クリティカルシンキング/批判的思考とは?【鍛え方・具体例】

クリティカルシンキングを直訳すると「批判的思考」。この批判的思考をビジネスの世界でポジティブに活用すると、直訳とは違った側面が発見できるのです。

ここでは、

  • ビジネス界におけるクリティカルシンキングの意味やその重要性
  • メリットや類似語とされているロジカルシンキングとの違い

などについて説明していきます。

1.クリティカルシンキング(批判的思考)とは?

クリティカルシンキングを直訳した場合、「批判的思考」となります。クリティカルシンキングとは、ビジネスにおいてどのような意味を持つのでしょう?

それは、

  1. 健全な批判的精神と客観的な思考
  2. 論理的思考や思考の効率を高めるためのテクニック
  3. 適正な思考を行うための心構え

3要素を組み合わせてビジネスの最適解を見つける思考法です。

語源、critical(クリティカル)の意味

クリティカルシンキングのクリティカルは、

  • 批判的もしくは懐疑的
  • 重大な

などと訳します。

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2.ロジカルシンキングとの違いは?

クリティカルシンキングに類似する言葉に、ロジカルシンキングという言葉があります。

  • ロジカルシンキング物事に筋道を立てて、各段階、各要素別に分類、分解して思考すること
  • クリティカルシンキング物事の前提の正誤を検証したのち、その事象の本質を見極めていくこと

2つの考え方は異なるものであり、相反もしません。

クリティカルシンキングをするときにロジカルシンキングの考え方を活かすことができますし、その逆もしかりです。

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具体的な例

  • 求人媒体Aに広告を掲載すると100人から応募があった
  • 求人媒体A内の広告aと広告bにそれぞれ50万円、合わせて100万円の費用がかかった
  • 広告aからは80人、広告bからは20人の応募があった

上記のような事実があり、再度求人媒体Aに100万円分の広告を掲載しようと考えた場合に、それぞれの考え方だと以下のように異なります。(あくまで一例です)

ロジカルシンキング 求人媒体Aでは広告aの方が効果がよく、同じ費用でも4倍の応募があるため、今回は広告aだけに100万円を使った方がいい
クリティカルシンキング
  • そもそも何人から応募があればいいのか?
  • 100万円で100人の応募という成果は本当にいいのか?
  • 求人媒体A以外の媒体はないのか?あるなら効果はどうなのか?
  • 求人媒体Aに広告a、b以外の広告はないのか?

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3.ビジネス上でクリティカルシンキングが重要な理由

クリティカルシンキングがビジネスの世界で重要視される理由、変化の激しい時代背景があります。

「今日まで価値が高かったものが、明日には価値を失う」そんな変化の激しい時代において、前例や慣習に縛られた思考は通用しません。

  • なぜ?
  • どうして?
  • それはどういう意味?
  • 自分が今やるべきことは?

このように、世の中の動きに対して自らの頭で思考を続けることが必要不可欠となっているのです。クリティカルシンキングは、新しい時代を読み解くため、物事の本質を考え抜く助けとなります。

クリティカルシンキングの目的、効果

クリティカルシンキングの目的は、最も適正な解答を導き出すこと。クリティカルシンキングを用いると、

  • 物事に関する情報
  • 物事をとりまく環境
  • 外的な意見
  • 当事者である本人の意見

などについて、さまざまな観点から前提が適正かを客観的に検証し疑問を持つことになります。それにより、

  • 物事の本質に近い最適な結論にたどり着く
  • 自分自身も十分納得して判断を下せる状況をつくる

といった効果を生み出すことが可能です。

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4.クリティカルシンキングのメリット

クリティカルシンキングには、3つのメリットがあります。

  1. 検討内容の矛盾や漏れをなくすことができる
  2. 物事の本質を見極めることができる
  3. 問題解決や意思決定の効果が高まる

①検討内容の矛盾や漏れをなくすことができる

1つ目は、検討した内容に対する矛盾や漏れなどを低減できる点。物事に対し、

  • 本当にそうなのか?
  • 検討課題はないか?

など疑問を持つ姿勢は、矛盾点の洗い出しを可能にしますし洗い出された矛盾点を一つ一つ解決していけば、矛盾だけでなく漏れにも気付けます

また、検討しつくした内容は適正なものである可能性も高いです。そこから、正しい情報に基づいた結論を導き出すことも可能でしょう。

②物事の本質を見極めることができる

2つ目のは、物事の本質を見極めることができる点。クリティカルシンキングとは、

  • どうしてこうなるのだろう?
  • 本当にこう考えていいのだろうか?

という批判的、客観的な視点で物事を考え続けることです。思考を続けることで余計なものが削ぎ取られ、最終的に物事の本質部分に最も近いものが残るのです。

③問題解決や意思決定の効果が高まる

3つ目は、問題解決や意思決定の効果を高めること。

物事を懐疑的に捉えることで、物事の矛盾や漏れを極限まで低減するだけでなく、検討課題を極限まで掘り下げることが可能となるのです。

議論が本質に近づくにつれ、自分たちが取り組むべき課題や解決方法が明らかになります。それにより意思決定までの時間と労力を無駄に使うことなくビジネスを進めることができるでしょう。

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5.クリティカルシンキングの考え方・鍛え方

クリティカルシンキングには、押さえておくべき考え方が3つあります。

  1. 目的は何かを常に意識する
  2. 自他に思考のクセがあることを前提に考える
  3. 問い続ける

①目的は何かを常に意識する

クリティカルシンキングでは、「何のために思考するのか」を事前に明確にしておくことが重要です。

これから思考を重ねていく課題について、目的であるゴールを明確に設定しないと、部分的な検討で終わってしまったり、意味のない課題の検討を続けてしまったりすることになります。

  • 枝葉に目を奪われた結果、根本を見失う議論
  • テクニックに頼り過ぎる議論

に終始することのないよう論点を事前に押さえて議論のゴールを明確にしましょう。

②自他に思考のクセがあることを前提に考える

暗黙のルールについても理解しておく必要があります。思考するのは人で、人には、

  • それぞれの価値観
  • 思い込み
  • 偏見

など、思考に関する暗黙のルールがあるのです。自他共に思考のクセを持つことなどを頭に入れた上で、ルールに囚われることなく、

  • この他に取るべき策はないか
  • 他の要因は考えられないか

など客観的な視点からの思考を続けることが必要となります。

③問い続ける

最後は、常に思考を続けるということ。何のために思考するのかという目的を設定し、そこに向かって考え抜くことで、クリティカルシンキングは成熟度を増すのです。

変化の著しいビジネスの世界では、問題解決の先にまた新たな課題が見えてくることも多々。客観的な思考を継続することで、物事の本質を捉えながら先へ進むことが可能になるのです。

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6.クリティカルシンキングの方法(4つのステップ)

クリティカルシンキングの方法は、4つのステップで構成されています。

  1. ゴールを明確にする
  2. 現状を分析する
  3. 課題を見つける
  4. 解決のためのアクションを考える

①ゴールを明確にする

最初のステップでは、

  • どんなことがしたいの?
  • どんな状況を実現させたい?
  • それはどういった理由から?

このような問いかけを通して客観的思考を行います。それにより、

  • 目指すゴールとそのレベル
  • 達成期限

などをできる限り明確に設定するのです。ゴールの設定が具体的になるほど、クリティカルシンキングはスムーズに進むでしょう。

②現状を分析する

次のステップは、現状の分析。最初に設定したゴールやそのレベル、また達成期限の実現に向けて、現在の状況がどうかを細部にわたり調査します。

現状の分析を丁寧に行うことで、次のステップが容易になるのです。ゴールに沿って丁寧に、現時点でどのような状況になっているのか洗い出しましょう。

③課題を見つける

  • 最初に設定したゴールと現状の間にどんな乖離があるか
  • 乖離の程度はどのくらいか

を測定・分析し、課題を見つけます。自他共に思考のクセがあるという暗黙のルールはありますができる限り客観的な視点、論点から議論を進めるとよいでしょう。

④解決のためのアクションを考える

4つ目は、解決に向けたアクションプランの作成。

これまで継続した思考により、取り組むべき課題が明確になりました。その課題の中でとりわけ重要と考えられるものを優先して、

  • 誰が
  • 何を
  • いつまでに
  • どこで
  • どのようにして

解決していくかというプランニングを行うのです。