PDCAとは?  もう古い?意味やサイクルの回し方、OODAとの違いを解説

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PDCAは、これまで業務改善や目標達成の定番フレームワークとして、多くの企業で導入されてきました。しかし近年、「PDCAはもう古い」「変化の激しい現代には合わない」といった声も増えています。

この記事のポイント
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4段階を繰り返すことで、業務やプロジェクトを継続的に改善する方法です。
この方法は、目標設定や課題解決において効果的であり、計画の策定から実行、その結果の評価と次の改善策への反映を行うことが特徴です。
PDCAの各段階を適切に行うことで、業務効率の向上や成果の最大化が期待できます。また、サイクルを継続的に回すことで、組織全体のパフォーマンスや品質を高めることが可能となります。

PDCAは、多くの企業で採用されているセルフマネジメントメソッドです。

今回は、PDCAサイクルの基本的な意味から、各プロセスの詳細、効果的な回し方、そして陥りがちな失敗要などを詳しく解説します。さらに、PDCAと比較される「OODAループ」との違いにも触れ、現代のビジネスシーンでPDCAをどう活用すべきかを紹介します。

1.PDCAとは? Plan・Do・Check・Action:各プロセスの詳細

PDCAサイクル図解

PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのフェーズを繰り返すことで、業務や目標達成の質を高めていくフレームワークです。

日本企業にも深く浸透しているPDCAは、1950年代、品質管理研究の第一人者であったアメリカの統計学者ウィリアム・エドワーズ・デミング博士とウォルター・シューハート博士によって提唱されました。

現在では、品質管理の国際基準となっている、

ISO 9001
ISO 14001

にもPDCAの手法が取り入れられており、業界や業種を問わずにセルフマネジメントメソッドの基礎として利用されています。

PDCAの最後のステップ、Actionが終了したら、また最初のPlanに戻って、プロセスを循環させることから、PDCAサイクルとも呼ばれます。それぞれのプロセスを詳しくみていきましょう。

  1. Plan(計画)
  2. Do(実行)
  3. Check(評価)
  4. Action(改善)

新入社員研修でPDCAを学ぶことも多くあります。ビジネスパーソンにはなじみのある手法の一つですね。

①Plan(計画)

Planは、PDCAサイクルの最初のステップで、目標設定と具体的な行動計画を立てるフェーズです。この段階で、目標を明確にし、達成するための具体的な方法を検討することが、その後の成功を大きく左右します。

Plan(計画)でやること

  • 目標設定
  • 現状分析と課題の特定
  • 具体的な行動計画の策定

計画の策定は、5W2Hを意識して検討することがポイントです。

  • 誰が(Who)
  • いつ(When)
  • どこで(Where)
  • 何を(What)
  • なぜ(Why)
  • どのように(How)
  • いくらで(How much)

目標やアクションプランの設定は、PDCAを回す際のスタート地点になるもの。数字で把握できる指標を積極的に用いるなどして、誰が見ても分かりやすく、具体性のある目標やアクションプランを設定することが重要です。

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②Do(実行)

Doは、Planで立てた計画を実行するフェーズです。このプロセスでは、計画通りに業務を進めることが求められます。ただし、計画はあくまで仮説であり、予期せぬ問題が発生することもあるので、状況に応じて柔軟に対応することも重要です。

Do(実行)でやること

  • 計画に沿った実行
  • データ収集と記録
  • 進捗管理

ただ実行するだけでなく、実行した内容や結果を詳細に記録することがポイントです。数値データはもちろん、成功・失敗の原因となる要因や、気づきなども記録しておけば、後のCheck(評価)フェーズで役立つでしょう。また、計画通りに進んでいるか、定期的に進捗を確認することが大切です。

③Check(評価)

Checkは、Doで実行した結果を評価し、計画とのギャップや課題を洗い出すフェーズです。客観的な視点から、計画の妥当性や実行プロセスの適切さを検証することがポイントです。

Check(評価)でやること

  • 目標達成度の確認
  • 計画と実行のギャップ分析
  • 効果測定と要因分析

実行した行動が、目標達成にどの程度貢献したかを測定し、成功・失敗の要因を具体的に掘り下げて分析しましょう。なぜうまくいったのか、あるいはうまくいかなかったのかを深掘りし、仮説を立てて検証することが次のプロセスにつなげるために重要です。

④Action(改善)

Actionは、Checkで明らかになった課題や改善点に基づいて、次の行動を決定するフェーズです。この改善策が、次のPDCAサイクルのPlan(計画)につながり、継続的な改善を可能にします。

Action(改善)でやること

  • 改善策の立案
  • 次の計画に反映
  • 失敗要因の再発防止策の検討

改善策を考える際は、以下のように多くの選択肢を持つことがポイントです。

  • 引き続き計画通りに進める
  • 計画を続ける中で、いくつかの視点を改善
  • 計画を中止、延期する

複数の選択肢の中からこの先の課題を検討・決定していきましょう

Plan、Do、Check、Actionの4段階の概要をしっかり理解して、着実なPDCAに取り組みましょう。

 


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2.PDCAのメリット

PDCAサイクルを導入し、適切に回すことで、社員や組織は以下のようなさまざまなメリットが得られます。

  • 目的・やることを明確にできる
  • 行動に集中しやすくなる
  • 現状の課題や不足部分がわかりやすい
  • 目標達成力が養われる
  • 変化に柔軟に対応できる力が身に付く

それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。

目的・やることを明確にできる

PDCAサイクルは、最初に「Plan(計画)」フェーズがあるため、目的や目標が明確になります。

漠然と業務に取り組むのではなく、「何を」「なぜ」「いつまでに」行うのかがはっきりするので、従業員一人ひとりが具体的な目標に向かって行動できるようになるでしょう。

目標が明確になれば、日々の業務の優先順位付けがしやすくなり、無駄な作業を削減することにもつながります。また、目標達成に向けた具体的なKPIやタスクを明確にすることで、モチベーション向上にも効果的です。

行動に集中しやすくなる

Planフェーズで具体的な計画を立て、Doフェーズで実行に集中することで、迷いなく行動に移せます。

計画が明確なため、「次は何をすればいいのか」と考える時間が減り、目の前のタスクに集中しやすくなるでしょう。これにより、生産性の向上だけでなく、効率的な業務遂行にもつながります。

計画に沿って行動し、その結果を振り返れば、次の行動への迷いがなくなり、サイクルをスムーズに回すことが可能です。

現状の課題や不足部分がわかりやすい

Check(評価)フェーズで、実行結果を客観的に評価し、計画とのギャップを分析することで、現状の課題や不足している部分が明確になります。

何がうまくいき、何がうまくいかなかったのか、その原因はどこにあるのかを深掘りすることで、具体的な改善点が見えてくるでしょう

これにより、漠然とした問題意識ではなく、具体的なデータに基づいた課題解決が可能になり、効率的な改善策を講じられます。

目標達成力が養われる

PDCAサイクルを繰り返すことで、目標設定、計画立案、実行、評価、改善という一連のプロセスが習慣化されます。この繰り返しの中で、目標達成に必要なスキルや考え方が自然と身につき、個人の目標達成力が養われるでしょう。

一度の失敗で諦めるのではなく、改善を重ねることで、より高い目標にも挑戦できるようになります。成功体験を積み重ねれば、自信にもつながり、継続的な成長を促せるでしょう。

変化に柔軟に対応できる力が身に付く

現代社会は変化が激しく、予期せぬ事態が起こることも少なくありません。PDCAサイクルは、実行後の評価と改善を繰り返すため、環境の変化や予期せぬ事態にも柔軟に対応できる力が身につきます。

計画通りに進まない場合でも、Checkフェーズで状況を正確に把握し、Actionフェーズで迅速に改善策を講じれば、リスクを最小限に抑え、新たな状況に適応していくことが可能です。

不確実性の高いビジネス環境において、個人や組織が生き残るために不可欠な能力といえます。

PDCAを導入すれば、明確な目標だけでなくそれに向かっての集中度、目標と結果の乖離などの課題を明らかにできます。

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3.PDCAが失敗する要因

PDCAサイクルは強力なフレームワークですが、間違ったやり方で取り組むと、かえって成果が出にくくなったり、形骸化してしまうことがあります。ここでは、PDCAが失敗する要因をプロセスごとにみていきましょう。

  1. Plan(計画)における失敗要因
  2. Do(実行)における失敗要因
  3. Check(評価)における失敗要因
  4. Action(改善)における失敗要因

①Planにおける失敗要因

Plan(計画)は、PDCAサイクル全体の成否を左右する重要なフェーズです。この段階でつまずくと、その後のプロセスすべてに影響が出てしまいます。Planにおける主な失敗要因は以下の2点です。

  • 仮説の精度が悪い
  • 目標が高すぎる

仮説の精度が悪い

失敗要因の一つは、計画を立てる際、十分な情報収集や分析を行わず、根拠の薄い仮説に基づいて目標や行動を設定してしまうケースです。

たとえば、「この方法なら売上が上がるだろう」といった安易な予測だけで計画を進めると、実行段階で想定外の問題が多発し、目標達成が困難になるでしょう。

仮説の精度を高めるためには、過去のデータや市場調査、競合分析などを徹底し、客観的な情報に基づいて計画を立てることが不可欠です。

目標が高すぎる

「とにかく高い目標を掲げれば、モチベーションが上がる」と考えて、現実離れした目標設定をしてしまうことも失敗要因の一つです。達成が困難な目標は、実行者のモチベーションを低下させ、途中で諦めてしまう原因になります

目標は、達成可能な範囲で、かつ少し頑張れば届くような「ストレッチ目標」を設定するのがポイントです。目標が高すぎる場合、具体的な行動計画が立てにくくなるという問題も発生します。

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②Doにおける失敗要因

Do(実行)フェーズは、計画通りに業務を進めることが求められますが、この段階でもいくつかの落とし穴があります。Doにおける主な失敗要因として、以下が挙げられます。

  • 無計画に実行している
  • 進捗を把握していない

無計画に実行している

Plan(計画)フェーズで時間をかけたにもかかわらず、いざ実行となると、計画を無視して場当たり的に行動してしまうケースは失敗につながります

たとえば、計画ではAという手法を用いるはずだったのに、急遽Bという手法に変更したり、タスクの優先順位を無視して目の前の仕事から手をつけてしまうようなケースです。

これでは、PDCAサイクルの意味がなくなり、効果的な改善にはつながりません。計画を実行する際は、常に計画内容を意識し、逸脱しないよう心がけることが重要です。

進捗を把握していない

実行中に進捗状況を定期的に確認しないことも失敗要因です。進捗が遅れているにもかかわらず、その事実に気づかないまま放置してしまうと、取り返しのつかない事態になることもあります。

また、途中で問題が発生していても、進捗を把握していなければ、問題の早期発見・解決ができません。進捗管理は、計画通りに事が進んでいるかを確認するだけでなく、問題発生時に迅速に対応するための重要なプロセスなのです。

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③Checkにおける失敗要因

Check(評価)フェーズは、実行結果を客観的に分析し、次の改善につなげるための重要なステップです。しかし、この評価が不十分だと、せっかくのPDCAサイクルが無意味なものになってしまいます。

Checkで起こりやすい失敗要因として、以下が挙げられます。

  • 振り返りできていない
  • 評価基準が曖昧

振り返りできていない

実行した内容や結果について、十分な時間をかけて振り返りを行わないことはPDCAの失敗につながります

たとえば、目標達成できたからといって、その要因を深掘りせず「なんとなくうまくいった」で終わらせてしまったり、逆に失敗した場合も「運が悪かった」と片づけてしまうようなケースです。

なぜその結果になったのかを掘り下げて考える時間を設けなければ、表面的な問題解決にとどまってしまい、根本的な改善にはつながりません。

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評価基準が曖昧

計画段階で設定した目標やKPIに対して、明確な評価基準がないと、客観的な評価ができません。「なんとなく良くなった」「たぶんダメだった」といった主観的な評価では、具体的な改善策を立てるのが難しくなるでしょう。

評価基準は、数値化できるものを設定し、誰が見ても同じように評価できるような明確なものにすることが重要です。

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④Actionにおける失敗要因

Action(改善)フェーズは、PDCAサイクルを次のステップへとつなぐ最後の段階です。ここで適切な改善策を講じなければ、サイクルは途中で止まってしまいます。

Actionにおける主な失敗要因は以下の2点です。

  • 論理的に分析して改善できていない
  • 精神論だけで改善を試みている

論理的に分析して改善できていない

Checkフェーズで得られた評価や反省点を、感情や憶測に基づいて改善策を立ててしまうことは大きな失敗要因です。

たとえば、失敗の原因を特定の個人の責任にしたり、気分的な要素で次の行動を決定すると、問題の根本解決には至りません。改善策は、Checkフェーズで分析したデータや事実に基づいて、論理的に導き出す必要があります。

「なぜそうなったのか」「どうすれば改善できるのか」を多角的に分析し、具体的なアクションプランに落とし込むことが重要です。

精神論だけで改善を試みている

「気合が足りなかった」「もっと頑張ろう」といった精神論だけで改善を図ろうとすることも、失敗につながりやすいです。精神論での改善実行は、改善している気にはなっても、具体的な行動の変化や問題解決にはつながりません。

なぜ計画がうまくいかなかったのか、どのようなプロセスに問題があったのかを具体的に分析し、具体的な改善策を講じることが不可欠です。

PDCAの失敗の要因をしっかりと把握して、スムーズなPDCAサイクルを実現できるようにすることが重要です。

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4.PDCAを効果的に回す5つのポイント

PDCAサイクルを単なる作業にせず、効果的なものにするには、以下のポイントを意識して取り組むことが大切です。

  1. 目標を数値化する
  2. 具体的かつ無理のない計画する
  3. 適切な目標を設定する
  4. 計画実行の進捗を見える化・分析する
  5. 定期的に評価・改善する

各ポイントを詳しく解説していきます。

目標を数値化する

PDCAサイクルを効果的に回すための最も重要なポイントの一つは、目標を具体的に数値化することです。

曖昧な目標では、Check(評価)フェーズで達成度を測ることが難しく、Action(改善)フェーズで具体的な改善策を立てるのが困難になるでしょう。

たとえば、「売上を上げる」ではなく、「〇月までに、新規顧客からの売上を〇%増加させる」のように、具体的な数字と期限を設定します。

これにより、計画の実行段階で何をすれば良いかが明確になり、評価も客観的に行えるようになるでしょう。KPIを設定し、その進捗を定期的に確認することで、目標達成に向けた具体的な進捗を可視化できます

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具体的かつ実行可能な目標を立てる

Plan(計画)フェーズでは、具体的で実行可能な計画を立てることが重要です。漠然とした計画では、Do(実行)フェーズで何から手をつけて良いか分からず、行動が停滞してしまうでしょう。

「誰が」「何を」「いつまでに」「どのように」行うのかを明確に落とし込むのがポイントです。また、目標が高すぎると挫折の原因になるため、無理のない範囲で、かつ少し頑張れば達成できるような計画を立てることも大切です。

計画が現実的であれば、実行者は前向きに取り組むことができ、PDCAサイクルが途中で止まるリスクを減らせます。

適切な目標を設定する

目標は、高すぎず低すぎず、適切に設定することが重要です。高すぎる目標はモチベーションの低下や諦めにつながり、低すぎる目標は成長の機会を逃します。

SMARTの法則に沿って目標を設定することで、達成可能性が高まり、具体的な行動へとつながりやすくなるでしょう

  • Specific:具体的に
  • Measurable:測定可能に
  • Achievable:達成可能に
  • Relevant:関連性のある
  • Time-bound:期限を設ける

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計画実行の進捗を可視化・分析する

Do(実行)フェーズでは、計画の進捗状況をリアルタイムで「可視化」することが重要です。進捗が把握できていれば、問題の早期発見と対策が可能になるでしょう。進捗の見える化には、タスク管理ツールを活用したり、日報や週報などで進捗を共有したりする方法があります。

進捗を可視化するだけでなく、定期的に分析することも大切です。計画通りに進んでいるか、想定と異なる点はないか、なぜその結果になったのかなどを具体的に分析することで、Check(評価)フェーズでの振り返りがより有意義なものになります。

数値データだけでなく、実行中に感じた課題や成功要因なども記録しておけば、分析の質が高まるでしょう。

定期的に評価・改善する

PDCAサイクルは、一度回して終わりではありません。Check(評価)とAction(改善)のフェーズを定期的に、そして習慣的に行うことが、継続的な成果につながります

週次や月次で定例ミーティングを設定し、計画の進捗状況、目標達成度、課題点などをチームで共有し、議論する時間を設けるのがポイントです。

評価の際は、感情論ではなく、収集したデータに基づいて客観的に行いましょう。そして、そこで導き出された改善策を次のPlanに確実に反映させることが重要です。この「評価と改善の習慣化」こそが、PDCAサイクルを有効に機能させる鍵となります。

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5.PDCAを習慣化するコツとは?

PDCAサイクルは、一度きりのイベントではなく、日々の業務や個人の成長に組み込まれることでその真価を発揮します。ここでは、PDCAを習慣化するための具体的なコツをご紹介します。

進捗を確認する

PDCAサイクルを習慣化するための第一歩は、進捗状況を「可視化」することです。特にDo(実行)フェーズにおいて、自分が今どこまで進んでいるのか、目標に対してあとどれくらいの道のりがあるのかが明確になると、モチベーションを維持しやすくなります。

進捗を可視化する方法には、以下のようなものがあります。

  • ToDoリストやタスク管理ツールの活用
  • Excelなどで進捗グラフを作成
  • ホワイトボードや共有ツールの作成

取り組みやすい方法で、定期的に進捗を確認し、記録の習慣化が大切です。進捗が可視化されることで、小さな達成感を得られ、次の行動への意欲につながるでしょう。

タスク管理ツールを活用する

PDCAサイクルの各フェーズ、特にPlan(計画)とDo(実行)におけるタスク管理は、サイクルをスムーズに回す上で重要です。手書きのメモや個人の感覚だけに頼るのではなく、タスク管理ツールを積極的に活用するのがおすすめです。

タスク管理ツールを利用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 大まかな目標から、具体的な行動レベルまでタスクを細分化し、抜け漏れなくリストアップできる
  • タスクの担当者と期限を明確に設定し、誰がいつまでに何を行うべきかを一目で把握できる
  • チームメンバー間でタスクの進捗状況をリアルタイムで共有し、スムーズに連携できる
  • 期限が近づくと通知してくれる機能により、タスクの実行忘れを防げる

振り返りの機会を設ける

PDCAサイクルを習慣化し、その効果を最大化するためには、Check(評価)とAction(改善)の時間を意図的に設けるのもコツです。日々の業務に追われたり、実行ばかりに集中してしまい、振り返りを後回しにしてしまうケースは少なくありません。

以下のような機会を活用して、振り返りの時間を設けましょう。

  • 週次・月次の振り返り
  • 定例会議のアジェンダに組み込む
  • 個別面談の活用

振り返りの時間を設けることで、漠然とした反省に終わらず、具体的な改善行動へとつなげることができます。

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6.PDCAによる改善の具体的事例

PDCAサイクルは、業種や規模を問わず、さまざまな企業や組織で実践されています。ここでは、PDCAがどのように活用されているかを具体的な事例からみていきましょう。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、PDCAサイクルの源流ともいえる「トヨタ生産方式」の思想を持つ企業です。トヨタでは、以下のようにPDCAを回しています。

Plan ・現状の課題分析と目標設定、仮説構築を徹底
・「不良品発生率を〇%削減する」といった明確な目標を設定し、そのための具体的な工程改善計画を立てる
Do ・計画に基づき、現場で実際に改善活動を実行
・小ロットでのテストや、段階的な導入により、リスクを抑えながら実行していく
Check ・実行した改善策が目標達成にどの程度貢献したかを、データに基づいて厳しく評価
・不良品率の推移、作業時間、コストなど、多角的な視点から効果を検証
Action ・評価結果に基づいて、改善策をさらに洗練させたり、うまくいった場合は標準化する
・うまくいかなかった場合は、原因を深掘りし、次の改善計画につなげる

このPDCAサイクルが、現場の従業員一人ひとりに浸透しており、日々小さな改善を積み重ねることで、高品質で効率的な生産体制を築き上げています。

トヨタ生産方式やジャストインタイム体制は、PDCAから誕生したトヨタを象徴するメソッドになっています。

ソフトバンク

ソフトバンクでは、新規事業の立ち上げや既存事業の改善において、大胆なPlan(計画)を立て、迅速にDo(実行)に移しています。

そして、市場の反応やデータをCheck(評価)し、その結果を素早くAction(改善)につなげ、次のPlanへとフィードバックするサイクルを高速で回す体制を整えているのが特徴です。

PDCAには、以下の「ソフトバンク3原則」を組み込み、着実に実行しています。

  • 思いついた計画は可能な限りすべて実行する
  • 1日ごとの目標を決め、結果を毎日チェックして改善する
  • 目標も結果も数字で管理する

これにより、変化の激しいIT業界において、常に新しいビジネスモデルやサービスを生み出し、競争力を維持しているといえます。

とくに、Checkフェーズでの徹底したデータ分析と、Actionフェーズでの迅速な意思決定が、ソフトバンクの高速PDCAを可能にしているのです。

PDCAを細かくスピーディーに回すことが大きな成果につながったソフトバンクの事例は、まさにPDCAの成功事例です。

無印良品

無印良品は、徹底した顧客目線を持ち、PDCAを細かく回しながら改善を積み重ねています。以下のようなPDCAサイクルを継続的に回し、顧客ニーズに応え続けていることが成功の鍵でしょう。

Plan 顧客のニーズやライフスタイルを徹底的にリサーチし、シンプルで機能的な製品コンセプトを計画
Do 試作品の作成、テスト販売、店舗での陳列方法の検討などを実行
Check 顧客からのフィードバック、販売データ、店舗での反応などを詳細に分析し、製品やサービスを評価
Action 評価結果に基づいて、製品の改良、パッケージデザインの変更、店舗レイアウトの改善などを実施し、次の開発や販売計画に反映

継続的なPDCAサイクルに加え、MUJIGRAMを中心とした「仕組み化」が成長を支えています。

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7.PDCAはもう古い? OODAループとは?

近年、「PDCAはもう古い」という声が聞かれることもあります。

とくに、変化の激しい現代において、より迅速な意思決定と行動が求められる場面で、PDCAの課題が指摘されることがあるでしょう。そこで注目されているのが「OODA(ウーダ)ループ」です。

OODAループとは

OODAループは、刻々と変化する状況の中で迅速かつ的確な判断を下すために開発されたフレームワークです。OODAは、以下の4つのフェーズの頭文字を取っています。

Observe(観察) 状況を注意深く観察し、最新の情報を収集
Orient(方向付け/状況判断) 観察によって得られた情報に基づいて、現在の状況を理解し、意味づけを行う
Decide(意思決定) 方向づけられた判断に基づき、具体的な行動を決定
Act(実行) 決定した行動を迅速に実行

PDCAとOODAの違い

PDCAとOODAループは、どちらも改善や意思決定のフレームワークですが、そのアプローチには大きな違いがあります。

PDCA OODA
目的 継続的な業務改善、品質向上、安定的な運用 変化の激しい状況下での迅速な意思決定と行動
プロセス 計画→実行→評価→改善 観察→状況判断→意思決定→行動
適している場面 品質管理、業務効率化、目標達成、人材育成など 緊急時対応、新規事業開発など

OODAの最大の特徴は、「迅速な意思決定が行えること」です。対して、PDCAはじっくり検討し、回していくもの。そのため、どちらが良いというわけではなく、状況に応じて使い分けるのがポイントです。

現代ビジネスにPDCAが通用しないとされる理由

PDCAサイクルが「古い」あるいは「通用しない」と言われる主な理由は、現代ビジネスの変化の速さにあります。

PDCAは詳細な計画を立てることから始まるため、市場や顧客のニーズが目まぐるしく変化する中で、計画が完成するまでに状況が変わってしまう可能性があるでしょう。

柔軟性に欠ける部分もあるため、急激な変化や予期せぬ事態に対応するのが難しい点も理由の一つです。

とくに、新規事業開発やスタートアップ企業、あるいは競争が激しい業界においては、PDCAよりもOODAループのようなより機動的なフレームワークが推奨されることがあります

OODA(ウーダ)ループとは? 具体例やPDCAとの違いを簡単に
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8.PDCAのQ&A

ここでは、PDCAに関するよくある質問をご紹介します。

Q. PDCAサイクルは本当に古いの?

PDCAサイクルは決して「古い」わけではありませんが、現代のビジネス環境は変化が激しく、PDCAの弱みが指摘されることが増えているのは事実です。

しかし、それはPDCAが全く使えないということではなく、使いどころや回し方を間違えているケースが多いといえるでしょう。

重要なのは、PDCAの特性を理解し、闇雲に適用するのではなく、状況に応じて適切に活用することです。

Q.OODA以外にPDCAに代わるものはある?

OODAループ以外にも、PDCAと同様に業務改善や目標達成に役立つフレームワークはいくつか存在します。

PDRサイクル

  • Plan(計画)、Do(実行)、Review(見直し)のサイクル
  • よりシンプルに、短いスパンで回せる

STPDサイクル

  • See(見る)、Think(考える)、Plan(計画)、Do(実行)のサイクル
  • 現状分析や本質的な課題発見をより重視したアプローチ

これらのフレームワークも、それぞれに特徴があり、適用できる場面が異なります。

重要なのは、「常に改善し続ける」という本質であり、どのフレームワークを選ぶかは、目的や状況に合わせて柔軟に判断することが求められるでしょう。

9.まとめ

PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4段階を繰り返す、継続的な業務改善と目標達成のためのフレームワークです。

目標を明確にし、計画的に実行することで、課題を発見し、具体的な改善につなげられます。

成功の鍵は、目標の数値化、無理のない具体的な計画、そして進捗の可視化と定期的な評価・改善を習慣化することです。

ただし、変化の速い現代においては、OODAループとの使い分けや組み合わせが必要な場合があります。

PDCAは計画的な改善、OODAループは迅速な意思決定に適しています。それぞれの強みを理解し、適切に活用することで、個人も組織も継続的に成長し、目標達成へとつなげられるでしょう。