差が生じる可能性は否定できません。メンターを依頼する場合、目的や指導方法、接し方についてレクチャーを実施するとよいでしょう。

③メンターとメンティの相性が合わない場合も

メンターもメンティも人間ですので、双方の相性が合わない場合、「相互でストレスを抱える」「メンティが悩みや不安を解決できない」可能性があります。マッチングに関しては、人事を中心に適切な判断をしなければなりません。

OKRのゴール設定や運用に関する資料を無料プレゼント中!⇒こちらから

7.メンター制度と人材確保等支援助成金について

メンター制度を導入した企業は、人材確保等支援助成金を受給できるのです。ここでは下記4つについて解説します。

  1. 人材確保等支援助成金とは?
  2. メンター制度は雇用管理制度助成コースの対象
  3. 受給するための条件
  4. 受給するための要件

①人材確保等支援助成金とは?

人材確保等支援助成金とは、魅力ある職場づくりのため労働環境を向上しようとする事業主や事業協同組合などに対する助成金のこと。

魅力ある雇用創出を図って人材を確保ならびに定着させるという目的を持ちます。そのためメンター制度の導入・実施で従業員の離職率の低下に取り組む事業主に対して助成されるのです。

②メンター制度は雇用管理制度助成コースの対象

メンター制度は雇用管理制度助成コースの対象になっています。

雇用管理制度助成コースは、事業主が諸手当等制度や研修制度、メンター制度といった「雇用管理制度の導入等による雇用管理改善」「離職率を低下させる取り組み」を行った場合に助成されるもの。助成金額は57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)です。

生産性要件とは?

生産性要件とは、助成金を申請する事業所が以下の方法で計算した「生産性要件」を満たしている場合に、助成が割増される要件のこと。

助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、「その3年度前に比べて6%以上伸びている」「またはその3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びている」と助成が割増されます。

③受給するための条件

メンター制度で助成金を受給するための条件は、下記のとおりです。

  • 直属の上司とは別に、指導相談役となる先輩社員が後輩社員をサポートする制度
  • メンターに対し、メンタリング知識やスキル習得を目的とした講習を受講させる
  • 講習を受講する際、メンターの賃金や受講料、交通費の全額を事業主が負担する

④受給するための要件

助成金を受給するための要件は、下記のとおりです。

  • 計画を作成し、労働局長の認定を受ける
  • 労働局長に認定された雇用管理制度整備計画に基づいて、制度を導入し実施する
  • 導入開始から2年間実施している
  • 目標値以上に離職率を低下させる

これらの要件を満たした場合、メンター制度により助成金を受給できます。

社員のモチベーションUPにつながる! 「従業員エンゲージメント」がマンガでわかる資料を無料プレゼント⇒こちらから

8.メンター制度の導入フローについて

メンター制度はどのように導入するのでしょうか。フローについて見ていきましょう。

  1. 目的の明確化
  2. プラン・運用ルール・メンターとメンティを決める
  3. 社内への通知・事前研修の実施
  4. 運用とフィードバック

①目的の明確化

まずどのような目的のためにメンター制度を導入するのか、明確に定めましょう。企業が抱えている人事課題は、多岐にわたるもの。「若年社員や女性社員の定着率を算出」「現場の課題をヒアリング」といった企業実態から設定していくとよいでしょう。

②プラン・運用ルール・メンターとメンティを決める

「定型的か非定型的か」「場所」「周期や期間」「メンターとメンティの選定方法」「ガイドライン」といった運用ルールを検討し、決定します。メンター制度は一部社員を対象としているため、全社員から誤解を受けない制度設計が求められるのです。

③社内への通知・事前研修の実施

「メンター制度のガイドラインを全社員に周知する」「メンターやメンティに選定された社員に対して策定した運用ルールを通知する」「ガイドラインに沿ってメンター制度の心構えなどを事前研修する」といった社内周知や事前準備に取り組みます。

④運用とフィードバック

設計した制度やガイドラインをもとにメンター制度を実施・運用します。そして定期的に関係者へヒアリングやアンケートを実施するのです。結果をフィードバックすれば、メンター制度をより良く改善できるでしょう。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

9.メンター制度を導入する際の注意点

メンター制度を導入する際、何に注意すればよいのでしょう。ここでは下記2つの注意点について解説します。

  1. 守秘義務
  2. 就業規則への明記

①守秘義務

守秘義務とは、メンターとメンティともに、定期的な面談にて知り得た情報や交わされた会話などの情報を口外してはならないというルールのこと。

二者間で交わされた情報が外部に漏えいすると、トラブルの原因になります。事務局以外の第三者に口外することは、厳禁です。

②就業規則への明記

メンター制度を導入する際のもうひとつの注意点は、「実施期間」「メンターやメンティの役割」「任用基準」「研修」など制度概要を就業規則に明記すること。

これにより「重要な制度である」「会社が制度を有効活用しようとしている」点などを、全社員に伝達できます。

マネジメントに役立つ資料を無料でダウンロード!⇒こちらから

10.メンター制度を導入した企業事例

最後に、メンター制度を導入している企業の事例を見ていきます。

キリン

大手飲料メーカーのキリンでは、総合職や管理職として活躍を期待する女性社員に対し、人材育成プログラムを実践しています。

プログラムに含まれるのは、「メンターに女性経営陣」「メンティに役員」を設定したメンター制度。女性社員の離職率低下やさまざまなポストへの女性進出を実現しました。

オークローンマーケティング

通信販売を営むオークローンマーケティングでは、「新入社員の早期職場定着と順応」「キャリアイメージの形成」「社内ネットワークづくり」を目的としてメンター制度を導入。

「懇談会の実施」「メンター向けにメンタリング虎の巻を作成」を進め、離職率の低下やメンター同士の連携、女性マネジャーの増加などを実現しました。

富国生命保険相互会社

生命保険会社の富国生命保険相互会社では、新入職員の育成や幅広い世代間交流による人的ネットワークの構築を目指してメンター制度を導入。

「合同研修会・コーチング研修の実施」「毎月の報告書の作成」などを行った結果、女性間のネットワーク構築やメンターと新入社員双方の成長、若年層のモチベーションアップを実現しました。