会社都合退職と自己都合退職とは? 手続き、退職推奨との関係

会社都合退職と自己都合退職とは、会社を退職する際の理由による区分けです。ここでは、両者について解説します。

1.会社都合退職と自己都合退職とは?

会社都合退職とは、解雇や退職勧奨、倒産や事業整理といった会社側の都合によって雇用契約を終了すること。対する自己都合退職とは、転職や結婚など、労働者側の都合によって雇用契約を終了することです。

労働者本人の自由意思による退職は原則、自己都合退職とみなされます。ケースによるものの一般的には自己都合退職より会社都合退職のほうが、労働者の得るメリットは大きいとされています。

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2.会社都合退職と自己都合退職の違い

会社都合退職と自己都合退職の違いについて、2つのポイントから解説しましょう。

  1. 失業給付金(失業保険)に関する違い
  2. 退職金に関する違い

①失業給付金(失業保険)に関する違い

会社都合退職と自己都合退職とでは、失業給付金(失業保険)に関して以下の違いがあります。

  • 会社都合退職の場合、離職前1年間で雇用保険の被保険者期間が通算6カ月以上あれば、失業保険を受給できる
  • 自己都合退職の場合、離職日前2年間に雇用保険の被保険者であった期間が通算12カ月以上あれば、失業保険を受給できる

②退職金に関する違い

会社都合退職と自己都合退職とでは、退職金に関して一部違いがあります。退職金額は原則、勤続年数といった条件に応じて決まるのです。しかし退職一時金制度を採用している場合、下記のようになります。

  • 会社都合退職では、減額の可能性は低い
  • 自己都合退職では、会社都合退職で支給される額より減額される可能性が高い

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3.会社都合退職と自己都合退職それぞれの退職理由

会社都合退職と自己都合退職には、それぞれの退職理由があります。ここでは両者の退職理由について解説します。

会社都合退職のおもな退職理由

会社都合退職のおもな退職理由として挙げられるのは、下記のとおりです。

  • 給与支払いの遅延や未払い
  • 給与の大幅減額の提示
  • 会社から休職命令を受け3カ月以上経過しても命令が解除されない
  • 事業所の移転で通勤が困難になった
  • 慢性的な長時間残業
  • パワハラやセクハラ、いじめ
  • 会社の倒産
  • 事業所の廃止や撤退
  • 業績悪化による早期退職制度の応募
  • 全体の3分の1以上の人員が、一斉退職
  • 業績悪化による退職勧奨

自己都合退職のおもな退職理由

自己都合退職のおもな退職理由として挙げられるのは、下記のとおりです。

  • 結婚して専業主婦、主夫になる
  • 妊娠や出産、育児
  • 介護
  • 転職や起業
  • 田舎で家業を継ぐ、上京
  • 資格試験や勉強に力を注ぐ
  • 大学や大学院への進学
  • 海外留学
  • 懲戒解雇を受けた

なお業績悪化を予測した転職による退職も自己都合退職に含まれます。また懲戒解雇を受けた場合、就業規則へのルール逸脱が原因であるため、自己都合退職になるのです。

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4.会社都合退職と自己都合退職の手続き

会社都合退職と自己都合退職とでは、手続きにも違いがあるのです。それぞれについて解説しましょう。

  1. 手続きの違い
  2. 退職時従業員に返却を求めるもの
  3. 退職時従業員に渡すもの

①手続きの違い

会社都合退職と自己都合退職の手続きの違いは、以下のとおりです。

会社都合退職の場合

会社都合退職の場合、会社側は対象従業員に対して、「30日以上前にその旨を伝える」もしくは「30日に満たない分の解雇予告手当を支払う」どちらかを行うと労働基準法で定められています。従業員への通知は、口頭と文書、どちらでも構いません。

しかしトラブル回避のため、解雇理由証明書や解雇予告通知書など書面を介したほうがよいでしょう。

自己都合退職の場合

自己都合退職の場合、就業規則に則って退職手続きを行います。一般的には、退職願の提出が必要です。また退職にあたっては、後任者への引き継ぎや取引先への挨拶などが必要となります。

後任者選定に時間を要する場合もあるでしょう。できれば退職2カ月前頃、まず上司へ退職意思を伝えます。

②退職時従業員に返却を求めるもの

退職時従業員に返却を求めるものは以下のとおりです。

  • 健康保険被保険者証
  • 社員証や社章
  • パソコンやスマートフォンといった備品、書類
  • 通勤定期代
  • 制服
  • 名刺

なお健康保険被保険者証は扶養家族の分も同時に返却します。貸与されていた制服は、クリーニングに出して返却しましょう。顧客から受け取った名刺も原則、退職時に返却します。

③退職時従業員にわたすもの

退職時、従業員にわたすものは以下のとおりです。

  • 離職票1と2
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • 年金手帳

離職票1と2は、転職先が決定している場合以外は、退職日の翌日から10日以内にハローワークで手続きをしたあと、自宅に送付。源泉徴収票は、退職後1カ月以内に交付します。

なお従業員から、厚生年金基金加入員証や退職証明書などの発行を求められる場合もあるでしょう。その際は、必要に応じて発行します。

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5.退職推奨後の動きで会社都合退職と自己都合退職が決まる

退職推奨後の動きによって、会社都合退職か自己都合退職か、決まる場合もあります。退職推奨とは、会社側が従業員に対して退職することを働きかけ、従業員が自ら退職するよう勧めること。退職勧奨とも呼ばれています。

退職推奨では、下記のようになるのです。

  • 会社側から退職推奨したあと、従業員が退職を伝えてきた場合、自己都合退職
  • 退職推奨後に従業員が退職を拒否し、その後で会社側が従業員を解雇した場合、会社都合退職

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6.会社都合退職のメリットとデメリット

会社都合退職には、メリットとデメリットがあります。企業側と従業員側、それぞれの内容を見ていきましょう。

企業側

会社都合退職に関する企業側のメリットとデメリットは、以下のとおりです。

メリット

退職して欲しい従業員と企業との間で退職に関する円満な合意があれば、当該従業員に退職してもらえるうえ、解雇予告手当を払わなくてすみます。

また「一定年齢に達した」といった条件を設定して従業員に早期退職を求める早期退職制度を制度化すると、人件費の削減が実現できるのです。割増した退職金の支払いはあるものの、会社都合退職を利用した計画的な経営が実現できます。

デメリット

会社都合退職における企業側のデメリットは、以下のとおりです。

  • 解雇する30日以内に従業員に通告できなければ、解雇予告手当の支払いが必要
  • 従業員の合意なく解雇通告をした場合、裁判や賠償金支払いのリスクがある
  • キャリアアップ助成金やトライアル雇用助成金といった助成金の支給が、一定期間認められなくなったり減額されたりする
  • 不当解雇したといった情報が広まると、企業ブランドや社会的信用を失う場合も

従業員側

会社都合退職における従業員側のメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット

会社都合で退職した人を特定受給資格者といいます。会社都合退職した特定受給資格者である従業員側のメリットは以下のとおりです。

  • 自己都合退職の場合、待期期間7日と3カ月を経なければ失業給付金を受け取れないが、特定受給資格者なら待期期間7日間経過後すぐ失業給付金を受け取れる
  • ケースによっては会社から解雇予告手当として、30日分以上の平均賃金を受け取れる

デメリット

会社都合退職における従業員側のデメリットは、転職活動で不利になる点です。会社の倒産・事業整理など、従業員側では対処できない理由で退職した場合、問題になりません。

しかし個人の実力不足・勤務態度の問題などが理由の場合、就職活動の選考で問われたときに不利に働いてしまう可能性があるのです。

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7.自己都合退職のメリットとデメリット

自己都合退職には、メリットとデメリットがあります。企業側と従業員側、それぞれの内容について見ていきましょう。

企業側

自己都合退職に関する企業側のメリットとデメリットは、以下のとおりです。

メリット

会社都合退職の場合には助成の対象外となってしまう助成金が、支給対象になる点。たとえばキャリアアップ助成金やトライアル雇用助成金は、自己都合退職者がいた場合でも、問題なく申請、受給できます。助成金を希望する企業にとっては大きなメリットです。

デメリット

退職した従業員とのトラブルのリスクが生じる点。従業員にとっては、自己都合退職よりも会社都合退職のほうがメリットも大きいです。従業員の退職後、「会社都合退職を、自己都合として扱われた」といったクレームを付けられるリスクがあります。

従業員側

自己都合退職に関する従業員側のメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット

自己都合退職に関する従業員側のメリットは、転職活動に大きく影響しない点。勤務態度や仕事ぶりなど、個人に非があったため会社都合退職をした場合、面接で退職事由を聞かれれば不利になる可能性も高いです。

しかし自己都合退職では、会社都合退職ほど厳しく退職理由を問われないため、転職活動に大きな影響はありません。

デメリット

すぐに失業給付金が支給されない点。自己都合退職した場合、失業給付金支給を受けるまで、7日間の待期期間のほか、3カ月の給付制限を受けます。また会社都合退職の場合と比較すると、給付額も少なく給付期間も短いです。

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8.会社都合退職と自己都合退職は変更可能か?

会社都合退職と自己都合退職とを変更するのは可能です。たとえば会社が自己都合退職として処理している案件でも、以下のような場合、ハローワークが会社都合退職と判断する場合もあります。

  • セクハラやパワハラ、いじめで退職した
  • 退職勧奨で退職した
  • 本当は会社都合退職なのに自己都合退職にするよう強要された
  • 勤務先移転で通勤が困難になった
  • 給与支払いの遅延や滞納、未払い
  • 労働条件が雇用契約内容と異なった

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9.自己都合退職から会社都合退職に変更できるケース

自己都合退職から会社都合退職に変更できるケースは4つです。それぞれについて解説しましょう。

  1. 毎月の残業時間が45時間以上あった場合
  2. 給与の減額および未払いがあった場合
  3. 業務内容や事務所が変わった場合
  4. ほかにも多くの退職者がいる場合

①毎月の残業時間が45時間以上あった場合

退職前3カ月間の残業時間が毎月45時間以上であれば36協定で定められている時間外労働の1カ月の限度時間45時間を超えており、会社の違法行為とみなされます。残業の証拠があれば、自己都合退職から会社都合退職に変更できるのです。

②給与の減額および未払いがあった場合

「給与を85%以下に減額された」「業務時間短縮により85%に落ち込んだ」場合、労働基準法第91条違反となるため、変更可能です。また月給の3分の1以上の額が2カ月支払われなかった場合も、退職事由を変更できます。

③業務内容や事務所が変わった場合

「契約時の業務内容が極端に変更された」「契約内容の証拠がある」場合も、退職事由を変更できます。また「2時間以上通勤する場所へオフィスが移転」「雇用契約に反し不当な転勤命令があった」場合も、自己都合退職から会社都合退職に変更できるのです。

④ほかにも多くの退職者がいる場合

たとえば「事業所単位で見たとき、1カ月に30人以上が退職予定」3分の1超の従業員が退職する」といった多くの退職者が出る場合、会社都合退職に変更できます。会社側に問題があるために退職者が出た、とみなされるからです。

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10.会社都合退職でも助成金を得る方法

会社都合退職でも助成金を得る方法があります。多くの助成金は、計画の提出日や措置の実施日から計算して6カ月前から支給申請日までに会社都合退職者がいた場合、支給されません。

タイミングをずらして当該期間に会社都合退職者がいなくなったときに再度、助成金の支給申請を行えば助成金を得られます。

会社都合にもかかわらず助成金目的で退職事由を自己都合に変更するといった改ざんは、不正受給となり、厳しいペナルティが科せられるのです。