退職届はどのように書くのでしょう。マナーの観点からも気になるポイントがあるかもしれません。ここでは退職届の書き方についてポイントや準備するもの、封筒の書き方などを解説します。
目次
1.退職届の書き方は手書きが正解?
退職届は、パソコンで書いても問題ありません。
そもそも退職届の目的は、「退職をする」意思を企業へ正確に伝え、あとから相互間でトラブルが起きないようお互いに確認すること。よって目的が達成できるのであれば、パソコン・手書きのどちらで作成しても大丈夫です。
ただし企業によっては手書きで義務づけられているかもしれません。退職届のフォーマットを用意している場合もあるので、勤務先に確認しておくとよいでしょう。
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2.退職届とは?
退職届とは、会社または経営者の承諾を得て退職すると確定した段階で、会社に対して労働契約の解除を届け出る書類のこと。法的には口頭での伝達も可能ですが、勘違いなどを避けるために、一般的に書面で提出します。
退職についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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退職届と退職願、辞表の違いはあるのか?
退職届と退職願、辞表、どれも似ている言葉ですが意味は大きく違います。退職願は会社に退職を願い出るための書類です。退職を引き止められたり、退職を受け入れてもらえなかったりしても契約が解除されることはありません。
しかし退職届は、受理された時点で退職が決まります。そして辞表は、会社を運営する側の立場の人が辞める時に提出する書類です。
退職願とは?
退職願とは、会社もしくは経営者に対して退職の意思を表明する書類のこと。会社との労働契約の解除を申し入れるための書類なので、会社が承諾するまでの間なら撤回も可能です。
逆に会社側から退職を引き止められることもあります。退職願は口頭で上司に伝えることもでき、退職の意思を伝えた後に退職願を提出する流れが一般的です。
辞表とは?
辞表とは、会社とは雇用関係にない、運営側である社長や取締役など役員以上の立場の人が、役職を辞める際に届け出る書類のこと。
辞表を提出した後も、一般社員としてなら会社で働き続けられます。また公務員が辞める場合に提出するのも辞表です。この場合、一般的な会社員が提出する退職願と同じ扱いになります。
退職後の手続き
会社を退職すると、健康保険や厚生年金保険の被保険者資格を失うため、手続きが必要です。
- 失業保険の給付手続き…居住地を管轄するハローワークに離職票を提出
- 健康保険の変更手続き…任意継続被保険者、国民健康保険に加入、家族の扶養から選択
- 年金の種別変更手続き…失業中は国民年金に加入する必要がある
- 税金の支払い手続き…住民税の支払い手続きを行う。退職月によって対応が異なる

3.退職願から退職届を出すまでの一般的な手続きの流れ
退職願から退職届を出すまでは、在籍する会社の就業規則に明記されている手順に沿っていきます。就業規則には退職手続に関する項目があるので、退職の申し出の期限や退職届の提出先などを確認して進めるのです。
退職願いを書き始める前に確認すること
退職願を書き始める前に確認することは、在籍する会社の就業規則。就業規則には退職手続に関する項目があるので、退職届けを誰にいつまで提出するのかなどを確認し、手順に沿って手続きを進めていくのです。
退職までの一般的な流れ
法律上では、申し出から2週間で退職が認められていますが、多くの会社は就業規則に沿った手順で行います。一般的な流れは、下記のとおりです。
- 退職意向を表示
- 退職日の調整
- 業務の引き継ぎ
- 退職届の提出
- 社外へのあいさつまわり
- 退職日
退職願と退職届を作成する
自分が在籍する会社の就業規則または社内規定に沿って、期日までに退職の申し出を記載した退職届を作成します。
退職届は、退職が確定したのち提出する書類ですが、すでに再就職先が決まっていて、退職交渉の時間が短い場合は準備しておきましょう。退職願、退職届のフォーマットがある会社もありますので、事前の調査と準備が必要です。
退職願を提出する
退職願は、会社に対して退職の意思を表明する書類のこと。退職する意思が固まったら、直属の上司に退職する旨を申し出ます。引き止めがある場合も考えて、なるべく早く退職意向を示しましょう。
退職日は、有給休暇の消化期間、引き継ぎ、顧客へのあいさつまわりなどを含めたスケジュールについてを上司と相談して決めていきます。
退職届を提出する
退職が確定したら、退職日を記載した退職届を会社に対して提出します。提出先は直属の上司、人事部など会社によって違うため、事前に上司や労務担当に確認しましょう。
退職届を提出した後は、すぐに仕事の引き継ぎを行うためのスケジュール作成や資料の準備などに取り掛かります。社内外に送るあいさつ状の準備もしておきましょう。

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4.退職届の書き方のポイント
退職届の内容は基本的に定型文となるため、自分で記載内容を考える必要はありません。定型となる項目について解説します。
- タイトルと書き出し
- 日付
- 退職理由
- 提出者と宛先
①タイトルと書き出し
一般的に1行目の「退職願」または「退職届」は、上下の中央のやや上から書き出します。横書きの場合は中央です。2行目の「私事(または私儀)」は、便せんの下に記して改行します。横書きの場合は右端に書くのです。
②日付
提出日と退職日の日付を書く際、西暦・和暦どちらでも構いません。ただし「西暦と和暦、決めたほうで統一して書くよう」気をつけましょう。体裁を整えやすくなる縦書きの場合、漢数字を使うと無難です。
③退職理由
退職届を出す際「一身上の都合(自分の意思で退職すること)」以上に詳しいことを書く義務はありません。実際に会社を辞める理由として下記が挙げられるものの、とくに詳細を書く必要はありません。
- 転職
- 引っ越し
- 仕事や人間関係への不満
- 結婚
- 妊娠、出産
- ケガや病気
- 家族の介護
④提出者と宛先
提出者については、所属・氏名を行の下に書きます。所属は正式な部署名を書き、名前はフルネームで記載して捺印をしましょう。
宛先は組織の最高執行責任者とし、役名とフルネームを書きます。その際、自分の名前より上にするとよいでしょう。敬称は「殿」または「様」とします。パソコンで書く場合は署名部分を空けておき、プリントしたら手書きで記載しましょう。
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5.退職届を書く際の注意点
退職届を書く際の注意点を解説します。
- 原則、撤回できない
- 退職日の2週間前までに提出する
- 退職届が無効になるケースもある
- 会社都合の場合は不要
- 「提出必須」ではない
- 退職願や辞表と間違えない
①原則、撤回できない
退職願または退職届を一度提出したら、たとえ提出者が撤回を要求したとしても、企業側に取り消す義務はありません。
退職届は、労働者側から労働契約の解除を申し出た形になるため、撤回できないことになります。ただし事情によっては、企業が撤回に応じる場合もあるのです。基本、撤回はできないため、提出する場合はよく考えて行います。
②退職日の2週間前までに提出する
民法の第627条1項には、次のような内容が記されています。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」
正社員のように雇用期間が決まっていない労働者が退職する場合、申し入れから2週間という期間が決められています。しかし業務の引き継ぎを考えると、退職届は1か月前くらいには提出しておいたほうがよいでしょう。
③退職届が無効になるケースもある
退職2週間前に退職届を出したとしても、無効になるケースもあります。次の条件に当てはまる労働者は注意が必要です。
- 年俸制
- 完全月給制
- 雇用契約に期間の定めがある
年俸制の場合、民法627条に具体的な記載があり、法律上「無効」の扱いとなるのです。「完全月給制」および「雇用契約に期間の定めがある」労働者は、1か月ごとに雇用契約を更新するため、2週間前の退職届が受理されない場合もあります。
④会社都合の場合は不要
会社都合にて退職する場合、退職願および退職届の提出は不要です。むしろ会社都合にもかかわらずこうした書類を提出してしまうと、自己都合退職扱いとなる可能性があります。
自己都合退職に認められると、「失業保険の受給が遅れる」「失業保険の受給額が減る」可能性も高いです。もし退職届の提出を求められた場合、安易に提出しないように気をつけてください。
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⑤「提出必須」ではない
「退職の意思表示は必ずしも書面で」と決まっているわけではありません。本人から口頭で退職の申し出をし、これに対して企業が承諾をすれば合意したとみなされ、退職が成立します。
これは正社員だけでなく、パート・アルバイトであっても同様です。民法上も、契約の申込み・承諾・解約は必ずしも書面で行うことを求めていません。
⑥退職願や辞表と間違えない
退職届は、退職願や辞表と似た言葉です。しかしそれぞれ違う意味を持ちます。
- 退職願…退職の意思を伝える書類
- 退職届…退職願が受理され、退職日が決まってから提出する書類
- 辞表…役員が役を辞するときに提出する、または公務員が辞めるときに提出する書類
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6.退職届を書く際に準備するもの
退職届を書くときにあわてないよう、準備するものについて解説します。次に挙げるものを押さえておくとよいでしょう。
- 用紙
- ペン
- 封筒
①用紙
退職届では、一般的に下記が使用されています。
- B5(182×257mm)
- A4(210×297mm)
A4はご自宅のプリンター用紙でも準備できるので用意しやすく、B5はコンパクトで手渡ししやすいです。また用紙の種類は、コピー用紙・白い便せんが一般的に使われています。柄入りやイラスト入りの用紙は使わないようにしましょう。
②ペン
退職届を記入するときのペンは、黒のボールペンを使いましょう。サインペンや筆ペン、カラーペンは避けてください。
水性インクを使った黒のボールペンは消えやすくなってしまいます。油性かゲルインクのボールペンを使うようにしましょう。ボールペンの太さは、太すぎず細すぎない0.7mmくらいがちょうどよいです。
③封筒
一般的な茶色の封筒は、日常業務の書類を入れることが多くコストも低くなります。退職届は退職の意志を示す大事な書類となるので、白色や無地の封筒を使いましょう。封筒の大きさは、書類を三つ折にしたときに入るサイズを想定するとよいでしょう。
書類の大きさに適した封筒サイズは、次のとおりです。
- B5…長形4号
- A4…長形3号
また封をする際、セロハンテープを使わないようにしてください。
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7.退職届における具体的な退職理由の書き方
退職届を出す際、退職理由をどのように書けばよいのでしょうか。下記について、それぞれ例文を交えて紹介します。
- 自己都合退職
- 会社都合退職
①自己都合退職
基本、「一身上の都合により」と書けば問題ありません。しかしより印象を良くする書き方もあります。具体的には、次のような例文です。
- 家庭の事情で引っ越すことになり、転職せざるを得ない状態になりました。
- 体力に問題が生じ、勤務することが困難になりました。
- 尽力しましたが業務内容が自分に適さず、これ以上の勤務は会社にも損害を生じさせてしまいます。
②会社都合退職
会社都合退職の場合、「一身上の都合」と書くのは控えましょう。必ず「貴社、退職勧奨に伴い」など、会社の都合であるとはっきりわかる文面にします。例としては下記のとおりです。
- このたび、貴社の退職勧奨に伴い、◯年◯月◯日をもって退職いたします。
- このたび、貴社の都合による支店閉鎖に伴い、◯年◯月◯日をもって退職いたします。
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8.退職届の書き方
退職届の書き方について、縦書き・横書きそれぞれのポイントを解説します。ついでテンプレートの入手方法についても説明しましょう。
縦書き
縦書きの場合、以下のようなポイントを押さえましょう。
- 1行目…中央に「退職届」と書く
- 2行目…下寄せで「私事、」と書く
- 3行目…本文
- 4行目…本文よりも字下げで提出日を書く
- 5行目…日付よりも字を下げて所属部署を書く
- 6行目…下寄せで氏名を記す
- 7行目…会社名を書く
- 8行目…会社名よりも上の位置から代表者を書く
横書き
横書きの場合、以下のようなポイントを押さえましょう。
- 1行目…中央に「退職届」と書く
- 2行目…右寄せで提出した日付を書く
- 3行目…左寄せで退職する企業の正式名称と代表者名を省略せずに書く
- 4行目…右寄せで所属部署名を書く
- 5行目…右寄せで自分の氏名を記し、捺印のスペースを空ける
- 名前から2行改行し、本文を書く
- 文末は右寄せで「以上」と書いて締める
テンプレートの入手方法
退職届のテンプレートは社労士・弁護士事務所のホームページから、無料のものをダウンロードで入手可能です。退職届以外にも退職願や休職願、企業側が行う各種手続きの書類や手続きのチェックシートなどをダウンロードできる場合もあります。
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9.退職届に必要な封筒の書き方
退職届を入れる封筒について、次の項目を解説します。
- 封筒の書き方
- 封筒への封入方法
- 郵送する場合の添え状の書き方
①封筒の書き方
退職届を入れた封筒に何も書かずに提出すると、マナー違反と受け取られます。封筒の表には、大きな字で「退職届」と書きましょう。字の位置は、中央やや上がきれいに見えます。
封筒の裏には、所属部署名とフルネームを記入してください。できるだけ左下に書くようにしましょう。もし封筒に封をした場合は、「〆」のマークを書いてください。
②封筒への封入方法
退職届は三つ折にして封筒に入れましょう。これは、退職届に限らず手紙などにも通じるマナーとなります。三つ折の折り方、そして封筒の入れ方の順序は次のとおりです。
- 退職届の下部分が内側になるよう1/3を折り曲げる
- 残りの1/3を上から折って重ねる
- 時計回りと反対に90度回転させる
- 向きを変えず、封筒の裏側から入れる
③郵送する場合の添え状の書き方
郵送する場合の添え状には、おもに次のような内容を記入します。
- 退職届を作成した日付
- 宛先
- 所属していた部署とフルネーム
- 退職届を送付した旨が記載された本文
退職届と添え状の大きさが異なるとバランスが悪くなり、相手への印象も悪くなります。そのため添え状は、退職届と同じサイズのものを使用しましょう。
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10.退職を伝えるタイミングと伝え方
民法では、退職する14日前までに意思表示をすればよいとされています。しかし多くの会社では1カ月前までに退職の意思を表明するのが一般的ですので、会社の就業規則に記載がある場合はそれに従いましょう。
退職を伝える時期は繁忙期以外が望ましい
退職の意思を直属の上司に伝えるタイミングとして望ましい時期は、繁忙期以外です。そのほかにも担当する業務やポジション、人手が足りているか、後任がすぐに配置できるかなど、さまざまな状況が考えられます。
一般的に退職者が多いのは12月と3月です。年末と年度末の区切りに合わせると、引き継ぎがスムーズに進むからでしょう。
退職の1〜3カ月前に直属の上司にアポを取る
退職を申し出る期間は就業規則で定められている場合が多いので、しっかりと確認しましょう。それを踏まえたうえで、退職日の1〜3カ月前と直属の上司に退職したい旨を伝えます。
またいきなり退職願いを提出するのではなく、上司に面談のアポイントを取って自分の意思を明確に伝えます。そして引き継ぎなどを含めたスケジュールについて相談して退職日を決めるのです。
退職理由・退職意思の伝え方
直属の上司に退職の意思を伝えた際、退職理由を尋ねられる場合は多いです。その際は、会社に対する不平不満は一切述べず、個人的な理由だけを伝えましょう。
円満退社のためにも、上司に快諾を得られるような退職理由、退職する意思表示の方法をあらかじめ考えておきます。上司の理解が得られない場合、人事部への相談も必要となるでしょう。

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11.退職の種類とそれぞれのメリット・デメリット
労働者が会社を辞めることを退職といいますが、退職にも「自己都合」「希望退職」「退職勧奨」などさまざまな形態があり、それぞれにメリット・デメリットがあるのです。
自己都合退職
自己都合退職は、転職、結婚、妊娠、出産、介護、病気療養、引っ越し、健康上の理由など、労働者の都合により自らの意思で退職を申し出ること。
また自分が望む仕事に付けない、理想と違う仕事内容、待遇への不満などの理由で退職する場合も自己都合退職となります。同じ退職でも自己都合と会社都合とでは、失業保険の取り扱いが異なるのです。
自己都合退職のメリット
会社の待遇に不満がある、人間関係がうまくいかなかった、仕事内容がつまらないといった理由で自己都合退職した場合でも、転職する際の退職理由には「一身上の都合」として記載するだけで問題ありません。
転職の回数が極端に多い、在職期間がどの会社も極端に短いなどがなければ、面接でも退職した理由を深くは追求されないでしょう。
自己都合退職のデメリット
自己都合と会社都合とでは、失業保険の取り扱いが異なります。自己都合退職の場合、ハローワークに離職票を提出後、待期期間3カ月+7日間を経るまで失業給付金を受け取れません。
会社都合退職と比較すると支給額も少なく、給付期間も短いのがデメリットです。また転職活動をする際にも採用担当者に与える印象が異なります。
会社都合退職とは
会社都合退職とは、経営破たんや業績悪化に伴う人員整理など、会社側の原因や都合によって労働者の雇用契約を一方的に解除すること。
退職勧奨や希望退職に応じた、勤務地移転により通勤が困難になった、何らかのハラスメント被害を受けたなど、自分の意志に反して退職を余儀なくされたケースも会社都合退職となります。
会社都合のメリット
会社都合退職のメリットは、失業給付金の支給を早く受け取れること。自己都合退職の場合は3カ月+7日間を経るまで支給されませんが、会社都合退職の場合は7日間後に1回目の支給を受け取れます。
失業給付金の支給額は最大約260万円、給付日数は被保険者期間や年齢によって異なりますが、最大330日と長く設定されているのです。
一方の自己都合退職は最大支給額が約118万円、支給日数は最大150日。会社都合退職の場合、国民健康保険税も最長2年間軽減されます。
会社都合のデメリット
就職活動の履歴書に会社都合により退職と明記することで、採用担当者からの質問事項が増える可能性があります。
会社倒産などの理由による退職はそこまで追求されませんが、解雇の場合、理由について深く追求される可能性も高いでしょう。失業給付金を早く多く受け取れるメリットはありますが、再就職の際は慎重に履歴書や面接について対策する必要があります。
希望退職とは
希望退職制度とは、会社が従業員の主体的な退職を募る仕組みのこと。人員整理を目的に行われる場合がほとんどで、リストラの前段階ともいわれています。
法的な拘束力はないため、会社側からは強制できません。希望退職に伴う退職の場合、原則、自己都合ではなく会社都合での退職となります。
希望退職のメリット
希望退職制度は会社都合退職となるため、ハローワークに離職票を提出した後、最低7日間の待期期間のみで失業給付金を受け取れます。さらに失業給付金の支給額は自己都合退職よりも多く、給付期間も最大330日間と長く設定されているのです。
転職活動では、業績悪化の希望退職であれば、自分の意志で退職したという意味で、リストラよりも説明しやすいでしょう。
希望退職のデメリット
安定した収入がなくなってしまうため、日々の生活費や保険料が重荷になります。転職先が想定していた以上に決まらない場合、割増の退職金を受け取っていても、あっという間に底をついてしまうでしょう。
離職期間が長ければ、年金の総支給額も減額しますし、無職の状態では、各種ローンやクレジットカードの審査にとおりません。
退職勧奨とは
退職勧奨とは、会社側が労働者を退職させるために退職を勧めてくることで「肩たたき」とも呼ばれます。
労働者の自発的な退職を促すもので、社員が退職について了解し退職願を提出すると、双方合意の上での退職となるのです。退職勧奨は会社を辞めるどうかを労働者が判断するもので応じる義務もありません。一方的な労働契約の解除を告げる解雇とは異なります。

12.退職届の提出前後の注意点
上司に退職の旨を伝えた後、退職の承認を得てようやく退職届を提出します。そのため退職届は一度出したら撤回できません。退職届を提出する前後に注意すべき点、より円滑に退職するための心構えなどを説明しましょう。
一度出した退職届は撤回できない
退職届は、退職が確定した後、労働者が会社に対して申し出るための書類ですので、会社側に退職届を出した時点で労働者側が労働契約を解除したことになります。そのため後日、やはり会社を辞めたくないと申し出ても、退職届の撤回はできません。
それ以前の退職願は退職を願い出るための書類なので、退職の申し入れを撤回することは可能です。
会社都合退職の場合、退職届の提出が必要な場合も
会社都合退職は、労働者側の希望による退職ではなく、会社側の原因や都合により労働者の雇用契約を一方的に解除するものなので、通常であれば退職届を提出する必要はありません。しかし会社から退職届を求められた場合、提出する必要があります。
退職届は、会社に退職の旨を届け出る書類のため、会社によっては自己都合・会社都合を問わず、提出について就業規則で定めているケースが多いです。
退職届は就業規則通りに提出することが望ましい
民法では、退職希望日の14日前までに退職の申し入れをすれば退職できるとなっているため、企業側は労働者を拘束できません。しかし双方合意のうえで円満退社をするには、できる限り就業規則に沿った手続きがよいでしょう。
多くの会社は、退職希望の1カ月前までに退職願を提出すると定めています。在籍する会社の就業規則を確認してみましょう。
退職届提出後のスケジュールを確認する
退職届を提出した後は、なるべく早く自分の仕事の引き継ぎを行います。通常業務と平行して行うため、円滑に業務を引き継げるよう、確定した退職日から逆算してスケジュールを組むとよいでしょう。
後任者が決まっていれば同行して取引先へ紹介します。社内へのあいさつ回りも丁寧に行うと、引き継ぎもスムーズに進み、円満退社に近付きます。

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