ウェルビーイングとは? 企業内での重要性、効果、メリット、働き方改革との関係について

ウェルビーイングを取り入れている企業は徐々に増えており、その認知度は以前に比べて高まっています。しかしウェルビーイングは、企業の中でどういった重要性を持っているのでしょう。

  • ウェルビーイングとは?
  • ウェルビーイングの構成要素
  • ウェルビーイングの効果やメリット
  • 働き方改革との関連性

などについてお伝えします。

1.ウェルビーイングとは?

ウェルビーイングとは身体的・精神的・社会的、3つの側面において良好な状態にあることを意味する概念のことで、「幸福」と訳すこともできる言葉です。

近年、

  • 過労死
  • メンタルヘルス

などが社会的な問題になっていることは周知の事実でしょう。業務の成果以外に、心身ともに、また社会的にも満たされている状態を目指すことが、ウェルビーイングの真の概念といえるのです。

世界保健機関(WHO)憲章草案(1946年)

1946年7月22日、61カ国の代表により世界保健機関(WHO)憲章草案が署名され、1948年4月7日よりその効力が発生しました。

日本でも1951年6月26日に交付されることになったその内容は、「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである」

参考 世界保健機関(WHO)憲章公益社団法人日本WHO協会

背景にあるのは、

  • 人手不足により一人ひとりの生産性や創造性を高める必要性
  • 社会的弱者のみの救済を超えたソーシャルサービスの構築

とされています。

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2.ウェルビーイングが注目される背景

少子高齢化や生産年齢人口(15歳以上65歳未満の年齢に該当する人口)の減少による人手不足により、これまで以上に社員自身の生産性や創造性を高める必要性が求められるようになりました。

また、社会的弱者のみを対象とした救貧的で慈恵的な従来の福祉観に基づいた援助を超え、予防・促進・啓発といった、問題の発生や深刻化を防ぐソーシャルサービス構築に向けての転換なども、ウェルビーイングが注目される背景にあります。

3.ウェルビーイングの5つの構成要素

ウェルビーイングは、5つの要素で構成されています。

  1. Positive Emotion:ポジティブ感情
  2. Engagement:エンゲージメント、没頭
  3. Relationship:関係性、人間関係
  4. Meaning and Purpose:人生の意味や意義
  5. Achievement:何かを成し遂げること

①Positive Emotion:ポジティブ感情

1つ目は、Positive Emotion、すなわち「ポジティブ感情」。

  • 楽しみ
  • 快感
  • 歓喜
  • 心地よさ
  • ぬくもり

これらは、プラスの感情表現です。広義に人生の満足度までを含む、いわゆる主体的ウェルビーイングは、これらの要素のことを指しています。

②Engagement:エンゲージメント、没頭

2つ目の構成要素は、Engagement、すなわち「エンゲージメント、没頭」です。没頭というと、物事に寝食を忘れてのめり込む状態をイメージするのではないでしょうか。

このような状態は「フロー状態」とも呼ばれ、その状況下では、思考や感情すら存在しない代わりに、後に振り返ったとき、「本当によかった」という感想を持つのです。

エンゲージメント感情の重要視によって、「充実した人生」を望んでいることが分かります。

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③Relationship:関係性、人間関係

3つ目は、Relationship、すなわち「関係性、人間関係」です。この場合の関係性は、非常に良好なものを意味しています。

この場合、他人と関わり、他人を頼れる存在として認識するような、ポジティブな人間関係の構築を望むのです。前向きに他人と関わり、それによって人生を謳歌することを喜びと感じることが分かります。

④Meaning and Purpose:人生の意味や意義

4つ目は、Meaning and Purpose、すなわち「人生の意味や意義」で、下記のようなケースです。

  • 自分よりももっとスケールの大きいもの、たとえば何かの使命といったものの存在を信じる
  • 自分の人生は何のためにあるのだろうか、という意味や意義を考える
  • 物事には何らかの意味・意義があると考えることで、有意義な人生を送りたいと希望している

⑤Achievement:何かを成し遂げること

5つ目は、Achievement、すなわち「何かを成し遂げること」。

成し遂げるに、一時的な達成を含めても構いません。自分の行動や没頭していることに心地よさを感じ、さらに勝負に勝つことでポジティブな感情を得ようとするのです。

「徹底的に取り組んで、最終的に勝つ」という結果の伴ったプロセスを、人生の使命と考えていることだと分かりえます。

4.国別のウェルビーイング:世界幸福度ランキング

国連が発表する「世界幸福度ランキング」という調査があります。各国で毎年約1,000人に電話などで「今の幸せを10点満点で採点したら何点か?」とヒアリングして、その調査結果をまとめたものです。

得点の高い順に見ると、2019年版の1位は教育費や医療費の無償化でも話題になっている北欧の国、フィンランド。2位はデンマーク、3位はノルウェーと続きます。日本は、前年の54位から後退し58位という結果になっています。

しかし、「あくまで主観の調査なので文化の違いが影響する」とコメントするのは、調査に携わった世界平和研究所、高橋義明主任研究員。

その国の持っている文化が、たとえば「山あれば谷あり」といったように幸福と不幸が入り混じる人生観が根付いていた場合、回答が偏ったものになる可能性が否定できないという意見です。

 

5.企業にとってのウェルビーイングの重要性

心身ともに、また社会的に幸福な状態であることを示すウェルビーイングは、企業内でも注目されています。企業にとってのウェルビーイングの重要性はどのようなものなのでしょうか。

健康経営とは?

最近よく耳にするようになった言葉に「健康経営」があります。「健康経営」とは従業員などの健康管理を経営的な視点で捉え、それを戦略的に実践していくこと

従業員の活力を向上させることは、生産性の向上や組織の活性化をもたらすだけでなく、業績や株価の向上など、経営にも派生します。

「健康経営」は、従業員の健康管理に経営を左右するような力があることを、端的な言葉で示したものといえるでしょう。

経済産業省の「健康経営銘柄」「健康経営優良法人認定制度」

経済産業省では、平成26年度より「健康経営銘柄」の選定を、そして平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を設けました。

  • 「健康経営銘柄」:経済産業省と東京証券取引所が共同で、東京証券取引所上場企業33業種の中から健康経営実施企業を業種ごとに1社選定するもの
  • 「健康経営優良法人」:経済産業省が制度設計を担当し、日本健康会議が認定するもの

上場企業以外の企業や医療法人などで健康経営を実践している企業が対象で、平成30年8月1日現在、大規模法人部門で539法人、中小規模法人で775法人が認定されています。

ストレスチェックおよび面接指導の義務化

ストレスチェック制度とは、

労働安全衛生法第66条の10に係る事業所においてストレスチェックを実施し、その結果にもとづいて、

  • 医師による面接指導
  • 面接指導結果に基づく就業上の措置
  • ストレスチェックの結果を集団ごとに集計・分析

を行うこと。

労働者50人以上の事業所は、1年に1回、定期的に

  • 職場における心理的な負担の原因
  • 心理的な負担による心身の自覚症状
  • 他の労働者による当該労働者への支援

などの項目に関して調査しなければなりません。また、一定要件に該当する労働者から申し出があった際、医師による面接指導を実施することが義務化されています。

ストレスチェック制度を導入する流れ

ストレスチェック制度を導入する流れは、以下の通りです。

  • STEP.1
    ストレスチェックテストの実施方法など社内ルールの策定
     
  • STEP.2
    ストレスチェック用紙の配布・記入
     
  • STEP.3
    ストレスチェック状況の評価・医師の面接指導の要否判定タイトル3
     
  • STEP.4
    ストレスチェックの結果を本人に通知タイトル4
     
  • STEP.5
    本人から面接指導の申し出
     
  • STEP.6
    医師による面接指導の実施
     
  • STEP.7
    就業上の措置の要否・内容について医師から意見聴取
     
  • STEP.8
    就業上の措置の実施
     

ストレスチェックの結果を集団ごとに集計・分析し、職場環境の改善に役立てる努力義務もあります。

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ビジネスにおけるウェルビーイングの意味とは?

ビジネスにおけるウェルビーイングの意味は、

  • 社員のメンタルヘルス
  • 仕事に対するモチベーション
  • 企業への愛着精神

などを含めたもの。

  • 社員一人ひとりが心身ともに英気に満ち溢れる
  • 業務にまい進する

ことで経営を安定、発展させるという大きな意味を持つのです。

つ病などに代表されるメンタルヘルスの不調を予防し、心身共に健全な社員に能力を発揮してもらうこれこそが、ビジネスにおけるウェルビーイングの大きな意味となります。

6.企業内でウェルビーイングを意識する効果、メリット

企業内でウェルビーイングを意識するメリットは下記の3つです。

  1. 社員が心身ともに健康的な状態を維持できる
  2. 組織内の人間関係が改善される
  3. 退職者が減る、また採用しやすくなる

①社員が心身ともに健康的な状態を維持できる

1つ目は、社員が心身ともに健康的な状態を維持できること。ウェルビーイングの導入は、企業が組織全体として社員の健康促進を推奨しているという証明になります。

このような意識を持つ企業の労働環境が劣悪である可能性は低いでしょう。ウェルビーイングの精神を企業が持つと社員は、企業に温かく見守られながら健康な状態で仕事に取り組めるのです。

②組織内の人間関係が改善される

2つ目は、組織内の人間関係の改善。「職場の人間関係は、個人のウェルビーイングに直接的に影響する」という研究報告もあるように、ストレスと人間関係は深い関係にあるのです。

ウェルビーイングの導入によって人間関係にメスを入れることができるため組織内の人間関係が改善できます。重要ながらも見過ごされやすい人間関係をクローズアップできることは、ウェルビーイング導入のメリットです。

③退職者が減る、採用しやすくなる

3つ目は、退職者が減ること。ウェルビーイングを導入する職場の多くは、事務的な作業を担っています。ウェルビーイングを導入することで、より働きやすい快適な職場づくりができるため退職者が出にくくなるでしょう。

離職率の低い企業は魅力があります。言い換えれば、人材を採用しやすくなるともいえるのです。社員の定着やスムーズな採用は企業の将来を大きく左右するもの。この部分にもウェルビーイングは非常に大きな影響を与えるのです。

7.働き方改革とウェルビーイング

働き方改革では、労働の多様化をうたっています。しかし働く場所や働く先の選択肢が増えることでウェルビーイングにつながるのか?という疑問も生じるでしょう。

ある研究結果によると、

  • 働く場所の柔軟な選択
  • 感謝する頻度

はウェルビーイングに影響を与えることが分かりました。しかし働く場所の選択肢の多さはウェルビーイングに直接影響しないことが報告されています。

働き方改革とは?

働き方改革は、社員の働きやすさを徹底的に追求した改革です。誰もが働きやすくなることで、組織の生産性が高まることを目指します。

  • 働く場所
  • 業務内容
  • 労働時間
  • 労働契約内容

などを改革することで、社員が心身ともに、また社会的にも幸福感を味わいながら業務にまい進できる環境を整えようとしているのです。

  • 通勤が難しいのならテレワークなどの柔軟な働き方を
  • 介護や育児があるのなら、時短勤務といった子育て・介護との両立を
  • 非正規社員と正規社員の処遇差の改善を
  • 高齢者の就業促進を

さまざまな視点から、社員のウェルビーイングを追求する、これが働き方改革なのです。

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働く場所の選択肢の多い社員のウェルビーイング度は高くなる

働き方改革とウェルビーイングとの関係性を研究したあるデータを見ると、

  • 働く場所の選択肢が多い
  • 実際に働く場所を柔軟にしている

という両方の条件を満たした社員のウェルビーイング度は高いことが分かっています。また、

  • 働く場所の選択肢が多い
  • 実際にはそれを活用していない

という社員の場合、ウェルビーイング度には影響がないことが分かりました。

働き方改革によって働く場所の選択肢が増えたとしても、その恩恵を実際に受けていない場合、ウェルビーイングに変化は見られません。このことから、制度設計をするだけでなく、実際にどう活用するかまで踏み込んだ施策が必要だと分かります。

感謝されるよりも感謝するほうがウェルビーイング度が高くなる

働き方改革とウェルビーイングとの関係性を研究したその他のデータには、

  • 感謝する頻度が高い
  • 感謝する頻度が低い

の両者でウェルビーイングを比較したものがあります。その結果感謝する頻度の高いほうが、ウェルビーイング度の平均値が高いと分かったのです。

組織内で仕事をする際、人間関係が円滑なほどストレスを軽減します。周囲に感謝する頻度が高いことで、周囲と協調し合いながら業務を進められるのです。この研究結果から、ウェルビーイングの本質がよく分かります。